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ドリーム小説
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「おいっ、梓紗っ!!!」
「何?」
「悪いんだけど…また貸してくんね?教科書」
「はぁ~?何回目ですか、慧くん」
「いや、マヂで。チャイム鳴るから!!!」
「まったく…はい!!!」
「サンキュっ」

慧はそう言って走って行った。
すぐにチャイムが鳴った。





教科書かしてくれ!




「なーに?!また伊野ちゃんに教科書貸してんだぁ。
 いっくら付き合ってるからってそんなに公衆の面前でイチャつかないで頂きたーい」

そう。アタシと伊野尾慧は付き合っています。
高1の秋。
同じクラスだった慧に告られた。
今は2年でクラス替えをして2組と4組に離れちゃったんだけど…。
ジャニーズだったコトも知ってたし、告られた時、正直夢かと思った。
だって…好きだったんだもん。

「別にイチャついてないし!!つか、イチャついてるように見えるか?!」
「めっちゃ見えるよー。何言ってるんですか」
「あー有り得ない。何あの人。アレじゃない?
 教科書借りれるのにちょうどいい人見つけたからアタシと付き合ってるんじゃない?」
「とか言って?そんなコト言ってるけど?」
「す…すきだよ?」
「なんで疑問形何だよ」

好きだけどさー。
好きだけど、慧は彼氏っぽいコト全然してくれないし。
一緒にお祭り行ったり、映画見たり…デートはしてくれるんだけど…。
送ってくれたり、一緒に帰ったりはしてるんだけど…。
それが普通の彼氏なのかなぁ。
でも仕事もあるし、しょうがないよねー…。

「ええ!?それで充分じゃんっ!!一緒にいれるだけで幸せ♡とか思わないわけ?」
「………思う」
「じゃっ、いいじゃんっ!!誰もが憧れる伊野尾慧だよ?!
 そんな人に好きになってもらえたんだから、自信持ちなって!!」
「そーお?じゃぁ、自信持つよー」


慧には文化祭が終わった閉幕祭で告られた。
その頃はまだ、『伊野チャン』って呼んでたなぁ…。

全校生徒が体育館に集まって盛り上がるんだけど、
アタシは少しだけ気分が悪く、教室で待機。
慧の楽しそうな姿を横目に体育館を出てきた。
アタシは30分くらい机に伏せていたら、ふと廊下に声がする。
その声は……、伊野チャンと…誰?
伊野チャンの声がして身体を起き上がらせると、友達に背中を押され伊野チャンが教室に飛び込んできた。
アタシはどうしようかと思い、どーしたの?と聞いてみた。

【いや、調子悪いって聞いてさ】
【ああ、別に、もう大丈夫だよ】
【そっか。なら良かった】
【うん】
【ちょっと心配だったから来てみちゃった】
【ええっ?!そーなの?!もう大丈夫だから、戻っていいよ】
【梓紗は?】
【いや、アタシはまだいるけど…】
【じゃぁ俺もいるよ】
【いいよ、ここに居てもつまんないでしょーに】

すると、沈黙が流れた。
アタシ、ちょっと酷いコト言った?
心配してくれたのに、つまんない、はないよね…。
あー…伊野チャンに引かれたかも。
つかもう、何コイツ的な。

あ―――……【梓紗が居ればつまんないコトなんて存在しないから】

【…はっ?!】
【俺は、梓紗を、好きだから】
【それってなんかの冗談?体育館でそーいうゲームやってんの?】
【ばっか、なんでだよ。だから梓紗が好きなんだってば】
【うっそ、ええ?何それ?は?】
【うるさいなぁ……で?付き合ってくれるの?】

慧が真っ赤な笑顔で言っていたのを覚えてる。
アタシはもう、その笑顔の虜だ。

【つ、付き合うに決まってんじゃん!!アタシがす、好きじゃないとでも、思って】
【わ、分かった!!ありがとう!!!】

そう言って始まったアタシ達の恋愛。
だけど思うように発展しない。
ただ、言葉だけで彼女・彼氏って言っているだけのようにアタシには感じる。
慧は、ホントにアタシを好きでいてくれてるのかな?って、
最近は時々思うようになってしまったほどだ。

「梓紗ぁー!!!旦那が呼んでる」
「はっ?旦那とか言うなしーっ」
「だけど、将来は…お子さんは何人つくるおつもりですか?」
「分かったからぁ、もう…」
「あっずさぁ、今の流すのは酷くないー?それに旦那言うなとか酷くないー?」
「べ、別に流してないじゃん!!」
「ちょっとそこの2人ー!!教室の外でやってくださるかしらー?笑」
「ほら、梓紗のせいで怒られたジャンっ!」
「今のは完全に慧だからっ」

授業終了のチャイムと同時に慧は教室にやってきた。
慧の手にはアタシがさっき貸した教科書。

「教科書を返します!!ありがとうございましたーっ」
「今後一切、このようなコトがありませんよーっに!!」
「何その言い方ー!!」
「嘘だよ、もう…でも忘れないでよ?慧が忘れたの、必ず持ってきてるわけじゃないんだから」
「気をつけるよ。んじゃ、またあとでねー♪」

走って行った慧の後ろ姿は廊下の女子がみんな振り返ってるくらいカッコ良かった。
あーあ、でも慧はアタシのコト好きでいてくれてるんだよね。
やっぱり自信持たなきゃね。
少なくとも、アタシは慧大好きだから―って思ってるだけじゃ意味無いけど。

「…ん?」

慧から返してもらった教科書には何かが挟まっていた。
ルーズリーフが1回折られたものに、クリップで小さな封筒がつけられている。

≪梓紗へ
 いつもいつも教科書借りてごめんねー
 これからは気をつけますっ!!!…と、話は変わって。
 俺からのプレゼント!!コンサートのチケット差し上げます。
 2枚入ってるから1人じゃイヤだったら誰か誘ってね。
 絶対にその席にいろよ、1番前のすっげーいい席!!
 梓紗にばっかりサービスすっから♡ちょっと恥ずかしいけどね…≫

ルーズリーフには慧の字でたった6行の手紙。
そして、一緒に挟まっていた封筒の中にはチケットが。
あー…何だあの人。
こんなコトして…アタシをどーするつもりですか。

「あ、」

ルーズリーフの下の方に何か書かれているのを見つけた。







≪愛してるよ≫

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