ドリーム小説
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++第1話++ ダメ教師VSスーパー中学生 ②
『やべっ』
いつもは秀と一緒に行ってるから嫌でも秀が来て起こされるから、
ギリギリ遅刻は免れてたけど…。
今日は用事があるからとかってアタシを1人で登校させるという、
賭けに出た。
…まぁ、もちろん、アタシは案の定寝坊。
適当に髪をとかして、制服に着替え、
特にいつも中身を入れ替えてないバックを片手に家を出た。
「あんたはやっぱり、秀くんに頼ってばっかりなんだからあ」
出際に母さんに言われた。
『うるさいよっ、いってきます』
アタシはドアをバタンッと閉めて、走った。
いつも秀と笑いながら通る橋を1人で走って渡り終え、
ようやく遠くにチラホラと生徒が見えてきた。
もういいか、と歩き始めたところだった。
後ろから黒くて厳つい車が追い越していったのは。
気になって歩きながら様子を伺っていると、その車は校舎の前で停まった。
『なんだあ?』バタンと扉を開けて出てきたのは…『うわあ』
かなり整った顔立ちをしている男の子3人が出てきた。
1人はセンター分けで茶色がかった髪に、白のパンツに黒の革靴。
次は、ちょっとイジってるのかハネた髪に、紫のジャケット、3人の中で1番背が高い。
最後に背は低く、ネクタイにセーター、髪の毛はサラサラの可愛らしい優等生な子。
アタシの足は次第に止まっていた。
3人はただただ校舎を見つめ、…何を思うのかただ見つめていた。
ハッと気づいたアタシは走って校舎を目指した。
なんとか遅刻ギリギリで教室に入る。
「あ、梓紗っ遅いよ、ホント焦ったんだから」
『ごめんごめん』
秀が焦ってアタシに話しかけてきた。
そう言ってアタシは自分の席に座り、バックをかけた。
ふう…とため息をつき、落ちついてみる。
あの3人…アタシ達と年はそんなに変わらそうだったけどな。
雰囲気とかオーラ的なものが一瞬もダブらなかった…なんなんだろう。
「よっ、」
『あ、沢渡おはよう』
「今日は橘にしてはめずらしく遅刻ギリギリじゃんっ」
『いやあ、いつもは秀と来てるから無理矢理でも起こされてて…。
今日は秀用事あるからって先に行っててさあー』
「前々から思ってたんだけどさあ、橘って久坂と付き合ってんの?」
楠本がアタシに興味深く聞いた。
『まさか。幼馴染だよっ』
「ふーん、つまんねぇの」美濃部が口を尖らせて言った。
『つまんないとは、なんだよ…そーゆうあんたらはないのかよっ』
「まぁ…いずれ分かるんじゃね?」
楠本はそう言って、いやらしーく沢渡を見た。
沢渡はそれと同時にアタシの前の席である自分の席に座った。
「はっ、なんだよっ?!」
「べっつにー」
『あ、何かあるんでしょ』
「はっ、別に、ね、ねーし」
『ま、いつでもいーから教えてよっ』
「教えよーね、岬ちゃあんっ」
「うっせっ!!」
すると、チャイムが鳴って授業が始まる…はずだった。
1校時は総合学習らしいんだけど、課題が出ていなく、なす術がなく。
各自で友達としゃべっていると、杉先生が勢いよく入ってきた。
「そ、総合学習ってわけらしんだけど…課題っていうのは…?」
杉先生が自信無さそうに生徒たちに聞く。
「去年は、この学校の歴史について調べたんすけどー…」
「超意味なかったしっ♪」
「意味無い?」
「だってえ、無くなっちゃうんでしょ、この学校」
「…そうなの」
杉先生は、本当に今知ったという顔でアタシ達を見てきた。
今頃知ったのか、この人は。
職員室で話題になったりとかしないのかなあ。
「知らなかったの?この学校、来年統廃合されるかもって話」
「…ちょ、やめろよ、まだ決まったわけじゃないだろ」
秀は後ろの席ののんちゃんにあたった。
「けど先生たち言ってたじゃん…ねえ?」
コクリと頷くのんちゃん、教師が言ってるってことは噂だけじゃすまされないな。
「それは、去年の話だろ」
「先生たち見りゃ分かんだろ、みんなやる気ねーし」美濃部が言う。
