ドリーム小説
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*第5話*~ネットの恋! すれ違いの悲劇~ ③
アタシ達は再び亀田くんが殺された現場へと向かった。
何か、何かアリバイを崩す何かは無いか…。
殺されていた場所を見ると、鮮明に残像が浮かび上がる。
血にまみれた亀田くんの頭、そしてグッタリとした身体…
「何故だ…何故犯人はわざわざライトを当ててまで、
ここでの撮影にこだわったんだろう…」
キュウは少し歩いたかと思うと、何か気になったのかしゃがみ込んだ。
『キュウ?』
「これは…」
何かを手に取って、まじまじを見ている。
アタシの目には何かの欠片のように見える。
「ぁ…!!!」
キュウはポツリと言って、パッと立ち上がった。
そして、手に持つ欠片と窓の外を見比べていた。
何か…分かったんだろう。
「そうか、そーいうことだったんだ!!」
「何か分かったのか?キュウ」
「犯人は亀田くんを2度殺したんだよ」
『え?』
「亀田くんを殴ったガラス瓶、あれは偽物だったんだ」
「…どーいうこと?」
「ほら、よく…アクション映画かなんかで、頭にガラス瓶を叩きつけて
気絶させるシーンがあるじゃん。
アレに使用されるガラス瓶は、飴ガラスっていって、
実は、ガラスよりずっと脆い素材でできた偽物なんだ」
「じゃぁー、亀田を殴ってるシーンに使ってたのは、
撮影用のガラス瓶だったてのか」
「でも…私確かに彼の頭から血が出るのを見たわ、ね、梓紗」
『うん、飴ガラスで血は流れないでしょっ』
「だからコレクターがアリバイを作るために亀田くんをガラス瓶で、
2度殴ったんだ」
キュウは歩きだして、カメラが置いてあった場所に向かう。
「カメラがここにあったのも、あの時計台の時間を僕達に見せ、
アリバイを証明するためだったんだ」
「そうか…僕達が亀田くん殺害の映像は、
実は梓紗とメグが見た殺害シーンとは違うものだったんだ」
「違うってどういうことよ」
「亀田くんは行方不明になってから、殺されるまでの間に
空白の1日があったってことだ」
「つまり、僕達がネットで見た殺人ビデオに映っていた時計台の
7時という時刻は、彼が殺された日ではなく、その前日の7時だったんだ。
コレクターはアリバイを手に入れるために、犯行の前日7時に
ビデオカメラを回し、まるで殺人の予行練習をするかのように、
飴ガラスで亀田くんの頭を殴った。
…そして、その翌日。
証言者として誘拐しておいたメグと梓紗の目の前で別の時間に
今度は本当の殺人を実行したんだ。
そして、その2つの映像を編集して繋げ、
あたかも一続きの殺人ビデオであるかのように見せかけた。
…これ、一応鑑識に見てもらおっか」
キュウが手にしていたのは…飴ガラスの欠片だった。
「それだけじゃ犯人を追いつめられる決定的な証拠にはならない…」
「犯人は、口封じのためには仲間ですら殺す奴だ。
真相に近づいたと知らせれば、また絶対…」
みんなの目付きが鋭くなる…もちろんアタシもだ。
こんな、コレクターに殺されるわけにはいかない。
「一か八か…僕に考えがある!!」
部屋に戻ると、キュウはみんなにメールを打ち始めた。
……当然、犯人にも。
【コレクターの正体が分かりました。
8時にミーティングルームにお集まりください。キュウ】と。
8時直前、キュウ、リュウ、アタシはエレベータから降りた。
扉が開いた瞬間にカメラが待っていた…佐久間さんだ。
「ねぇねぇねぇ、キュウくん天草くん、梓紗ちゃぁん、
犯人分かったってホント?」
佐久間さんは追いかけてくる。
2人はちょっと気になったのか、少し後ろを振り向いていた。
アタシは見向きもしないでミーティングルームへと向かう。
【ミーティングルーム1】と書かれた扉を開ける。
そこには既に富永くんと遠矢さんの姿が。
「犯人が分かったんだって?!警察に連絡しなくていいのかな…」
「その前にみんなに僕の考えを聞いてほしいんだ」
「ジュース入れてきたわ」
メグが笑顔で入ってくる。
そこにはコップが7個、オレンジに染まっていた。
そして隣を見ると、隣に座っていたはずのリュウがいなくなってた。
見まわすと、少し後ろの方で壁に寄りかかっている。
「あ、俺手伝うよ」
「あー、ありがとーっ」
『リュウ、なんでそんなトコいんの』
メグからトレイを受け取り、富永くんはジュースを配ってくれた。
「特に意味はないけど」
『あ、富永くんありがと』
「うん」
1人で座ってるのも何か嫌だったからアタシはリュウの近くに行った。
富永くんが順調にジュースを配っている中、キュウの携帯が鳴った。
「あ、もしもし?あー、ごめんごめんごめんっ!!
