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ドリーム小説
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*第4話*~ネットの恐怖から仲間を救え ④

足音が聞こえる。
そう思って少し意識が戻ってきた。
目は…まだ開けられていない。
足音が近付く。
さっきは気づかなかったけど、かなりの人数で…走ってきている。
誰…アタシ達に追い打ちをかける何者か…?

大きな音をたてて、扉が開かれた。
「メグ!!!!」
「梓紗!!!!」
キュウ、それにリュウの声だ。
そう気づいた瞬間、これは夢なのかと自分で確認したほどだった。
「あ…梓紗!!!!!」
「メグ!!」
さらに近付いて聞こえるリュウの声。
リュウがアタシを呼ぶ声。
でもいつもの冷静な声ではなかった。
息が切れてて今にも崩れそうな声だった。
その瞬間、肩に温かいものが触れた。
「梓紗、しっかりしろ、大丈夫か?!梓紗!!」
肩をゆすられ、嫌でも現実に引き戻される。
ゆっくり目を開けると、夢だと思っていたリュウが目の前にいる。
それを気付かされた時、不安と安心が一気に訪れ、
アタシは泣きそうになったのを必死にこらえた。

リュウは口に貼られていたテープを優しく剥がしてくれた。
不安でリュウに抱きつきたい思いも、腕がつながれていてできないことに腹が立つ。
『あ、…リュ、リュウ…』
長い間しゃべっていなかったようには思わなかったのだか、
震えて上手くしゃべることができなかった。
「だい、大丈夫か?!」
『大丈夫だよ、薬品嗅がされただけだと思うし…』
リュウも少し滑舌が回っていなかったのに安心を感じ、
もう不安にさせたくないという想いから、アタシの口から強がった言葉が出た。
身体は震えているのに。

その次に目に入ったのはリュウの肩だった。
ああ、抱きしめてくれてるんだ。
「ああ、もう、本当に心配させるな」
アタシの背中にあるリュウの手がすごく震えているのに気づいた。
本当に心配させちゃったんだと、すごく反省した。
自分が鈍いから勝手に連れ去られたのに、こんなに震えて探してくれた…。
『ごめん、ありがとう…』
「無事ならそれでいいよ」
リュウのその言葉を聞いた時、さっき止まりかけていた涙がまた溢れてきた。
更に心配させちゃうから、泣かないと決意した。
アタシも抱き返したいと腕を動かしたが、つながれているのを改めて分かり、
さっき以上の苛立ちを感じた。
『リュウ、ありがとう…ごめんね』
リュウは小さな声で「うん」と言ったのが聞こえた。
その声は、さっき以上に震えていた。

『メグっ、メグは?』
「メグも無事だよ」
隣にはキュウとメグの姿があった。
正面には富永クン、朝吹さん、遠矢さんの姿も。
リュウとキンタが腕の紐を外してくれた、抱きついたい想いを封じてメグを見つめた。
「それより…」
メグが指差した黒幕。
その向こうに…何が………か、亀田クン!!!!
キンタがさっと立ち上がり、幕の元へ歩いて行く。
できることなら、見たくない。
リュウは震えるアタシの手をぎゅっと握ってくれた。
アタシもリュウにぎゅっと握り返す。

バッとキンタが幕を開くと、そこにはシャツが真っ赤に染まった亀田クンの姿だった。


その後は警察が来て、救急車が来て。
救急車にはアタシとメグと亀田クンを乗せて病院へと向かった。
キュウが「僕も行く!!」ってきかなかったのを、メグが説得してるのを見て、
「ああ、いつものみんなだ」と感じれたことが嬉しかった。
リュウは最後まで心配そうに見つめてくれていた。
アタシが微笑むとリュウも無理に笑ってくれた。

病院では精密検査をするって言ってたけど、
軽くレントゲンみたいなのを撮って、薬飲まされて点滴打って寝てるだけで。
先生には「どこも異常なしです」って言われたし、なんでもなかったみたい。
「梓紗」
『メグ?』
「こ、怖かったね、私、本当に死ぬんだと思ったもん」
『アタシだって!!ホント、怖くて…』
「助けてもらえてさ…私達、幸せだよね…」
『うん…ホントに』
メグの顔はとろーんとしてた。
『メグ?』
「あ、え、何?!」
『今、もしかしてキュウのコト考えてた?』
「な、なにそれ?!あ、梓紗こそ!!リュウのコト、じゃないの?!
 …だ、抱きしめられてたじゃんっ」
『わ、わわ!!何言ってんの!!いや、でも助けてもらったし!!!
 心配してくれたんだよっ、別に深い意味なんかは…』
「それ!!私はそれなの!!助けてもらったから!!」
『もう、メグうるさいよ!!ここ病院なんだから!!』
「それは梓紗もでしょーがっ!!」
やっぱりメグはキュウを好きなんだなーって再確認。
こんなに赤くなってるなんて…ねぇ?
アタシもリュウを話に持ち込まれたとき、ちょっと焦ったけど…。
でも…抱きしめてくれた時、心臓の奥ががきゅーってなった。

