ドリーム小説
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「ちょ、梓紗が倒れたってホント?!」
焦った。
まじで焦った。
部活中、ホントに部活中。
「ちょ、佐久間!…橘って、彼女だよな?」
「え、うん」
「さっき何か倒れたとかで保健室に連れてかれてたぞ、」
持ってたボールを投げ捨て、俺は体育館を出た。
「彼氏が1番遅いってどーいうことだよね」
「えっ…」
そこには、いつも4人でつるんでる早絵・翔太カップル。
「も、もしかして運んだの…翔太?」
「はあ…まあ……ごめんね?」
「おいおいおいおい、……じゃなくて梓紗は?!」
「こちらです」
早絵がシャーンとカーテンを開けると、
そこにはすやすやと寝息をたてて寝る梓紗。
「な、何で倒れた…?」
「疲労…だって、先生は今職員室」
「はー…もう、マヂ焦ったって」
そう言って俺は梓紗を撫でた。
梓紗は、ん…、と声を漏らして少しだけ身体を動かした。
…可愛すぎる。
「佐久間さあ…」
「何、翔太」
「今、キスしたいて思った?」
怪しい笑みを浮かべて、平然と俺に聞いてきた。
「は、はあ?!お前さ…こんなトコでやめろよ…」
…実際、間違ってないけど…。
早絵も平然と見てんなよ!!
「こんなトコって…何考えてんの、」
「お前ら、2人してマヂうるさいから!!」
2人でくすくす何なんだ、このやましーカップルは!!
「ほら、カーテン閉めてあげるからっ」
「あんまデカい声出すと…起きるよ?」
うっ…。
カーテン閉めてあげるとか…しろってことかよ…。
まあ全然したくないことはないけど…←
「…したっ?!」
「お前らがいるとこでは、ぜーったいしません!!
ていうか、学校の保健室とか、絶対しません!!」
「はいはい、じゃあ2人きりにしてあげましょーか翔太くん」
「強がってるけど、2人きりぐらいはね早絵ちゃん」
「ばいばーい」
「お前、さっきしないつったかんな?
もししたら…俺らの前でキスなっ♪」
そう言ってガラガラピシャンと保健室を出て行った。
(マヂ…おかしんじゃねーのアイツら)
その後、梓紗の寝顔にそっとキスを落としたのは、絶対内緒。
その後*
「キスした?!」
「だから、しないって言ったでしょ?」
「…え?」
「な、何梓紗」
「もしかして起きてたんじゃないのー?笑」
「…………うん」
「は?!マヂで!?…何してんのお前…」
「はい、佐久間さんの嘘つき決定ー♪」
「約束守ってもらいしょーっ」
まあ…その後歓声が上がったのは言うまでもない。
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梓紗が浮気してる。
そんなの知ってた。
でも自分の目で確かめたわけでもないし、
何より梓紗を愛してたから、信じたかった。
でもダメだった。
見ちゃったからさ…信じようがない。
俺には最近見せてくれなかった笑顔で、
俺の知らない男と笑ってた。
もう…梓紗に俺は必要ない…。
「梓紗…」
「ん?」
「別れよっか?」
「…え、」
まさか、俺の方から言ってくるなんて思って無かったんだよな。
でも、どことなく…梓紗の顔は浮かれて見えた。
「待って、なんで?」
「俺じゃない…別の人が好きなんだろ?」
いつも、可愛く、甘え上手なはっしーが、
真剣で、自分に問い詰めを始める橋本に変わった…
梓紗は戸惑っていた。
きっと向こうは自分から話を切り出して、
泣く泣くお別れ…を想像してたんじゃないかな。
「待って、何で?なんで…そー思うの?」
「…」
「良亮…アタシのこと、嫌いになっ『嘘はいいよ』…ぇ」
「俺じゃないでしょ…梓紗が俺を好きじゃなくなった」
その瞬間、梓紗は狂ったように涙を流した。
声を殺して、ただただ涙を流していた。
こんな顔、絶対させない…って誓ったはずなのに。
「嘘でもいいよ…
大好きだったよ、って聞きたい。
梓紗のその言葉で…終わりにしよう」
「大好き、だったよ……ごめんね?」
「最後のごめんねはいらないよ」
俺は震えながらも、笑って見せた。
ねえ、俺は笑えてた?
俺は、梓紗を愛してたよ
「ねー、うちのクラスで付き合うとしたらさあ…
やっぱり佐藤じゃない?」
「えー?佐藤は…顔がいーだけって感じ…。
あたしは…藤原くんかなー…?」
「ええ?!藤原はないっしょー」
…マヂで。
教室に忘れもの…なんて、やっちゃいけないよ。
オレ、阿部亮平…、今…絶対教室に入れない空気になってる!
玄関で、筆箱を忘れたのをハッと気付き、
慌てて教室まで辿り着いたものの、
女子が4.5人集まって話をしてる…。
これが俗に言う…ガールズトーク…!!!
クラスの男子で格付けしてる…。
オレ、絶対入っていけないでしょ、これ…。
「てかさあ、マヂうちのクラスで付き合うとか無理ッ!」
「あは、言えてるかも…先輩とか憧れるよねーっ」
「えー…でも遊ばれてるかも…って不安になったりしない?」
「しないよー!!」
「梓紗は?年上どー?」
「えー…まあ、カッコイイ人はカッコいいけど…」
あ、梓紗?!
橘もいるの?!
ヤバい…俺の話題とか出たら、ちょっと気になるっしょ。
あーもう、好きだからってそんなことしていいはずないのにー!
