ドリーム小説
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
*第2話*~神のメール? 記憶消失の謎!! ②
「考えてみたら、あいつらも不幸よね」
五十嵐学院の帰り道。
3人で歩きながら話している。
「え?」
『なんで急にそんなコト…』
「だって、学歴があれば幸せになれるって時代じゃないでしょ??」
まぁ…確かにそうかもね。
今もしそんな時代が続いてたらアタシは多分ここにいないし。
「同じ夢を目指す仲間。そういうのはいる僕達はすごい幸せなのかもね」
『そうだね、キュウっ』
キュウがにこにこしながら言う。
アタシもそれに同感。
今こうして6人で頑張ってるから、ここまでこれたんだしなーって思う。
「キュウと梓紗ってさ、ほんっとおめでたいよね」
『…?』
「何が??」
「私達を出し抜こうとか、そういうこと考えたことないの??」
『うーん…まぁ、まだないかな』
「いやあー負けたくないっていう気持ちはあるけどさぁ…」
『あー!それはあるね』
キュウは視線に困らせてキョロキョロしてると何か発見した見たい。
「…!キンタ?」
キュウの視線の先には紛れもなくキンタの姿が。
しかも、キンタの後ろには柄の悪そうな男の人がたくさんいる。
…キンタ、もしかしてケンカ??
アタシ達はキンタを追いかける。
辿り着いたのは、路地裏にある1つのトンネルの下。
アタシ達が着いた頃にはもうケンカは始まっていた。
しかも、相当レベルの高いケンカ。
キンタが1人に対して相手が5人。
「キンタッッッ!!」
キュウが叫ぶ。
「何やってんだお前ら?!」
キュウが叫ぶとキンタがこっちを向く。
かなり驚いてるっぽいけど、それでも隙を見せず続けるところが凄い。
やっぱりキンタすごいなーって改めて思った。
「その人達がキンタのことつけてたから!」
「キュウ!」
メグがキュウのTシャツの裾を引っ張って連れて行こうとしてる。
「危ねぇから向こう行ってろ!」
「嫌だ!キンタ1人を置いて逃げられないよ!!」
そう言ってキュウは近くにあった棒を手に走っていく。
『ちょっと!キュウ!!』
キュウがケンカに加算したって、邪魔なだけなんだってば!!
でもまぁ、案の定抵抗に棒を振り回されて、それにビックリして、あっさり転ぶ。
あーあ、こんなカッコ悪いとこメグに見られちゃって…。
『もう、何やってんのよ』
アタシがそこにいると余計にケガすると思い、キュウを立ち上がらせると、
アタシの腕を引っ張る…男の人。
やっば、つかまった。
掴まれてる腕にかかる力が思ったより強くて声が出る。
『ちょ、痛ッ!離して!!』
「うっせぇ、てめぇが勝手に入って来たんだろうが!」
キュウがどうにかして腕を離そうとしてたのは見えたけど…。
きょろきょろしてばっかりで何にもできてないじゃん!
やばい、手に血が回んなくなってきた…。
するとキンタがすぐに助けに来てくれて、アタシの腕を掴んでる男の人を殴る。
男の人は悲鳴をあげてその場に寝転ぶ。
キンタはすぐに続きの体制を取り、
キュウがアタシの腕をすっごい心配してくれてる。
しばらくすると、メグがやってきた。
ケンカは終わったみたい。1対5のケンカだったのにあっさりキンタの勝利。
「キュウ、梓紗!!大丈夫?!」
『あ、うん。ちょっと痛いけど』
「お前って野郎は…なんであんな無茶までしたんだ。梓紗まで巻き込んで…」
『ああ、アタシは大丈夫だから。勝手に入っていったんだし』
「…梓紗ごめん。だってキンタは仲間だし、仲間を見捨てて逃げられないよ」
キンタはその言葉を聞いて「ばーかっ」と微笑みながらキュウの頭をポンと叩く。
するとキンタは立ち上がってまだ逃げ残っていた1人の男の人を捕まえた。
「何で俺をつけまわした?」
「別に意味なんかねえよ!」
「誰に頼まれた!!」
「知らねえ!さっき携帯にメールが回って来たんだ!」
キンタが携帯を取り出すと、男の人を離した。
「ちょっと借りるぞ」
キンタは携帯を手にこちらに向かってくる。
「ったく梓紗!お前もボーッとしてんなよ!」
『…ごめん』
「…はぁ……俺がリュウに怒られんじゃねぇかよ」
『…リュウ?なんで??』
「別に」とキンタは言う。
メグは「ああー、そうだよ梓紗」とニヤニヤしながら言う。
キンタはこっちに向かって歩いてきたかと思うとアタシ達を通り過ごす。
「キンタどこ行くの!?」
「早くキュウと梓紗のケガの治療でもやってろ!」
…治療??
