ドリーム小説
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「の、野澤祐樹です…よろしくお願いします」
「祐樹ー、緊張してんのかー?」
…うっせ、
勝手に再婚すればいーのに…。
なんで俺まで挨拶に巻き込むんだよ…。
それに向こうには同い年の女がいるみたいだし、
何か色々面倒になっちゃったよ…。
「えっと、あー、梓紗です」
でも、生憎だけど…ちょっと可愛いんだな…。
「まあ…今後の手続きとか話し合いたいから…」
「ああ…出てっけってね」
「祐樹、ま、そーゆうこと」
俺らはお決まりの、外の庭園に放り出された。
気まずい、
何…俺ら2人にしちゃってんの…。
梓紗…だっけ、超気まずそうだし…。
「ねえ、」
「…え?」
「高校、どこ行ってんの?」
「えーっと、祐樹くんと同じトコ…」
「あれ、マヂ?…ごめん」
「いや、アタシもさっき知って…、」
…まさかの展開なんだけど。
えええ、どうしろと?!
思い切って話しかけたはいーけど、
予想もしてない展開で…ええ?!
「クラスは?」
あ、え、
「B、」
「あ、そうなんだ!アタシEなんだよ…離れてるもんねー…」
「そ、そうだね」
ガンッ
「うひゃっ」
「はっ?!」
気付けば、俺は梓紗を支えてた。
だって、ガンだよ?
尋常じゃない大きさの音だったし…。
「あ、ありがと…」
「お前…天然?計算?」
「なっ…!!、計算なわけないじゃんっ!!」
「え、そんな声も出んの?」
「な、何なの?お礼言おうと思ったのに!!」
「天然であんなデカい音出んの?」
「出たよ!なんか知らないけど出たよ!!」
「あー、声もデカい」
「もう、なんだこの人!!」
あー…知ってるかも。
そうだ、聞いたことある。
入学式で先輩たちでも騒いでたよ。
「1-Eの梓紗って子、マヂ美人だから!!」
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「大丈夫?」
「え?」
仲の良かった友達が、引っ越ししちゃったの。
公園に行ってくる、そう言ってアタシは家を出た。
お家では泣けなかったから、公園のブランコに揺られながら。
声を殺しながら泣いたアタシに手を差し伸べてくれた。
何歳くらいだった?
記憶が曖昧だったから、3.4歳だったかな…?
曖昧だけど…鮮明に思い出せる。
顔を上げるとそこには3人の男の子。
全員の顔が奇麗な夕日の逆光で見えなかった。
その中でも手を差し伸べてくれた子…、
少しだけ微笑んでる、目から鼻筋だけが見えた。
そっと手をとり、ゆっくり起き上がらせてくれた子。
横の2人は心配そうにアタシを見ていた。
「そろそろ帰ってきなさーい」
3人の誰かのお母さんかな?
キレイな女の人の声が聞こえてきたのを覚えてる。
はーい、と言ってみんな行っちゃった。
アタシに手を伸ばしてくれた子は、「じゃあね」と言って、
2人を追いかけるように、遅れて走ってった。
最後に走ってった子からポトンと何かが落ちた………A?
何かにくっついてたと思われる、ちっちゃな金属で銀色したA。
「おとしたよっ」
幼いながら声をかけても、小さくて届かなかった。
その後何日か公園に行ってみたけど、あれから1回も逢えなかった。
知らない間に、アタシはその子をAの男の子と呼んで、
恋をしてしまった。
今も好きかどうかと聞かれれば、
少し悩むけど、忘れてしまうことはないんじゃないかな。
今でも少し、行方を追ってる――――。