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ドリーム小説
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*第3話*~小さな恋に魔の手が迫る! ①

『あれ?もしかして、数馬??』

ミッションルームまでの道のりのこと。
ちょっと時間もあるし、遠周りしてみようっていつも違う道を歩いてたら、
…数馬を見つけた。
【フローリスト・カンダ】っていう花屋の前にずっと立ってる。
だから最近、花が多かったのかな??

『数馬くん…ですよね??』
「…うわ?!え、なんだ梓紗か、ビックリさせるなよ」
『なんだ、とか。酷くない?!いっつもここで花買ってたのかー?』
「ま、まぁね」
『ホントに花が目的ー?』
「え、いや、まぁ、う、うん」
しどろもどろしてるトコを見ると違うね、こりゃ。
アタシは数馬の目線を辿ると店番をしているお姉さんにぶつかる。
『ほぉ。数馬はああいうお姉さんが好きなのね』
「ばっか、そういうこと言うなよ!」
『意外とタイプいいんじゃんっ』
「うるさいなあ」
『早く中入るよっ』

数馬の迷いを無視して腕を引っ張り店の中に入る。
「いらっしゃいませー…あ、数馬くん」
『こんにちわっ』
「こんにちわ、えーっと…」
アタシが数馬の腕を掴んでいるのが手を繋いでいるのに見えたのか、
ちょっと気まずそうにしているのが伺えた。
アタシはパッと手を離して、『友達です!』と答えた。
すると、数馬はキッとアタシを睨んで、前へ出た。
「あのー…また適当に見繕ってもらってもいいですか?」
「ご自宅用でいいですか?」
「はい!」
やけに積極的だなぁ。
こんなに接しられてるんだったら躊躇なく入ればいいのに。
やっぱり最近ミッションルームに花を持ち込んでくるのはコレだったんだな。
何気にさっき「また」って言ってたしね。

「それにしても、ホントに好きなのねお花!3日とあけずにお店に来てくれて」
アタシは数馬に耳打ちで
「好きなのはあなたです♡ホントは毎日でも来たいです♡」って言ったら
思いっきり頭叩かれた。痛すぎだよ、もう。
「なんか、見てるだけで幸せな気分になるんですよね」
「嬉しいな、そういう風に言ってもらえると」
「、いや!そんな…」
アタシは笑いをこらえるのに必死。
でも後でそう言っても怒られそうだから言わないでおこう。

花を持って店を出る。
『あのお姉さん、名前なんて言うの?』
「瑶子さん」
『へー、可愛い名前だね』
ミッションルームまで数馬と一緒に行ったんだけど、
その間、瑶子さんのコトで色々質問してた。
それにしても終始笑顔が絶えなかった!こんな数馬は見たことないってくらいに。
これはレアだと思い、携帯のカメラ準備したら「何したいの?」って腕掴まれちゃって断念。
ちぇ、笑顔の数馬は待ち受けにしてもいいくらい、可愛いと思うんだけどなーっ?

「グッモーニンエブリワンっ♪」
数馬が元気よく部屋に入る。
アタシは後ろからのそのそと数馬をよけて奥へと進む。
…真中にある大きなテーブルが無い。
キュウとキンタ、何かやってたな。
イスがなかったので、部屋の奥まで行きリュウの隣の空いてるイスに座る。

『リュウ、おはよっ』
「…数馬と一緒だったの?」
『うん、途中で会ったんだ』
「へぇ…」
眉をみけんに寄せながらリュウが言った。
…絶対何か怒ってる。
っていうか、牧野くんの事件解決の時から何か冷たい。
アタシ何か…リュウに対して酷いことした??
『…リュウ、何か怒ってる?ごめん、アタシ何かした?』
「別に、梓紗が悪いんじゃない」
『でもさぁー!アタシ鈍感だから知らないうちに…』
「まぁ…鈍感なのは、鈍感だよね」
『?』
リュウが意味深なコトを言うので、模索はそこでやめといた。
それに何で怒ってるかなんて絶対に教えてくれそうになかったし。