いや、ホント違うんだって、ホントごめん、マヂごめんホント」
キュウは携帯を片手に部屋を出て行ってしまった。
みんなの視線がキュウへと向けられる。
『キュ、キュウ出てっちゃったね…ちょっと待とっか』
「そうだね」
「ちょっと、ま、ちょ……」
キュウが部屋に戻ってきた。
「あ、お待たせしましたー、ごめんなさーい」
キュウはすたすたと入ってきてイスに座った。
そしてコップを持ってジュースを飲もうとした瞬間だった。
部屋の扉が開いた。
「すいませーん、今からこの部屋のエアコンの掃除をする予定なんですけども…」
入って来たのは青い作業服を着た背の高い男の人とツインテールの小柄な女の人だ。
「そう、なんですか」
『じゃぁ、ここに居れないよね』
「あ、僕達隣の部屋に移り、ます…けど」
「すいませんねぇ、何かお邪魔しちゃってぇ…あ、ジュース運んどきますから」
「あ、ありがとうございます」
『すいません』
2人はジュースを持って隣の【ミーティングルーム2】へ入って行った。
場所を移して、隣の部屋に来ると机の上にトレイに乗ったコップが7個。
メグはそれを素早く手に取って、配り始めた。
「ジュース、適当に配るわよ。まだ誰も口付けてないし」
メグが全員に適当にジュースを配る…ように見えていただろう。
アタシ達には…そうじゃあなかった。
キュウ、リュウが隣に座る。
アタシはリュウから曲って隣に座っている。
2人共、いつになく鋭い目つきをしている。
この中に犯人がいると思うとぞっとするが、言わなきゃいけない。
「キュウくん、天草くん、早く話聞かしてよ」
「まぁそう慌てないで。、まぁジュースでも飲みながら、ゆっくり話しましょう」
キュウがそう呼びかけたのでみんなはジュースを飲み始めた。
みんながジュースを飲みほす…そう、これが…答え。
飲み終わったかと思うと、キュウは何か気になるようだ…当然。
「どうしたの?飲んでないの君だけだよ? 富永くん」
キュウにそう問われた富永くんはすぐに下を向いた。
「ほら、飲んでごらんよ。君以外の全員はジュースを飲みほしたことで、
自らの無実を証明したんだから」
みんなのコップは向こうが見えているのに、
富永くんのコップだけ、オレンジに染まっていたままだった。
「…な、何わけなかんねぇこと言ってんだよ」
焦り出している富永くん。
その時、携帯が鳴った…仕事が早いな。
富永くんがポケットを探りだしたので、富永くんの携帯が鳴っていると分かる。
メールを見た瞬間の青ざめた顔ときたら。
その時、部屋の扉が急に開いた。
……そろそろ種明かしといこーか。
ツインテールの背の低い女の人が話し始める。
「君の真似して、ネットで見れるようにしてみたんだ」
機械のような声で言い放ったかと思うと、
持っていた箱ティッシュの中から小型カメラを取り出した。
これで富永くんは完全に挙動不審になるだろう。
そう、カメラで写したのは、富永くんがキュウのコップに薬を入れていた証拠。
女の人は、マスクを外す…もう女の人なんて言わなくていいか。
帽子を取ったかと思うと、髪の毛が同時に取れた。
メガネをかけて、いつもの帽子をかぶる…数馬だ。
そういうことは…隣の男の人は、キンタだ。
「一体なんなんだよぉっ!!!」
犯人は…、コレクターは…、
富永くんだ。
「僕の口から真犯人だと明かされるのを恐れた君は、
朝吹さんと同じように、僕を口封じするに違いない…
だから僕は試してみた…君が誘うに乗るか、ってね」
「ちなみに毒入りジュースのコップは私がしっかり記憶させてもらったわ。
さぁ…飲めるもんなら飲んでみなさいよ」
