ドリーム小説
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*第4話*~ネットの恐怖から仲間を救え ②
教室に戻ると人影は少なく、静かな空間が広がっていた。
アタシ達はそれぞれ自分の席へと向った時、1人の男子が話しかけてきた。
「なんだよぉ、転校生同士でつるんでどこ行ってたんだよ」
アタシ達は少し愛想笑いを浮かべた。
だって、そんなコト聞かれたってどうしようもないじゃん!!!
「俺、クラス委員の富永。何かわかんないコトあったらさ、何でも聞いてよ!!」
「うん、ありがとう」
「んでーこっちが」
すると富永クンは隣にいる女子に手を向ける。
あ、さっき冨永クンと一緒に教室入ってくるのが少し見えた!!
「女子のクラス委員の…」
「ととと、遠矢、邦子です。どうぞ、よろしくお願いします!!!」
遠矢さんは深々と頭を下げた。
『え、いや、こっちの方こそよろしくお願いします!!!』
アタシ達はいてもたってもいられなく、頭を下げる。
「なぁーにかたっくるしい挨拶してんのよぉ!!!」
髪が長く、元気のいいコが入ってきた。
「あたし、朝吹麻耶!!よろしくねっ!!」
そう言って朝吹さんはキュウに手を差し伸べる。
握手を望んでいるのだろう。
「お願いします!!」キュウが握手する。
「どうも」メグとも握手をする。
『よろしくね』アタシとも握手をしてくれた。
と、アタシの手を掴んだまま黒板の方へと連れて行かれる。
「ねぇ、梓紗ってさ、天草クンと知り合いなの?!」
『えー…いや、知り合いっていうか、さっき会ったばっかりだし…。
転校生同士だから、ちょっと話すくらいだよ』
「彼、彼女とかいるかなぁ…?いるよねーあの美貌だし…普通。頭もいいしさぁー…」
『ど、どうかなぁ…』
「彼、次のテストで間違いなくトップとるわよ」
…嘘。
リュウ、そんなに?!
しかも朝吹さん、リュウのコト好きみたいな感じだし。
「亀田、次のテスト楽しみだね」
朝吹さんは前の席に座っている亀田クンに話しかけた。
亀田クンが振り返らず「せやなぁ、小椋が姿消してもーてから競う相手がおらへんで退屈してたんや」と、
呟いて教科書、ノートを片づけたかと思うと、それを持って立ち上がり、
「久々にやる気出てきたわ」と言い教室を出て行ってしまった。
亀田クンが出て行ったあとの教室は静かな空気が流れた。
『小椋さんって誰?』
「ああ…小椋絵美菜っていってこの学校でずっと成績トップだった子。
1ヶ月前、突然学校から姿消したの!!」
「亀田の奴、小椋がいた頃は敵意むき出しだったもんな」
「そう、絵美菜の失踪に亀田が関わってるんじゃないか、って噂になったくらいだもんね」
「や、やっぱり…絵美菜はコレクターに殺されたんだよ」
「冨永またその話?!」
「でもネットじゃぁ、すげぇ話題になってんだぜ」
「ね、殺されたってどーいうコト?」
キュウがすかさず聞く。
「うちの学校に通ってる生徒がコレクターっていう殺人気に殺されたって
話題がネットですげぇ広がってんだ…」
キュウの顔つきが変わるのが分かる。
「しかも、その殺人ビデオ…見た奴もいるらしいんだ」
「らしいって…実際に見た人はいないの?」
「まぁね…でも先週うちの3年が、学校で何者かに殺されかけて
ショックなあまり学校退学しちゃったんだぜ」
「あれは、コレクターを真似た誰かの悪質ないたずらよ」
「いや、コレクターは絶対この学校にいるって!!!」
冨永クンと朝吹さんは少しケンカ口調になってきている。
アタシはこの空気を変えたくて仕方無かったので切り替えてみることに。
『と、遠矢さんは?どー思う??』
「あたしは…、わかりません…」
「でも、もし本当にそんなクレイジーな殺人鬼いるとしたら、考えられるのはあの人ね」
朝吹さんは口を開いた。
……あの人?
