ドリーム小説
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*第3話*~小さな恋に魔の手が迫る! ④
アタシは昨日の神社でのコトも気になったけど、
やっぱり事件が気になったので、例のマンションに来てみた。
ミッションルームに行ったら誰もいなくて、
じゃぁ事件現場行ってみよう…というコトで来てみたんだけど…。
行く途中であの花屋さんに寄ってみるコトに。
すると、数馬が店の前のベンチに1人で座っているのが見えた。
すぐに近づこうとしたけど、店から瑶子さんに話しかけられたらしく、
数馬は席を立ってしまう。
あ、と思って方向転換をしようかと思うと数馬は1人で歩きだしてしまった。
アタシは急いで数馬の後を追う。
『よっ、数馬!!!』
「…もしかして、ずっといたなんて言わないよな?」
『言わない言わない!!!たったさっき見つけただけ』
「ホント?」
『ホントだってー!!!…それより何話してたの?』
「メアド…ゲットしちゃったんだよ!!!」
『嘘、すごいね!!』
「実は瑶子さんに声かける前にメグとも会ったんだ。
その時にちょっと励まされちゃって…なんとか聞けたんだよ」
『へぇー…アタシにはそんなコト一言も言ってくれないけどねー数馬?』
数馬は気まづそうな顔でアタシを見る。
「はいはい」と適当な返事で返された。
横断歩道と渡り終えた直後、数馬の携帯が鳴る。
『数馬、携帯』
「あ、ホントだ」
携帯に出ると、それはメグからの電話だった。
「えっ!?どーいうコト?!」
数馬が大声をあげる。
何?って聞いたら「瑶子さんが、危ないって…」。
普段なら絶対に見せないような表情でアタシに言う。
アタシは数馬の耳元にある携帯に耳を寄せる。
「彼女、スクラップマーダーの殺害の様子を偶然電話で聞いていたみたいで、
今店に電話してみたんだけど、彼女配達に出たまま行方が分からないって!!!」
「…えええ?!?!」
しばらく経つと数馬はさっきよりも大きく驚く。
もしかしたらスクラップマーダーの罠かもしれないと、勘がうずく。
「ちょっと電話貸して」
リュウの声だ。
「数馬、梓紗と一緒なのか?」
「うん」
「……梓紗を、頼むな」
『リュウ?!』
アタシは強引に数馬から電話を取る。
「あ、梓紗?!ケガ、すんなよ?何かあったら無理矢理でも数馬連れて逃げろよ?」
『わ、分かってるよ!!!』
そう言って数馬に電話を渡した。
「うん、分かった、じゃぁ」
数馬は電話を切る。
すると、その瞬間、数馬の携帯にメールが届く。
「…瑶子さん!!!」
「何?!瑶子さんから?!」
メールの内容は1枚の写真が添付されてるだけだった。
「この場所は……」
これ…今居る場所?!SOSだしてるのかな!?
数馬は素早くパソコン、ケーブルを出し携帯とつなぐ。
「この建物が見えるのは、方向から考えて…この廃工場だけ!!!」
『早く行こう!!ここからそう遠くないでしょ!?』
「言われなくても、行くよ!!!」
アタシと数馬は走る。
数馬にいたっては走りながらキュウに連絡を取っている。
「キュウ!!瑶子さんは廃工場だ!!!ボク先言ってる!!!」
アタシと数馬は走る。
そんなに遠くない廃工場に向かって全力で走る。
1秒でも遅れたら瑶子さんが危ないと思うと足が勝手に動く。
廃工場に着く。
ここに瑶子さんがいるはず。
足音を消し、数馬と中に入る。
だけど、整え切れない息切れは消せなかった。
鉄塔と鉄塔の間から見えたのは…瑶子さんと、落合さんだった。
な、なんで落合さんが?
もしかして…スクラップマーダー?!
あ、そっか!!!あの部屋から誰にも怪しまれずに部屋を出たのは落合さんしかいない!!!
