ドリーム小説
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「おいっ、梓紗っ!!!」
「何?」
「悪いんだけど…また貸してくんね?教科書」
「はぁ~?何回目ですか、慧くん」
「いや、マヂで。チャイム鳴るから!!!」
「まったく…はい!!!」
「サンキュっ」
慧はそう言って走って行った。
すぐにチャイムが鳴った。
教科書かしてくれ!
「なーに?!また伊野ちゃんに教科書貸してんだぁ。
いっくら付き合ってるからってそんなに公衆の面前でイチャつかないで頂きたーい」
そう。アタシと伊野尾慧は付き合っています。
高1の秋。
同じクラスだった慧に告られた。
今は2年でクラス替えをして2組と4組に離れちゃったんだけど…。
ジャニーズだったコトも知ってたし、告られた時、正直夢かと思った。
だって…好きだったんだもん。
「別にイチャついてないし!!つか、イチャついてるように見えるか?!」
「めっちゃ見えるよー。何言ってるんですか」
「あー有り得ない。何あの人。アレじゃない?
教科書借りれるのにちょうどいい人見つけたからアタシと付き合ってるんじゃない?」
「とか言って?そんなコト言ってるけど?」
「す…すきだよ?」
「なんで疑問形何だよ」
好きだけどさー。
好きだけど、慧は彼氏っぽいコト全然してくれないし。
一緒にお祭り行ったり、映画見たり…デートはしてくれるんだけど…。
送ってくれたり、一緒に帰ったりはしてるんだけど…。
それが普通の彼氏なのかなぁ。
でも仕事もあるし、しょうがないよねー…。
「ええ!?それで充分じゃんっ!!一緒にいれるだけで幸せ♡とか思わないわけ?」
「………思う」
「じゃっ、いいじゃんっ!!誰もが憧れる伊野尾慧だよ?!
そんな人に好きになってもらえたんだから、自信持ちなって!!」
「そーお?じゃぁ、自信持つよー」
慧には文化祭が終わった閉幕祭で告られた。
その頃はまだ、『伊野チャン』って呼んでたなぁ…。
全校生徒が体育館に集まって盛り上がるんだけど、
アタシは少しだけ気分が悪く、教室で待機。
慧の楽しそうな姿を横目に体育館を出てきた。
アタシは30分くらい机に伏せていたら、ふと廊下に声がする。
その声は……、伊野チャンと…誰?
伊野チャンの声がして身体を起き上がらせると、友達に背中を押され伊野チャンが教室に飛び込んできた。
アタシはどうしようかと思い、どーしたの?と聞いてみた。
【いや、調子悪いって聞いてさ】
【ああ、別に、もう大丈夫だよ】
【そっか。なら良かった】
【うん】
【ちょっと心配だったから来てみちゃった】
【ええっ?!そーなの?!もう大丈夫だから、戻っていいよ】
【梓紗は?】
【いや、アタシはまだいるけど…】
【じゃぁ俺もいるよ】
【いいよ、ここに居てもつまんないでしょーに】
すると、沈黙が流れた。
アタシ、ちょっと酷いコト言った?
心配してくれたのに、つまんない、はないよね…。
あー…伊野チャンに引かれたかも。
つかもう、何コイツ的な。
あ―――……【梓紗が居ればつまんないコトなんて存在しないから】
【…はっ?!】
【俺は、梓紗を、好きだから】
【それってなんかの冗談?体育館でそーいうゲームやってんの?】
【ばっか、なんでだよ。だから梓紗が好きなんだってば】
【うっそ、ええ?何それ?は?】
【うるさいなぁ……で?付き合ってくれるの?】
慧が真っ赤な笑顔で言っていたのを覚えてる。
アタシはもう、その笑顔の虜だ。
【つ、付き合うに決まってんじゃん!!アタシがす、好きじゃないとでも、思って】
【わ、分かった!!ありがとう!!!】
そう言って始まったアタシ達の恋愛。
だけど思うように発展しない。
ただ、言葉だけで彼女・彼氏って言っているだけのようにアタシには感じる。
慧は、ホントにアタシを好きでいてくれてるのかな?って、
最近は時々思うようになってしまったほどだ。
「梓紗ぁー!!!旦那が呼んでる」
「はっ?旦那とか言うなしーっ」
「だけど、将来は…お子さんは何人つくるおつもりですか?」
「分かったからぁ、もう…」
「あっずさぁ、今の流すのは酷くないー?それに旦那言うなとか酷くないー?」
「べ、別に流してないじゃん!!」
「ちょっとそこの2人ー!!教室の外でやってくださるかしらー?笑」
「ほら、梓紗のせいで怒られたジャンっ!」
「今のは完全に慧だからっ」
授業終了のチャイムと同時に慧は教室にやってきた。
慧の手にはアタシがさっき貸した教科書。
「教科書を返します!!ありがとうございましたーっ」
「今後一切、このようなコトがありませんよーっに!!」
「何その言い方ー!!」
「嘘だよ、もう…でも忘れないでよ?慧が忘れたの、必ず持ってきてるわけじゃないんだから」
「気をつけるよ。んじゃ、またあとでねー♪」
走って行った慧の後ろ姿は廊下の女子がみんな振り返ってるくらいカッコ良かった。
あーあ、でも慧はアタシのコト好きでいてくれてるんだよね。
やっぱり自信持たなきゃね。
少なくとも、アタシは慧大好きだから―って思ってるだけじゃ意味無いけど。
「…ん?」
慧から返してもらった教科書には何かが挟まっていた。
ルーズリーフが1回折られたものに、クリップで小さな封筒がつけられている。
≪梓紗へ
いつもいつも教科書借りてごめんねー
これからは気をつけますっ!!!…と、話は変わって。
俺からのプレゼント!!コンサートのチケット差し上げます。
2枚入ってるから1人じゃイヤだったら誰か誘ってね。
絶対にその席にいろよ、1番前のすっげーいい席!!