「誰?あの人って」
メグが疑問を口にした。
アタシも聞こうと思っていたので、相槌をする。
「放課後、嫌でも会えるよ」
冨永クンはすごく嫌そうな顔をして答えてくれた。
やっぱり、キュウはさっきから顔付きが変わったままだった。
「梓紗!!!」
放課後、アタシは特にするコトもなく、廊下をうろついていたらキュウに話しかけられる。
『キュウ?あ、リュウもいんじゃん、何??』
「放課後、梓紗って女子寮に行くよね?」
『あ、そっか。そうだね、たぶん行くと思う…』
「そのことなんだけど…急で悪いんだけど、梓紗も一緒に男子寮に来てくれないかな?」
『…はっ?!』
「いや、その後ちゃんと女子寮に送るんだけど、挨拶の時だけ来てほしいんだ」
『いいけど…男子寮に女子が入ってもいいの?』
「い…いのかなぁ?僕、その辺はまだ聞いてないんだけど」
「いいってさ。僕がさっき冨永クンに聞いてきた」
『うっわぁ、リュウ準備いいなー』
と言ってアタシはキュウを少し見た。
「じゃじゃ、じゃあ決定ね!!!今から行くけど…いい?」
『うん』
「じゃあ行こう」
アタシ達3人は冨永クンに連れられて男子寮へと向かう。
ああ、いまだに罪悪感がある…。
女子のアタシが入って明日から変態呼ばわりされないか…とか。
って、リュウに言ったら「それはない」って笑いながら言われた。
キュウにいたっては「梓紗、考えすぎだから。男女の行き来は普通らしいよ」だって。
どこで入れて来たんだ、その情報。
「これからぁー…うちの寮長紹介するよ」
冨永クンは愛想よく言ってくれた。
そして1つのドアの前に立ち止まると、大きく深呼吸をしノックをした。
「佐久間さん?!あ…転校生連れてきました!!!」
とだけ言い終わると、アタシ達に「前へ前へ」と言いたげな素振りをし、
「失礼しましたー」とそそくさとその場を後にしてしまった。
ドアのすりガラスの奥に見えるのは、茶髪で黒のTシャツを来てる…寮長さん。
ドアが開く。
見えたのは、やっぱり茶髪に黒のTシャツ。
読みが外れていたのは…ビデオカメラを持っていたこと。
ずっとアタシ達にカメラを向けている。
アタシら3人を順番に映してから「3年生の佐久間です…よろしく!」と挨拶してくれた。
「どーも」キュウが言う。
リュウが頭を下げる。
アタシも『どーも』と頭を下げた。
すると、佐久間さんはアタシを見て
「あれ?何で女の子がいんの?しかも可愛いーし…男子寮に入るの!」
『あっ、違います!!あの…見学というか…入ってもいいみたいだったので…』
「何?どっちかの彼女ですか?!」
『…え?』
「ち、違います」
「違います」
2人はすっぱりと否定した。
そんなに断固拒否しなくても…よくない?
と、ふと部屋の中を見れば、そこには骸骨やら傷ついた女の人の写真やらがあった。
そのアタシ達の目線に気付いた佐久間さんが言った。
「僕のぉ…コ、コレクション、興味ある?」
と言ってアタシの後れ髪をクルクルと触った。
『え、えっと…』
「僕のコレクションに…入る?!」
『えっ?!』
リュウは佐久間さんの腕を静かにどけた。
それをされた佐久間さんは「ぉぉ…」と手を離す。
「僕は…怖い、ですねぇ…」
「じゃぁ案内するよ!!!」
キュウの言葉にイラッとしたのか大声で言った。
終いには嫌味っぽくリュウに息を吐きかけた。
それに少しも動じないリュウもリュウですごいと思うけど。
「ねぇ天草クン」
佐久間さんは後ろ歩きでアタシ達を撮りながら部屋を案内する。
