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ドリーム小説
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*第5話*~ネットの恋! すれ違いの悲劇~ ③

アタシ達は再び亀田くんが殺された現場へと向かった。
何か、何かアリバイを崩す何かは無いか…。
殺されていた場所を見ると、鮮明に残像が浮かび上がる。
血にまみれた亀田くんの頭、そしてグッタリとした身体…
「何故だ…何故犯人はわざわざライトを当ててまで、
 ここでの撮影にこだわったんだろう…」
キュウは少し歩いたかと思うと、何か気になったのかしゃがみ込んだ。
『キュウ?』
「これは…」
何かを手に取って、まじまじを見ている。
アタシの目には何かの欠片のように見える。
「ぁ…!!!」
キュウはポツリと言って、パッと立ち上がった。
そして、手に持つ欠片と窓の外を見比べていた。
何か…分かったんだろう。

「そうか、そーいうことだったんだ!!」
「何か分かったのか?キュウ」
「犯人は亀田くんを2度殺したんだよ」
『え?』
「亀田くんを殴ったガラス瓶、あれは偽物だったんだ」
「…どーいうこと?」
「ほら、よく…アクション映画かなんかで、頭にガラス瓶を叩きつけて
 気絶させるシーンがあるじゃん。
 アレに使用されるガラス瓶は、飴ガラスっていって、
 実は、ガラスよりずっと脆い素材でできた偽物なんだ」
「じゃぁー、亀田を殴ってるシーンに使ってたのは、
 撮影用のガラス瓶だったてのか」
「でも…私確かに彼の頭から血が出るのを見たわ、ね、梓紗」
『うん、飴ガラスで血は流れないでしょっ』
「だからコレクターがアリバイを作るために亀田くんをガラス瓶で、
 2度殴ったんだ」

キュウは歩きだして、カメラが置いてあった場所に向かう。
「カメラがここにあったのも、あの時計台の時間を僕達に見せ、
 アリバイを証明するためだったんだ」
「そうか…僕達が亀田くん殺害の映像は、
 実は梓紗とメグが見た殺害シーンとは違うものだったんだ」
「違うってどういうことよ」
「亀田くんは行方不明になってから、殺されるまでの間に
 空白の1日があったってことだ」
「つまり、僕達がネットで見た殺人ビデオに映っていた時計台の
 7時という時刻は、彼が殺された日ではなく、その前日の7時だったんだ。
 コレクターはアリバイを手に入れるために、犯行の前日7時に
 ビデオカメラを回し、まるで殺人の予行練習をするかのように、
 飴ガラスで亀田くんの頭を殴った。
 …そして、その翌日。
 証言者として誘拐しておいたメグと梓紗の目の前で別の時間に
 今度は本当の殺人を実行したんだ。
 そして、その2つの映像を編集して繋げ、
 あたかも一続きの殺人ビデオであるかのように見せかけた。
 …これ、一応鑑識に見てもらおっか」
キュウが手にしていたのは…飴ガラスの欠片だった。
「それだけじゃ犯人を追いつめられる決定的な証拠にはならない…」
「犯人は、口封じのためには仲間ですら殺す奴だ。
 真相に近づいたと知らせれば、また絶対…」
みんなの目付きが鋭くなる…もちろんアタシもだ。
こんな、コレクターに殺されるわけにはいかない。
「一か八か…僕に考えがある!!」

部屋に戻ると、キュウはみんなにメールを打ち始めた。
……当然、犯人にも。
【コレクターの正体が分かりました。
 8時にミーティングルームにお集まりください。キュウ】と。

8時直前、キュウ、リュウ、アタシはエレベータから降りた。
扉が開いた瞬間にカメラが待っていた…佐久間さんだ。
「ねぇねぇねぇ、キュウくん天草くん、梓紗ちゃぁん、
 犯人分かったってホント?」
佐久間さんは追いかけてくる。
2人はちょっと気になったのか、少し後ろを振り向いていた。
アタシは見向きもしないでミーティングルームへと向かう。
【ミーティングルーム1】と書かれた扉を開ける。
そこには既に富永くんと遠矢さんの姿が。
「犯人が分かったんだって?!警察に連絡しなくていいのかな…」
「その前にみんなに僕の考えを聞いてほしいんだ」
「ジュース入れてきたわ」
メグが笑顔で入ってくる。
そこにはコップが7個、オレンジに染まっていた。
そして隣を見ると、隣に座っていたはずのリュウがいなくなってた。
見まわすと、少し後ろの方で壁に寄りかかっている。
「あ、俺手伝うよ」
「あー、ありがとーっ」
『リュウ、なんでそんなトコいんの』
メグからトレイを受け取り、富永くんはジュースを配ってくれた。
「特に意味はないけど」
『あ、富永くんありがと』
「うん」
1人で座ってるのも何か嫌だったからアタシはリュウの近くに行った。