梓紗にばっかりサービスすっから♡ちょっと恥ずかしいけどね…≫
ルーズリーフには慧の字でたった6行の手紙。
そして、一緒に挟まっていた封筒の中にはチケットが。
あー…何だあの人。
こんなコトして…アタシをどーするつもりですか。
「あ、」
ルーズリーフの下の方に何か書かれているのを見つけた。
≪愛してるよ≫
「何?」
「悪いんだけど…また貸してくんね?教科書」
「はぁ~?何回目ですか、慧くん」
「いや、マヂで。チャイム鳴るから!!!」
「まったく…はい!!!」
「サンキュっ」
慧はそう言って走って行った。
すぐにチャイムが鳴った。
教科書かしてくれ!
「なーに?!また伊野ちゃんに教科書貸してんだぁ。
いっくら付き合ってるからってそんなに公衆の面前でイチャつかないで頂きたーい」
そう。アタシと伊野尾慧は付き合っています。
高1の秋。
同じクラスだった慧に告られた。
今は2年でクラス替えをして2組と4組に離れちゃったんだけど…。
ジャニーズだったコトも知ってたし、告られた時、正直夢かと思った。
だって…好きだったんだもん。
「別にイチャついてないし!!つか、イチャついてるように見えるか?!」
「めっちゃ見えるよー。何言ってるんですか」
「あー有り得ない。何あの人。アレじゃない?
教科書借りれるのにちょうどいい人見つけたからアタシと付き合ってるんじゃない?」
「とか言って?そんなコト言ってるけど?」
「す…すきだよ?」
「なんで疑問形何だよ」
好きだけどさー。
好きだけど、慧は彼氏っぽいコト全然してくれないし。
一緒にお祭り行ったり、映画見たり…デートはしてくれるんだけど…。
送ってくれたり、一緒に帰ったりはしてるんだけど…。
それが普通の彼氏なのかなぁ。
でも仕事もあるし、しょうがないよねー…。
「ええ!?それで充分じゃんっ!!一緒にいれるだけで幸せ♡とか思わないわけ?」
「………思う」
「じゃっ、いいじゃんっ!!誰もが憧れる伊野尾慧だよ?!
そんな人に好きになってもらえたんだから、自信持ちなって!!」
「そーお?じゃぁ、自信持つよー」
慧には文化祭が終わった閉幕祭で告られた。
その頃はまだ、『伊野チャン』って呼んでたなぁ…。
全校生徒が体育館に集まって盛り上がるんだけど、
アタシは少しだけ気分が悪く、教室で待機。
慧の楽しそうな姿を横目に体育館を出てきた。
アタシは30分くらい机に伏せていたら、ふと廊下に声がする。
その声は……、伊野チャンと…誰?
伊野チャンの声がして身体を起き上がらせると、友達に背中を押され伊野チャンが教室に飛び込んできた。
アタシはどうしようかと思い、どーしたの?と聞いてみた。
【いや、調子悪いって聞いてさ】
【ああ、別に、もう大丈夫だよ】
【そっか。なら良かった】
【うん】
【ちょっと心配だったから来てみちゃった】
【ええっ?!そーなの?!もう大丈夫だから、戻っていいよ】
【梓紗は?】
【いや、アタシはまだいるけど…】
【じゃぁ俺もいるよ】
【いいよ、ここに居てもつまんないでしょーに】
すると、沈黙が流れた。
アタシ、ちょっと酷いコト言った?
心配してくれたのに、つまんない、はないよね…。
あー…伊野チャンに引かれたかも。
つかもう、何コイツ的な。
あ―――……【梓紗が居ればつまんないコトなんて存在しないから】
【…はっ?!】
【俺は、梓紗を、好きだから】
【それってなんかの冗談?体育館でそーいうゲームやってんの?】
【ばっか、なんでだよ。だから梓紗が好きなんだってば】
【うっそ、ええ?何それ?は?】
【うるさいなぁ……で?付き合ってくれるの?】
慧が真っ赤な笑顔で言っていたのを覚えてる。
アタシはもう、その笑顔の虜だ。
【つ、付き合うに決まってんじゃん!!アタシがす、好きじゃないとでも、思って】
【わ、分かった!!ありがとう!!!】
そう言って始まったアタシ達の恋愛。
だけど思うように発展しない。
ただ、言葉だけで彼女・彼氏って言っているだけのようにアタシには感じる。
慧は、ホントにアタシを好きでいてくれてるのかな?って、
最近は時々思うようになってしまったほどだ。
「梓紗ぁー!!!旦那が呼んでる」
「はっ?旦那とか言うなしーっ」
「だけど、将来は…お子さんは何人つくるおつもりですか?」
「分かったからぁ、もう…」
「あっずさぁ、今の流すのは酷くないー?それに旦那言うなとか酷くないー?」
「べ、別に流してないじゃん!!」
「ちょっとそこの2人ー!!教室の外でやってくださるかしらー?笑」
「ほら、梓紗のせいで怒られたジャンっ!」
「今のは完全に慧だからっ」
授業終了のチャイムと同時に慧は教室にやってきた。
慧の手にはアタシがさっき貸した教科書。
「教科書を返します!!ありがとうございましたーっ」
「今後一切、このようなコトがありませんよーっに!!」
「何その言い方ー!!」
「嘘だよ、もう…でも忘れないでよ?慧が忘れたの、必ず持ってきてるわけじゃないんだから」
「気をつけるよ。んじゃ、またあとでねー♪」
走って行った慧の後ろ姿は廊下の女子がみんな振り返ってるくらいカッコ良かった。
あーあ、でも慧はアタシのコト好きでいてくれてるんだよね。
やっぱり自信持たなきゃね。
少なくとも、アタシは慧大好きだから―って思ってるだけじゃ意味無いけど。
「…ん?」
慧から返してもらった教科書には何かが挟まっていた。
ルーズリーフが1回折られたものに、クリップで小さな封筒がつけられている。
≪梓紗へ
いつもいつも教科書借りてごめんねー
これからは気をつけますっ!!!…と、話は変わって。
俺からのプレゼント!!コンサートのチケット差し上げます。
2枚入ってるから1人じゃイヤだったら誰か誘ってね。
絶対にその席にいろよ、1番前のすっげーいい席!!