「もう学校中の噂になってるよ、すげぇ秀才が入学してきたぁ!!って」
「…どういうことですか?」
リュウがそっと聞いた。
「うちの生徒全員1人1台ずつパソコン持ってて、寮の部屋に入ると必ず掲示板をチェ――ックすんのっ
…気をつけた方がいいよ!」
「気をつけた方がいいっていうのは?」
キュウが無理矢理ビデオカメラに映ろうとリュウによる。
「頭のいい奴らは優遇されるけどー…憎まれもする。
…失踪した小椋絵美菜っていう1年生もそうだった」
そう言った佐久間さんの顔はどことなく切なそうに感じたのは…気のせいだろうか。
1つの部屋の前まで来る。
佐久間さんは何も言わずに入って行った。
それにつられてアタシ達3人も中に入る。
「これが天草ル――ッム!!!!」
キュウは笑顔であちこち見まわしてる。
リュウとキュウはベットの横にバックを置いていた。
アタシはすぐに帰る予定だったから持ったまま。
するとキュウは勢いよくリュウのベットにダイブした。
思ったより固ったのか、痛がっていた。
「い、いいね、気持ちいいね、これ、いいよ」
キュウは強がって言う。
『ばぁーか』
「誰か入ったのかな…?」
佐久間さんの方を見ると、撮影するのをやめてパソコンを見る。
その言葉にアタシ達はパソコンの前に集まる。
佐久間さんがパソコンを操作すると黒画面に赤文字で【コレクター】が出てきた。
『…コレ、クター…?』
すると動画が流れ始める。
イスに縛られた女の人が目の前にいる人にチェンソーを向けられて怯えている。
手もつながれていて声も出ない様子だ。
「まさか、これ、殺人ビデオ?!」
「いや。これはただの映画のワンシーンだ。確か…【変態民族連続100人殺し】。
1990年に作られたインディーズのC級映画だ」
「でも…誰がこんなイタズラを…?」
『すごく凝ってるよね…』
「早速誰かくいついてきたな、楽しみだねっ!!…これから」
佐久間さんがリュウの耳元で言う。
アタシはその後女子寮へ行き、寮長の部屋を訪問しろとのことだったので行ってみた。
「はい」と言って出てきたのは遠矢さんだった。
『女子寮の寮長って遠矢さんだったんだぁー』
「はい、それ、美南さんにも言われました」
『あ、そーなの?』
「は、はい!!!」
『そっかぁー…よろしくね!!』
「あ、よろしくお願いします!!…あ、ここです!!隣は美南さんです」
『ありがとう』
メグの部屋をチラと見る。
その奥には【小椋絵美菜】と書かれていたのがなんとなく見えた。
『突然で悪いんだけど…小椋さんってどんな人だったの?』
「すごく…素敵な人でした…。頭がいいだけじゃなく、誰にでも優しく…クラスの人気者でした!!」
『そんな人だったんだぁ…』
「ただ、彼女、家のことでは随分悩んでたみたいで…」
『家のこと?たとえば?』
「家が厳しくて自由がない、ってよくぼやいてました」
『遠矢さんって小椋さんと親しかったんだねぇ…』
アタシはそう言うと、遠矢さんは少しボーッとしてから、慌てたように急いで言った。
「あ、いえ!!!特にそういう間柄じゃ!!!失礼しますっ」
遠矢さんは深く一礼してから部屋へ戻ってしまった。
…何か触れちゃいけないトコに触れちゃったかな?
部屋に入って携帯を見ると、メールが着信されてあった。
…リュウからだ。
【午後8時に女子寮に迎えに行くから、外まで出てきて。
僕のパソコンにあった指紋をとったから教室まで検証しに行こうと思って…来てくれる?