アタシは一瞬にして察するコトができた。
数馬は少し離れると息を整えるように背を向けた。
何を考えたかと思うと。
ナイフが振りかぶられた時、飛び出して行った。
「やめろ!!!!」
『ちょ、数馬!!』
アタシは数馬の突然の行為に驚いて一緒に出てしまう。
「誰だ貴様」
落合さんは重く口を開く。
「あんたがここにいることは警察に通報した!
もう逃げられないぞ、スクラップマーダー!!!!」
「お前も邪魔をするのか。…じゃぁお前から始末してやるよ」
数馬はその言葉を聞いた瞬間、背負っていたバッグを投げつける。
その抵抗はあっけなく払われ、首に腕を巻かれ動けない状態になってしまった。
そしてミゾオチに膝を一発入れられた数馬はぐったりと倒れこむ。
『いやっ!!!数馬、数馬!!!』
「うるさいな。あー…コイツはもう伸びてる。お前も始末するか?」
『ひっ…』
落合さんの目がアタシに向けられる。
【何かあったら無理矢理でも数馬連れて逃げろよ】
リュウの声が脳裏によぎった頃には遅かった。
数馬は倒れ、アタシはもう動けない。
それに目の前に震えている瑶子さんがいるんだもん。
ごめん、リュウ、逃げられなかった。
落合さんがナイフをかまえ、アタシに向かって歩いてきた。
目の前まで歩いてきたかと思うと落合さんはさっきの瑶子さんのようにナイフを振りかぶる。
ああ、刺される。と察したアタシは無意識に目を瞑る。
「数馬ぁ―――!!!!!」
「梓紗、いるのか?!」
キュウ…と、リュウの声だ。
アタシはゆっくりと目を開けた。
目の前には振りかぶられたナイフがある。
キュウ達の存在に気づいた落合さんはアタシの肩を強く押した。
アタシは震えが止まらなくなってその場にグシャっと倒れた。
「お前達、探偵学園?!」
「まさかあなたが犯人だったなんて…なぜです?
警察官のあなたがどうして…??」
「警察官、だからこそ当然のコトをしたまでだ」
「…え?」
キュウの驚く声が聞こえる。
アタシはそこからは意識が朦朧としてよく覚えていない。
「俺が警察でいくら喚こうが、管轄が違う、被害届が出ていない。
そう言って誰も正義の裁きを行おうとしない…!!だから俺が、ゴミ掃除をしてやった。
周りを見渡してみろ!!アイツらが死んで、みんな喜んでんじゃねぇか!!!」
「じゃぁ瑶子さんは?!瑶子さんや数馬、梓紗は何をしたって言うの?!
罪の無い人を自分のために殺そうとするのが正しいって言うの?!
…そんなのおかしい。間違ってる!!!!あなたがいくら正義を気取ったって、
そんな身勝手な理屈で人の命を奪うことは絶対に許されない!!!
……僕達はあなたを絶対に認めない。
あなたはただの人殺しだよ!!!!!!!!」
「違う!!!!!!!!」
そう言って落合さんはキュウ達に近づく。
ジリジリと後ずさりをする3人。
危ないよ、ケガしないでって言ったのはそっちなんだから、守ってよ。
すると上からキンタが降ってきた!!