その場が凍りつく。こういう時の場のメグの言葉は突き刺さる。
真実を述べているから、よけい。
富永くんは息を荒くし、コップを手にとった。
興奮しているのか、先程からずっと立っている。
コップを口元まで運んだかと思うと、やはり自分で入れた毒だ。
飲めばどうなるかも分かっているんだと思う。
やっぱり飲めなくてどうしようもなくなったのか、コップを叩きつける。
部屋にはガラスの割れる切ない音が響いた。
……亀田くんの時と、同じだ。
アタシ達は再び亀田くんが殺された現場へと向かった。
何か、何かアリバイを崩す何かは無いか…。
殺されていた場所を見ると、鮮明に残像が浮かび上がる。
血にまみれた亀田くんの頭、そしてグッタリとした身体…
「何故だ…何故犯人はわざわざライトを当ててまで、
ここでの撮影にこだわったんだろう…」
キュウは少し歩いたかと思うと、何か気になったのかしゃがみ込んだ。
『キュウ?』
「これは…」
何かを手に取って、まじまじを見ている。
アタシの目には何かの欠片のように見える。
「ぁ…!!!」
キュウはポツリと言って、パッと立ち上がった。
そして、手に持つ欠片と窓の外を見比べていた。
何か…分かったんだろう。
「そうか、そーいうことだったんだ!!」
「何か分かったのか?キュウ」
「犯人は亀田くんを2度殺したんだよ」
『え?』
「亀田くんを殴ったガラス瓶、あれは偽物だったんだ」
「…どーいうこと?」
「ほら、よく…アクション映画かなんかで、頭にガラス瓶を叩きつけて
気絶させるシーンがあるじゃん。
アレに使用されるガラス瓶は、飴ガラスっていって、
実は、ガラスよりずっと脆い素材でできた偽物なんだ」
「じゃぁー、亀田を殴ってるシーンに使ってたのは、
撮影用のガラス瓶だったてのか」
「でも…私確かに彼の頭から血が出るのを見たわ、ね、梓紗」
『うん、飴ガラスで血は流れないでしょっ』
「だからコレクターがアリバイを作るために亀田くんをガラス瓶で、
2度殴ったんだ」
キュウは歩きだして、カメラが置いてあった場所に向かう。
「カメラがここにあったのも、あの時計台の時間を僕達に見せ、
アリバイを証明するためだったんだ」
「そうか…僕達が亀田くん殺害の映像は、
実は梓紗とメグが見た殺害シーンとは違うものだったんだ」
「違うってどういうことよ」
「亀田くんは行方不明になってから、殺されるまでの間に
空白の1日があったってことだ」
「つまり、僕達がネットで見た殺人ビデオに映っていた時計台の
7時という時刻は、彼が殺された日ではなく、その前日の7時だったんだ。
コレクターはアリバイを手に入れるために、犯行の前日7時に
ビデオカメラを回し、まるで殺人の予行練習をするかのように、
飴ガラスで亀田くんの頭を殴った。
…そして、その翌日。
証言者として誘拐しておいたメグと梓紗の目の前で別の時間に
今度は本当の殺人を実行したんだ。
そして、その2つの映像を編集して繋げ、
あたかも一続きの殺人ビデオであるかのように見せかけた。
…これ、一応鑑識に見てもらおっか」
キュウが手にしていたのは…飴ガラスの欠片だった。
「それだけじゃ犯人を追いつめられる決定的な証拠にはならない…」
「犯人は、口封じのためには仲間ですら殺す奴だ。
真相に近づいたと知らせれば、また絶対…」
みんなの目付きが鋭くなる…もちろんアタシもだ。
こんな、コレクターに殺されるわけにはいかない。
「一か八か…僕に考えがある!!」
部屋に戻ると、キュウはみんなにメールを打ち始めた。
……当然、犯人にも。
【コレクターの正体が分かりました。