「数馬、あんたまた花買ってきたの?!」
メグがうんざりして言う。
「部屋も明るくなるし、優雅でいいじゃないか!」
「ていうか、はっきり言って邪魔なんですけどっ」
まぁ、言われてみれば…邪魔かもねぇ。
部屋の端っこには「数馬のお花コーナー」ができている。
どこかの結婚式ですか?みたいな位花がたくさんある。
部屋も明るくなるし、優雅だけど、さすがにこの量は多いよ…;

「まぁ、メグにはわからないかもね。花に囲まれて生活する、この豊かさ!ってものが…」
「甘いぞ、鳴沢!!」
七海先生の声。
姿は見えない。
また変装でもしてんのかな?
すると、天井からぶら下がってくる七海先生の姿が。

「ミッション・イン・ポッシブル!…だよ」
天井から吊下げたワイヤーで浮いている。
いや、でも、格好は気取ってるね。
すると、キュウから順に七海先生をつつき、回している。

「…見ればわかりますよ」
「っていうかなんで普通に現れないんですか」
「俺の趣味なんだよ!悪いか!おい止めろよこれ!おい!」
「開き直ってるし…」
「さすがです、七海先生」
『このために天井からワイヤーを…?』
「ちょ、おい!お前らそんなたるんだ気持ちでなあ。
 1人前の探偵になれるとでも思ってんのか!ちょ、おい!誰か止めろ!」
七海先生は次々と体を押され、クルクル回っている。
…ずっとそこに入ればいいのに…とかって。
すると、数馬が止める。
「おお、ありがとう。…なんだ?」
数馬は七海先生に持っている花束の中から花を一輪取り出して、七海先生に渡す。
七海先生は不思議そうにしてるけど、「なんでもありません」と答えるだけだった。

「…そんなわけで、団先生からの指令だ!」
そう言って七海先生はディスクを取り出した。

「Qクラスの諸君、御機嫌よう。今回君達に調べてもらいたいのは、連続殺人事件だ」
…殺人。
その言葉にみんな固まるのが分かった。
「犯人はスクラップマーダー呼ばれる殺人鬼」
スクリーンには資料として殺害現場が映る。
男の人が腹部を刺されていて、ゴミ捨て場に捨てられている。
目をそらしてしまいそうになったけど、アタシは必死で堪える。
「最初の被害者はホームレスを襲っていた若者だ。次は地上げ屋。
 被害者は皆、ゴミ捨て場に捨てられていた。
 犯人は狡猾で一切の翔子を残していない。君達の力でこの殺人鬼の正体を暴いてもらいたい。
 諸君らの健闘を祈る」
DVDの再生が終わり、キュウが口を開く。
「今回は連続殺人犯か」
「相手にとって不足はねぇな」
「お前らあまり調子に乗るなよ。相手は連続殺人鬼だ。正体を掴んだらすぐに警察に知らせろ!
 絶対に深追いはするな!」
七海先生の言葉にアタシ達は6人で大きく返事をした。


「まずは被害者と因縁のある人から探ってみよう!」
『じゃぁさ、若者に襲われてたホームレスの人から探る??』
「…梓紗は誘ったし、キュウはいつものことだけどさ、…なんでキンタまで一緒についてくんのよ」
メグは足を止めて振り返り、呆れて言う。
行く時に買ったアイスを食べながらアタシはキンタを見る。
合流したときにキュウもキンタもアイスを食べてて笑っちゃったけど。
でも、今日はまたなんでキンタまで。
「キュウは後先考えずに突っ走っちゃうからさ、見てらんねぇだろ?」
「キンタはいざってときに心強いから!ねえ?」
『いざって時のみ??』
「ばっか、余計なこと言うな!」
なんだか2人は気持ち悪ーくニヤニヤしてる。
「そうなる前に私は逃げます!行こ、梓紗!」
『…メグ、アイス食べる?』
「あ、食べるー♡」
メグはおいしそうにアタシのアイスを一口食べる。

「毎晩だったよ。あいつらほんとに、容赦なかった…。
 あのガキが殺されなかったら、俺が殺されてた。悪いが、犯人には感謝してるよ」
ホームレスのおじさんは弱々しく話してくれた。
やっぱり、そういうことする人っているんだぁ。
でも人殺しはよくないよ。殺さずにやめてくれるコトが1番いいと思うんだけどなぁ、やっぱり。