アタシは突然過ぎて目を丸くした。
その瞬間激しい戦いは始まった。
落合さん、キンタ、キュウは向こう側に走って行ってしまった。
「大丈夫ですか?!」
メグとリュウが瑶子さんのもとへ走って行く。
ああ、良かった、瑶子さんが無事で…。
数馬も膝をくらっただけでケガはしてないと思うし…。
あとはキンタとキュウがケガしないでくれれば。
「梓紗!!!大丈夫か?!」
リュウの声がする。
「梓紗、大丈夫か、立てるか、ケガしてないか?」
リュウがアタシにそっと腕を回して起き上がらせる。
『ん…大丈夫。それより…数馬と瑶子さんは?無事?』
「うん、大丈夫。大丈夫だよ。ああ、もう、ホント心配したんだから。
来た時、梓紗にナイフが向けられててホントに、どうしようかと思った」
『大丈夫だって!ほら、ケガもしてない…あ』
足には大きな擦り傷があった。
多分キュウ達が来たときに安心して倒れちゃった時の傷だ。
「うわ、大きい傷あるじゃん。ミッションルームまで我慢できるか?」
『だから、大丈夫だって!!心配し過ぎ』
数馬の方にはキュウが行ってるみたい。
チラッと様子を見たら、キュウが数馬を起こしてあげてて、トンと背中を押してた。
きっと、瑶子さんのとこに行きな…って意味だと思う。
数馬は瑶子さんに歩み寄る。
「…瑶子さん……」
数馬に気付いた瑶子さんは座っていたイスから立ち上がり、数馬に近寄る。
そして「ありがとう」。
そう呟いた瑶子さんは数馬を抱きしめる。
そう言った後に瑶子さんは数馬から離れ、
「ありがとう、数馬クン」
数馬の目を見て、ゆっくりと言った。
「ありがとう」
そしてまた抱きしめる瑶子さん。
怖くて震える瑶子さんをただ見つめていた数馬。
何を考えてるんだろう…。
「梓紗」
『ん?』
「ホント心配したんだから」
そう言って瑶子さんのようにアタシを抱きしめるリュウ。
『うわっ』
思いっきり抱き寄せられてたのと、突然でビックリして声が出た。
『ちょ、みんな居るよっ!!』
「別に大丈夫だよ、みんな数馬の方見てるし」
アタシは少し戸惑ったけど、言ってみることにした。
『……ありがとう、リュウ』
リュウは少し驚いたようにピクッとしたけど、さっきよりも強い力で抱きしめてくれた。
「いいよ、何でも。梓紗が無事ならそれで」
しばたくすると、警察が来た。
数馬が通報したんだって。
廃工場にはアタシら6人と諸星警部、猫田さん、そして落合さん、警察しかいない。
暴れる落合さんを警察がおさえる。
それで落合さんは抵抗している。
「落合!!!!…厳しくいくぞ!覚悟しとけ!!!」
そう言って手錠をかけた時だった。
落合さんは今まで暴れていたのが嘘のように突然グタッとし始めた。
終いに何も考えていないような眼で連れて行かれてしまった。
パトカーを見送った。
…最初に口を開いたのはキンタ。
「さぁ、俺達も帰るかっ」
「帰ろっか」
「うん」
そう言ってみんな歩き始めたけど、リュウの足取りが重い。
それに気づいたアタシとキュウは立ち止まる。
「…リュウ」
キュウが声をかけた。
下を向いていたリュウがゆっくり顔を上げてキュウを見る。
「昨日…男の人に呼びとめられて、妙なコト言われたんだけど」
『あ、』
リュウは「何?」と言いたげな顔で少し首を傾げる。
「【天草流の正体を知ってるか】…って」
アタシもリュウを見る。
それを聞いた瞬間、リュウはキュウから目をそらした。
「それって…どういうコト?」
『…リュウ、アタシも一緒にいたんだけど…どーいうコト?』
リュウは下を向き続けている。
「今はまだ…話したくないんだ」
リュウはしばらく下を見続けた後、1人で歩いて行ってしまった。
「わかった!!!…僕からはもう、詮索しない」
足を止める。
「だから、リュウから話してくれるまで待つから、ね」
『あ、アタシも待つ!!!』
リュウはすたすたと歩いて行ってしまった。
その後はキュウとまた昨日と同じ道を歩いて帰った。
神社の前を通るとき、少しだけ、寒気がした。
次の日、ダーツバーの前で少しボーッとしてたらキュウとキンタが来た。
アタシらは話が盛り上がって、笑いながらミッションルームへと到着。
すると、イスに座っていたメグの姿が1番に飛び込んできた。
笑いながら入ってきたアタシ達に「しーっ」と呼びかける。
「アレ?数馬、どうしたの?」
『何?暑さでダウン?具合悪いの?』
「それがさー…」