梓紗にばっかりサービスすっから♡ちょっと恥ずかしいけどね…≫
ルーズリーフには慧の字でたった6行の手紙。
そして、一緒に挟まっていた封筒の中にはチケットが。
あー…何だあの人。
こんなコトして…アタシをどーするつもりですか。
「あ、」
ルーズリーフの下の方に何か書かれているのを見つけた。
≪愛してるよ≫
PR
「ねぇ、大ちゃんっ!」
どこからともなく梓紗の声。
「ん~??」
俺は自分で出した声にビックリして起きる。
声出して気づいた。
今、授業中だった。
すぐ目の前には俺の顔を覗き込む隣の席の梓紗。
すっげぇビックリしたけど…それ以前に――――。
「有岡、今、寝てただろ?」
いねむり厳禁!
先生の視線と梓紗の両手を合わせてウインクしてる姿が輝く。
起こせなくてごめん、って言いたいのが伝わってくる。
…可愛い。
あー、やべぇ。
昨日ロケで家着いたの結構遅かったからなぁ。
ついに授業中寝ちゃったか。
「ね…寝てました」
「仕事も頑張るのもいいが、しっかり授業は受けろ。罰として…」
「罰あるんですか?!」
「何だ?今日、仕事か?」
「いや…違いますけど」
…あ!今、仕事あるって言っとけばよかったかな…とかって。
どうせどっかの掃除とかだろうなぁ。
かったるいし、早めに終わらせるか。
「教室の掃除当番が掃除した後にもう1回教室を掃除しろ!
これで目、覚めるだろー?」
「…はい?!」
「あー、あと梓紗もな」
「はい?!何でですか!!」
「お前寝てんの知ってて起こさなかっただろ?!」
「…すいません」
「有岡も1人より、2人の方がはかどるだろ?」
「そりゃ…まぁ」
「じゃぁ決まり。今日の放課後2人で教室掃除なー。はい!授業再開ー!」
と、いうように。
めちゃくちゃ遠慮がちに言った俺ですが…実は好き。
梓紗のコトがめっちゃ好きなんです。
もう先生にはかなり感謝してます。
「ねーぇ、もう掃除終わったでしょー?」
「はいはい、終わりました♪じゃぁアタシ先生に終わったって言ってくるから!」
「はぁーい」
…掃除、終わっちゃった。
まぁ俺が切り出しちゃったんだけどね。
実際掃除中は無言だったし。
んー…あ、唯一先生の重い机運んでんの見て「運ぶか?」って言ったけど、
あっさり「え、大丈夫だよ」って言われたし。
でも少しでも一緒にいられたのが嬉しかったからいっか♪
はぁ…。
深いため息をついて俺は自分の席に座る。
俺、どっちの方向向いて寝てたかなー?
あ、そっか。
目覚めたらすぐ梓紗の顔があったから梓紗の方向いて寝てたのか。
……うっわー、恥ずかしい!
あんなアホ面見せちゃったんだ。
はぁ…せめて向こう向いてれば良かった…な、ぁ…
梓紗来るの遅いなぁ…少しの間だけ休むかぁ。
結構時間経ったなぁと思い目を開けると…
そこには俺と同じ体勢で机に伏せて眠っている梓紗。
…えっと、どういうこと?理解できない。
俺は梓紗の寝顔に向かいあったまま少しだけ考えた。
そしてゆっくりと身体を起こし、辺りを見ると夕日が差し込んでいる。
時計を見ると、もう6時だ。
ああ、俺あのまま寝ちゃったのか、最悪じゃん。
梓紗は俺を起こさないでくれたのか。…ったく、優しいなぁ。
しばらく…っていっても5分くらいだけど、梓紗を見つめていた。
するとたまに「んんっ…」と寝言を発する。
それが可愛くて仕方なかった。
ずっと見ていたい…という気持ちが抑えきれなくなり、俺は梓紗の元へ行く。
そっと髪に触れてみると、サラサラと手からすり抜けて行った。
顔に髪がかかる。
俺はちょっと苦しそうだったので、少しだけ顔に触れて髪をどかそうとした…その時だった。
「だ、大ちゃん?どーした?起きたの…?」
ゆっくりと梓紗が目を覚ました。
俺は梓紗の左目尻辺りに触っていたので、バッと手を離した。
そしたらまた髪が落ちちゃった。
「う、あ!!!ごめん、顔に髪かかってたから、つい…」
「いやぁ、それはいいんだけど…、あ、いや、ありがとう…。
ってか、今何時?…6時過ぎてるじゃんっ!!どんだけ寝てたのアタシ…」
「え、うわ、ごめん。だって俺が寝てたから…でしょ?」
「…そう!!そうなんだよ!!!職員室から戻ってきたら大ちゃんが寝てて…。
寝顔可愛いなぁーって思ってたら、寝ちゃったのか…全部大ちゃんが悪いんだよ!!」
梓紗が物凄い勢いでしゃべる。
この人、さっきまで寝てたのか?ってくらいしゃべる。
「お、俺が全部悪いわけじゃないでしょうっ!!…って俺が悪いのか…。
別に起こしてくれても良かったし、俺なんて置いて友達と帰っても良かったのに…」
「えーだってさあ、無理矢理起こされるのも、起きた時1人なのも嫌じゃんっ!!!」
ふはー…。
コイツはどんだけ俺を惚れさせれば気が済むんだか…。
ああ、さっき髪に触れるだけに抑えられて良かった…。
もうちょっと梓紗が起きるの遅かったら、俺…完全に奪ってた。
「そうだね、はい、ありがとう」
「何その言い方ー!!!もう、こういう日があっても1人で帰っちゃうから!!!」
「えーなんでだよ、お礼言ってんじゃんっ!!」
「…でも、大ちゃんの可愛いー寝顔見ながら寝るのも悪くなかったぜっ。
結構寝心地が良かった…」
「…梓紗」
唇にふと柔らかく温かい感触。
俺はついに我慢できなくなり、梓紗の唇を奪った…と思っていた。
だけど俺は動いてない。
ひとつも。
机に片手を乗せて、よっかかってる姿勢のままだ。
これって…どういうこと?