「先のない学校に夢はない、ってさ」沢渡も発言した。
杉先生はあちこちではやし立てられ困り果てているのが分かる。
…それでもまとめられるかが、教師の境目だよ。
「そんなこと誰が言ってたの、」
「先生」
「、嘘」
「ホントだよーん」
気だるそうに、かつ冗談を交えつつ…いや、そーでもしなきゃやてらんないのか。
美濃部は軽く流した。
杉先生は困り果てた顔ではなく、深刻そうな顔に一変した。
「どういうこと」
「去年沢渡くんが、先生たちの話を聞いたんです」
「俺が職員室の前を通りかかったとき、【統廃合】て聞こえたんだよ。
盗み聞きしてみると、この学校が統廃合になるつってんの。
それにそれ以上に衝撃的だったのが、教師の態度。
諦めてる奴や、学校より自分のコトしか考えてねー奴。
そこで出てきたのが【先のない学校に夢ない】だよ」
それを聞いた杉先生は、落ち込んでるのか考えているのか、うつむいた。
アタシの位置からはクラスメイトが全員見える。
全員が揃って顔を俯かせていた。
「…それは!!!えー…その、、、先生たちが悪いと思うっ」
「みんなおんなじだよ」沢渡が宥めるような口調で言った。
「表向きは忙しいフリしてっけどさあ、結局は次の行き先のことしか考えてないんでしょ」
もっともなことを言った。
そんな沢渡に返す言葉がないのか、「そんなことないよ」。
「嘘くせーっ!!」
「そういうの、ダルいんスよねぇー?」
さすがに今の美濃部と楠本の発言は言い過ぎてるトコもある。
秀はそーいうのが多分許せないんだと思う。
「もうやめろよっ」
秀はいつも3人を止めようとしてしまう。
「お前は黙ってろ」
「どーせ転校すんだろ」
『また転校の話…』
アタシはポソリと小さな声で言った。
「しないって!!!!」
秀のどの言葉にキレたのかは分かんないけど、沢渡が立ち上がった瞬間、
楠本、美濃部も立ち上がった。
「こらこら、落ちつけ!!…座れ、ほらっ!!!」
仕方なく座る3人。
力気なく座る3人を見て、何を言い出すのかと思えば、
「先生…頑張るから」
頑張る…、今の時代「頑張る」で全て片付けられていると思う。
何をどう頑張んのか、何のために頑張んのか、曖昧なまま使ってる。
アタシはそのいい加減な「頑張る」が1番嫌いだ。
どんなに頑張っても、解決できないことだってあるよ。
「たとえこの学校が、なくなるにしても…絶対君達のこと、見捨てたりしないから。
だから先生信じてよ」
『…何を頑張るんですか』
ついに我慢しきれなくなったアタシは言葉にしてしまった。
アタシをこんなコト言う生徒に見えなかったんだろう、相当驚いていた。
「でも!!!…頑張るから」
はっきりとした答えが返ってこないことにイライラした。
たった教師1人が頑張ったって、統廃合は変わらないでしょ。
それを分かった上で何を頑張んのかって、聞ーてんの。
「さっ、総合学習の…次の考えようか」
そうやって大人はすぐに流す。
給食のとき、トイレに行った。
女子が数人でトイレに行くようすだったので便乗した。
アタシは何気にこういう空気にも乗れるタイプだ。
トイレで雑談を済ませ、出てきたところみんなは教室の方へと曲がって行った。
が、しかし。
アタシは何か気になってふと後ろを振り返った。
そこにいたのは――…『アレ、朝の3人…?』
「梓紗あ?どうした?行こうっ」
『うんっ』
そこには朝、黒い車から出てきたどこか雰囲気の違う男の子3人が、
この学校の制服を着て、こちらの様子を伺っていたのだ。
『よしっ、秀、そろそろ帰るかあっ!!』
「そだね、行こうっ」
家も近いからもちろん下校も一緒。
いつもの橋を渡っている時、どうも秀の顔が優れていないのに気づいた。
『久坂秀三郎さんっ、どーしましたか?!』
「いやあー、うん。別にっ、何でもないよ」
『嘘つけ、なんかあるでしょ?アタシにも言えないこと?』
「うん…あのさ…、じゃ、話すよ」
『うんっ』
「さっきの総合学習の時からさ、先生、袋叩きみたいにされたじゃん?
