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ドリーム小説
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「梓紗ーっ!」
「何よ龍太郎、いい加減先輩つけて呼べって言ってるじゃ…痛ッ!」
「へー!引っ掛かったーっ!!」
「チョーク投げるとか小学生じゃないんだから!もう中学生でしょうが!!」
「梓紗だって投げてんじゃんかよ!」
「あんたが投げ始めたからでしょ?!」
「それにノるあんたも相当なっ」





チョーク投げ戦争







橘梓紗、中学2年生。
1つ年下の隣の家の子に遊ばれてます。
今年から中学生のアイツはアタシのことをいまだに呼び捨てで呼んでる。
…別に無理やり呼ばせるほど傲慢じゃないけどね。

「梓紗ーっ!」

新学期が始まって間もない日。
今日は具合が悪くて学校を早退しちゃった。
アタシはいつもの声がしたからサッと身を寄せ振り返る。
そこにいたのは、可愛い顔した龍太郎。
学ランを着ていて、どことなく大人びている。

「…何よ」
「…何だよ」

アタシは不審に聞いたもんだから、龍太郎はちょっとご機嫌ななめになっちゃった。
あ、1年生は今日、午前で終わりなのか。

「何?龍太郎、どした?」
「別に。1人で居たからからかっただけぇー」

あんただって、1人じゃん。
どうせアタシを見かけたから走ってきたんでしょーに。
まぁ、そんな素直じゃないアンタ見てんのは飽きないけど。

「…一緒帰る?」
「梓紗がそうしたいんなら…いいけど?」

…素直じゃない奴。

「じゃっ、帰ろっ♪」
「しょうがないなー」

まぁ、そんな素直じゃないアンタと居るのは楽しいけど。




「さよーならぁー」

今日も1日が終わった。
アタシは体調が万全ではないので部活は休むことに。
今日は1年生も午後まで授業があったみたい。
龍太郎のクラスを覗いてみる。

…あれ??

龍太郎しかいないじゃん。
何やってんの、この子。
一緒に帰る友達ができないのかな?
1人で何か押し付けられたとか??
龍太郎に限ってそんなコトはないか。

「りゅーたろっ、どうしたの?1人?」
「…え?う、わ!梓紗!何でここいんだよっ」
「何その言い方、酷くない?心配してきたのに…」
「心配…?」
「うん。教室に1人でポツーンって。廊下から見たらかなり可哀そうだったけど?」
「そうですか」
「一緒に帰る友達いないの??」
「用事あるから先帰ってもらった。俺に友達いない訳ないだろ」
「そーですね、…って用事って何?」
「べっつ!お前に関係ねぇだろ!!」

…?
急に怒り出して。
アタシに言うと怒られるようなコト?
からかわれるようなコト??…告白とカ!!

「なーに?龍太郎くんっ。告白でもすんの?誰呼びだしたの??」

すると、龍太郎はカーッと赤くなる。
おっ。図星か?

「誰も呼び出してません」
「嘘つけ、その顔して言うな」
「呼び出しは、してません」
「あ、じゃぁこれから誰かに告りに行くの?」
「うん」
「嘘?!」

からかいがいがあった反面、ちょっと胸にくるものが。
龍太郎が誰かの彼女になる。
龍太郎がアタシの知らない人のコト誰か1人を好きになる。
そう考えたらちょっとだけ淋しかった。
あー、アタシはこんなに龍太郎を必要としちゃってたのか。

「でもね」
「ん?」
「その告りに行く必要はなくなったんだ」
「なんで?」
「だって、俺が好きなの梓紗だもん」




え?




「何それ、予行練習??」
「違います、本気です」
「えーじゃぁ、も1回言って?」


すると、龍太郎は突然イスから立ち上がり、
教卓の方へガーッと走って行く。

「嫌だ」

そう呟いたかと思うと、アタシに向かってチョークを投げてきた。

「うっわ、痛いって!」
「ああああ、もう!」

龍太郎は恥ずかしいのか、がむしゃらにアタシにチョークを投げてくる。
アタシはそのチョークを避けたりキャッチしたりしてる。
その中で運よく飛んでくるのをつかまえたアタシは龍太郎に投げる。
教室の後ろと教卓でチョークが飛び交う。
ヤバい、アタシ…嬉しいとか思っちゃってる。
龍太郎になら、アタシ言える。