タクシー拾って寮に帰ろうと思ってた時、「ねぇお腹すかない?」ってメグ。
「まぁ…ちょっとは」
「あそこ、行かない?」
メグが指差したのは、ラーメン屋さん。
「い、いいよ?」
アタシがそう言った瞬間メグは勢いよく走り出して、「チャーシュー麺2つ!!」と注文していた。
ああ、2つって…ひとつはアタシのか。
アタシが半分くらい食べてる頃にメグは1杯目完食。
「すいません…ラーメン、もう1杯お願いしますっ!!」
「ええ?!」
「だってさー、お腹すいちゃってっ♪」
アタシが1杯目を食べ終わった少し後にメグは2杯目を完食した。
改めてタクシーを拾い、寮に帰った。

タクシーを降りると、女子寮の玄関にはキュウが待っていてくれていた。
メグはそれに気づいていないみたいで、つまようじで口の中をイジっている。
「メグっ!!キュウ、待っててくれてるよ?」
「え?!」
「メグ…っ?」
するとメグは我に返り、つまようじをポイと捨てると、
何も見てないよね?と言いたげな顔で優雅に手を振って見せていた。

「なんかすっごくお腹すいちゃってー…病院の前の店でラーメン、2杯も食べちゃったっ♪」
「2杯…あ、梓紗は?」
『いやぁーアタシは1杯しか食べてませんよ?』
「だろーね」
「ちょっと、キュウそれどーいう意味よ?!」
「いやいやいや」
「なっがぁーい緊張から解放されると、急にお腹すくことってあるよねっ」
「うん、あぁーるぅ、ねぇ、うんある」
「味はいまいちだったけどね」
『味はいまいちなのに、2杯食べたからねこの人』
「最強だよね」
すると、キュウが身体中をかき回している。
待ってくれてる間に蚊に刺されたんだろう。
「何?かゆいの?」
「うん、かゆい」
「ああ、そう」

「あっ、ここ!ここ!!」
メグは部屋についたみたい。
アタシはメグの部屋の1個手前。
『あ、アタシの部屋も、こっち』
「じゃぁねーっぇ!!お、や、す、みぃーっ!!!」
メグは自己紹介の時のフリを「おやすみ」にあてはめてキュウに向けた。
「じゃあね、お、や、す、みぃっ!!」
『お、や、す、みぃっ!!!』
みんなで「おやすみ」をして、手を振って別れた。
キュウはまだ身体のあちこちがかゆいみたいで、かきながら帰って行った。
アタシはメグにもう1度「んじゃ、おやすみー」と言った。
メグは少し元気なさげに「おやすみ!!」と言ってドアノブを回そうとしていた。
アタシはちょっと気になったけど、何だかキュウは戻ってきてくれるような気がして、
部屋に入って行った。

部屋に戻ってベットにはぁーっと大きなため息をついて飛び込む。
すると、何だか手足が縛られてるような感覚に襲われた。
バッと腕を動かしてもあたりまえに繋がれてなどいない。
怖くて目を閉じると、走馬灯のように倉庫での不安が蘇る。
コレクターと亀田クンの悲劇がうずをまく。
恐怖と不安で身体が徐々に震えだしてきた。
そこに机の上に置いた携帯が大きなバイブ音でアタシを驚かせる。
発信は…リュウだ。
『りゅ、リュウっ?!』
「あ、梓紗、今キュウに2人が帰ったって聞いたから…」
『うん』
「今1人?」
『うん』
「1人で大丈夫?」
『だ、大丈夫じゃない!!さっきね、手足が縛られるような感じがしたし、
 目を閉じると、カメラを向けられた瞬間が蘇るの…』
「僕の部屋、来るか?」
『い、行くっ!!』
「すぐ迎えに行くから、待ってて!!」
リュウはそれだけ言ってプチっと電話を切った。

リュウは5分も経たないうちに来てくれた。
「ごめん、待った?」
『ううん、全然。隣メグの部屋なんだけど、多分、キュウがいるんだ』
「そっか」
『仲良くていいよね、あの2人。似合ってる』
「…行くぞ」
『…?うん』