それがさ…ちょっとあまりにも可哀想で…」
『まあ…アタシもちょっと加算しちゃった部分なったけどね』
「…でも、アレは俺的に間違ってなかったと思うな。
ただ頑張るって言われたって、すんなりと信じることはできないし」
『そ、そうだよね、』
「でもやっぱり沢渡達の言ってることが全て間違ってるとは言い切れないんだよ。
だけど…言い過ぎな部分もあるなあ…って思ってさ」
『それはアタシも思うよ。良い事言うじゃんって思った矢先に
それは言いすぎでしょ、ってことを言っちゃったりとか。
何かと秀の転校の話を持ち出すじゃん?あーゆうとこ、良くないと思うし』
「ま…転校のことは俺が真先に否定してるからいいと、し…て、先生!?」
『嘘』
そこには切なそうな眼をした杉先生がいた。
アタシ達に気付いたかと思うと、学校とは全く違う元気のない返事だった。
「……よ」
場所を移して、ベンチで話すことに。
アタシは堅苦しい話が嫌なので、ベンチには腰掛けずフェンスに寄っかかることに。
まぁ…バックだけは置いてもらうことにしたけど。
「初めてこの学校の制服を着たとき、何かすっごいワクワクしたんです。
…中学生になるのが楽しみ、っていうか…中学校生活に夢を持ってたってゆうか…。
新しい友達と、新しい先生に出逢って、頑張ろうっ…って。
何を…どう頑張るかはよく分かんないけど…なんてコト言ったら梓紗に怒られるけど…」
『怒んないよっ!!』
「ははっ…、とにかく…中学に入ったら頑張るっ…て。
…そう思ってました」
そして、しばらく沈黙が流れた。それは気まずいものではなく。
全てを話しきったであろう秀の達成感が溢れてた。
「…終わり?」
「え?」
「話…終わり?」
『まさか、それを聞く…』
「……じゃないよね」
秀はフッと笑顔になり、また軽く口を開いた。
「逃げ出さずに頑張って良かった…って、俺も思いたい。
例え…学校がなくなるにしても、俺達のコト見捨てないって言った先生のコト…
俺は……信じるよっ!!!」
『秀…』
そう言い終わると、秀は杉先生の方を見て微笑んだ。
杉先生は今にも泣き出しそうな顔をしている。
「以上っ!!…じゃあっ。梓紗、帰ろうっ」
『え、』
秀はアタシのバックと自分のバックを持って立ち上がった。
振り返らないで進む秀に少し焦りを覚えた。
『秀、いいの、先生との話』
「いいよっ、もう俺の話は終わったし」
『バック、持つから』
そう言って手を差し伸べたけど、「俺が持つからいーよっ」と、
どこか大人びてる秀にキュンとしたのは他でもない。
「久坂ああああああっ―――――っ!!!」
突然杉先生が叫びだした。
アタシらは振り返って「え」『え』。
バッとベンチから立ち上がって、直立不動な杉先生がいた。
そのままの体勢で秀のところまで歩み寄り、何をするかと思ったら、
「久坂ああっ!!!」突然秀を抱きしめた。
『えええ?!』
「せ、先生?!」
「久坂ああっ…あああ、ぁあ」
杉先生は泣いているみたいだった、まぁ…秀があんな事言うもんね。
「先生……てか、気持ち悪いよ、せんせっ!!」
そう言って先生の腕を振り払おうとした秀だったけど、
やっぱり敵わなかったのか、すぐに敗れた。
何か…諦めがついたみたい。
「先生っ!!!!」
そう言って秀も先生を抱き返した。
「うおおおっ、久坂あああっ!!!」
「先生っ!!!」
「久坂!!!!」
「先生ーっ!!!」
「久坂あああーっ、と橘ああああっ!!!」
『先生っ、アタシ何も言ってませんっ』
「梓紗あああっ」
『もう、2人してどーしたんだよぉっ!!』
気付けばアタシと秀のバックは無残に落とされていた。
アタシはそんなコトにも気づかず、2人をただ見ていた。
*end*
いつもは秀と一緒に行ってるから嫌でも秀が来て起こされるから、
ギリギリ遅刻は免れてたけど…。