目の前には、すぐ目の前には梓紗がいる。
すごく澄ましている梓紗がいる。
唇が…触れている。
俺が…奪ったんじゃない…??
ゆっくりと離れる梓紗。
俺はキスする前と全く同じ格好だ。
梓紗は真顔で俺を見つめる。
何、どうしたの、この展開は。
「大ちゃんっ♪」
「……はい」
「ごめん、キスした…」
「…俺が…?」
「違う、アタシから」
「俺が奪ったんじゃないの?俺が無理矢理奪ったんじゃないの?」
「違う、アタシが奪ったの」
「………え?」
梓紗が俺にキスした?
何それ。
はぁ?
俺がしたんじゃないの?
あー…何それ。
気付くと俺は梓紗を抱きしめていた。
次に意識が戻ったときは梓紗も俺を抱きしめ返してくれていた。
自然に離れると、梓紗は俺の目をずっと見てた。
「大ちゃん、好きなんだけど…さぁ」
「…うん」
「うんってなんだよ、……で、付き合ってくれる?」
「普通さ、告ってからキス…じゃないの?」
「え、いや、ごめん、我慢できなくて…」
「俺が好きでもない奴にキスされてずっと黙ってると思う?
俺が好きでもない奴にキスされてから無意識に抱きしめると思う?
俺が…さ、俺が…さぁ、もう、俺が」
「な、何?」
あー………
「俺が梓紗のコト好きじゃないと思う?」
「何その、アタシが自惚れてそうな言い方」
「俺が梓紗を好きって確信したからのキスじゃないの?」
「ち、違います!!…残念ながら…無意識です。
大ちゃんから離れてから、やっちゃった…って思ったもん…」
「無意識?」
「うん」
「じゃぁ、俺も無意識にキスしていい?」
「えっ…」
「何?」
「無意識なのに、許可取るの?」
と言い終わった梓紗にキスをする。
唇を離した後の梓紗は異様に驚いていた。
「む、むいしき?」
「うん♪」
俺と梓紗の関係は俺の少しの居眠りから始まった。
お互いの我慢を超えた恋だった。
どこからともなく梓紗の声。
「ん~??」
俺は自分で出した声にビックリして起きる。
声出して気づいた。
今、授業中だった。
すぐ目の前には俺の顔を覗き込む隣の席の梓紗。
すっげぇビックリしたけど…それ以前に――――。
「有岡、今、寝てただろ?」
いねむり厳禁!
先生の視線と梓紗の両手を合わせてウインクしてる姿が輝く。
起こせなくてごめん、って言いたいのが伝わってくる。
…可愛い。
あー、やべぇ。
昨日ロケで家着いたの結構遅かったからなぁ。
ついに授業中寝ちゃったか。
「ね…寝てました」
「仕事も頑張るのもいいが、しっかり授業は受けろ。罰として…」
「罰あるんですか?!」
「何だ?今日、仕事か?」
「いや…違いますけど」
…あ!今、仕事あるって言っとけばよかったかな…とかって。
どうせどっかの掃除とかだろうなぁ。
かったるいし、早めに終わらせるか。
「教室の掃除当番が掃除した後にもう1回教室を掃除しろ!
これで目、覚めるだろー?」
「…はい?!」
「あー、あと梓紗もな」
「はい?!何でですか!!」
「お前寝てんの知ってて起こさなかっただろ?!」
「…すいません」
「有岡も1人より、2人の方がはかどるだろ?」
「そりゃ…まぁ」
「じゃぁ決まり。今日の放課後2人で教室掃除なー。はい!授業再開ー!」
と、いうように。
めちゃくちゃ遠慮がちに言った俺ですが…実は好き。
梓紗のコトがめっちゃ好きなんです。
もう先生にはかなり感謝してます。
「ねーぇ、もう掃除終わったでしょー?」
「はいはい、終わりました♪じゃぁアタシ先生に終わったって言ってくるから!」
「はぁーい」
…掃除、終わっちゃった。
まぁ俺が切り出しちゃったんだけどね。
実際掃除中は無言だったし。
んー…あ、唯一先生の重い机運んでんの見て「運ぶか?」って言ったけど、
あっさり「え、大丈夫だよ」って言われたし。
でも少しでも一緒にいられたのが嬉しかったからいっか♪
はぁ…。
深いため息をついて俺は自分の席に座る。
俺、どっちの方向向いて寝てたかなー?
あ、そっか。
目覚めたらすぐ梓紗の顔があったから梓紗の方向いて寝てたのか。
……うっわー、恥ずかしい!
