ドリーム小説
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【ごめんきょういけなくなった
なんかフラフラする】
翔太からそれだけのメールが届いた。
「え?!」
待ち合わせの1時間前。
家を出て、駅に向かってる途中だった。
いつもは絵文字でキラキラなのに、文字だけ…。
しかも漢字に変換されきれてないあたり、相当ヤバいんじゃないか…。
【フラフラって…熱はあるの?!】
そう送ろうとしたけど、無理させたくないなと思い、
送信せずに携帯を閉じる。
(翔太ん家に変更だ…)
もう1度携帯を開いて【いまいく】とだけ打って送信した。
翔太の家に着く。
チャイムを鳴らしても物音はしなかった。
…寝てる?
恐る恐るドアを開けてみると、鍵はかかってなかった。
「おじゃましまーす…」
渡辺家に人の気配はしなかった。
翔太の部屋に直行。
「しょーた?」
ゆっくりとドアを開けると、ベッドで毛布にくるまって壁を向いてる翔太。
「フラフラするなんてレベルじゃないじゃん…もう」
あたしは翔太に近づき、毛布を少しだけ剥いでみた。
「しょーた!!」
「…な、なんでいるの?!」
聞いたことがないくらい弱々しい声で静かに驚いた。
「メールしたじゃん」
「え…分かんなかった…」
「鍵開いてたよ?」
「あ……閉めるの忘れてた…」
「もう…しっかりしてよ~…ってそんな状態じゃないか」
ごめん…と呟いて、またもぞもぞと毛布にくるまり元の態勢に戻りだした。
……可愛い。
あ、ちがう!
可愛いじゃない!看病しなきゃ!!
「翔太、熱測って?」
「ん~…めんどい」
「…もー、じゃあこっち向いて?」
「………ヤダ」
「な、なんでよ!」
「……だって今の俺超情けないじゃん。
デートさぼってあげくに彼女に看病してもらうってありえない…」
アホじゃないの…この可愛い子。
「ヤダじゃない!看病くらいさせてよ!
お父さんとかお母さんいないの?妹さんは?」
「親は2人で2泊3日の海外出張で、妹は部活の遠征で1泊」
「じゃあ翔太ずっと1人じゃん!」
「ん~…」
もうしゃべるのしんどいのかな…。
汗も掻いてるし、呼吸もどことなく忙しない感じするし…
「ごめんごめん、しゃべるのしんどいよね。
もう話しかけないから仰向けになって?お願いだから」
んん…と言いながら素直に仰向けになる翔太。
…どうしよう、可愛すぎる!
「熱、測らなくてもあるよね…冷蔵庫開けるね?
おでこに貼るの持ってくるよ」
「ヤダ」
「え?」
部屋を出ようとしたら何かにグンッと引っかかった感覚。
振り返ると、服を翔太に引っ張られてた。
あと少しあたしが動くとダランとなってしまいそうな程弱い力で。
「どうした?」
「……いて」
「へ?」
「行かないで…ここにいてよ…」
キューン
素直!
素直だし、なんかすごい弱ってる!可愛い!!
「いかないよ、ちょっと取ってくるだけだから…ね?」
そう言って頭を撫でてみた…翔太のこと撫でるなんて初めてなんだけど。
翔太はふいーっと気持ち良さそうに目を細めたかと思うと、ちょっと考えてから
「ん」
と言って手を離してくれた。
戻ると、スヤスヤ眠ってる翔太がいた。
(急いできたのに…)
そっとおでこに手を添えてみる…すごく熱い。
辛いよね、大丈夫だよ、そばにいるからね。
前髪をあげて、額の汗を拭いて、シートを貼る。
顔もすごく汗を掻いてたからポンポンと起きないように拭いてあげて…
すーすーと、寝息をたてて寝る翔太がすごく愛おしく思えた。
次に気付いた時は翔太の顔は目の前にあって、唇には違和感があった。
…あ、無意識にキス……かぁ。
気付いた自分に恥ずかしくなって、
そっと翔太の手を握ってあたしも一緒に寝ることにした。
*数日後
「何熱出してんだよ」
「翔太からうつったんじゃないの…」
「近くにいたからってうつるもん?」
「……………そうじゃない?」
「お前、寝てる俺に熱うつるよーなことしたんでしょ」
ニヤニヤしてる。
この前の可愛い天使の寝顔はどこいったんだ…。
「し、してないし…」
「動揺してる…まあお前のことだからキスくらいで済んだ?」
「う、うるさい!」
「病人がデカい声出すなよ!」
「………もうヤダぁ」
「俺が看病してやるってw」
「…怖いな」
「ほらほら、早く眠りなさいっ♪」
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