メグが立ち上がり、アタシ達の方へ歩いてきた。
「ふふ……瑶子さん、結婚するんだって…!!」
「ええっ?」
「ええ?マヂで?」
『嘘ぉ?!』
「え…じゃぁ、数馬…フラレちゃったの?」
その言葉を聞いた数馬は机に伏せていた顔がグンッと起き上がった。
「ちゃん、ちゃんと告ったわけじゃないからフラれたとは…いい、言えないよ」
「どんだけ負けず嫌いなんだよ」
『そうだね、うん。数馬はまだ告ってないもんねー?』
「梓紗、それ、どーいう意味」
『いや?』
すると、数馬の携帯の軽快な着信音が鳴る。
ゆっくりと携帯に手を伸ばし、電話に出る数馬。
「もしもし、……はぁ、はい。申し訳ありません。
ゲーム製作の方は当分休ませてもらいます。今、本気でやりたいコトがあって…
失礼します」
電話を切った数馬にいち早く話しかけたのはキュウだった。
「ねぇ数馬…本気でやりたいコトって…」
「デジタルだろうと、アナログだろうと…キュウ達には負けないからね!!!」
数馬はアタシ達の方を指差して言い放った。
『な、何?どうしたの』
その次にバシッと見せてきた紙には、
「何それ」
「…探偵養成ギブスさ…」
数馬はメガネを上げてしゃべる。
「これさえあれば、キンタにも負けない体力がつく!!!」
「こんなの作ってる暇あったら、腕立てでもやってろ!」
キンタは数馬の持っている紙を取り上げた。
数馬は「ちょっと」とすごく返してもらいたそうだ。
数馬から取り上げた紙とキンタはメグに渡し、メグの方に数馬が来たかと思うと、
その紙をアタシによこした。
「エネルギー向ける方向間違ってるよねー、はいっ!!」
『よくできてると思うけど…これはねぇー?』
「ちょっと、返せって」
数馬が来たからアタシはキンタに紙を渡す。
…―――その日はリュウがミッションルームに顔を出すことはなかった。
アタシは昨日の神社でのコトも気になったけど、
やっぱり事件が気になったので、例のマンションに来てみた。
ミッションルームに行ったら誰もいなくて、
じゃぁ事件現場行ってみよう…というコトで来てみたんだけど…。
行く途中であの花屋さんに寄ってみるコトに。
すると、数馬が店の前のベンチに1人で座っているのが見えた。
すぐに近づこうとしたけど、店から瑶子さんに話しかけられたらしく、
数馬は席を立ってしまう。
あ、と思って方向転換をしようかと思うと数馬は1人で歩きだしてしまった。
アタシは急いで数馬の後を追う。
『よっ、数馬!!!』
「…もしかして、ずっといたなんて言わないよな?」
『言わない言わない!!!たったさっき見つけただけ』
「ホント?」
『ホントだってー!!!…それより何話してたの?』
「メアド…ゲットしちゃったんだよ!!!」
『嘘、すごいね!!』
「実は瑶子さんに声かける前にメグとも会ったんだ。
その時にちょっと励まされちゃって…なんとか聞けたんだよ」
『へぇー…アタシにはそんなコト一言も言ってくれないけどねー数馬?』
数馬は気まづそうな顔でアタシを見る。
「はいはい」と適当な返事で返された。
横断歩道と渡り終えた直後、数馬の携帯が鳴る。
『数馬、携帯』
「あ、ホントだ」
携帯に出ると、それはメグからの電話だった。
「えっ!?どーいうコト?!」
数馬が大声をあげる。
何?って聞いたら「瑶子さんが、危ないって…」。
普段なら絶対に見せないような表情でアタシに言う。
アタシは数馬の耳元にある携帯に耳を寄せる。
「彼女、スクラップマーダーの殺害の様子を偶然電話で聞いていたみたいで、
今店に電話してみたんだけど、彼女配達に出たまま行方が分からないって!!!」
「…えええ?!?!」
しばらく経つと数馬はさっきよりも大きく驚く。
もしかしたらスクラップマーダーの罠かもしれないと、勘がうずく。
「ちょっと電話貸して」
リュウの声だ。
「数馬、梓紗と一緒なのか?」
「うん」
「……梓紗を、頼むな」
『リュウ?!』
アタシは強引に数馬から電話を取る。
「あ、梓紗?!ケガ、すんなよ?何かあったら無理矢理でも数馬連れて逃げろよ?」
『わ、分かってるよ!!!』
そう言って数馬に電話を渡した。
「うん、分かった、じゃぁ」
数馬は電話を切る。
すると、その瞬間、数馬の携帯にメールが届く。
「…瑶子さん!!!」
「何?!瑶子さんから?!」
メールの内容は1枚の写真が添付されてるだけだった。
「この場所は……」
これ…今居る場所?!SOSだしてるのかな!?