ふと腕を見ると、掴まれた跡の痣と、何本かの擦り傷。
ちょっとだけ血が出てる。
でもまぁ、これで済んで良かったかもしれない。
ミッションルームに戻るとメグはすぐにキュウの治療を始めた。
「いったぁあ!ねぇ、もっと優しくしてよ」
「男でしょ??我慢しなさいよ」
メグもさー、素直に「痛くない?」とか言ったらいいのに。
メグがキュウのこと1番心配してたの知ってるんだからね、アタシ。
キュウが飛び出して行ったとき「キュウ…っ!」って呟いてたの聞こえちゃたよ??
ケガの手当をしているメグをキュウはずっと見つめてる。
何を思ったか恥ずかしそうに目をそらすキュウ。
やっぱり、2人は両想いかー…。
アタシは1人で頑張って治療中。
その時ドアが開いてリュウが入ってきた。
『あー、リュウおかえりー』
「あ!リュウいいタイミングで来た!
私さぁ、キュウの治療終わってから梓紗の傷の手当てやろうと思ってたんだけどさー。
キュウが情けないから終わんないのよー。梓紗の手当手伝ってあげて??
数馬に頼んでもやってくれないのよぉー」
「そんなの、僕が手当してるときにリュウが入ってきたらどうなるか分かんないだろ?」
「…まっ、そうだけど」
アタシはよく理解できない会話だったけど「ふーん」と思って聞いてた。
メグがリュウを呼んでイスに座ってるアタシの横に立たせる。
リュウはゆっくりとしゃがみこむと心配そうに見た。
「けが??何でしたの?」
『いや、色々あって』
「…色々って?」
『えーっと…転んだの!この痣は転んだ時に引っ掛かってできちゃって…』
「ふーん…」
納得してるように見えるけど、絶対疑ってるな。
キュウを助けようとして男の人に掴まれたなんて情けなくて言えないしなぁー。
「メグ、消毒液。あとガーゼ」
「はいはーい♪」
メグはかなりのご機嫌で消毒液とガーゼを持ってくる。
こっちはケガしてるっていうのに、何を楽しんでるんだか。
リュウはガーゼを消毒液で浸して、アタシの傷口につける。
「…痛い?」
『…っ、えーっと、ちょっと』
「梓紗に痛い思いさせるなんて…後でキンタに言っとかなきゃな」
『…?なんでキンタ?(なんで知ってんの?!)』
「まぁ…これくらいで済んで良かったよ。あんまり無理するな」
リュウがすごく心配した顔で言った。
その顔は今まで見たことのない顔でちょっとドキっとした。
『…心配かけてごめん。ありがとね』
「うん」
アタシが頭を下げて言うと、リュウがポンポンと頭を撫でた。
それが、妙に居心地が良かった…なんて言ったら怒られるかな。
「あーそうそう!!」
メグが急に声を張る。
「さっきまでさ、五十嵐学院に行ってたんだけどね。
梓紗ねぇ、牧野大介っていうAクラスの子に気に入られちゃってさーっ。
リュウもさ、早くしないと梓紗取られちゃうよ??」
『だからさ、牧野クンが言ってた訳じゃないんだしさ!その話やめようよ!