今日は用事があるからとかってアタシを1人で登校させるという、
賭けに出た。
…まぁ、もちろん、アタシは案の定寝坊。
適当に髪をとかして、制服に着替え、
特にいつも中身を入れ替えてないバックを片手に家を出た。
「あんたはやっぱり、秀くんに頼ってばっかりなんだからあ」
出際に母さんに言われた。
『うるさいよっ、いってきます』
アタシはドアをバタンッと閉めて、走った。
いつも秀と笑いながら通る橋を1人で走って渡り終え、
ようやく遠くにチラホラと生徒が見えてきた。
もういいか、と歩き始めたところだった。
後ろから黒くて厳つい車が追い越していったのは。
気になって歩きながら様子を伺っていると、その車は校舎の前で停まった。
『なんだあ?』バタンと扉を開けて出てきたのは…『うわあ』
かなり整った顔立ちをしている男の子3人が出てきた。
1人はセンター分けで茶色がかった髪に、白のパンツに黒の革靴。
次は、ちょっとイジってるのかハネた髪に、紫のジャケット、3人の中で1番背が高い。
最後に背は低く、ネクタイにセーター、髪の毛はサラサラの可愛らしい優等生な子。
アタシの足は次第に止まっていた。
3人はただただ校舎を見つめ、…何を思うのかただ見つめていた。
ハッと気づいたアタシは走って校舎を目指した。
なんとか遅刻ギリギリで教室に入る。
「あ、梓紗っ遅いよ、ホント焦ったんだから」
『ごめんごめん』
秀が焦ってアタシに話しかけてきた。
そう言ってアタシは自分の席に座り、バックをかけた。
ふう…とため息をつき、落ちついてみる。
あの3人…アタシ達と年はそんなに変わらそうだったけどな。
雰囲気とかオーラ的なものが一瞬もダブらなかった…なんなんだろう。
「よっ、」
『あ、沢渡おはよう』
「今日は橘にしてはめずらしく遅刻ギリギリじゃんっ」
『いやあ、いつもは秀と来てるから無理矢理でも起こされてて…。
今日は秀用事あるからって先に行っててさあー』
「前々から思ってたんだけどさあ、橘って久坂と付き合ってんの?」
楠本がアタシに興味深く聞いた。
『まさか。幼馴染だよっ』
「ふーん、つまんねぇの」美濃部が口を尖らせて言った。
『つまんないとは、なんだよ…そーゆうあんたらはないのかよっ』
「まぁ…いずれ分かるんじゃね?」
楠本はそう言って、いやらしーく沢渡を見た。
沢渡はそれと同時にアタシの前の席である自分の席に座った。
「はっ、なんだよっ?!」
「べっつにー」
『あ、何かあるんでしょ』
「はっ、別に、ね、ねーし」
『ま、いつでもいーから教えてよっ』
「教えよーね、岬ちゃあんっ」
「うっせっ!!」
すると、チャイムが鳴って授業が始まる…はずだった。
1校時は総合学習らしいんだけど、課題が出ていなく、なす術がなく。
各自で友達としゃべっていると、杉先生が勢いよく入ってきた。
「そ、総合学習ってわけらしんだけど…課題っていうのは…?」
杉先生が自信無さそうに生徒たちに聞く。
「去年は、この学校の歴史について調べたんすけどー…」
「超意味なかったしっ♪」
「意味無い?」
「だってえ、無くなっちゃうんでしょ、この学校」
「…そうなの」
杉先生は、本当に今知ったという顔でアタシ達を見てきた。
今頃知ったのか、この人は。
職員室で話題になったりとかしないのかなあ。
「知らなかったの?この学校、来年統廃合されるかもって話」
「…ちょ、やめろよ、まだ決まったわけじゃないだろ」
秀は後ろの席ののんちゃんにあたった。
「けど先生たち言ってたじゃん…ねえ?」
コクリと頷くのんちゃん、教師が言ってるってことは噂だけじゃすまされないな。
「それは、去年の話だろ」
「先生たち見りゃ分かんだろ、みんなやる気ねーし」美濃部が言う。
「先のない学校に夢はない、ってさ」沢渡も発言した。
杉先生はあちこちではやし立てられ困り果てているのが分かる。