ちなみにキュウとメグ、キンタもいるけど】
リュウからのメールなんて久しぶりすぎて、すぐに返信を送った。
【行くっ♪8時ね、了解】
夜、8時少し前に部屋を出たらメグも丁度部屋から出てきた。
『メグっ』
「あ、梓紗、行こう!!」
『うん』
「ねぇ、アタシ、ただ8時に女子寮の外にってキュウからメール来たんだけど、
なんで?理由が書いてなかったの」
『アタシね、女子寮に来る前に2人にくっついて男子寮に行ってきたの』
「え?!そーなの?!」
『うん、で、リュウの部屋のパソコンに殺人ビデオじゃないんだけど、
ある映画の殺人シーンみたいな動画が貼り付けられてて…』
「あ、それが誰なのか検証しに行くの?」
『そうそう、メグ話早いなー…』
外に出ると、3人がいた。
「行こう」
学校の中への潜入はあっさりできた。
教室までの廊下を5人で歩く。
「リュウのパソコンに殺人ビデオねぇー…」
メグが呟いた。
「キーボードやマウスから、犯人の指紋らしきものがとれた…」
「あとは教室の中の指紋と照合するだけだね」
「…え?!まさか、これから全部調べるのか!?」
『まっさかぁー』
「その心配はないよ。もう犯人の目星はついてる」
教室に入って真っ先に向かったのは…やっぱり亀田クンの机。
「この机…あの亀田って人のだ」
リュウは着々と指紋の照合を始める。
パソコンで検証したところ、見事に…MATCH
「間違いない、僕のパソコンにイタズラしたのは亀田だ」
次の日。
アタシ達は平然と授業に参加した。
「えー…今日は37ページの構成関数から始めます」
先生が授業を始めようとした時、キュウは手を挙げた。
「あのっ、先生!!」
「何?」
「亀田クンの姿が…見えないんですけど」
「出席簿に欠席届が挟まってたわ。風邪をひいたから休むって」
昼休み、アタシとメグ、朝吹さん遠矢さんで一緒に昼食をとった。
「コレクターをつきとめる?!」
「私、探偵小説とかすっごく興味あってさぁ、昨日の話聞いたら興味もっちゃって…」
『だよね?アタシも!!!アタシもそーいうのすごい好きなんだ!!』
「だよねー!!!やらない??」
「でも…何かあったらヤバくない…?」
「僕もー良かったら手伝うよ」
隣のテーブルに座ってるキュウが話しかけてくる。
これは偶然ではなく、作戦。
「俺も参加するよ、何か楽しそうだし」
冨永クンも話にのってくれた。
「え、ええ――っ!!」
朝吹さんはうなだれている。
『ね、遠矢さんも一緒にやってみない??』
すると、遠矢さんはコクリと頷いてくれた。
「天草クンもどう?」
キュウが尋ねる。
あ、天草クンだって…転校生っていう設定、大変だね…。
「僕も暇だし…手伝ってもいいよ」
といい終わったリュウは本を閉じ、朝吹さんを見つめた。
すると、パアッと笑顔になった朝吹さんは「アタシもやるっ!!」と小さく手を挙げて言った。
メグはその2人の様子を見て慌てているように見えた。
アタシもビックリだよ、リュウがそんなコトするなんて…。
その次にアタシを見て「ええ?」っとずっと小言で言っていた。
なんでアタシを見るかな…
「あ、梓紗?い、いいの?」
『…何がよ』
「いや…ううん、なんでも」
教室に戻ると人影は少なく、静かな空間が広がっていた。
アタシ達はそれぞれ自分の席へと向った時、1人の男子が話しかけてきた。
「なんだよぉ、転校生同士でつるんでどこ行ってたんだよ」
アタシ達は少し愛想笑いを浮かべた。
だって、そんなコト聞かれたってどうしようもないじゃん!!!
「俺、クラス委員の富永。何かわかんないコトあったらさ、何でも聞いてよ!!」
「うん、ありがとう」
「んでーこっちが」
すると富永クンは隣にいる女子に手を向ける。
あ、さっき冨永クンと一緒に教室入ってくるのが少し見えた!!
「女子のクラス委員の…」
「ととと、遠矢、邦子です。どうぞ、よろしくお願いします!!!」
遠矢さんは深々と頭を下げた。
『え、いや、こっちの方こそよろしくお願いします!!!』
アタシ達はいてもたってもいられなく、頭を下げる。
「なぁーにかたっくるしい挨拶してんのよぉ!!!」
髪が長く、元気のいいコが入ってきた。
「あたし、朝吹麻耶!!よろしくねっ!!」
そう言って朝吹さんはキュウに手を差し伸べる。
握手を望んでいるのだろう。
「お願いします!!」キュウが握手する。
「どうも」メグとも握手をする。
『よろしくね』アタシとも握手をしてくれた。
と、アタシの手を掴んだまま黒板の方へと連れて行かれる。
「ねぇ、梓紗ってさ、天草クンと知り合いなの?!」
『えー…いや、知り合いっていうか、さっき会ったばっかりだし…。
転校生同士だから、ちょっと話すくらいだよ』
「彼、彼女とかいるかなぁ…?いるよねーあの美貌だし…普通。頭もいいしさぁー…」
『ど、どうかなぁ…』
「彼、次のテストで間違いなくトップとるわよ」
…嘘。
リュウ、そんなに?!