8時にミーティングルームにお集まりください。キュウ】と。
8時直前、キュウ、リュウ、アタシはエレベータから降りた。
扉が開いた瞬間にカメラが待っていた…佐久間さんだ。
「ねぇねぇねぇ、キュウくん天草くん、梓紗ちゃぁん、
犯人分かったってホント?」
佐久間さんは追いかけてくる。
2人はちょっと気になったのか、少し後ろを振り向いていた。
アタシは見向きもしないでミーティングルームへと向かう。
【ミーティングルーム1】と書かれた扉を開ける。
そこには既に富永くんと遠矢さんの姿が。
「犯人が分かったんだって?!警察に連絡しなくていいのかな…」
「その前にみんなに僕の考えを聞いてほしいんだ」
「ジュース入れてきたわ」
メグが笑顔で入ってくる。
そこにはコップが7個、オレンジに染まっていた。
そして隣を見ると、隣に座っていたはずのリュウがいなくなってた。
見まわすと、少し後ろの方で壁に寄りかかっている。
「あ、俺手伝うよ」
「あー、ありがとーっ」
『リュウ、なんでそんなトコいんの』
メグからトレイを受け取り、富永くんはジュースを配ってくれた。
「特に意味はないけど」
『あ、富永くんありがと』
「うん」
1人で座ってるのも何か嫌だったからアタシはリュウの近くに行った。
富永くんが順調にジュースを配っている中、キュウの携帯が鳴った。
「あ、もしもし?あー、ごめんごめんごめんっ!!
いや、ホント違うんだって、ホントごめん、マヂごめんホント」
キュウは携帯を片手に部屋を出て行ってしまった。
みんなの視線がキュウへと向けられる。
『キュ、キュウ出てっちゃったね…ちょっと待とっか』
「そうだね」
「ちょっと、ま、ちょ……」
キュウが部屋に戻ってきた。
「あ、お待たせしましたー、ごめんなさーい」
キュウはすたすたと入ってきてイスに座った。
そしてコップを持ってジュースを飲もうとした瞬間だった。
部屋の扉が開いた。
「すいませーん、今からこの部屋のエアコンの掃除をする予定なんですけども…」
入って来たのは青い作業服を着た背の高い男の人とツインテールの小柄な女の人だ。
「そう、なんですか」
『じゃぁ、ここに居れないよね』
「あ、僕達隣の部屋に移り、ます…けど」
「すいませんねぇ、何かお邪魔しちゃってぇ…あ、ジュース運んどきますから」
「あ、ありがとうございます」
『すいません』
2人はジュースを持って隣の【ミーティングルーム2】へ入って行った。
場所を移して、隣の部屋に来ると机の上にトレイに乗ったコップが7個。
メグはそれを素早く手に取って、配り始めた。
「ジュース、適当に配るわよ。まだ誰も口付けてないし」
メグが全員に適当にジュースを配る…ように見えていただろう。
アタシ達には…そうじゃあなかった。
キュウ、リュウが隣に座る。
アタシはリュウから曲って隣に座っている。
2人共、いつになく鋭い目つきをしている。
この中に犯人がいると思うとぞっとするが、言わなきゃいけない。
「キュウくん、天草くん、早く話聞かしてよ」
「まぁそう慌てないで。、まぁジュースでも飲みながら、ゆっくり話しましょう」
キュウがそう呼びかけたのでみんなはジュースを飲み始めた。
みんながジュースを飲みほす…そう、これが…答え。
飲み終わったかと思うと、キュウは何か気になるようだ…当然。
「どうしたの?飲んでないの君だけだよ? 富永くん」
キュウにそう問われた富永くんはすぐに下を向いた。
「ほら、飲んでごらんよ。君以外の全員はジュースを飲みほしたことで、
自らの無実を証明したんだから」
みんなのコップは向こうが見えているのに、