…それでもまとめられるかが、教師の境目だよ。
「そんなこと誰が言ってたの、」
「先生」
「、嘘」
「ホントだよーん」
気だるそうに、かつ冗談を交えつつ…いや、そーでもしなきゃやてらんないのか。
美濃部は軽く流した。
杉先生は困り果てた顔ではなく、深刻そうな顔に一変した。
「どういうこと」
「去年沢渡くんが、先生たちの話を聞いたんです」
「俺が職員室の前を通りかかったとき、【統廃合】て聞こえたんだよ。
盗み聞きしてみると、この学校が統廃合になるつってんの。
それにそれ以上に衝撃的だったのが、教師の態度。
諦めてる奴や、学校より自分のコトしか考えてねー奴。
そこで出てきたのが【先のない学校に夢ない】だよ」
それを聞いた杉先生は、落ち込んでるのか考えているのか、うつむいた。
アタシの位置からはクラスメイトが全員見える。
全員が揃って顔を俯かせていた。
「…それは!!!えー…その、、、先生たちが悪いと思うっ」
「みんなおんなじだよ」沢渡が宥めるような口調で言った。
「表向きは忙しいフリしてっけどさあ、結局は次の行き先のことしか考えてないんでしょ」
もっともなことを言った。
そんな沢渡に返す言葉がないのか、「そんなことないよ」。
「嘘くせーっ!!」
「そういうの、ダルいんスよねぇー?」
さすがに今の美濃部と楠本の発言は言い過ぎてるトコもある。
秀はそーいうのが多分許せないんだと思う。
「もうやめろよっ」
秀はいつも3人を止めようとしてしまう。
「お前は黙ってろ」
「どーせ転校すんだろ」
『また転校の話…』
アタシはポソリと小さな声で言った。
「しないって!!!!」
秀のどの言葉にキレたのかは分かんないけど、沢渡が立ち上がった瞬間、
楠本、美濃部も立ち上がった。
「こらこら、落ちつけ!!…座れ、ほらっ!!!」
仕方なく座る3人。
力気なく座る3人を見て、何を言い出すのかと思えば、
「先生…頑張るから」
頑張る…、今の時代「頑張る」で全て片付けられていると思う。
何をどう頑張んのか、何のために頑張んのか、曖昧なまま使ってる。
アタシはそのいい加減な「頑張る」が1番嫌いだ。
どんなに頑張っても、解決できないことだってあるよ。
「たとえこの学校が、なくなるにしても…絶対君達のこと、見捨てたりしないから。
だから先生信じてよ」
『…何を頑張るんですか』
ついに我慢しきれなくなったアタシは言葉にしてしまった。
アタシをこんなコト言う生徒に見えなかったんだろう、相当驚いていた。
「でも!!!…頑張るから」
はっきりとした答えが返ってこないことにイライラした。
たった教師1人が頑張ったって、統廃合は変わらないでしょ。
それを分かった上で何を頑張んのかって、聞ーてんの。
「さっ、総合学習の…次の考えようか」
そうやって大人はすぐに流す。
給食のとき、トイレに行った。
女子が数人でトイレに行くようすだったので便乗した。
アタシは何気にこういう空気にも乗れるタイプだ。
トイレで雑談を済ませ、出てきたところみんなは教室の方へと曲がって行った。
が、しかし。
アタシは何か気になってふと後ろを振り返った。
そこにいたのは――…『アレ、朝の3人…?』
「梓紗あ?どうした?行こうっ」
『うんっ』
そこには朝、黒い車から出てきたどこか雰囲気の違う男の子3人が、
この学校の制服を着て、こちらの様子を伺っていたのだ。
『よしっ、秀、そろそろ帰るかあっ!!』
「そだね、行こうっ」
家も近いからもちろん下校も一緒。
いつもの橋を渡っている時、どうも秀の顔が優れていないのに気づいた。
『久坂秀三郎さんっ、どーしましたか?!』
「いやあー、うん。別にっ、何でもないよ」
『嘘つけ、なんかあるでしょ?アタシにも言えないこと?』
「うん…あのさ…、じゃ、話すよ」
『うんっ』
「さっきの総合学習の時からさ、先生、袋叩きみたいにされたじゃん?