しかも朝吹さん、リュウのコト好きみたいな感じだし。
「亀田、次のテスト楽しみだね」
朝吹さんは前の席に座っている亀田クンに話しかけた。
亀田クンが振り返らず「せやなぁ、小椋が姿消してもーてから競う相手がおらへんで退屈してたんや」と、
呟いて教科書、ノートを片づけたかと思うと、それを持って立ち上がり、
「久々にやる気出てきたわ」と言い教室を出て行ってしまった。
亀田クンが出て行ったあとの教室は静かな空気が流れた。
『小椋さんって誰?』
「ああ…小椋絵美菜っていってこの学校でずっと成績トップだった子。
1ヶ月前、突然学校から姿消したの!!」
「亀田の奴、小椋がいた頃は敵意むき出しだったもんな」
「そう、絵美菜の失踪に亀田が関わってるんじゃないか、って噂になったくらいだもんね」
「や、やっぱり…絵美菜はコレクターに殺されたんだよ」
「冨永またその話?!」
「でもネットじゃぁ、すげぇ話題になってんだぜ」
「ね、殺されたってどーいうコト?」
キュウがすかさず聞く。
「うちの学校に通ってる生徒がコレクターっていう殺人気に殺されたって
話題がネットですげぇ広がってんだ…」
キュウの顔つきが変わるのが分かる。
「しかも、その殺人ビデオ…見た奴もいるらしいんだ」
「らしいって…実際に見た人はいないの?」
「まぁね…でも先週うちの3年が、学校で何者かに殺されかけて
ショックなあまり学校退学しちゃったんだぜ」
「あれは、コレクターを真似た誰かの悪質ないたずらよ」
「いや、コレクターは絶対この学校にいるって!!!」
冨永クンと朝吹さんは少しケンカ口調になってきている。
アタシはこの空気を変えたくて仕方無かったので切り替えてみることに。
『と、遠矢さんは?どー思う??』
「あたしは…、わかりません…」
「でも、もし本当にそんなクレイジーな殺人鬼いるとしたら、考えられるのはあの人ね」
朝吹さんは口を開いた。
……あの人?
「誰?あの人って」
メグが疑問を口にした。
アタシも聞こうと思っていたので、相槌をする。
「放課後、嫌でも会えるよ」
冨永クンはすごく嫌そうな顔をして答えてくれた。
やっぱり、キュウはさっきから顔付きが変わったままだった。
「梓紗!!!」
放課後、アタシは特にするコトもなく、廊下をうろついていたらキュウに話しかけられる。
『キュウ?あ、リュウもいんじゃん、何??』
「放課後、梓紗って女子寮に行くよね?」
『あ、そっか。そうだね、たぶん行くと思う…』
「そのことなんだけど…急で悪いんだけど、梓紗も一緒に男子寮に来てくれないかな?」
『…はっ?!』
「いや、その後ちゃんと女子寮に送るんだけど、挨拶の時だけ来てほしいんだ」
『いいけど…男子寮に女子が入ってもいいの?』
「い…いのかなぁ?僕、その辺はまだ聞いてないんだけど」
「いいってさ。僕がさっき冨永クンに聞いてきた」
『うっわぁ、リュウ準備いいなー』
と言ってアタシはキュウを少し見た。
「じゃじゃ、じゃあ決定ね!!!今から行くけど…いい?」
『うん』
「じゃあ行こう」
アタシ達3人は冨永クンに連れられて男子寮へと向かう。
ああ、いまだに罪悪感がある…。
女子のアタシが入って明日から変態呼ばわりされないか…とか。
って、リュウに言ったら「それはない」って笑いながら言われた。
キュウにいたっては「梓紗、考えすぎだから。男女の行き来は普通らしいよ」だって。
どこで入れて来たんだ、その情報。
「これからぁー…うちの寮長紹介するよ」
冨永クンは愛想よく言ってくれた。
そして1つのドアの前に立ち止まると、大きく深呼吸をしノックをした。
「佐久間さん?!あ…転校生連れてきました!!!」
とだけ言い終わると、アタシ達に「前へ前へ」と言いたげな素振りをし、
「失礼しましたー」とそそくさとその場を後にしてしまった。
ドアのすりガラスの奥に見えるのは、茶髪で黒のTシャツを来てる…寮長さん。
ドアが開く。
見えたのは、やっぱり茶髪に黒のTシャツ。
読みが外れていたのは…ビデオカメラを持っていたこと。
ずっとアタシ達にカメラを向けている。
アタシら3人を順番に映してから「3年生の佐久間です…よろしく!」と挨拶してくれた。
「どーも」キュウが言う。
リュウが頭を下げる。
アタシも『どーも』と頭を下げた。
すると、佐久間さんはアタシを見て
「あれ?何で女の子がいんの?しかも可愛いーし…男子寮に入るの!」
『あっ、違います!!あの…見学というか…入ってもいいみたいだったので…』
「何?どっちかの彼女ですか?!」
『…え?』
「ち、違います」
「違います」
2人はすっぱりと否定した。
そんなに断固拒否しなくても…よくない?