しかも、取られるとかって何よ?!』
メグは「梓紗はね、気にしなくていいんだよ」っておちゃらけて言われた。
「気に入られてるの??」
『えっ…そんな、分かんないよ』
「牧野…大介だっけ。Aクラスなんでしょ?」
『うん…』
「へぇ…覚えとく」
リュウは少し怒ったように言った。
「リュウ、名前とクラス覚えて何する気だろうねー?」
メグがおもしろそうに言う。
『ええ?知らないよ、そんなの』
「梓紗ってば、ホントに鈍感だよね~。そろそろ気づいてもいいのに…」
『?』
メグってば、いっつもアタシとリュウが話してると茶化してくるんだよね。
何??じゃぁアタシもキュウとメグが話してる時、いっつも茶化せばいいのかな?
ていうか、キュウとメグみたいな関係じゃないし…なんでよ??
「リュウどこ行ってたの?」
ケガの治療を終えたキュウがリュウに問う。
「失踪した竹山裕紀って奴に会ってきた。彼、もしかして解離性健忘症かもしれない」
「かいりせいけんぼうしょう…って何??」
『アタシもわかんない』
「心の傷やストレスが原因で、記憶を失ったり部分的に思い出せなくなる一種の記憶障害だ。
過去の記憶を思い出そうとして、頭痛や吐き気に襲われるというのも彼らの症状と一致する」
リュウってそこまで知ってるんだ…。
あ、でもリュウのことだから、どこかで調べて来たんだろうなぁ…。
そこまで事件に深追いするなんて…すごい。
「つまり2人は、受験勉強に追い立てられて記憶を失くしたってこと?」
「ひとつの可能性としてね」
『2人同時に??そんな…偶然がすぎる』
「私は塾の講師が怪しいと思う」
「なんで?」
「キュウも梓紗も見たでしょ??あの塾長の傲慢な態度!!
きっと行使の誰かが腹いせに嫌がらせしてるのよ。今夜、塾に忍び込んで証拠探してみる!」
メグが突然思い切ったことを言う。
まあ…それ、楽しそうだけど…。
キュウはかなり驚いてる様子。
「よしわかった、一緒に行こう。メグ1人じゃ心配だし。ね、リュウ、梓紗!」
『うん!アタシも行く!!』
「…僕に振るなよ」
リュウはうんざりしたように言ったけど、
アタシがしつこく誘ったら「しょうがないな…」って来てくれることになった。
「よし!12時ジャスト!!」
アタシらは12時に塾に入り込むという作戦で今12時になったところ。
アタシ、キュウ、メグ、リュウ、数馬の5人で忍び込むことに。
数馬の12時宣言の瞬間アタシ達は塾の入口へと走る。
塾の中は月明かりで薄暗く、すっごい雰囲気でてる。
さすがに怖いなーと思ってたらいつの間にかリュウの服の裾つかんでた。
「怖いの?」って笑って聞いてくる。
「う、っわ!こ、怖くない!ごめん!」ってパッと慌てて裾を離したら、
「別に掴んでてもいいよ、ちゃんとついてきてね」って言われたから…つかんじゃおっかな。
エレベーターから降り、少し進むと部屋が立ち並ぶ廊下に出る。
すると突然響く電子音。
「ねぇ、何の音?」
『…電話、かな?』
「あっちだ!」
リュウは勢いよく走り出して行った。
その瞬間手の中からリュウの服の裾がこぼれる。
だけど、リュウはアタシの腕を掴んでくれた。
「…この部屋からだ」
1番奥の部屋にたどり着く。
…確かに、この部屋から音が聞こえるのは確かだ。
電子音はなり続ける。
「…誰かいるのかしら」
「でも…誰も出ないよ」
音が止む。
リュウが焦ったようにドアノブを回す。
鍵がかかっていてビクともしない。
すると、リュウはしゃがみ込んでピッキングを始める。
全く…どこでそんな術覚えてくんのよ。
部屋の鍵は見事に開き、部屋の中は真っ暗だった。
「数馬、電気!!」
リュウが突然叫ぶ。
数馬は焦って電気をつける。