それがさ…ちょっとあまりにも可哀想で…」
『まあ…アタシもちょっと加算しちゃった部分なったけどね』
「…でも、アレは俺的に間違ってなかったと思うな。
ただ頑張るって言われたって、すんなりと信じることはできないし」
『そ、そうだよね、』
「でもやっぱり沢渡達の言ってることが全て間違ってるとは言い切れないんだよ。
だけど…言い過ぎな部分もあるなあ…って思ってさ」
『それはアタシも思うよ。良い事言うじゃんって思った矢先に
それは言いすぎでしょ、ってことを言っちゃったりとか。
何かと秀の転校の話を持ち出すじゃん?あーゆうとこ、良くないと思うし』
「ま…転校のことは俺が真先に否定してるからいいと、し…て、先生!?」
『嘘』
そこには切なそうな眼をした杉先生がいた。
アタシ達に気付いたかと思うと、学校とは全く違う元気のない返事だった。
「……よ」
場所を移して、ベンチで話すことに。
アタシは堅苦しい話が嫌なので、ベンチには腰掛けずフェンスに寄っかかることに。
まぁ…バックだけは置いてもらうことにしたけど。
「初めてこの学校の制服を着たとき、何かすっごいワクワクしたんです。
…中学生になるのが楽しみ、っていうか…中学校生活に夢を持ってたってゆうか…。
新しい友達と、新しい先生に出逢って、頑張ろうっ…って。
何を…どう頑張るかはよく分かんないけど…なんてコト言ったら梓紗に怒られるけど…」
『怒んないよっ!!』
「ははっ…、とにかく…中学に入ったら頑張るっ…て。
…そう思ってました」
そして、しばらく沈黙が流れた。それは気まずいものではなく。
全てを話しきったであろう秀の達成感が溢れてた。
「…終わり?」
「え?」
「話…終わり?」
『まさか、それを聞く…』
「……じゃないよね」
秀はフッと笑顔になり、また軽く口を開いた。
「逃げ出さずに頑張って良かった…って、俺も思いたい。
例え…学校がなくなるにしても、俺達のコト見捨てないって言った先生のコト…
俺は……信じるよっ!!!」
『秀…』
そう言い終わると、秀は杉先生の方を見て微笑んだ。
杉先生は今にも泣き出しそうな顔をしている。
「以上っ!!…じゃあっ。梓紗、帰ろうっ」
『え、』
秀はアタシのバックと自分のバックを持って立ち上がった。
振り返らないで進む秀に少し焦りを覚えた。
『秀、いいの、先生との話』
「いいよっ、もう俺の話は終わったし」
『バック、持つから』
そう言って手を差し伸べたけど、「俺が持つからいーよっ」と、
どこか大人びてる秀にキュンとしたのは他でもない。
「久坂ああああああっ―――――っ!!!」
突然杉先生が叫びだした。
アタシらは振り返って「え」『え』。
バッとベンチから立ち上がって、直立不動な杉先生がいた。
そのままの体勢で秀のところまで歩み寄り、何をするかと思ったら、
「久坂ああっ!!!」突然秀を抱きしめた。
『えええ?!』
「せ、先生?!」
「久坂ああっ…あああ、ぁあ」
杉先生は泣いているみたいだった、まぁ…秀があんな事言うもんね。
「先生……てか、気持ち悪いよ、せんせっ!!」
そう言って先生の腕を振り払おうとした秀だったけど、
やっぱり敵わなかったのか、すぐに敗れた。
何か…諦めがついたみたい。
「先生っ!!!!」
そう言って秀も先生を抱き返した。
「うおおおっ、久坂あああっ!!!」
「先生っ!!!」
「久坂!!!!」
「先生ーっ!!!」
「久坂あああーっ、と橘ああああっ!!!」
『先生っ、アタシ何も言ってませんっ』
「梓紗あああっ」
『もう、2人してどーしたんだよぉっ!!』
気付けばアタシと秀のバックは無残に落とされていた。
アタシはそんなコトにも気づかず、2人をただ見ていた。
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