リュウの部屋に着くと、そこは物静かな部屋だった。
部屋に付属されてる家具以外はほとんど何もない状態だった。
『リュウの部屋、来た時と全然変わってないっ』
「そーいう梓紗は部屋に何か置いたの?」
『時計とか…まぁアタシもそれくらいかっ!!』
「だろ?」
すると、リュウの携帯が鳴った。
「…朝吹さんだ」
『え?』
「…出るよ?……はい」
何を言ってるのかは分からないけど、電話越しに朝吹さんの声がする。
リュウの顔が少し険しくなった。
『何?どーしたの?』
アタシは携帯に耳を近付けた。
【あれっ、もしかして今橘さんの部屋にいる?】
「いないけど」
【じゃあ天草クンの部屋に橘さんがいるの?】
「いるよ」
『なになにー?』
【え、嘘、それってもしかして邪魔しちゃった?】
『…えっ』
「ん、まぁそうかもしれない」
『ちょ、リュウ、何言ってんの!!」
「んで?話の続き」
【あ、そうそう、亀田殺しの重要なヒントを見つけたの】
「え?」『え?』
【あっ…ごめん、誰か来た。またあとで電話するね。
 橘さんと、仲良くやってください♪】
そう言って朝吹さんは電話を切った。
亀田殺しの重要なヒントを見つけた?
『朝吹さん、アタシが電話を聞く前、何て言ってたの?』
「何?気になるの?」
『違うくて!!!』
「見せたいものがある…って言ってたけど」
『あ、それが亀田クン殺しの重要なヒントってコトか…』

すると、ドアの方からトントンとノックをする音がした。
『誰か、来たんじゃない?』
「うん」
リュウはゆっくりドアへ歩いて行く。
アタシもその後を追う。
ドアを開けるとそこに立っていたのは…「遠矢さん…?」
遠矢さんが申し訳なさそうに立っていた。
『え?遠矢さんっ?!』
「あ、え、すいません!突然お邪魔しちゃって…」
「いや、別に大丈夫なんだけど」
「いや、だって、橘さんと2人のとこに割って入るのは申し訳なくて…」
『ああー…アタシ、今日のコトが1人だと思いだして怖いから、
 リュ、天草クンのトコにお邪魔してただけだからっ』
「や、え、す、すいません!…それで、またネット版に奇妙なメッセージがアップされてて…。
 怖くなって…」

それを聞いて、早速ネット掲示板へとページを飛んだ。
すると【午後9時よりビックリ映像生中継】という書き込みとURLがアップされていた。
「9時より生中継…」
『9時って…もう9時なんじゃないの?」
リュウの時計を見ると、9時の少し前だった。
「…これ、放送部が使っている、映像配信アドレスだと思います…」
リュウがURLをクリックする。
黒画面に赤字で【某所より生中継中】と出てきた。
「梓紗、悪いんだけど、キュウに連絡してくれ」
『わ、分かった』
アタシは携帯を取り出して、キュウに発信した。
【もしもしっ】
『キュウ、コレクターがまた現れたの!!』
【え!!?】
パソコンでは画面が切り替わり、建物が映し出されている…廊下?少し見覚えが…。
「ここ、女子寮だわっ!!」
遠矢さんの一言で「そうだ」と確信した。
カメラはゆっくりと誰かの部屋へと向かっていく。
アタシはメグの部屋じゃないことだけを祈って画面を見ていた。
ノックをして、ドアが開く。
その部屋の女生徒の下半身のみが映し出される。
手招きをして、部屋の中へと案内しているのが見受けられる。
そして、部屋の奥の方まで来たかと思うとカメラと女生徒の距離が縮まっていく。
ずんっ、という音と同時に女生徒は倒れてしまった。
何…え?まさか、そんなはずないよね?
次に時計が映る…9時だ。
大きな音がしたかと思えばカメラは女生徒へと向けられる。
さっきとは体勢が違っていた。
足が伸び、しっかりと気をつけをして寝ている状態である。
足もとからゆっくりと上半身へとカメラが動く……!!!!
胸にクッションの上からナイフが刺されてある。
『い、いゃっ…!!』
「ひぃっ…」
遠矢さんも声が漏れていた。
リュウはアタシの頭を腕で覆ってくれた。
そしてゆっくりと顔の方へと向かっていく…や、う、あ…あ、あさ、




『朝吹さんっ…………!!!!』

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