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ドリーム小説
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*第2話*~神のメール? 記憶消失の謎!! ①

いつものダーツバーへと向かう道。
階段を上って、ある部屋へと入る。
ミッションルームへの入り口である扉を開く瞬間。
立ち直っていたと思っていた記憶が蘇る。

突然鳴り響いた銃の音。
慌ただしく動く警察。
血が飛びついているパトカーの窓。
銃を持った血にまみれた先生の手。

アタシ達は、子供なんだ。
そんな少しの努力じゃ人は救えない。
そう思い知らされた昨日の夜。
リュウに胸をかしてもらえなければ、どうしていただろう。
今日、ここに来ることもできなかったかもしれない。
後でちゃんとお礼を言わなきゃ。
みんなだって昨日のことを全く気にしてないなんて有り得ないだろう。
それぞれ乗り越えて今日ここに来てるんだ。
これからもっと辛いことがあるかもしれない。
アタシは気持ちを切り替えてミッションルームの扉を開けた。

『みんな、おっはよー!!!』
「おー梓紗!」
「おはよ」
やっぱりみんな明るく振舞っているのが分かる。
アタシが部屋の中に入ると、少し遅れてキュウが入ってきた。
キュウも少し無理してる感じある…ってアタシが言えないか。

部屋に入ってすぐのイスに本を読んでるリュウが座ってる。
アタシは隣のイスに腰を下して言った。
『リュウ、おはよう』
「…おはよう」
『昨日、ありがとね。リュウがいなかったらもっとパニックになってたかも。
 ホント、ごめん。ありがとう』
「…うん、今日来ないかと思った。遅かったし」
そう言ったリュウは安心そうに笑ってくれた。
アタシはそれを見て満面の笑みを返し勢いよく立ってメグのもとに行く。

アタシが立ったイスが空いたのを見つけたキュウがゆっくりと腰を下ろす。
しばらくすると、キュウが怒ったように何か言った。
キュウはなんて言ったかよく聞こえなかったけど、その言葉と重なるようにどこからか声が。

「お前達!!ずいぶん楽しそうだなぁ」
この声は…確かに七海先生。
だけど姿が見つからない。
多分、また変装してるんだろうけど…。
すると部屋の隅に置いてあるサボテンの植木鉢が動いた。
アタシはその時に初めてそこにサボテンがあるのを知ったけどね。
植木鉢はゆっくりと回転を始め、1周するとそこに七海先生の顔が現れる。

「、七海先生?!」
「この部屋は団先生がお前たちに特別に用意してくれた教室だ!
 そこにこんなチャラチャラしたもの持ち込みやがって!」
そう言いながらイスにかけてあったメグのピンクの服を自分に合わせる。
「すいません…っていうか、先生いつからいたんすか?」
「お前達が来るずっと前からだよ!」
『先生、そんな暇な時間がどこに…』
「だからって、サボテン…」
キュウが引きながら先生に言う。
キュウの言葉を遮るように先生が話し始める。
思うんだけど、その変装っていうか、もう仮装だよ。
その、仮想の衣装は一体どこで手に入れてんだろ。
「相手の意表を突くのが、変装術の極意だ」
「誰がどう見ても仮装じゃん」
いや、やっぱり仮装だよね!?
メグはポソリと呟く。
「まぁまぁまぁまぁまぁ。その前にお前達にはこれだ。団先生の新しい課題だ!」

七海先生はディスクを取り出した。
みんなの表情が一気に凍りついた。
それにしてもこんなに早く次の課題だなんて…。
でもまぁ、気持ちを切り替えるためにはいいかもしれない。

「Qクラスの諸君、御機嫌よう。今回君達に調べてもらいたいのは、ある失踪事件だ。
 学習塾に通う中学生2人が忽然と家の中から姿を消し、3日後秋葉原駅前の路上で発見された。
 ただ奇妙なことに、彼らはそれまでの記憶を一切失くし、
 まるで別人のようになっていたそうだ」
画面に1人の男の子と1人の女の子の顔写真が映る。
竹山裕紀、鈴木彩香というらしい。
その後にその学習塾の名前だろう、「五十嵐学院」の表札。
それから「拾件は戦争だ!Aクラス」と書かれた紙を前に、
姿勢正しく並んで写っている1枚の写真。
その中に、竹山くんと鈴木さんが映っていた。
「この事件の影響で、学習塾の生徒達はかなり動揺しているらしい。
 君達の力で、この事件の真相を解明してもらいたい。
 諸君らの健闘を祈る」
そこで映像は終了する。
するとキュウが口を開いた。

「とりあえず、今回は殺人事件じゃないみたいだね。
 …よし、みんな!今度こそ力を合わせて頑張ろう!!」
『…キュウ?アタシも賛成したいのは山々なんだけどさ…』
「みんなもう行っちゃったけど?」
「・・・えええ?!」