と、ふと部屋の中を見れば、そこには骸骨やら傷ついた女の人の写真やらがあった。
そのアタシ達の目線に気付いた佐久間さんが言った。
「僕のぉ…コ、コレクション、興味ある?」
と言ってアタシの後れ髪をクルクルと触った。
『え、えっと…』
「僕のコレクションに…入る?!」
『えっ?!』
リュウは佐久間さんの腕を静かにどけた。
それをされた佐久間さんは「ぉぉ…」と手を離す。
「僕は…怖い、ですねぇ…」
「じゃぁ案内するよ!!!」
キュウの言葉にイラッとしたのか大声で言った。
終いには嫌味っぽくリュウに息を吐きかけた。
それに少しも動じないリュウもリュウですごいと思うけど。
「ねぇ天草クン」
佐久間さんは後ろ歩きでアタシ達を撮りながら部屋を案内する。
「もう学校中の噂になってるよ、すげぇ秀才が入学してきたぁ!!って」
「…どういうことですか?」
リュウがそっと聞いた。
「うちの生徒全員1人1台ずつパソコン持ってて、寮の部屋に入ると必ず掲示板をチェ――ックすんのっ
…気をつけた方がいいよ!」
「気をつけた方がいいっていうのは?」
キュウが無理矢理ビデオカメラに映ろうとリュウによる。
「頭のいい奴らは優遇されるけどー…憎まれもする。
…失踪した小椋絵美菜っていう1年生もそうだった」
そう言った佐久間さんの顔はどことなく切なそうに感じたのは…気のせいだろうか。
1つの部屋の前まで来る。
佐久間さんは何も言わずに入って行った。
それにつられてアタシ達3人も中に入る。
「これが天草ル――ッム!!!!」
キュウは笑顔であちこち見まわしてる。
リュウとキュウはベットの横にバックを置いていた。
アタシはすぐに帰る予定だったから持ったまま。
するとキュウは勢いよくリュウのベットにダイブした。
思ったより固ったのか、痛がっていた。
「い、いいね、気持ちいいね、これ、いいよ」
キュウは強がって言う。
『ばぁーか』
「誰か入ったのかな…?」
佐久間さんの方を見ると、撮影するのをやめてパソコンを見る。
その言葉にアタシ達はパソコンの前に集まる。
佐久間さんがパソコンを操作すると黒画面に赤文字で【コレクター】が出てきた。
『…コレ、クター…?』
すると動画が流れ始める。
イスに縛られた女の人が目の前にいる人にチェンソーを向けられて怯えている。
手もつながれていて声も出ない様子だ。
「まさか、これ、殺人ビデオ?!」
「いや。これはただの映画のワンシーンだ。確か…【変態民族連続100人殺し】。
1990年に作られたインディーズのC級映画だ」
「でも…誰がこんなイタズラを…?」
『すごく凝ってるよね…』
「早速誰かくいついてきたな、楽しみだねっ!!…これから」
佐久間さんがリュウの耳元で言う。
アタシはその後女子寮へ行き、寮長の部屋を訪問しろとのことだったので行ってみた。
「はい」と言って出てきたのは遠矢さんだった。
『女子寮の寮長って遠矢さんだったんだぁー』
「はい、それ、美南さんにも言われました」
『あ、そーなの?』
「は、はい!!!」
『そっかぁー…よろしくね!!』
「あ、よろしくお願いします!!…あ、ここです!!隣は美南さんです」
『ありがとう』
メグの部屋をチラと見る。
その奥には【小椋絵美菜】と書かれていたのがなんとなく見えた。
『突然で悪いんだけど…小椋さんってどんな人だったの?』
「すごく…素敵な人でした…。頭がいいだけじゃなく、誰にでも優しく…クラスの人気者でした!!」
『そんな人だったんだぁ…』
「ただ、彼女、家のことでは随分悩んでたみたいで…」
『家のこと?たとえば?』
「家が厳しくて自由がない、ってよくぼやいてました」
『遠矢さんって小椋さんと親しかったんだねぇ…』
アタシはそう言うと、遠矢さんは少しボーッとしてから、慌てたように急いで言った。
「あ、いえ!!!特にそういう間柄じゃ!!!失礼しますっ」
遠矢さんは深く一礼してから部屋へ戻ってしまった。
…何か触れちゃいけないトコに触れちゃったかな?