その瞬間目に入ってきたのは…首の脈にナイフの刺さった五十嵐先生。
『…っ、嘘』
五十嵐先生のスーツは血に染まっていて真っ赤になっている。
周りには粉々になったガラスの破片が散らばっている。
「数馬、記録」
「う、うん」
そう言うと数馬はカメラで現場の写真を撮り始めた。
リュウはそっとアタシの隣に立ち、腕を肩にまわして、アタシを寄せた。
「見せてゴメン」と呟くと、頭をポンと撫でてくれた。
「…大丈夫だよ」アタシはゆっくり頷いて、微笑して言った。
心配そうにしてたけど、毎回辛くなってたら拉致あかないもん。がんばらなきゃ。
しばらくすると、警察が来た。
メンバーの誰かが連絡したんだろう(…気付かなかった)。
「第一発見者は…って!何でお前らここにいるんだよ!!」
諸星さんと猫田さんが入ってくる。
ソファーに腰掛けていたアタシ達はだるそうに立ち上がる。
「勝手に入っていたのか、不法侵入罪だぞ!」
『そんなコトより、今は捜査でしょう!それにアタシ達が来なきゃ発見されなかっただろうし』
「…えー、男の身元は?」
納得したように諸星さんは言う。
「被害者の名前は五十嵐匠45歳。この塾の経営者です」
猫田さんが答えるべきである、諸星さんの質問にキュウが答える。
「死因は?」
「おそらく、頚動脈切断による失血性のショック死です」
リュウが答える。
「死亡推定時刻!」
猫田さんは誰かが答えると思っていたようで、黙っていたが、
誰も答えそうでないのを把握し、キュウに「どうぞ」と手を差し伸べる。
さすがにそこまではプロじゃないと分からないでしょう。
キュウは猫田さんに手を返す。
「何確認してんだバカ!」
猫田さんは怒られる。
「死後硬直から推定して、夜10時から11時の間とのことです」
すると、数馬が口を開く。
「非常階段の出入り口は、内側から鍵がかかっていた。残る出入り口は通用口だけ」
「その時間帯、警備員は?」
「ビルの見回りをしていたそうです」
「じゃぁ、エレベーターの防犯カメラをチェックしてみたら?ね、猫田さんっ」
メグが笑顔で猫田さんにそう告げると、猫田さんの顔がぐにゃあっと笑った。
知り合いだっけ、この2人。どんな関係か聞き忘れてた。
猫田さんが「にゃあるほど」と言うと、また諸星さんに怒られる。
「ちょっと気になる事があるんですけど」
今まで数馬の撮影したカメラに記録を見ていたリュウが言う。
「死体の上の陶器のかけらを見てください。血しぶきを浴びたように血だらけです。
完全に心臓が止まった後なら、派手に血が飛ぶことはありません。
つまり被害者は生きてはいたけれど、動けない状態だったんじゃないでしょうか」
そっか。死んで心臓が止まった後じゃ、血が流れてないからね。
「じゃぁ、睡眠薬か何かで眠らされてたってこと??」
「おそらく」
「だが、何のために?」
諸星さんがうっかりこっち側に聞いてくる」
「それはこれから調べます」
「おお、…あ、いい!調べなくて!」
諸星さんは否定を始める。
すると、1人の警官に呼ばれて諸星さんと猫田さんが部屋を出る。
写真と部屋を見比べているメグがしゃべりだす。
「花瓶と燭台、本棚の上にあったんだ」
「なんであんな上にあったものが落ちてるんだろう」
「犯人ともみ合った時に堕ちたんじゃないの??」
『でもあんなに遠くにあるよ?ここで粉々になってるのは、不自然じゃない??』
キュウとメグと3人で考える。
諸星さんが部屋に戻ってくる。
「ほら、もうお前らさっさと帰れ!家でサッカーでも見てろ!」
すると猫田さんが慌てて部屋に飛び込んできた。
「諸星さん!この塾の生徒がまた行方不明になったそうです!!」
「名前は!?」
「牧野大介、15歳です!!」
…牧野大介って・・・あの牧野くん??