あんなアホ面見せちゃったんだ。
はぁ…せめて向こう向いてれば良かった…な、ぁ…
梓紗来るの遅いなぁ…少しの間だけ休むかぁ。
結構時間経ったなぁと思い目を開けると…
そこには俺と同じ体勢で机に伏せて眠っている梓紗。
…えっと、どういうこと?理解できない。
俺は梓紗の寝顔に向かいあったまま少しだけ考えた。
そしてゆっくりと身体を起こし、辺りを見ると夕日が差し込んでいる。
時計を見ると、もう6時だ。
ああ、俺あのまま寝ちゃったのか、最悪じゃん。
梓紗は俺を起こさないでくれたのか。…ったく、優しいなぁ。
しばらく…っていっても5分くらいだけど、梓紗を見つめていた。
するとたまに「んんっ…」と寝言を発する。
それが可愛くて仕方なかった。
ずっと見ていたい…という気持ちが抑えきれなくなり、俺は梓紗の元へ行く。
そっと髪に触れてみると、サラサラと手からすり抜けて行った。
顔に髪がかかる。
俺はちょっと苦しそうだったので、少しだけ顔に触れて髪をどかそうとした…その時だった。
「だ、大ちゃん?どーした?起きたの…?」
ゆっくりと梓紗が目を覚ました。
俺は梓紗の左目尻辺りに触っていたので、バッと手を離した。
そしたらまた髪が落ちちゃった。
「う、あ!!!ごめん、顔に髪かかってたから、つい…」
「いやぁ、それはいいんだけど…、あ、いや、ありがとう…。
ってか、今何時?…6時過ぎてるじゃんっ!!どんだけ寝てたのアタシ…」
「え、うわ、ごめん。だって俺が寝てたから…でしょ?」
「…そう!!そうなんだよ!!!職員室から戻ってきたら大ちゃんが寝てて…。
寝顔可愛いなぁーって思ってたら、寝ちゃったのか…全部大ちゃんが悪いんだよ!!」
梓紗が物凄い勢いでしゃべる。
この人、さっきまで寝てたのか?ってくらいしゃべる。
「お、俺が全部悪いわけじゃないでしょうっ!!…って俺が悪いのか…。
別に起こしてくれても良かったし、俺なんて置いて友達と帰っても良かったのに…」
「えーだってさあ、無理矢理起こされるのも、起きた時1人なのも嫌じゃんっ!!!」
ふはー…。
コイツはどんだけ俺を惚れさせれば気が済むんだか…。
ああ、さっき髪に触れるだけに抑えられて良かった…。
もうちょっと梓紗が起きるの遅かったら、俺…完全に奪ってた。
「そうだね、はい、ありがとう」
「何その言い方ー!!!もう、こういう日があっても1人で帰っちゃうから!!!」
「えーなんでだよ、お礼言ってんじゃんっ!!」
「…でも、大ちゃんの可愛いー寝顔見ながら寝るのも悪くなかったぜっ。
結構寝心地が良かった…」
「…梓紗」
唇にふと柔らかく温かい感触。
俺はついに我慢できなくなり、梓紗の唇を奪った…と思っていた。
だけど俺は動いてない。
ひとつも。
机に片手を乗せて、よっかかってる姿勢のままだ。
これって…どういうこと?
目の前には、すぐ目の前には梓紗がいる。
すごく澄ましている梓紗がいる。
唇が…触れている。
俺が…奪ったんじゃない…??
ゆっくりと離れる梓紗。
俺はキスする前と全く同じ格好だ。
梓紗は真顔で俺を見つめる。
何、どうしたの、この展開は。
「大ちゃんっ♪」
「……はい」
「ごめん、キスした…」
「…俺が…?」
「違う、アタシから」
「俺が奪ったんじゃないの?俺が無理矢理奪ったんじゃないの?」
「違う、アタシが奪ったの」
「………え?」
梓紗が俺にキスした?
何それ。
はぁ?
俺がしたんじゃないの?
あー…何それ。
気付くと俺は梓紗を抱きしめていた。
次に意識が戻ったときは梓紗も俺を抱きしめ返してくれていた。
自然に離れると、梓紗は俺の目をずっと見てた。
「大ちゃん、好きなんだけど…さぁ」
「…うん」
「うんってなんだよ、……で、付き合ってくれる?」
「普通さ、告ってからキス…じゃないの?」
「え、いや、ごめん、我慢できなくて…」
「俺が好きでもない奴にキスされてずっと黙ってると思う?
俺が好きでもない奴にキスされてから無意識に抱きしめると思う?
俺が…さ、俺が…さぁ、もう、俺が」
「な、何?」
あー………
「俺が梓紗のコト好きじゃないと思う?」
「何その、アタシが自惚れてそうな言い方」
「俺が梓紗を好きって確信したからのキスじゃないの?」
「ち、違います!!…残念ながら…無意識です。
大ちゃんから離れてから、やっちゃった…って思ったもん…」
「無意識?」
「うん」
「じゃぁ、俺も無意識にキスしていい?」
「えっ…」
「何?」
「無意識なのに、許可取るの?」
と言い終わった梓紗にキスをする。
唇を離した後の梓紗は異様に驚いていた。
「む、むいしき?」
「うん♪」
俺と梓紗の関係は俺の少しの居眠りから始まった。
お互いの我慢を超えた恋だった。
「梓紗ーっ!」
「何よ龍太郎、いい加減先輩つけて呼べって言ってるじゃ…痛ッ!」
「へー!引っ掛かったーっ!!」
「チョーク投げるとか小学生じゃないんだから!もう中学生でしょうが!!」
「梓紗だって投げてんじゃんかよ!」
「あんたが投げ始めたからでしょ?!」
「それにノるあんたも相当なっ」
チョーク投げ戦争
橘梓紗、中学2年生。
1つ年下の隣の家の子に遊ばれてます。
今年から中学生のアイツはアタシのことをいまだに呼び捨てで呼んでる。
…別に無理やり呼ばせるほど傲慢じゃないけどね。
「梓紗ーっ!」
新学期が始まって間もない日。
今日は具合が悪くて学校を早退しちゃった。
アタシはいつもの声がしたからサッと身を寄せ振り返る。
そこにいたのは、可愛い顔した龍太郎。
学ランを着ていて、どことなく大人びている。
「…何よ」
「…何だよ」
アタシは不審に聞いたもんだから、龍太郎はちょっとご機嫌ななめになっちゃった。
あ、1年生は今日、午前で終わりなのか。
「何?龍太郎、どした?」
「別に。1人で居たからからかっただけぇー」
あんただって、1人じゃん。
どうせアタシを見かけたから走ってきたんでしょーに。
まぁ、そんな素直じゃないアンタ見てんのは飽きないけど。
「…一緒帰る?」
「梓紗がそうしたいんなら…いいけど?」
…素直じゃない奴。
「じゃっ、帰ろっ♪」
「しょうがないなー」
まぁ、そんな素直じゃないアンタと居るのは楽しいけど。
「さよーならぁー」
今日も1日が終わった。
アタシは体調が万全ではないので部活は休むことに。
今日は1年生も午後まで授業があったみたい。
龍太郎のクラスを覗いてみる。
…あれ??