キュウが1人で意気込んでいる間、ずっと見ていたアタシとメグ。
リュウ、数馬、キンタはキュウなんかお構いなしにミッションルームを出て行ってしまった。
リュウは「先行ってるね」ってアタシに小さな声で言ってったけど。
アタシはいくらかキュウに賛成だけど、メグは違うみたい。
呆れ顔でキュウと見てる。
「仕方ないでしょ?私達は団先生の後継者を競い合うライバルなんだから」
そう言ってメグもいそいそとミッションルームを出る。
ああ、またアタシとキュウが残る。
このパターン、前もあった気がするけど…成長しないなぁアタシら。

「欲がねぇなぁ、お前らは」
七海先生がアタシ達を見て呟く。
「まぁ、そこがお前らのいいところなんだけどな。
 お前らは、お前らでいいんだよ。余計なこと考えずに、そのまま突っ走れ!」
「、はい!!」
『七海先生、先生らしいこと言えるんじゃないですか!!』
「お前はなー一言多いんだよ!キュウも一言多いときあるよな??
 いっつもこうやって2人して残ってるみたいだし、似てるんじゃねぇか?」
『ええ、キュウと似てる?!一緒にしないでくださいよっ!』
「え!何それ、いくらなんでも酷過ぎない?!」
七海先生は、微笑みながら聞いてた。
キュウは毎回恒例、ブツブツ文句を言い始めた。
アタシは無理やりキュウをミッションルームに連れ出し、『行ってきます!』と、
七海先生に告げて部屋の扉を閉めた。
『今はそんなこと言ってる場合じゃないでしょ!捜査頑張るんでしょ?!』
「うん!!」

アタシ達は相談した結果、五十嵐塾に情報を探りに行くことに。
アタシは今の恰好じゃさすがに塾には行けないから家に帰って少し大人しめの服に変える。
五十嵐塾に着くとそこにはメグの姿が。
アタシ達は気づかれないようにメグの後ろに立つ。
「やっぱ情報を探るには学校か塾の友達だよね」
『何かメグもいるような気がしたんだよーっ!』
「、?!梓紗、キュウ?!」

メグはアタシ達を見てかなり驚いてるみたい。
アタシとキュウはメグに腕をつかまれ、少し離れた所に連れてかれる。
「考えてること、同じみたいだねっ」
「何慣れ慣れしくしてんのよ!今から梓紗誘おうと思ってたのに…」
『マヂで?やった、メグ大好きっ♪』
「なんで?なんでいっつも梓紗ばっかりさー…。
 でもだってメグ、この前励ましてくれたじゃんっ!!」
励ましたって言うのは…多分昨日先生が【ありがとう】を言ってくれたあと、
メグがキュウの肩を叩いて微笑んでたことだと思う。
そういうメグは素直でいいなーって思ったけどさ。
「あれは、キュウがへこんでたから気合入れただけで。
 自惚れないでよねっバーッカっ!!」
『何メグ、素直に一緒に調べようって言えばいいのに…』
「はぁ?梓紗まで…何で私がキュウと調べなきゃ…」
「なんで?一緒に調べようよ!!」
「いやだよっ、うるさいなぁー」

するとメグが突然立ち止まる。
「…あった」
「Aクラス」
『ここかぁ』
失踪した2人のクラスだ。
その途端アタシとメグはキュウに手を差し伸べる。
そしてAクラスの方へ向かって流し、「『どうぞ』」とハモった。
「え?僕??」
『うん、そう。はい頑張って』
「早く行きなさいよっ!」
メグとアタシはキュウを押す。
キュウは渋々とAクラスのドアを開けた。
中に見えたのは、頭に鉢巻きを巻き、紺色のポロシャツを着ている10人くらいの生徒。
みんな同じ格好で机に向かい、勉強している。

「…すいませーん…、ちょっといいですか??」
すると全員の生徒がこちらを一斉に振り向いたかと思うと、
すぐに目線をはずし、勉強を再開する。
「・・・・・ごめんなさーい」

ドアを閉めてすぐにこっちに向かっていた。
…と思うと、もっと先の方に走って行ってしまった。
1つの柱まで辿り着くとよっかかり深呼吸をしているのが見える。
「何で逃げんのよ!」
「空気読めよ!話し何か聞ける雰囲気じゃなかっただろ?!」
『アレはねー、確かに聞けないわ』
「…あれ?君達、Aクラスの新しいメンバー?」

突然話しかけられる。
驚いて振り向くとそこには紺のポロシャツを着た男の子。
きっとAクラスの人だろう、鉢巻きはつけてないけど。
「え、あ、いやぁー僕達はぁー」
『予備校の見学にきたんですけどー…』
「もしかして、Aクラスの人??」
「…まぁ、一応」
キュウが変なことを言いそうだったので、アタシは適当に理由づける。
見学ならチェックも入れられることないと思うし。
その人は立ち去ろうとしたけどメグはチャンスだと思ったのか、その人に話し始める。