数馬は素早くパソコン、ケーブルを出し携帯とつなぐ。
「この建物が見えるのは、方向から考えて…この廃工場だけ!!!」
『早く行こう!!ここからそう遠くないでしょ!?』
「言われなくても、行くよ!!!」
アタシと数馬は走る。
数馬にいたっては走りながらキュウに連絡を取っている。
「キュウ!!瑶子さんは廃工場だ!!!ボク先言ってる!!!」
アタシと数馬は走る。
そんなに遠くない廃工場に向かって全力で走る。
1秒でも遅れたら瑶子さんが危ないと思うと足が勝手に動く。
廃工場に着く。
ここに瑶子さんがいるはず。
足音を消し、数馬と中に入る。
だけど、整え切れない息切れは消せなかった。
鉄塔と鉄塔の間から見えたのは…瑶子さんと、落合さんだった。
な、なんで落合さんが?
もしかして…スクラップマーダー?!
あ、そっか!!!あの部屋から誰にも怪しまれずに部屋を出たのは落合さんしかいない!!!
アタシは一瞬にして察するコトができた。
数馬は少し離れると息を整えるように背を向けた。
何を考えたかと思うと。
ナイフが振りかぶられた時、飛び出して行った。
「やめろ!!!!」
『ちょ、数馬!!』
アタシは数馬の突然の行為に驚いて一緒に出てしまう。
「誰だ貴様」
落合さんは重く口を開く。
「あんたがここにいることは警察に通報した!
もう逃げられないぞ、スクラップマーダー!!!!」
「お前も邪魔をするのか。…じゃぁお前から始末してやるよ」
数馬はその言葉を聞いた瞬間、背負っていたバッグを投げつける。
その抵抗はあっけなく払われ、首に腕を巻かれ動けない状態になってしまった。
そしてミゾオチに膝を一発入れられた数馬はぐったりと倒れこむ。
『いやっ!!!数馬、数馬!!!』
「うるさいな。あー…コイツはもう伸びてる。お前も始末するか?」
『ひっ…』
落合さんの目がアタシに向けられる。
【何かあったら無理矢理でも数馬連れて逃げろよ】
リュウの声が脳裏によぎった頃には遅かった。
数馬は倒れ、アタシはもう動けない。
それに目の前に震えている瑶子さんがいるんだもん。
ごめん、リュウ、逃げられなかった。
落合さんがナイフをかまえ、アタシに向かって歩いてきた。
目の前まで歩いてきたかと思うと落合さんはさっきの瑶子さんのようにナイフを振りかぶる。
ああ、刺される。と察したアタシは無意識に目を瞑る。
「数馬ぁ―――!!!!!」
「梓紗、いるのか?!」
キュウ…と、リュウの声だ。
アタシはゆっくりと目を開けた。
目の前には振りかぶられたナイフがある。
キュウ達の存在に気づいた落合さんはアタシの肩を強く押した。
アタシは震えが止まらなくなってその場にグシャっと倒れた。
「お前達、探偵学園?!」
「まさかあなたが犯人だったなんて…なぜです?