龍太郎しかいないじゃん。
何やってんの、この子。
一緒に帰る友達ができないのかな?
1人で何か押し付けられたとか??
龍太郎に限ってそんなコトはないか。
「りゅーたろっ、どうしたの?1人?」
「…え?う、わ!梓紗!何でここいんだよっ」
「何その言い方、酷くない?心配してきたのに…」
「心配…?」
「うん。教室に1人でポツーンって。廊下から見たらかなり可哀そうだったけど?」
「そうですか」
「一緒に帰る友達いないの??」
「用事あるから先帰ってもらった。俺に友達いない訳ないだろ」
「そーですね、…って用事って何?」
「べっつ!お前に関係ねぇだろ!!」
…?
急に怒り出して。
アタシに言うと怒られるようなコト?
からかわれるようなコト??…告白とカ!!
「なーに?龍太郎くんっ。告白でもすんの?誰呼びだしたの??」
すると、龍太郎はカーッと赤くなる。
おっ。図星か?
「誰も呼び出してません」
「嘘つけ、その顔して言うな」
「呼び出しは、してません」
「あ、じゃぁこれから誰かに告りに行くの?」
「うん」
「嘘?!」
からかいがいがあった反面、ちょっと胸にくるものが。
龍太郎が誰かの彼女になる。
龍太郎がアタシの知らない人のコト誰か1人を好きになる。
そう考えたらちょっとだけ淋しかった。
あー、アタシはこんなに龍太郎を必要としちゃってたのか。
「でもね」
「ん?」
「その告りに行く必要はなくなったんだ」
「なんで?」
「だって、俺が好きなの梓紗だもん」
え?
「何それ、予行練習??」
「違います、本気です」
「えーじゃぁ、も1回言って?」
すると、龍太郎は突然イスから立ち上がり、
教卓の方へガーッと走って行く。
「嫌だ」
そう呟いたかと思うと、アタシに向かってチョークを投げてきた。
「うっわ、痛いって!」
「ああああ、もう!」
龍太郎は恥ずかしいのか、がむしゃらにアタシにチョークを投げてくる。
アタシはそのチョークを避けたりキャッチしたりしてる。
その中で運よく飛んでくるのをつかまえたアタシは龍太郎に投げる。
教室の後ろと教卓でチョークが飛び交う。
ヤバい、アタシ…嬉しいとか思っちゃってる。
龍太郎になら、アタシ言える。
「ねぇ!」
「…もう、何だよ!!」
「アタシも龍太郎のコト、好きって言ったら?」
「へ?」
龍太郎はチョークを投げる手を止め、アタシを見つめた。
「どうする?」
「そりゃあ、俺の彼女にする」
「じゃぁねぇ・・・・なる」
「はぁ?!」
龍太郎は一気に顔が赤くなり、チョークを1本ものすごい勢いで投げた。
照れ隠しか??
そのチョークがアタシの頬をかすって落ちる。
「痛っ」
アタシはちょっと痛かっただけだけど、大げさに痛がってみた。
「え、あ、う、ごめん、大丈夫?」
焦って走ってくる龍太郎の声。
「嘘ーっ♪」
一気にガクッと崩れ落ちる龍太郎。
はぁ…と大きなため息。
「心配させんなよ」
「…ごめん」
「でも、ちょっとチョークついてんじゃん、あー…ごめん」
「大丈夫だって」
「こんなんじゃ、梓紗の彼氏になれないなぁ」
「いいよ!なって!アタシが頼んでるんだからっ!」
「…本気で?」
「うん」
「マヂで!うっわ、嬉しい!」
「中学生になった瞬間に彼女持ちなんて羨ましいなぁ」
「梓紗彼氏いたことない?」
「うん」
「やった♪」
「何それ!」
まぁ、そんな素直じゃないアンタの彼女になるのは嬉しいけど。
「何よ龍太郎、いい加減先輩つけて呼べって言ってるじゃ…痛ッ!」
「へー!引っ掛かったーっ!!」
「チョーク投げるとか小学生じゃないんだから!もう中学生でしょうが!!」
「梓紗だって投げてんじゃんかよ!」
「あんたが投げ始めたからでしょ?!」
「それにノるあんたも相当なっ」
チョーク投げ戦争
橘梓紗、中学2年生。
1つ年下の隣の家の子に遊ばれてます。
今年から中学生のアイツはアタシのことをいまだに呼び捨てで呼んでる。
…別に無理やり呼ばせるほど傲慢じゃないけどね。
「梓紗ーっ!」
新学期が始まって間もない日。
今日は具合が悪くて学校を早退しちゃった。
アタシはいつもの声がしたからサッと身を寄せ振り返る。
そこにいたのは、可愛い顔した龍太郎。
学ランを着ていて、どことなく大人びている。
「…何よ」
「…何だよ」
アタシは不審に聞いたもんだから、龍太郎はちょっとご機嫌ななめになっちゃった。
あ、1年生は今日、午前で終わりなのか。
「何?龍太郎、どした?」
「別に。1人で居たからからかっただけぇー」
あんただって、1人じゃん。
どうせアタシを見かけたから走ってきたんでしょーに。
まぁ、そんな素直じゃないアンタ見てんのは飽きないけど。
「…一緒帰る?」
「梓紗がそうしたいんなら…いいけど?」
…素直じゃない奴。
「じゃっ、帰ろっ♪」
「しょうがないなー」
まぁ、そんな素直じゃないアンタと居るのは楽しいけど。
「さよーならぁー」
今日も1日が終わった。
アタシは体調が万全ではないので部活は休むことに。
今日は1年生も午後まで授業があったみたい。
龍太郎のクラスを覗いてみる。
…あれ??
龍太郎しかいないじゃん。
何やってんの、この子。
一緒に帰る友達ができないのかな?