富永くんのコップだけ、オレンジに染まっていたままだった。
「…な、何わけなかんねぇこと言ってんだよ」
焦り出している富永くん。
その時、携帯が鳴った…仕事が早いな。
富永くんがポケットを探りだしたので、富永くんの携帯が鳴っていると分かる。
メールを見た瞬間の青ざめた顔ときたら。
その時、部屋の扉が急に開いた。
……そろそろ種明かしといこーか。
ツインテールの背の低い女の人が話し始める。
「君の真似して、ネットで見れるようにしてみたんだ」
機械のような声で言い放ったかと思うと、
持っていた箱ティッシュの中から小型カメラを取り出した。
これで富永くんは完全に挙動不審になるだろう。
そう、カメラで写したのは、富永くんがキュウのコップに薬を入れていた証拠。
女の人は、マスクを外す…もう女の人なんて言わなくていいか。
帽子を取ったかと思うと、髪の毛が同時に取れた。
メガネをかけて、いつもの帽子をかぶる…数馬だ。
そういうことは…隣の男の人は、キンタだ。
「一体なんなんだよぉっ!!!」
犯人は…、コレクターは…、
富永くんだ。
「僕の口から真犯人だと明かされるのを恐れた君は、
朝吹さんと同じように、僕を口封じするに違いない…
だから僕は試してみた…君が誘うに乗るか、ってね」
「ちなみに毒入りジュースのコップは私がしっかり記憶させてもらったわ。
さぁ…飲めるもんなら飲んでみなさいよ」
その場が凍りつく。こういう時の場のメグの言葉は突き刺さる。
真実を述べているから、よけい。
富永くんは息を荒くし、コップを手にとった。
興奮しているのか、先程からずっと立っている。
コップを口元まで運んだかと思うと、やはり自分で入れた毒だ。
飲めばどうなるかも分かっているんだと思う。
やっぱり飲めなくてどうしようもなくなったのか、コップを叩きつける。
部屋にはガラスの割れる切ない音が響いた。
……亀田くんの時と、同じだ。
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「お前さ、玉森ンことまだ好きなんだろ?」
「うん、」
「アイツ何気人気あんだから、早くしねーと誰かにとられんぞ」
「う…そうやってニカは簡単に言うけどさー?!」
「別に簡単に言ってねーだろ」
玉森くん…。
カッコいい、アレは絶対カッコいい。
「はあ…」
「玉森ばっか見てんな、キモい」
「なんだよ、さっきと言ってること違う」
「見過ぎなの、お前は」
「ちょっとあんたがそこにいると、丁度見えない」
「はいはい…」
そう言ってニカはスッと身体をずらした。
そんな、知ってるよ、カッコいいことなんて。
一目惚れなんて絶対しない自信あったもん、アタシ。
なのに一目でおちちゃった。
「おい、梓紗」
「ん?」
「玉森、来たよ?」
アタシはニカの姿が目の前にあって、
玉森くんが近付いてきてること知らなかった。
「え、」
ちょっと身体をずらして、ニカの背中から顔を出す。
「さっきからスゴイ邪魔なんですけど」
玉森くんはアタシを見て冷たく言った。
「あ、ごめ…」
「橘さんじゃなくて、二階堂が」
「はあ?」
「…え?」
「二階堂が丁度橘さんにカブってて邪魔なのー」
「…ん?」
「見えないでしょ……梓紗が」
アタシはその言葉を聞いて、何やら倒れたらしい。
「祐樹さあ、」
「何ー?」
「この前メガネしてたよね?」
「…お前と居る時メガネかけたことないけど」
「雑誌で!!」
「…雑誌、チェックしてんの?」
「まあね、愛する祐樹が載ってますもの!!」
「…あほ」
あほ、なんて言ってるけど…満面の笑み。