アタシは驚いて。メグとキュウを見た。
2人も相当驚いてるようで、目を丸くしてた。
「考えてみたら、あいつらも不幸よね」
五十嵐学院の帰り道。
3人で歩きながら話している。
「え?」
『なんで急にそんなコト…』
「だって、学歴があれば幸せになれるって時代じゃないでしょ??」
まぁ…確かにそうかもね。
今もしそんな時代が続いてたらアタシは多分ここにいないし。
「同じ夢を目指す仲間。そういうのはいる僕達はすごい幸せなのかもね」
『そうだね、キュウっ』
キュウがにこにこしながら言う。
アタシもそれに同感。
今こうして6人で頑張ってるから、ここまでこれたんだしなーって思う。
「キュウと梓紗ってさ、ほんっとおめでたいよね」
『…?』
「何が??」
「私達を出し抜こうとか、そういうこと考えたことないの??」
『うーん…まぁ、まだないかな』
「いやあー負けたくないっていう気持ちはあるけどさぁ…」
『あー!それはあるね』
キュウは視線に困らせてキョロキョロしてると何か発見した見たい。
「…!キンタ?」
キュウの視線の先には紛れもなくキンタの姿が。
しかも、キンタの後ろには柄の悪そうな男の人がたくさんいる。
…キンタ、もしかしてケンカ??
アタシ達はキンタを追いかける。
辿り着いたのは、路地裏にある1つのトンネルの下。
アタシ達が着いた頃にはもうケンカは始まっていた。
しかも、相当レベルの高いケンカ。
キンタが1人に対して相手が5人。
「キンタッッッ!!」
キュウが叫ぶ。
「何やってんだお前ら?!」
キュウが叫ぶとキンタがこっちを向く。
かなり驚いてるっぽいけど、それでも隙を見せず続けるところが凄い。
やっぱりキンタすごいなーって改めて思った。
「その人達がキンタのことつけてたから!」
「キュウ!」
メグがキュウのTシャツの裾を引っ張って連れて行こうとしてる。
「危ねぇから向こう行ってろ!」
「嫌だ!キンタ1人を置いて逃げられないよ!!」
そう言ってキュウは近くにあった棒を手に走っていく。
『ちょっと!キュウ!!』
キュウがケンカに加算したって、邪魔なだけなんだってば!!
でもまぁ、案の定抵抗に棒を振り回されて、それにビックリして、あっさり転ぶ。
あーあ、こんなカッコ悪いとこメグに見られちゃって…。
『もう、何やってんのよ』
アタシがそこにいると余計にケガすると思い、キュウを立ち上がらせると、
アタシの腕を引っ張る…男の人。
やっば、つかまった。
掴まれてる腕にかかる力が思ったより強くて声が出る。
『ちょ、痛ッ!離して!!』
「うっせぇ、てめぇが勝手に入って来たんだろうが!」
キュウがどうにかして腕を離そうとしてたのは見えたけど…。
きょろきょろしてばっかりで何にもできてないじゃん!
やばい、手に血が回んなくなってきた…。
するとキンタがすぐに助けに来てくれて、アタシの腕を掴んでる男の人を殴る。
男の人は悲鳴をあげてその場に寝転ぶ。
キンタはすぐに続きの体制を取り、
キュウがアタシの腕をすっごい心配してくれてる。
しばらくすると、メグがやってきた。
ケンカは終わったみたい。1対5のケンカだったのにあっさりキンタの勝利。
「キュウ、梓紗!!大丈夫?!」
『あ、うん。ちょっと痛いけど』
「お前って野郎は…なんであんな無茶までしたんだ。梓紗まで巻き込んで…」
『ああ、アタシは大丈夫だから。勝手に入っていったんだし』
「…梓紗ごめん。だってキンタは仲間だし、仲間を見捨てて逃げられないよ」
キンタはその言葉を聞いて「ばーかっ」と微笑みながらキュウの頭をポンと叩く。
するとキンタは立ち上がってまだ逃げ残っていた1人の男の人を捕まえた。
「何で俺をつけまわした?」
「別に意味なんかねえよ!」
「誰に頼まれた!!」
「知らねえ!さっき携帯にメールが回って来たんだ!」
キンタが携帯を取り出すと、男の人を離した。
「ちょっと借りるぞ」
キンタは携帯を手にこちらに向かってくる。
「ったく梓紗!お前もボーッとしてんなよ!」
『…ごめん』
「…はぁ……俺がリュウに怒られんじゃねぇかよ」
『…リュウ?なんで??』
「別に」とキンタは言う。
メグは「ああー、そうだよ梓紗」とニヤニヤしながら言う。
キンタはこっちに向かって歩いてきたかと思うとアタシ達を通り過ごす。
「キンタどこ行くの!?」
「早くキュウと梓紗のケガの治療でもやってろ!」
…治療??