警察官のあなたがどうして…??」
「警察官、だからこそ当然のコトをしたまでだ」
「…え?」
キュウの驚く声が聞こえる。
アタシはそこからは意識が朦朧としてよく覚えていない。
「俺が警察でいくら喚こうが、管轄が違う、被害届が出ていない。
そう言って誰も正義の裁きを行おうとしない…!!だから俺が、ゴミ掃除をしてやった。
周りを見渡してみろ!!アイツらが死んで、みんな喜んでんじゃねぇか!!!」
「じゃぁ瑶子さんは?!瑶子さんや数馬、梓紗は何をしたって言うの?!
罪の無い人を自分のために殺そうとするのが正しいって言うの?!
…そんなのおかしい。間違ってる!!!!あなたがいくら正義を気取ったって、
そんな身勝手な理屈で人の命を奪うことは絶対に許されない!!!
……僕達はあなたを絶対に認めない。
あなたはただの人殺しだよ!!!!!!!!」
「違う!!!!!!!!」
そう言って落合さんはキュウ達に近づく。
ジリジリと後ずさりをする3人。
危ないよ、ケガしないでって言ったのはそっちなんだから、守ってよ。
すると上からキンタが降ってきた!!
アタシは突然過ぎて目を丸くした。
その瞬間激しい戦いは始まった。
落合さん、キンタ、キュウは向こう側に走って行ってしまった。
「大丈夫ですか?!」
メグとリュウが瑶子さんのもとへ走って行く。
ああ、良かった、瑶子さんが無事で…。
数馬も膝をくらっただけでケガはしてないと思うし…。
あとはキンタとキュウがケガしないでくれれば。
「梓紗!!!大丈夫か?!」
リュウの声がする。
「梓紗、大丈夫か、立てるか、ケガしてないか?」
リュウがアタシにそっと腕を回して起き上がらせる。
『ん…大丈夫。それより…数馬と瑶子さんは?無事?』
「うん、大丈夫。大丈夫だよ。ああ、もう、ホント心配したんだから。
来た時、梓紗にナイフが向けられててホントに、どうしようかと思った」
『大丈夫だって!ほら、ケガもしてない…あ』
足には大きな擦り傷があった。
多分キュウ達が来たときに安心して倒れちゃった時の傷だ。
「うわ、大きい傷あるじゃん。ミッションルームまで我慢できるか?」
『だから、大丈夫だって!!心配し過ぎ』
数馬の方にはキュウが行ってるみたい。
チラッと様子を見たら、キュウが数馬を起こしてあげてて、トンと背中を押してた。
きっと、瑶子さんのとこに行きな…って意味だと思う。
数馬は瑶子さんに歩み寄る。
「…瑶子さん……」
数馬に気付いた瑶子さんは座っていたイスから立ち上がり、数馬に近寄る。
そして「ありがとう」。
そう呟いた瑶子さんは数馬を抱きしめる。
そう言った後に瑶子さんは数馬から離れ、
「ありがとう、数馬クン」
数馬の目を見て、ゆっくりと言った。
「ありがとう」
そしてまた抱きしめる瑶子さん。
怖くて震える瑶子さんをただ見つめていた数馬。
何を考えてるんだろう…。
「梓紗」
『ん?』
「ホント心配したんだから」
そう言って瑶子さんのようにアタシを抱きしめるリュウ。
『うわっ』
思いっきり抱き寄せられてたのと、突然でビックリして声が出た。
『ちょ、みんな居るよっ!!』
「別に大丈夫だよ、みんな数馬の方見てるし」
アタシは少し戸惑ったけど、言ってみることにした。
『……ありがとう、リュウ』
リュウは少し驚いたようにピクッとしたけど、さっきよりも強い力で抱きしめてくれた。
「いいよ、何でも。梓紗が無事ならそれで」
しばたくすると、警察が来た。
数馬が通報したんだって。
廃工場にはアタシら6人と諸星警部、猫田さん、そして落合さん、警察しかいない。
暴れる落合さんを警察がおさえる。
それで落合さんは抵抗している。
「落合!!!!…厳しくいくぞ!覚悟しとけ!!!」
そう言って手錠をかけた時だった。