ふへへ、こんな会話してる時間が1番幸せ。
祐樹の載ってる雑誌は全部チェックしてる、つもり。
たまに、「嘘つけ」て思うほど、デタラメ書いてるけど笑
アタシには到底言ってくれないような恋のこととか書いてたりすると、
ついニヤけて紙面を凝視しちゃう。
「ねーえ、アタシの前で何でメガネしないの?」
「だって別に目悪いわけじゃないし」
「いいじゃん!!メガネしてる祐樹を生で見たいのに」
「メガネフェチ?」
「…祐樹フェチ」
「何コイツ、さっきからあー!!」
そう言って祐樹は口角を片方だけ上げて、
アタシから少し離れた。
「今メガネあるの?」
「あるよ、」
「かけてよ」
「ヤダ」
…なんでー!!!
「だって、せっかく仕事ない日にこうして逢ってるのに…
レンズ越しなんて…もったいないじゃん?」
このやろうっ
「アタシね」
「……何」
祐樹はさっきとは違う、
口角を片方だけ上げた笑顔でアタシをチラと見た。
「祐樹のそういう、たまにしか言わない甘い言葉のために生きてんの。
…知ってた?」
「じゃー、お前一生死ねないよ?」
「いいよ?何年でも生きるよ?」
「梓紗は俺無しじゃ生きれないでしょ?」
「当たり前じゃん」
「俺も。
つーか死んだら俺が許さないし」
「俺さぁ、梓紗から名前で呼ばれた記憶がない」
「呼んでんじゃんっ!塚ちゃん♡って」
「それって、名字のあだ名じゃん!」
「えー…今さら下の名前で?…無理だよ、」
「好きとかも聞いたことない」
「それは言ったことあるよ、絶対に!」
「俺から告ってそのままな気がするもん」
そんな会話、したっけなあ。
いいよ、梓紗に名前で呼ばれなくても、
好きって言われなくても…、
一緒にいられるだけで嬉しいって思うもん。
でも、その幸せを俺は自ら…、捨てた。
「は?何言ってんの、そんな嘘…笑えない」
「嘘じゃないよ、ホント」
「あ、……アタシ置いてアメリカ行くの…?
…あ、アクロバットのため、なの?」
梓紗が泣きそうな目に弱い。
ああ…だから言いたくなかった、決心が揺らぐ。
「うん、ごめんな…」
「いっしゅーかんご…?そんなの早過ぎるよ…嫌、嘘でしょ?!
いつもみたいに、笑ってよ!!…ねえ、何で?!アタシのこと、嫌いなったの?」
「んなわけねーじゃん!!……愛してる、だけど…」
「ごめん、ごめんね…色々整理つかないや…帰るね、」
その時、予感した…もう逢うことはないんじゃないかって。
的中した…それっきり、連絡が取れなくなった。
それりゃあそうだろう。
彼氏に1週間後アメリカに行くと告げられたんだもんな。
…別れよう、そう思われてもしょーがねえよ。
結婚したいほど愛してた…、
でも俺は自分からその幸せを奪った。
出発当日、俺はその日最後の便に乗る。
一応梓紗に連絡もしてあるけど、来てくれるはずなんてない。
俺だって、期待なんてこれっぽっちも抱いてなかったし。
日時を連絡したメールの返信もなかったし。
少し気にはかかったけど、ここでうじうじして、
飛行機に乗らなかった…なんてことしたら、梓紗に申し訳ない。
大きな荷物を持ち上げて、ゲートをくぐろうとした時だった。
ふと、背後に温かいものを感じた。
懐かしい…
―――――梓紗だ、
遠くの方で梓紗が息を切らして、俺を見ていた。
「つ、塚ちゃ…、」
「あず、さ…なんでいんの?」
「み、見送りにきたに決まってんじゃんか!!」
「何で…」
「悩んだ…よ。
アタシは塚ちゃんにどう接したら1番いいのか…とか、
このまま連絡途絶えた方が塚ちゃんにとって楽かも、とか。
でも…1週間も塚ちゃんに逢わないなんてことなかったじゃん?