ふと腕を見ると、掴まれた跡の痣と、何本かの擦り傷。
ちょっとだけ血が出てる。
でもまぁ、これで済んで良かったかもしれない。
ミッションルームに戻るとメグはすぐにキュウの治療を始めた。
「いったぁあ!ねぇ、もっと優しくしてよ」
「男でしょ??我慢しなさいよ」
メグもさー、素直に「痛くない?」とか言ったらいいのに。
メグがキュウのこと1番心配してたの知ってるんだからね、アタシ。
キュウが飛び出して行ったとき「キュウ…っ!」って呟いてたの聞こえちゃたよ??
ケガの手当をしているメグをキュウはずっと見つめてる。
何を思ったか恥ずかしそうに目をそらすキュウ。
やっぱり、2人は両想いかー…。
アタシは1人で頑張って治療中。
その時ドアが開いてリュウが入ってきた。
『あー、リュウおかえりー』
「あ!リュウいいタイミングで来た!
私さぁ、キュウの治療終わってから梓紗の傷の手当てやろうと思ってたんだけどさー。
キュウが情けないから終わんないのよー。梓紗の手当手伝ってあげて??
数馬に頼んでもやってくれないのよぉー」
「そんなの、僕が手当してるときにリュウが入ってきたらどうなるか分かんないだろ?」
「…まっ、そうだけど」
アタシはよく理解できない会話だったけど「ふーん」と思って聞いてた。
メグがリュウを呼んでイスに座ってるアタシの横に立たせる。
リュウはゆっくりとしゃがみこむと心配そうに見た。
「けが??何でしたの?」
『いや、色々あって』
「…色々って?」
『えーっと…転んだの!この痣は転んだ時に引っ掛かってできちゃって…』
「ふーん…」
納得してるように見えるけど、絶対疑ってるな。
キュウを助けようとして男の人に掴まれたなんて情けなくて言えないしなぁー。
「メグ、消毒液。あとガーゼ」
「はいはーい♪」
メグはかなりのご機嫌で消毒液とガーゼを持ってくる。
こっちはケガしてるっていうのに、何を楽しんでるんだか。
リュウはガーゼを消毒液で浸して、アタシの傷口につける。
「…痛い?」
『…っ、えーっと、ちょっと』
「梓紗に痛い思いさせるなんて…後でキンタに言っとかなきゃな」
『…?なんでキンタ?(なんで知ってんの?!)』
「まぁ…これくらいで済んで良かったよ。あんまり無理するな」
リュウがすごく心配した顔で言った。
その顔は今まで見たことのない顔でちょっとドキっとした。
『…心配かけてごめん。ありがとね』
「うん」
アタシが頭を下げて言うと、リュウがポンポンと頭を撫でた。
それが、妙に居心地が良かった…なんて言ったら怒られるかな。
「あーそうそう!!」
メグが急に声を張る。
「さっきまでさ、五十嵐学院に行ってたんだけどね。
梓紗ねぇ、牧野大介っていうAクラスの子に気に入られちゃってさーっ。
リュウもさ、早くしないと梓紗取られちゃうよ??」
『だからさ、牧野クンが言ってた訳じゃないんだしさ!その話やめようよ!