つーか、違う!
俺は盗み聞きしてる場合じゃないんだよ!
このあと塾に行くとかなんとか言ってたし…、
そのためには筆箱が必要なんだよー…!!
あーもう、でも時間ねーし…でも筆箱必要だし…。
帰ろっかなあ…
い、いや!!…ちょっと気になる……←
「あーもう!ホント、うちのクラスの誰かでいーからあっ!
あたしの彼氏なってくれる人いない?!」
「てーかさぁ梓紗さー、ほんっとモテるよねー」
「はあ?!何それ、突然すぎ笑」
「うちのクラスで何人梓紗に告ってんだよーもう」
「それ、今言わなくていいしー」
「梓紗にフラれるの分かってるんだから、アタシに告ってー!」
「フラれるの分かってるって?…あ、そっか」
知ってたよ、梓紗がモテるのなんて知ってたよ!!
俺が知ってる中でもクラスに3人は玉砕した奴いるし…。
だから俺も告れずにいるんだよー
…つか、そっか、って何?!
「梓紗には…あいついるもんねー?」
「あ、あいつとか言うなよっ」
「え、つかもう付き合ってんの?」
…か、彼氏?!
…あー…終わったあ…。
もう、ホント告ってもフラれること確定だよ…
やっぱ帰る…、
そう思って階段へ足を進めようとした時だった…
「まあー、阿部かっこいいとは思うよ?!」
「でも何で阿部なのー?」
「何でって…しょうがないじゃん、カッコいーんだもん」
…マヂかよ。
俺は自分の耳を疑ったと同時に、動揺で足元がフラついて、
教室の壁にバーンとぶつかってしまった。
「ちょ、誰?」
「…あ、阿部?!」
「はは…ごめ、わ、忘れものを…」
「…え?!う、嘘?!…え、……ちょ、待って、え?!」
「あーっと……俺が告ってもフラれるの分かってますか?」
梓紗はちっちゃく、付き合ってください、と言っていた。
「の、野澤祐樹です…よろしくお願いします」
「祐樹ー、緊張してんのかー?」
…うっせ、
勝手に再婚すればいーのに…。
なんで俺まで挨拶に巻き込むんだよ…。
それに向こうには同い年の女がいるみたいだし、
何か色々面倒になっちゃったよ…。
「えっと、あー、梓紗です」
でも、生憎だけど…ちょっと可愛いんだな…。
「まあ…今後の手続きとか話し合いたいから…」
「ああ…出てっけってね」
「祐樹、ま、そーゆうこと」
俺らはお決まりの、外の庭園に放り出された。
気まずい、
何…俺ら2人にしちゃってんの…。
梓紗…だっけ、超気まずそうだし…。
「ねえ、」
「…え?」
「高校、どこ行ってんの?」
「えーっと、祐樹くんと同じトコ…」
「あれ、マヂ?…ごめん」
「いや、アタシもさっき知って…、」
…まさかの展開なんだけど。
えええ、どうしろと?!
思い切って話しかけたはいーけど、
予想もしてない展開で…ええ?!
「クラスは?」
あ、え、
「B、」
「あ、そうなんだ!アタシEなんだよ…離れてるもんねー…」
「そ、そうだね」
ガンッ
「うひゃっ」
「はっ?!」
気付けば、俺は梓紗を支えてた。
だって、ガンだよ?
尋常じゃない大きさの音だったし…。
「あ、ありがと…」
「お前…天然?計算?」
「なっ…!!、計算なわけないじゃんっ!!」
「え、そんな声も出んの?」
「な、何なの?お礼言おうと思ったのに!!」
「天然であんなデカい音出んの?」
「出たよ!なんか知らないけど出たよ!!」
「あー、声もデカい」
「もう、なんだこの人!!」
あー…知ってるかも。
そうだ、聞いたことある。
入学式で先輩たちでも騒いでたよ。
「1-Eの梓紗って子、マヂ美人だから!!」
「大丈夫?」
「え?」
仲の良かった友達が、引っ越ししちゃったの。
公園に行ってくる、そう言ってアタシは家を出た。
お家では泣けなかったから、公園のブランコに揺られながら。
声を殺しながら泣いたアタシに手を差し伸べてくれた。
何歳くらいだった?
記憶が曖昧だったから、3.4歳だったかな…?
曖昧だけど…鮮明に思い出せる。
顔を上げるとそこには3人の男の子。
全員の顔が奇麗な夕日の逆光で見えなかった。
その中でも手を差し伸べてくれた子…、
少しだけ微笑んでる、目から鼻筋だけが見えた。
そっと手をとり、ゆっくり起き上がらせてくれた子。
横の2人は心配そうにアタシを見ていた。
「そろそろ帰ってきなさーい」
3人の誰かのお母さんかな?
キレイな女の人の声が聞こえてきたのを覚えてる。
はーい、と言ってみんな行っちゃった。
アタシに手を伸ばしてくれた子は、「じゃあね」と言って、
2人を追いかけるように、遅れて走ってった。
最後に走ってった子からポトンと何かが落ちた………A?
何かにくっついてたと思われる、ちっちゃな金属で銀色したA。
「おとしたよっ」
幼いながら声をかけても、小さくて届かなかった。
その後何日か公園に行ってみたけど、あれから1回も逢えなかった。
知らない間に、アタシはその子をAの男の子と呼んで、
恋をしてしまった。
今も好きかどうかと聞かれれば、
少し悩むけど、忘れてしまうことはないんじゃないかな。
今でも少し、行方を追ってる――――。