1回、塚ちゃんに逢わない…て自分で規制を作ったんだけど…無理だった。
気付いたら、家飛び出してたの。
もうこれから逢えなくなるよりだったら、自分のプライド捨てろ!って。
良かった、間に合って…逢えてよかった」
そう言って梓紗は泣いてくれた。
「ありがとう…、」
俺はたまらなく、梓紗を抱きしめた。
震えていた…なんで気付かなかったんだろう。
俺はちゃんと愛されてたのに。
「梓紗…俺、必ず戻ってくるから…
結婚しよう?」
「うん、待ってるよ…僚一、愛してる」
そっとキスを交わして、振り返らずに飛行機に乗った。
後ろで梓紗が泣き崩れたような気がした。
自然と涙は出なかった、
梓紗が待っててくれると思えば、どんなことも乗り越えられる。
「ちょ、梓紗聞いてっ」
「んー?」
「千賀がお前のこと好きだって」
「はあ?!」
「うっそーん♪まんざらでもないとか思ったでしょ?」
「またそーいう冗談を…」
こんなやり取り、何回あっただろうか。
誰が誰を好き意外にも、北山が結婚するだとか、
玉ちゃんがキスマイ脱退とか、藤ヶ谷の事故…。
縁起でもないことを平気で冗談にする高嗣はすごい、色んな意味でね。
そんな冗談いらないよ、
アタシは高嗣からの≪好き≫が欲しいの
そんな冗談いらないよ、
アタシは高嗣からの≪好き≫が欲しいの
「あのさあー、
そろそろそのシリーズ…飽きたよ?」
「でも相変わらず引っ掛かりますよねー?」
「うるさいなあ…ていうか、高嗣からホントのこと聞いたことないし」
「それはさすがに酷過ぎるだろ、」
高嗣は少しだけイジけた。
反対側を向いて振り返ってくれなくなった。
だってさー、高嗣が悪いんじゃんねー…?
えー…アタシが悪いの?
「高嗣ー?」
「何だよ」
「(うわ、キレ口調だよ…)、ごめんてばあー」
「いいよ、今さらぁー」
大変だ。
ご機嫌を損ねさせてしまった。
あ、
「ねぇ、じゃあ1つでいいから高嗣からホントのコト聞けたら、
ちゃんと信じるよ?…だから、何か言って?」
「俺、梓紗好き」
ん?
「え、冗談でしょ?それは冗談の部類でしょ?ホントのこと言っ」
「ホントのコト言えって言ったの梓紗でしょー?責任とれよー」
「冗談でしょ…?」
「こんな冗談つける程、俺は軽くないです」
「それって、付き合ってもいいの?」
「え、……付き合ってくれるの?」
「冗談…とか言わないよね?今更」
「言わない、絶対言わない…マヂで?お前…俺の彼女なんの?」
「なってもいい…むしろ、して」
「俺でいいの?もったいなくない!?だって…梓紗だよ?!」
「アタシから考えたら高嗣もなんですよ、」
「ああー……ごめん、さっき嘘言ったわ」
「はあ?!酷っ、ホントあんたって…もう、イヤだ!!」
「違う、違うからちゃんと聞いて?
好きじゃなくて、愛してるなの」