しかも、取られるとかって何よ?!』
メグは「梓紗はね、気にしなくていいんだよ」っておちゃらけて言われた。
「気に入られてるの??」
『えっ…そんな、分かんないよ』
「牧野…大介だっけ。Aクラスなんでしょ?」
『うん…』
「へぇ…覚えとく」
リュウは少し怒ったように言った。
「リュウ、名前とクラス覚えて何する気だろうねー?」
メグがおもしろそうに言う。
『ええ?知らないよ、そんなの』
「梓紗ってば、ホントに鈍感だよね~。そろそろ気づいてもいいのに…」
『?』
メグってば、いっつもアタシとリュウが話してると茶化してくるんだよね。
何??じゃぁアタシもキュウとメグが話してる時、いっつも茶化せばいいのかな?
ていうか、キュウとメグみたいな関係じゃないし…なんでよ??
「リュウどこ行ってたの?」
ケガの治療を終えたキュウがリュウに問う。
「失踪した竹山裕紀って奴に会ってきた。彼、もしかして解離性健忘症かもしれない」
「かいりせいけんぼうしょう…って何??」
『アタシもわかんない』
「心の傷やストレスが原因で、記憶を失ったり部分的に思い出せなくなる一種の記憶障害だ。
過去の記憶を思い出そうとして、頭痛や吐き気に襲われるというのも彼らの症状と一致する」
リュウってそこまで知ってるんだ…。
あ、でもリュウのことだから、どこかで調べて来たんだろうなぁ…。
そこまで事件に深追いするなんて…すごい。
「つまり2人は、受験勉強に追い立てられて記憶を失くしたってこと?」
「ひとつの可能性としてね」
『2人同時に??そんな…偶然がすぎる』
「私は塾の講師が怪しいと思う」
「なんで?」
「キュウも梓紗も見たでしょ??あの塾長の傲慢な態度!!
きっと行使の誰かが腹いせに嫌がらせしてるのよ。今夜、塾に忍び込んで証拠探してみる!」
メグが突然思い切ったことを言う。
まあ…それ、楽しそうだけど…。
キュウはかなり驚いてる様子。
「よしわかった、一緒に行こう。メグ1人じゃ心配だし。ね、リュウ、梓紗!」
『うん!アタシも行く!!』
「…僕に振るなよ」
リュウはうんざりしたように言ったけど、
アタシがしつこく誘ったら「しょうがないな…」って来てくれることになった。
「よし!12時ジャスト!!」
アタシらは12時に塾に入り込むという作戦で今12時になったところ。
アタシ、キュウ、メグ、リュウ、数馬の5人で忍び込むことに。
数馬の12時宣言の瞬間アタシ達は塾の入口へと走る。
塾の中は月明かりで薄暗く、すっごい雰囲気でてる。
さすがに怖いなーと思ってたらいつの間にかリュウの服の裾つかんでた。
「怖いの?」って笑って聞いてくる。
「う、っわ!こ、怖くない!ごめん!」ってパッと慌てて裾を離したら、
「別に掴んでてもいいよ、ちゃんとついてきてね」って言われたから…つかんじゃおっかな。
エレベーターから降り、少し進むと部屋が立ち並ぶ廊下に出る。
すると突然響く電子音。
「ねぇ、何の音?」
『…電話、かな?』
「あっちだ!」
リュウは勢いよく走り出して行った。
その瞬間手の中からリュウの服の裾がこぼれる。
だけど、リュウはアタシの腕を掴んでくれた。
「…この部屋からだ」
1番奥の部屋にたどり着く。
…確かに、この部屋から音が聞こえるのは確かだ。
電子音はなり続ける。
「…誰かいるのかしら」
「でも…誰も出ないよ」
音が止む。
リュウが焦ったようにドアノブを回す。
鍵がかかっていてビクともしない。
すると、リュウはしゃがみ込んでピッキングを始める。
全く…どこでそんな術覚えてくんのよ。
部屋の鍵は見事に開き、部屋の中は真っ暗だった。
「数馬、電気!!」
リュウが突然叫ぶ。
数馬は焦って電気をつける。
その瞬間目に入ってきたのは…首の脈にナイフの刺さった五十嵐先生。
『…っ、嘘』