1人で何か押し付けられたとか??
龍太郎に限ってそんなコトはないか。
「りゅーたろっ、どうしたの?1人?」
「…え?う、わ!梓紗!何でここいんだよっ」
「何その言い方、酷くない?心配してきたのに…」
「心配…?」
「うん。教室に1人でポツーンって。廊下から見たらかなり可哀そうだったけど?」
「そうですか」
「一緒に帰る友達いないの??」
「用事あるから先帰ってもらった。俺に友達いない訳ないだろ」
「そーですね、…って用事って何?」
「べっつ!お前に関係ねぇだろ!!」
…?
急に怒り出して。
アタシに言うと怒られるようなコト?
からかわれるようなコト??…告白とカ!!
「なーに?龍太郎くんっ。告白でもすんの?誰呼びだしたの??」
すると、龍太郎はカーッと赤くなる。
おっ。図星か?
「誰も呼び出してません」
「嘘つけ、その顔して言うな」
「呼び出しは、してません」
「あ、じゃぁこれから誰かに告りに行くの?」
「うん」
「嘘?!」
からかいがいがあった反面、ちょっと胸にくるものが。
龍太郎が誰かの彼女になる。
龍太郎がアタシの知らない人のコト誰か1人を好きになる。
そう考えたらちょっとだけ淋しかった。
あー、アタシはこんなに龍太郎を必要としちゃってたのか。
「でもね」
「ん?」
「その告りに行く必要はなくなったんだ」
「なんで?」
「だって、俺が好きなの梓紗だもん」
え?
「何それ、予行練習??」
「違います、本気です」
「えーじゃぁ、も1回言って?」
すると、龍太郎は突然イスから立ち上がり、
教卓の方へガーッと走って行く。
「嫌だ」
そう呟いたかと思うと、アタシに向かってチョークを投げてきた。
「うっわ、痛いって!」
「ああああ、もう!」
龍太郎は恥ずかしいのか、がむしゃらにアタシにチョークを投げてくる。
アタシはそのチョークを避けたりキャッチしたりしてる。
その中で運よく飛んでくるのをつかまえたアタシは龍太郎に投げる。
教室の後ろと教卓でチョークが飛び交う。
ヤバい、アタシ…嬉しいとか思っちゃってる。
龍太郎になら、アタシ言える。
「ねぇ!」
「…もう、何だよ!!」
「アタシも龍太郎のコト、好きって言ったら?」
「へ?」
龍太郎はチョークを投げる手を止め、アタシを見つめた。
「どうする?」
「そりゃあ、俺の彼女にする」
「じゃぁねぇ・・・・なる」
「はぁ?!」
龍太郎は一気に顔が赤くなり、チョークを1本ものすごい勢いで投げた。
照れ隠しか??
そのチョークがアタシの頬をかすって落ちる。
「痛っ」
アタシはちょっと痛かっただけだけど、大げさに痛がってみた。
「え、あ、う、ごめん、大丈夫?」
焦って走ってくる龍太郎の声。
「嘘ーっ♪」
一気にガクッと崩れ落ちる龍太郎。
はぁ…と大きなため息。
「心配させんなよ」
「…ごめん」
「でも、ちょっとチョークついてんじゃん、あー…ごめん」
「大丈夫だって」
「こんなんじゃ、梓紗の彼氏になれないなぁ」
「いいよ!なって!アタシが頼んでるんだからっ!」
「…本気で?」
「うん」
「マヂで!うっわ、嬉しい!」
「中学生になった瞬間に彼女持ちなんて羨ましいなぁ」
「梓紗彼氏いたことない?」
「うん」
「やった♪」
「何それ!」
まぁ、そんな素直じゃないアンタの彼女になるのは嬉しいけど。
「イギリスから来ました、岡本圭人です」
イギリス?!
てコトは帰国子女!?
それとも生まれがイギリスなの?
日本語もちょっと慣れてない雰囲気だし…。
大変なのがクラスに来ちゃったなぁ。
「岡本クンは、ジャニーズの岡本健一さんの息子ということで、
もうすぐジャニーズ事務所に所属を検討してるそうだ」
「あ、でも、関係なく仲良くしてくれると、嬉しいです」
「まぁ、そういうことだから。仲良くしてやってくれ」
ジャニーズ事務所のお父さん!?
そりゃあ、羨ましいよ。
岡本クンもジャニーズ入るんだぁ。
まぁ、そう言われれば顔も結構カッコいいよね。
「席は・・・1人で寂しいだろう橘の隣で!」
え?!
「橘ー、大人しく手をあげなさい」
アタシは、渋々手を挙げた。
帰国子女の隣の席なんて…気まずいことこの上なし。
しかもジャニーズに入るっていうんでしょ?あり得ない…。
ガタン
机を運んできた岡本クンが言う。
「橘さん、よろしくね」
「よろしく、お願いします」
不思議な転校生
それはそれは、その日の授業中のコト。
「はい、じゃあ数学教科書87ページ開いてー」
「ごめん、教科書とか全然なくて…見せてくれますか?」
「あ、うん、どうぞどうぞ」
「ごめんね」
そう言って岡本クンは机をくっつけてきた。
近くで見ると、やっぱり岡本クンってカッコいい方なんだな。
アタシはあんまりそういうのに興味がないから、
よくわかんないんだけど、結構周りからの視線が痛い。
「そういえば、橘さんの名前知らないんだ」
「あ、そうだっけ。岡本クンに教えてないっけ?下の名前は梓紗っていうの」
「あずさかぁー。何かそんな名前って感じするー」
「えーなにそれ?」
「あ、僕のことは圭人って呼んでいいからね。
岡本クンがいいならいいんだけどさ」
んー。
しゃべり方がゆっくりで癒される…。
圭人かぁ…呼べるかな
「んじゃあ、慣れてくよ、圭人」
「うん、僕も梓紗って呼ぶよ、いいでしょ?」
「いいよ」
「そこ、1番後ろの2人、ちゃんと話し聞いてるんですか?」
「あ、すいま「僕、今日転校してきて、わからないことを聞いてたんです」
「そうなの、わからないとこはなるべく先生に聞きなさい」
かばってくれたのかな?