富永くんが順調にジュースを配っている中、キュウの携帯が鳴った。
「あ、もしもし?あー、ごめんごめんごめんっ!!
 いや、ホント違うんだって、ホントごめん、マヂごめんホント」
キュウは携帯を片手に部屋を出て行ってしまった。
みんなの視線がキュウへと向けられる。
『キュ、キュウ出てっちゃったね…ちょっと待とっか』
「そうだね」
「ちょっと、ま、ちょ……」
キュウが部屋に戻ってきた。
「あ、お待たせしましたー、ごめんなさーい」
キュウはすたすたと入ってきてイスに座った。
そしてコップを持ってジュースを飲もうとした瞬間だった。
部屋の扉が開いた。

「すいませーん、今からこの部屋のエアコンの掃除をする予定なんですけども…」
入って来たのは青い作業服を着た背の高い男の人とツインテールの小柄な女の人だ。
「そう、なんですか」
『じゃぁ、ここに居れないよね』
「あ、僕達隣の部屋に移り、ます…けど」
「すいませんねぇ、何かお邪魔しちゃってぇ…あ、ジュース運んどきますから」
「あ、ありがとうございます」
『すいません』
2人はジュースを持って隣の【ミーティングルーム2】へ入って行った。
 
場所を移して、隣の部屋に来ると机の上にトレイに乗ったコップが7個。
メグはそれを素早く手に取って、配り始めた。
「ジュース、適当に配るわよ。まだ誰も口付けてないし」
メグが全員に適当にジュースを配る…ように見えていただろう。
アタシ達には…そうじゃあなかった。
キュウ、リュウが隣に座る。
アタシはリュウから曲って隣に座っている。
2人共、いつになく鋭い目つきをしている。
この中に犯人がいると思うとぞっとするが、言わなきゃいけない。
「キュウくん、天草くん、早く話聞かしてよ」
「まぁそう慌てないで。、まぁジュースでも飲みながら、ゆっくり話しましょう」
キュウがそう呼びかけたのでみんなはジュースを飲み始めた。
みんながジュースを飲みほす…そう、これが…答え。
飲み終わったかと思うと、キュウは何か気になるようだ…当然。
 
「どうしたの?飲んでないの君だけだよ?  富永くん」

キュウにそう問われた富永くんはすぐに下を向いた。
「ほら、飲んでごらんよ。君以外の全員はジュースを飲みほしたことで、
 自らの無実を証明したんだから」
みんなのコップは向こうが見えているのに、
富永くんのコップだけ、オレンジに染まっていたままだった。
「…な、何わけなかんねぇこと言ってんだよ」
焦り出している富永くん。
その時、携帯が鳴った…仕事が早いな。
富永くんがポケットを探りだしたので、富永くんの携帯が鳴っていると分かる。
メールを見た瞬間の青ざめた顔ときたら。
その時、部屋の扉が急に開いた。
……そろそろ種明かしといこーか。

ツインテールの背の低い女の人が話し始める。
「君の真似して、ネットで見れるようにしてみたんだ」
機械のような声で言い放ったかと思うと、
持っていた箱ティッシュの中から小型カメラを取り出した。
これで富永くんは完全に挙動不審になるだろう。
そう、カメラで写したのは、富永くんがキュウのコップに薬を入れていた証拠。
女の人は、マスクを外す…もう女の人なんて言わなくていいか。
帽子を取ったかと思うと、髪の毛が同時に取れた。
メガネをかけて、いつもの帽子をかぶる…数馬だ。
そういうことは…隣の男の人は、キンタだ。
 
「一体なんなんだよぉっ!!!」
犯人は…、コレクターは…、

富永くんだ。


「僕の口から真犯人だと明かされるのを恐れた君は、
 朝吹さんと同じように、僕を口封じするに違いない…
 だから僕は試してみた…君が誘うに乗るか、ってね」
「ちなみに毒入りジュースのコップは私がしっかり記憶させてもらったわ。
 さぁ…飲めるもんなら飲んでみなさいよ」
その場が凍りつく。こういう時の場のメグの言葉は突き刺さる。
真実を述べているから、よけい。
富永くんは息を荒くし、コップを手にとった。
興奮しているのか、先程からずっと立っている。
コップを口元まで運んだかと思うと、やはり自分で入れた毒だ。
飲めばどうなるかも分かっているんだと思う。
やっぱり飲めなくてどうしようもなくなったのか、コップを叩きつける。
部屋にはガラスの割れる切ない音が響いた。

……亀田くんの時と、同じだ。

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