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ドリーム小説
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++第2話++ 万引きの罪!教師の罰! ①
 

全国統一テストが終わった後、
あの3人は何事もなかったかのように普通に学校へ来ている。
もちろん…アタシと秀もだ。
 
荒れかけた学校に、不意にやってきた謎の転校生。
…奴らはただ者ではない。
 
社会の授業、担当の滝先生はこの前のことが気になるのか、
高杉くん、入江くん、吉田くんを少し注意深く見ていた。
アタシも入江くんと席は隣だし、あの時から少し気になっていたから、
3人を知らない間に観察してることがあったけど、
他のクラスメイトと同じように授業を受けるし、態度もすごくいい。
とてもヘリを呼んで、教師をダイブさせるような人達には見えない。
 
その日の放課後。
「あ、ちょ、久坂くん久坂くんっ!!」
「?」
2人で帰ろうと廊下に出たところ、滝先生に呼ばれた。
「あ、梓紗ちゃぁんもおいでっ」
『あ、梓紗ちゃんて…』
「いいじゃん、ちょっと行こ」
そう言って2人で滝先生の元へ歩いて行った。
そして、口を開いたかと思えば、
「あの高杉くんと入江くんと吉田くん…3人について何か知ってる?」
「…俺もよく分かんないんです。
 何か凄い奴らかなぁ、って思ったけど…」
すると、ちょっと周囲を確認してから滝先生に近づいて、
「、、、結構馴染んでるっていうか…みんなの前では普通なんです」
『あれ?滝先生、気になってですかぁ?』
「バッカ、そういう気になってるじゃなくて、教師として、ね?」
『そーですかあ』
 
そこまで滝先生が言ったかと思えば、グッとアタシの腕を引っ張って
秀から遠ざけた。
『ちょ、何ですか?』
「ねぇ…やっぱ気になるよ、あの3人」
『そ、そうですけど…』
「放課後…ちょっと覗いてかない?」
すごく面白そうだったので、ノッてみることに。
『いいですよ?おもしろそうですね』
 
秀には、ちょっと用事ができた、と言って先に帰ってもらった。
そのあと、教室で滝先生と落ち合って、3人の偵察をすることに。
「どうする、まず、誰行く?」
『うーん、確か吉田くんは園芸部とかだったような…』
「じゃぁ、まずそこ行こっか」
『はいっ』
2人して草陰に隠れ、ジョーロを持って軽くスキップしながら歩く
吉田栄太郎を発見。
微かに聞こえてくるのは…吉田くんの声だ。
「立派な野菜になるんだよっ。大きくなあれ、大きくなあれ」
水をかけながら、ナスに話しかけている。
『わぁお』
「ノスタルジー…」
それを見て滝先生は気まずそうに微笑む。
『ノスタルジーって笑』
 
次は料理部だと思われる入江杉蔵。
家庭科の授業で使う調理室へと向かった。
入口のところから2人でこっそりと中を覗いてみた。
入江くんは、たくさんの女子に囲まれながらフライパンを翻していた。
「塩」
「はいっ」
「コショウ」
「はいっ」
そして次の瞬間に何かを入れたかと思うと、すごい炎が燃え上がった。
「燃えるぜ―――っ!!!」
「キャア―――っ」
女子の歓声が調理室中に響く。
まぁ…カッコいいのかな。
『すごいな』
滝先生は洒落た口笛を吹いてから「熱いぜ」と呟いた。
 
そして最後に向かったのは音楽室。
高杉くんは合唱部…だったような、信じられないけども。
こっそりと扉から中を覗いてみた。
『あれ?高杉くんいなくないスか?』
「高杉…高杉はどこ?」
『あ、』
「いた」
中では名曲【手のひらを太陽に】を合唱中。
前の列の1番端で高杉くんは歌っていた。
今まで順調に進んでいた合唱に突然入りこんできた…音程の外れた声。
「てーのひらをー、たいよーうにぃー、」
ハモってもいなく、音程が違うのですごく浮いて聞こえる。
「ちょちょっちょっと、ストップ」
美しいハーモニーは名残惜しく消えてしまった。
「高杉くん?…音、ずれてるんですけど」
「…失礼しました」
高杉くんは申し訳なさそうに謝った。
「じゃぁ、もう1度最初から」
さんはい、と言わんばかりに先生は指揮を振った。
「ぶおーっくらはぁっ!!」
「ちょちょっちょ!!!高杉くん?」
今度はさっきよりも酷い、やっぱり高杉くんだ。
アタシと滝先生は信じられない余り、何の打ち合わせもしていないのに、
2人揃って両手を頬に当てた。
 