「Aクラスってさ!成績優秀な生徒を集めた特別クラスなんでしょ??」
「…最近は、何かと気味悪がられてるけどね」
『…どうしてですか??』
「知らないの?このクラスの生徒が失踪したって話」
「何か知ってるの??」
キュウが効くと、その人は声のトーンを落とし話しだした。

「…神だよ」
『…っ?神って…』
「神って、神様の神??」
神様と失踪事件に何の関係が??
「ああ。そいつら、神の声を聞いて生まれ変わったんだ」
アタシには、その人が少し嬉しそうに話しているのが見えた。
すると、1人の先生がこちらに向かってくる。

「おい牧野、何してる。授業始めるぞ」
「…あ、はい」
背広を着た男の人で、この人は牧野クンというのだろう。
牧野クンの表情は一瞬怯え、先生から目を離さない。
「…誰?」
「塾長の五十嵐先生」
「ね、君の名前は??」
「牧野大介。…君は??」
『…へっ?アタシ??アタシは梓紗…だけど』
「梓紗ちゃん?そっか、じゃぁね」
そう言って牧野クンは微笑んで教室へと去って行った。
彼の後ろ姿を見ていたら、メグがアタシの前に突然現れる。

「あの人…牧野クンだっけか。絶対梓紗に気ぃあるよねー?」
『…はぃ?!』
「そうでしょ!名前聞いたキュウに聞いたんじゃないもん。
 しかも、梓紗だけだよ?私には聞かないのかよっ!!絶対梓紗に気があるって!」
『えー…しかも、メグめっちゃ嬉しそうだしー…??』
「えっ、いやぁ…別にぃ??(あーリュウに早く言いたいっ♪)」

「お前達は選ばれた人間だ。負け組になって惨めな人生を送りたくなければ競争に勝ち抜け。
 ライバルは容赦なく蹴落とすんだ。いいな?」
教室の中からAクラスのメンバーに言ってるのが聞こえる。
その五十嵐先生の言葉に「はい!」と大きく返事するのも聞こえた。
「だーめ、こいつらとだけは友達になれそうにないわ」
『あーアタシも絶対にダメっ。勉強しか頭になさそう』
「ああ、あんたはそういうコト言っちゃダメでしょうっ!
 あの中には牧野クンがいるんだからぁっ」
『もうメグ、その話はいいから!メグ、勝手に作っちゃダメだって!』
「何?照れてんの??可愛いなぁ」
「神の声、か」
アタシ達が騒いでるときにボソリと呟くキュウの言葉が耳に入る。

少しだけ塾の中を捜査してから帰ろうと思っていたら、
Aクラスの授業は終わったのか、牧野クンが出てきた。
「牧野くん!」
「…みんな、まだいたんだ」
「さっきの話の続きなんだけど、失踪した2人…何か変わった様子はなかったかな?」
「さあ?覚えてないな。教室じゃほとんど誰も話さないから」
『まぁ、あの雰囲気じゃあねぇ』
「じゃぁ、何かトラブルでも」
「別になかったけど。ていうか、何で君達そんなこと調べてるの?」
まぁ…そうだよね。
突然話しかけて失踪のことについて聞くなんておかしいよね。
キュウがごまかすように笑っていると五十嵐先生の声が。

「牧野、呑気にお喋りなんかしてていいのか。油断していると足元すくわれるぞ」
こんなに少し立ち話しただけで注意されるなんて。
ここでは何の自由もないって感じ。
アタシはムカッときたので少しだけ強く睨む。
五十嵐先生はアタシの目線に気付いただろうが、何事もなかったように逸らされた。

「森田先生」
「あ、はい!」
五十嵐先生が偶然近くを通りかかった森田先生という男の人に話しかける。
森田先生は恐ろしいものを見たかというように返事をする。
「前回の模試…生徒達の英語の平均が2点落ちてますよ」
「っ…申し訳ありませんでした!」
森田先生はものすごい勢いで頭を下げる。
「結果を出せない者に用はない。2度目の警告はないと思いたまえ」
それを言い終わると五十嵐先生は歩いて行ってしまった。

「ここ…先生も採点されちゃうんだ」
『しかも…生徒の面前でね…。先生も立場ないよ』
「あの人達にとって大事なのは数字だけだから。ここに通ってる生徒たちもね」
その言葉を残すと牧野クンも行ってしまった。
牧野クンも数字が大事なのかな?アタシにはそんな人に見えないけど。
立ち去る時の牧野クンの顔は何だかとても寂しそうだった。

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