落合さんは今まで暴れていたのが嘘のように突然グタッとし始めた。
終いに何も考えていないような眼で連れて行かれてしまった。
パトカーを見送った。
…最初に口を開いたのはキンタ。
「さぁ、俺達も帰るかっ」
「帰ろっか」
「うん」
そう言ってみんな歩き始めたけど、リュウの足取りが重い。
それに気づいたアタシとキュウは立ち止まる。
「…リュウ」
キュウが声をかけた。
下を向いていたリュウがゆっくり顔を上げてキュウを見る。
「昨日…男の人に呼びとめられて、妙なコト言われたんだけど」
『あ、』
リュウは「何?」と言いたげな顔で少し首を傾げる。
「【天草流の正体を知ってるか】…って」
アタシもリュウを見る。
それを聞いた瞬間、リュウはキュウから目をそらした。
「それって…どういうコト?」
『…リュウ、アタシも一緒にいたんだけど…どーいうコト?』
リュウは下を向き続けている。
「今はまだ…話したくないんだ」
リュウはしばらく下を見続けた後、1人で歩いて行ってしまった。
「わかった!!!…僕からはもう、詮索しない」
足を止める。
「だから、リュウから話してくれるまで待つから、ね」
『あ、アタシも待つ!!!』
リュウはすたすたと歩いて行ってしまった。
その後はキュウとまた昨日と同じ道を歩いて帰った。
神社の前を通るとき、少しだけ、寒気がした。
次の日、ダーツバーの前で少しボーッとしてたらキュウとキンタが来た。
アタシらは話が盛り上がって、笑いながらミッションルームへと到着。
すると、イスに座っていたメグの姿が1番に飛び込んできた。
笑いながら入ってきたアタシ達に「しーっ」と呼びかける。
「アレ?数馬、どうしたの?」
『何?暑さでダウン?具合悪いの?』
「それがさー…」
メグが立ち上がり、アタシ達の方へ歩いてきた。
「ふふ……瑶子さん、結婚するんだって…!!」
「ええっ?」
「ええ?マヂで?」
『嘘ぉ?!』
「え…じゃぁ、数馬…フラレちゃったの?」
その言葉を聞いた数馬は机に伏せていた顔がグンッと起き上がった。
「ちゃん、ちゃんと告ったわけじゃないからフラれたとは…いい、言えないよ」
「どんだけ負けず嫌いなんだよ」
『そうだね、うん。数馬はまだ告ってないもんねー?』
「梓紗、それ、どーいう意味」
『いや?』
すると、数馬の携帯の軽快な着信音が鳴る。
ゆっくりと携帯に手を伸ばし、電話に出る数馬。
「もしもし、……はぁ、はい。申し訳ありません。
ゲーム製作の方は当分休ませてもらいます。今、本気でやりたいコトがあって…
失礼します」
電話を切った数馬にいち早く話しかけたのはキュウだった。
「ねぇ数馬…本気でやりたいコトって…」
「デジタルだろうと、アナログだろうと…キュウ達には負けないからね!!!」
数馬はアタシ達の方を指差して言い放った。
『な、何?どうしたの』
その次にバシッと見せてきた紙には、
「何それ」
「…探偵養成ギブスさ…」
数馬はメガネを上げてしゃべる。
「これさえあれば、キンタにも負けない体力がつく!!!」
「こんなの作ってる暇あったら、腕立てでもやってろ!」
キンタは数馬の持っている紙を取り上げた。
数馬は「ちょっと」とすごく返してもらいたそうだ。
数馬から取り上げた紙とキンタはメグに渡し、メグの方に数馬が来たかと思うと、
その紙をアタシによこした。
「エネルギー向ける方向間違ってるよねー、はいっ!!」
『よくできてると思うけど…これはねぇー?』
「ちょっと、返せって」
数馬が来たからアタシはキンタに紙を渡す。
…―――その日はリュウがミッションルームに顔を出すことはなかった。
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