五十嵐先生のスーツは血に染まっていて真っ赤になっている。
周りには粉々になったガラスの破片が散らばっている。
「数馬、記録」
「う、うん」
そう言うと数馬はカメラで現場の写真を撮り始めた。
リュウはそっとアタシの隣に立ち、腕を肩にまわして、アタシを寄せた。
「見せてゴメン」と呟くと、頭をポンと撫でてくれた。
「…大丈夫だよ」アタシはゆっくり頷いて、微笑して言った。
心配そうにしてたけど、毎回辛くなってたら拉致あかないもん。がんばらなきゃ。
しばらくすると、警察が来た。
メンバーの誰かが連絡したんだろう(…気付かなかった)。
「第一発見者は…って!何でお前らここにいるんだよ!!」
諸星さんと猫田さんが入ってくる。
ソファーに腰掛けていたアタシ達はだるそうに立ち上がる。
「勝手に入っていたのか、不法侵入罪だぞ!」
『そんなコトより、今は捜査でしょう!それにアタシ達が来なきゃ発見されなかっただろうし』
「…えー、男の身元は?」
納得したように諸星さんは言う。
「被害者の名前は五十嵐匠45歳。この塾の経営者です」
猫田さんが答えるべきである、諸星さんの質問にキュウが答える。
「死因は?」
「おそらく、頚動脈切断による失血性のショック死です」
リュウが答える。
「死亡推定時刻!」
猫田さんは誰かが答えると思っていたようで、黙っていたが、
誰も答えそうでないのを把握し、キュウに「どうぞ」と手を差し伸べる。
さすがにそこまではプロじゃないと分からないでしょう。
キュウは猫田さんに手を返す。
「何確認してんだバカ!」
猫田さんは怒られる。
「死後硬直から推定して、夜10時から11時の間とのことです」
すると、数馬が口を開く。
「非常階段の出入り口は、内側から鍵がかかっていた。残る出入り口は通用口だけ」
「その時間帯、警備員は?」
「ビルの見回りをしていたそうです」
「じゃぁ、エレベーターの防犯カメラをチェックしてみたら?ね、猫田さんっ」
メグが笑顔で猫田さんにそう告げると、猫田さんの顔がぐにゃあっと笑った。
知り合いだっけ、この2人。どんな関係か聞き忘れてた。
猫田さんが「にゃあるほど」と言うと、また諸星さんに怒られる。
「ちょっと気になる事があるんですけど」
今まで数馬の撮影したカメラに記録を見ていたリュウが言う。
「死体の上の陶器のかけらを見てください。血しぶきを浴びたように血だらけです。
完全に心臓が止まった後なら、派手に血が飛ぶことはありません。
つまり被害者は生きてはいたけれど、動けない状態だったんじゃないでしょうか」
そっか。死んで心臓が止まった後じゃ、血が流れてないからね。
「じゃぁ、睡眠薬か何かで眠らされてたってこと??」
「おそらく」
「だが、何のために?」
諸星さんがうっかりこっち側に聞いてくる」
「それはこれから調べます」
「おお、…あ、いい!調べなくて!」
諸星さんは否定を始める。
すると、1人の警官に呼ばれて諸星さんと猫田さんが部屋を出る。
写真と部屋を見比べているメグがしゃべりだす。
「花瓶と燭台、本棚の上にあったんだ」
「なんであんな上にあったものが落ちてるんだろう」
「犯人ともみ合った時に堕ちたんじゃないの??」
『でもあんなに遠くにあるよ?ここで粉々になってるのは、不自然じゃない??』
キュウとメグと3人で考える。
諸星さんが部屋に戻ってくる。
「ほら、もうお前らさっさと帰れ!家でサッカーでも見てろ!」
すると猫田さんが慌てて部屋に飛び込んできた。
「諸星さん!この塾の生徒がまた行方不明になったそうです!!」
「名前は!?」
「牧野大介、15歳です!!」
…牧野大介って・・・あの牧野くん??
アタシは驚いて。メグとキュウを見た。
2人も相当驚いてるようで、目を丸くしてた。
PR
この記事にコメントする