部屋に入って携帯を見ると、メールが着信されてあった。
…リュウからだ。
【午後8時に女子寮に迎えに行くから、外まで出てきて。
僕のパソコンにあった指紋をとったから教室まで検証しに行こうと思って…来てくれる?
ちなみにキュウとメグ、キンタもいるけど】
リュウからのメールなんて久しぶりすぎて、すぐに返信を送った。
【行くっ♪8時ね、了解】
夜、8時少し前に部屋を出たらメグも丁度部屋から出てきた。
『メグっ』
「あ、梓紗、行こう!!」
『うん』
「ねぇ、アタシ、ただ8時に女子寮の外にってキュウからメール来たんだけど、
なんで?理由が書いてなかったの」
『アタシね、女子寮に来る前に2人にくっついて男子寮に行ってきたの』
「え?!そーなの?!」
『うん、で、リュウの部屋のパソコンに殺人ビデオじゃないんだけど、
ある映画の殺人シーンみたいな動画が貼り付けられてて…』
「あ、それが誰なのか検証しに行くの?」
『そうそう、メグ話早いなー…』
外に出ると、3人がいた。
「行こう」
学校の中への潜入はあっさりできた。
教室までの廊下を5人で歩く。
「リュウのパソコンに殺人ビデオねぇー…」
メグが呟いた。
「キーボードやマウスから、犯人の指紋らしきものがとれた…」
「あとは教室の中の指紋と照合するだけだね」
「…え?!まさか、これから全部調べるのか!?」
『まっさかぁー』
「その心配はないよ。もう犯人の目星はついてる」
教室に入って真っ先に向かったのは…やっぱり亀田クンの机。
「この机…あの亀田って人のだ」
リュウは着々と指紋の照合を始める。
パソコンで検証したところ、見事に…MATCH
「間違いない、僕のパソコンにイタズラしたのは亀田だ」
次の日。
アタシ達は平然と授業に参加した。
「えー…今日は37ページの構成関数から始めます」
先生が授業を始めようとした時、キュウは手を挙げた。
「あのっ、先生!!」
「何?」
「亀田クンの姿が…見えないんですけど」
「出席簿に欠席届が挟まってたわ。風邪をひいたから休むって」
昼休み、アタシとメグ、朝吹さん遠矢さんで一緒に昼食をとった。
「コレクターをつきとめる?!」
「私、探偵小説とかすっごく興味あってさぁ、昨日の話聞いたら興味もっちゃって…」
『だよね?アタシも!!!アタシもそーいうのすごい好きなんだ!!』
「だよねー!!!やらない??」
「でも…何かあったらヤバくない…?」
「僕もー良かったら手伝うよ」
隣のテーブルに座ってるキュウが話しかけてくる。
これは偶然ではなく、作戦。
「俺も参加するよ、何か楽しそうだし」
冨永クンも話にのってくれた。
「え、ええ――っ!!」
朝吹さんはうなだれている。
『ね、遠矢さんも一緒にやってみない??』
すると、遠矢さんはコクリと頷いてくれた。
「天草クンもどう?」
キュウが尋ねる。
あ、天草クンだって…転校生っていう設定、大変だね…。
「僕も暇だし…手伝ってもいいよ」
といい終わったリュウは本を閉じ、朝吹さんを見つめた。
すると、パアッと笑顔になった朝吹さんは「アタシもやるっ!!」と小さく手を挙げて言った。
メグはその2人の様子を見て慌てているように見えた。
アタシもビックリだよ、リュウがそんなコトするなんて…。
その次にアタシを見て「ええ?」っとずっと小言で言っていた。
なんでアタシを見るかな…
「あ、梓紗?い、いいの?」
『…何がよ』
「いや…ううん、なんでも」
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