それとも、ホントのこと?
どっちにしろ、ちょっと嬉しい…。
そういえば、イギリスに数学とかってあるの?
いきなりこんなところからやって大丈夫なのかな?
「ねぇねぇ、おかも…圭人」
「何?」
「数学とかってイギリスでもあったの?」
「あれ、優しいんだね。大丈夫、心配しなくても!」
「そうなの、じゃぁいいか」
ーあれ、優しいんだねー
あれって言葉はちょっと引っかかったけど、笑
ちょっとドキッとした。
今まで優しいなんて早々言われたことない。
まして、男の子からなんてもっぱら無い。
アタシがこんなに男の子のことに気をかけたのは初めてかも知れない。
「もし、優しいのが圭人だけにだったらどうする?」
転校初日にこんなコト言われて圭人は困るでしょ。
自分でそう思ったけど、口が先走った。
アタシをこんなに早く気にさせるなんて、圭人は不思議。
「えー何それ、そんなコト言わないでよー?
梓紗、みんなに優しいでしょ?そんな顔してるもん。
変にそういうコト言ったら、僕心奪われちゃうよ」
・・・・サラッとスルーされた?
心奪われちゃうよ?
そんな顔してるもん、だって。
ちょっと、顔が赤くなりそう。
「あれ?梓紗顔赤いよ、熱ある?大丈夫?!」
圭人って・・・天然なのかなー。
アタシ、こんなに分かり易いのに。
でもそんな天然な圭人を好きになっちゃな、アタシ。
1日目で好きになるとか、どうなの?
「僕、梓紗に心奪われないように、気をつけるよ」
アタシはそんな圭人に、
もう心は奪われていた。
イギリス?!
てコトは帰国子女!?
それとも生まれがイギリスなの?
日本語もちょっと慣れてない雰囲気だし…。
大変なのがクラスに来ちゃったなぁ。
「岡本クンは、ジャニーズの岡本健一さんの息子ということで、
もうすぐジャニーズ事務所に所属を検討してるそうだ」
「あ、でも、関係なく仲良くしてくれると、嬉しいです」
「まぁ、そういうことだから。仲良くしてやってくれ」
ジャニーズ事務所のお父さん!?
そりゃあ、羨ましいよ。
岡本クンもジャニーズ入るんだぁ。
まぁ、そう言われれば顔も結構カッコいいよね。
「席は・・・1人で寂しいだろう橘の隣で!」
え?!
「橘ー、大人しく手をあげなさい」
アタシは、渋々手を挙げた。
帰国子女の隣の席なんて…気まずいことこの上なし。
しかもジャニーズに入るっていうんでしょ?あり得ない…。
ガタン
机を運んできた岡本クンが言う。
「橘さん、よろしくね」
「よろしく、お願いします」
不思議な転校生
それはそれは、その日の授業中のコト。
「はい、じゃあ数学教科書87ページ開いてー」
「ごめん、教科書とか全然なくて…見せてくれますか?」
「あ、うん、どうぞどうぞ」
「ごめんね」
そう言って岡本クンは机をくっつけてきた。
近くで見ると、やっぱり岡本クンってカッコいい方なんだな。
アタシはあんまりそういうのに興味がないから、
よくわかんないんだけど、結構周りからの視線が痛い。
「そういえば、橘さんの名前知らないんだ」
「あ、そうだっけ。岡本クンに教えてないっけ?下の名前は梓紗っていうの」
「あずさかぁー。何かそんな名前って感じするー」
「えーなにそれ?」
「あ、僕のことは圭人って呼んでいいからね。
岡本クンがいいならいいんだけどさ」
んー。
しゃべり方がゆっくりで癒される…。
圭人かぁ…呼べるかな
「んじゃあ、慣れてくよ、圭人」
「うん、僕も梓紗って呼ぶよ、いいでしょ?」
「いいよ」
「そこ、1番後ろの2人、ちゃんと話し聞いてるんですか?」
「あ、すいま「僕、今日転校してきて、わからないことを聞いてたんです」
「そうなの、わからないとこはなるべく先生に聞きなさい」
かばってくれたのかな?
それとも、ホントのこと?
どっちにしろ、ちょっと嬉しい…。
そういえば、イギリスに数学とかってあるの?
いきなりこんなところからやって大丈夫なのかな?
「ねぇねぇ、おかも…圭人」
「何?」
「数学とかってイギリスでもあったの?」
「あれ、優しいんだね。大丈夫、心配しなくても!」
「そうなの、じゃぁいいか」
ーあれ、優しいんだねー
あれって言葉はちょっと引っかかったけど、笑
ちょっとドキッとした。
今まで優しいなんて早々言われたことない。
まして、男の子からなんてもっぱら無い。
アタシがこんなに男の子のことに気をかけたのは初めてかも知れない。
「もし、優しいのが圭人だけにだったらどうする?」
転校初日にこんなコト言われて圭人は困るでしょ。
自分でそう思ったけど、口が先走った。
アタシをこんなに早く気にさせるなんて、圭人は不思議。
「えー何それ、そんなコト言わないでよー?
梓紗、みんなに優しいでしょ?そんな顔してるもん。
変にそういうコト言ったら、僕心奪われちゃうよ」
・・・・サラッとスルーされた?
心奪われちゃうよ?
そんな顔してるもん、だって。
ちょっと、顔が赤くなりそう。
「あれ?梓紗顔赤いよ、熱ある?大丈夫?!」
圭人って・・・天然なのかなー。
アタシ、こんなに分かり易いのに。
でもそんな天然な圭人を好きになっちゃな、アタシ。
1日目で好きになるとか、どうなの?
「僕、梓紗に心奪われないように、気をつけるよ」
アタシはそんな圭人に、
もう心は奪われていた。