それから音楽室から少し離れ、階段の方へ2人で移動した。
「なるほどぉー…」
『え?』
「って、全然わかんねぇよっ!!!」
『お、先生ノリつっこみっ!!』
「そーいうこと言ってる場合じゃないってば。
 …なんなんだアイツら…、どー思う梓紗ちゃんっ」
『そーですね…ま、そのうち分かりますって』
「そうだねっ、じゃぁ解散!!ばいばいっ」
『さよーならぁ』
そう言ってアタシと滝先生は自由に別れた。
やっぱり滝先生…話しやすいわ。
 
久しぶりの1人の帰り道。
今日は秀いないし、いつもとは別コースで帰ってみよーッと…え?
いつもは素通りしてしまう店の前に見たことのある制服。
やっぱり、アレ、うちの学校の制服じゃん。
目を凝らして、顔を伺うと
『あれ?沙莉じゃんっ』
声をかけようと思い、1歩前に出たら間一髪で店員が出てきた。
不審に思ってアタシは近づけなかった。
「ちょっと」
沙莉の肩に手を置いた。
沙莉は立ち止まった。
「カバンを見せて頂いてもいいですか」
『…嘘』
沙莉はゆっくりとカバンを開けた…「これは?」
中から出てきたのは、レジを通ってないと思われる商品。
沙莉は無言で商品を見てから店員を見た。
沙莉がアタシがこの現場を見たなんて知られたくないと思い、
方向転換で来た道へ戻る事にした。
『沙莉……、また?』
学校方面へ向かって行ったら、途中で高須先生に会った。
『あ、さよなら』
「ほい、さよならぁー」
沙莉を引き取りに行くのか…。
 
いつも通りの帰り道を行くことにしたアタシ。
秀と帰る時と変わらず、いつもの橋を渡ろうとした時だった。
『…あれ』
さっき店の前にいたはずの沙莉が橋の下で寄っかかっている。
気になって降りようと思ったら、少し離れてるトコに秀の姿が見えた。
私服だ…多分塾かな。
「あれ、梓紗じゃんっ」
『ごめん、用事あるって言ってたのに…塾?』
「塾、塾。用事とかは別にいいんだけどさ…大崎、一緒だったの?」
『ううん、違うんだけど…ちょっと気になって』
「あ、俺も俺も、行こうっ近くまで」
『うん』
 
『さーいりっ』
「大崎?何やってんの??」
「あ、梓紗…久坂、」
沙莉の足もとに何か落ちているのを見つけた。
あ、さっきの万引きしてた商品?
沙莉は知らないんだ、万引きしたのを知ってるのを。
落ちていた万引き商品のヘアゴムを、パッと足で踏んだ。
「そっちこそ何やってんの?デート?」
『さ、沙莉っ』
「ちょ、何言ってんのっ!!塾!!親がうるさくてさぁー…」
「あ…転校しろって言われてんでしょ?どうしようもない学校だからって」
「…どうしようもない学校かどうかなんて、勝手に決め付けるなって感じだよ。
 親ってさぁ、ていうか大人って、すぐに決め付けたりするよなぁ。
 分かったような顔して、ホントのところは何にも見てないくせに」
『…ん?沙莉、どした?』
アタシは少し沙莉が俯いた理由が分かった気がした。
「大崎っ、何があったの?」
「え…?2人して、どうして?」
「いや…様子、変だし」
ちょっと目が泳いだかと思えば、いつもの沙莉の笑顔になった。
「いやぁ、いつも通りだよ?てへっ」
そう言った沙莉を見て、事情を知ってるアタシは切なかった。
秀はそれを見て微笑んで、あとは深く聞いてなかった。
「じゃ、じゃあね」
『ばいばいっ』
 
「あれぇー?今の大崎じゃんっ」
降りてきたのは沢渡、楠本、美濃部だ。
「あいつ…また万引きしたらしいよ」
『ちょ、言わなくていいじゃんっ!!』
「え?梓紗、知ってたの?」
そう言われて沙莉の歩いて行った方を見た秀。
「バカだよなあ。やるならバレないよーにやんなきゃあ?」
落ちてることに気付いた万引きした商品を拾い上げた楠本。
そして美濃部に投げる。
「悪いけど、君達の相手してる暇ないから」
まじまじとヘアゴムを見る美濃部から、秀は取り上げた。
『じゃあね、みんな』
楠本と美濃部は小さく手を挙げてくれた。
沢渡は秀を睨んだままだった。
 
「じゃあ、俺、塾行くね」
『うん、頑張って』
そう言って秀は走って行ってしまった。
秀の背中を少し見ていたら、沙莉が歩いて行った方をしばらく眺めていた。
アタシは見ないふりをして家へ向かった。

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