ドリーム小説
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「ほ、ホントに?」
「俺だってできれば入りたくない…」
「やだよ、ね、ひかる?うちら待ってよ?!」
「俺もそうしたい…」
今、彼女の梓紗と友達とテーマパークでダブルデート中。
友達カップルがお化け屋敷に入るとか言いだして、
俺達はお互いお化け屋敷苦手だったの知ってたから、
てっきり友達カップルだけで行くんだと思ってて。
「何言ってんの?お前らも行くに決まってんじゃん!」
と、言われまして。
…全く意味不明なんですけど。
お前らだって、俺らが苦手なの知ってるだろ!
「無理無理!俺まじでお化け屋敷とか無理なんだって!」
「ふーん、照、梓紗ちゃん守る自信ないんだ~?」
カッチーン。
はあ?もう頭きた。
俺が梓紗を守る自信ない?んなわけねーだろが!
…ただ純粋にお化け屋敷が苦手なだけで…。
でも、俺が梓紗を守る自信がないなんてありえないから!
「…お前、何言ってんの?」
「いやー、だってそういうことでしょ?」
「んなわけねーだろうが!」
「んじゃー、お化け屋敷くらい簡単でしょ?」
「当たりめーだろ!行くぞ梓紗!!」
「は、はあ?!」
「守ってやるから!」
すると、梓紗は照れて「真面目に言ってる?」って言った。
あ、やべ、俺今結構恥ずかしいこと言ったな…照れてきた。
「ま、守るよ」
「じゃ、…じゃ行こ」
「おう…」
そしたら梓紗はぎゅっと俺の腕にしがみついて、
「行くぞ!」って友達カップルを睨んだ。
俺はもう守る守らないより、腕にしがみついてる梓紗に緊張した。
「…よし、入るよ」
「うん…」
あーーーーーーー。やっばい。
相当怖くなってきた。梓紗、守れるかな…。
ヘタレな俺を見て、別れようとか言われたらどうしよう。
「ひかる、」
突然、弱々しい声で俺を呼んだ。
「ん?」
「ひかるも怖いんだよね…」
「ん、あー…まあ、少しはね」
「…ひかるがあたしを守ってくれるなら、
あたしもひかるを守るから」
「えっ」
俺が守らなきゃ。
怖くたって、俺がコイツを守らないでどーすんだよ。
こんな弱い声出してるコイツに、俺を守れるかよ。
彼女にこんなこと言わせるなんて、俺は彼氏失格か。
「お前には俺は守れねーだろ」
「ば、バカにしないでよ!」
「お前は黙って俺に守られてろ」
「……はい」
「よし、もう俺は怖くないから」
そう言って、梓紗を片手で抱き寄せる。
ポンポンと頭を撫でてから解放して、顔を見る。
少し照れてるけど、まっすぐ俺を見てる。
…信じてくれたのかな?
「行こっか」
「ん」
梓紗の手をしっかり握って、歩きだした。
「怖くて抱きついても全然オッケーだから」
「…なにそれ」
「いやいや、冗談じゃないよ?」
「…じゃあ今からそうする」
ぎゅーって俺の腕にしがみついてきた。
その強さから怖いんだな、って思った。
記憶はあんまりない。
気付いたら終わってたって感じ。
でも途中で一瞬だけ何かあったなって思うのは、
俺が梓紗の目元を拭ってる…のかな?
お化け屋敷から出たときに、
「ひかるが彼氏で良かった。大好き」って言われた。
…死ぬほど嬉しかったけど、そんなこと言われるような
カッコいいことをした覚えは全くないぞ?
解散後、友達カップルの彼女の方からメールがきた。
岩本くん、カッコ良かったみたいだね。
梓紗が怖くて涙目になってるときに、
「そばにいるから」って涙を拭いて抱きしめてくれたって
すごい嬉しそうに話してたよ。
なんだよー、せっかくヘタレを見せたかったのに。
これからも仲良くねー。
無意識に守れてたってことか。
なんかホッとしたー…。
梓紗に大好きって言ってもらえたことは嬉しかったけど、
大好きな梓紗にこれ以上ヘタレは見られたくないから、
お化け屋敷はもう、まじで勘弁してくれ!
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