「おっさん!これ」
すると自転車に乗った男の人がおじさんにそばを渡す。
自転車と服装を見る限りでは、この人お蕎麦屋さんっぽいね。
「ああ、いつも悪いね」
「いいんだ、いいんだ」
「お知り合いですか?」
「ときどき店の残り物差し入れしてんだよね、捨てんのもったいないし」
食べ始めたおじさんを眺めながらキンタが口を開く。
「この人が襲われたことも??」
「ああ、知ってたよ」
男の人はたばこにマッチで火を点け、煙草を吸い始める。
「まぁでも、これで安心して眠れんな!!」
男の人の言葉におじさんは小さく頷いた。

「殺された地上げ屋、暴力団を使って毎日のようにきやがらせさせて、
 この辺の土地、強引にかきあさってたんだよ」
「おじさんは何か酷い目に遭ったんですか?」
「ああ。見せに来て大声出したり、まずいって騒いだり。これで安心して商売ができるよ」
アタシ達は地上げ屋の被害に遭った人たちに話を聞いて回る。
このラーメン屋のおじさんも酷い目に遭ったようだ。
アタシはふと思いだす。
ホームレスのおじさんも「殺されて良かった」と言っていた。
殺された被害者は、人から本当に恨まれていたんだ。
おじさんにお礼を言い、店を出る。

「これから、どうする??」
「とりあえず、1回ミッションルームに戻ってみない??」
『あ…じゃ、アタシ1回現場に行ってみる!』
「1人で大丈夫か??」
『何キンタ!大丈夫だよ、ちょっと調べたらすぐ戻ってくるから』
「そう?じゃぁ、梓紗先に行ってるね」

メグとキュウが手を振ってくれたので振り返す。
アタシは方向転換すると一気に走りだす。
現場には絶対にリュウがいるはず!
何か怒ってるし、怒ってるから話しかけにくくて気まずいし。
とりあえずリュウとは普通に話せるように戻らなきゃ!!
少し走ると現場に着く。
やっぱり…――リュウの姿が。

『リューウッ!』
「!…梓紗」
リュウはアタシが急に声をかけたのでビックリしたみたい。
でも振り返って微笑んでくれた。
…今は、怒ってないみたい、良かった…。
「今からまたボイスレコーダーに録音するから、しゃべっちゃダメだよ」
『あ、了解ですっ!』
「…翔子を一切残していないことから考えて、犯人は用心深く犯罪に精通した人間な。
 しかも死体をゴミ捨て場に捨てていることから、注目願望症候群だと思われる。
 つまり、ストレスが溜まっているもの、歪んだ正義感の持ち主でもある」

リュウの話を聞いて、頭の中で整理していると背中に視線を感じた。
パッと振り返ると、そこには日傘を差した綺麗な女の人。
しかも、何とも言えない優しくない微笑をしていた。
待って、アタシどこかで、この人、会ったことあるような――――
「私の顔、どこか可笑しいところがございますか?」
「あ、いえ!すいません、違います」
アタシは女の人をかなり凝視してたのだろう。
その視線に気づいた女の人は首を傾げて聞いてきた。
アタシはかなり戸惑っちゃって、手を左右に振るしかなかった。
…でも、この雰囲気、顔、しゃべり方…どこかで……。

「梓紗」
『何っ、リュウ?』
「ちょっとさ、ここで待っててくれないか?あんまり遅かったら帰ってていいから」
『え、うん、分かった』
「あの人の用事があるんだ、悪い」
リュウはアタシの両手をギュっと一瞬だけ握り、女の人のもとへ。
ねぇ、リュウ、その人、誰なの?
アタシ、多分、その人と、会ったこと、あるよ?
溢れる感情は、リュウがアタシに向けた最後の淋しそうな顔で消された。

アタシは時々思う。
リュウって…今まで何を抱えて生きて来たんだろう。
アタシ以外のメンバーには笑顔を見せないのはどうして?
色々考えちゃうけど、やっぱりリュウが心配だった、なによりも。

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