「ねぇ!」
「…もう、何だよ!!」
「アタシも龍太郎のコト、好きって言ったら?」





「へ?」





龍太郎はチョークを投げる手を止め、アタシを見つめた。


「どうする?」

「そりゃあ、俺の彼女にする」

「じゃぁねぇ・・・・なる」

「はぁ?!」

龍太郎は一気に顔が赤くなり、チョークを1本ものすごい勢いで投げた。
照れ隠しか??
そのチョークがアタシの頬をかすって落ちる。

「痛っ」

アタシはちょっと痛かっただけだけど、大げさに痛がってみた。

「え、あ、う、ごめん、大丈夫?」

焦って走ってくる龍太郎の声。

「嘘ーっ♪」

一気にガクッと崩れ落ちる龍太郎。
はぁ…と大きなため息。

「心配させんなよ」
「…ごめん」
「でも、ちょっとチョークついてんじゃん、あー…ごめん」
「大丈夫だって」
「こんなんじゃ、梓紗の彼氏になれないなぁ」
「いいよ!なって!アタシが頼んでるんだからっ!」
「…本気で?」
「うん」
「マヂで!うっわ、嬉しい!」
「中学生になった瞬間に彼女持ちなんて羨ましいなぁ」
「梓紗彼氏いたことない?」
「うん」
「やった♪」
「何それ!」


まぁ、そんな素直じゃないアンタの彼女になるのは嬉しいけど。

拍手

「イギリスから来ました、岡本圭人です」

イギリス?!
てコトは帰国子女!?
それとも生まれがイギリスなの?
日本語もちょっと慣れてない雰囲気だし…。
大変なのがクラスに来ちゃったなぁ。


「岡本クンは、ジャニーズの岡本健一さんの息子ということで、
 もうすぐジャニーズ事務所に所属を検討してるそうだ」
「あ、でも、関係なく仲良くしてくれると、嬉しいです」
「まぁ、そういうことだから。仲良くしてやってくれ」

ジャニーズ事務所のお父さん!?
そりゃあ、羨ましいよ。
岡本クンもジャニーズ入るんだぁ。
まぁ、そう言われれば顔も結構カッコいいよね。

「席は・・・1人で寂しいだろう橘の隣で!」

え?!

「橘ー、大人しく手をあげなさい」

アタシは、渋々手を挙げた。
帰国子女の隣の席なんて…気まずいことこの上なし。
しかもジャニーズに入るっていうんでしょ?あり得ない…。

ガタン

机を運んできた岡本クンが言う。

「橘さん、よろしくね」
「よろしく、お願いします」






不思議な転校生






それはそれは、その日の授業中のコト。

「はい、じゃあ数学教科書87ページ開いてー」
「ごめん、教科書とか全然なくて…見せてくれますか?」
「あ、うん、どうぞどうぞ」
「ごめんね」

そう言って岡本クンは机をくっつけてきた。
近くで見ると、やっぱり岡本クンってカッコいい方なんだな。
アタシはあんまりそういうのに興味がないから、
よくわかんないんだけど、結構周りからの視線が痛い。

「そういえば、橘さんの名前知らないんだ」
「あ、そうだっけ。岡本クンに教えてないっけ?下の名前は梓紗っていうの」
「あずさかぁー。何かそんな名前って感じするー」
「えーなにそれ?」
「あ、僕のことは圭人って呼んでいいからね。
 岡本クンがいいならいいんだけどさ」

んー。
しゃべり方がゆっくりで癒される…。
圭人かぁ…呼べるかな

「んじゃあ、慣れてくよ、圭人」
「うん、僕も梓紗って呼ぶよ、いいでしょ?」
「いいよ」

「そこ、1番後ろの2人、ちゃんと話し聞いてるんですか?」
「あ、すいま「僕、今日転校してきて、わからないことを聞いてたんです」
「そうなの、わからないとこはなるべく先生に聞きなさい」

かばってくれたのかな?
それとも、ホントのこと?
どっちにしろ、ちょっと嬉しい…。
そういえば、イギリスに数学とかってあるの?
いきなりこんなところからやって大丈夫なのかな?

「ねぇねぇ、おかも…圭人」
「何?」
「数学とかってイギリスでもあったの?」
「あれ、優しいんだね。大丈夫、心配しなくても!」
「そうなの、じゃぁいいか」




ーあれ、優しいんだねー

あれって言葉はちょっと引っかかったけど、笑
ちょっとドキッとした。
今まで優しいなんて早々言われたことない。
まして、男の子からなんてもっぱら無い。
アタシがこんなに男の子のことに気をかけたのは初めてかも知れない。

「もし、優しいのが圭人だけにだったらどうする?」

転校初日にこんなコト言われて圭人は困るでしょ。
自分でそう思ったけど、口が先走った。
アタシをこんなに早く気にさせるなんて、圭人は不思議。



「えー何それ、そんなコト言わないでよー?
 梓紗、みんなに優しいでしょ?そんな顔してるもん。
 変にそういうコト言ったら、僕心奪われちゃうよ」







・・・・サラッとスルーされた?


心奪われちゃうよ?



そんな顔してるもん、だって。
ちょっと、顔が赤くなりそう。

「あれ?梓紗顔赤いよ、熱ある?大丈夫?!」


圭人って・・・天然なのかなー。
アタシ、こんなに分かり易いのに。
でもそんな天然な圭人を好きになっちゃな、アタシ。
1日目で好きになるとか、どうなの?


「僕、梓紗に心奪われないように、気をつけるよ」



アタシはそんな圭人に、
もう心は奪われていた。






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