忍者ブログ
ドリーム小説
[89]  [88]  [87]  [86]  [85]  [84]  [83]  [82]  [81]  [80]  [79
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

 
 
今でも鮮明に思い出せる。
 
 
「……、すいません…よく分かんないんですけど…
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 Ya-Ya-yahの…解散、てことですか、」
 
 
 
 
頭が真っ白になった。
 
薮と光は、次のバレーのイメージソングでデビューらしい。
 
 
そう、
 
 
 
俺ら4人での活動に終止符をうって。
 
 
 
 
 
 
 
 
そして、そんな俺にさらに追い打ちをかけたのが…
 
 
 
太陽が活動しなくなった。
 
 
 
 
 
正直言って、今ここで太陽と一緒にやめるのがいーのかもしれない。
 
同じグループだった薮と光を心から応援することは、できる。
 
でも…俺と太陽のいない他のメンバーと笑っているのを、
 
歌っているのを、踊っているのを見るのは……辛い。
 
その時は突然過ぎて泣かなかった、
 
でもその後…事の重大さに気付いてからじゃ、泣くに泣けなかった。
 
俺はまだ一筋も涙を流していない。
 
薮と光に申し訳ないと思っていたから。
 
 
 
「翔央?」
 
 
 
 
 
我に返る。
 
俺はあの日からフリーズすることが多くなってきている。
 
誰かに声をかけられるまで、あの日のことが走馬灯のように流れ出す。
 
いまだに抜け切れていない自分に、腹が立つ。
 
 
振り返ると、そこには幼馴染の梓紗。
 
「…翔央、大丈夫なの?」
 
「ああ…ごめん、大丈夫」
 
 
「…Ya-Ya-yahのこと、でしょ?……アタシも同じだから。
 1人で悩んだりしないで…お願い…、翔央、アタシを頼って?」
 
 
 
 
梓紗の涙声が俺の涙腺を壊す。
 
 
「だ、大丈夫だって、そんなんじゃねーしっ!気にすンなって、」
 
 
強がって見せる。
 
こんなこと言ったって、梓紗には全部バレてるのに。
 
 
 
 
涙がこぼれそうで不意に梓紗に背を向けた。
 
 
「もう嫌だよ翔央っ!!」
 
 
 
フワリと背中に温もりが、
 
 
 
 
 
「お願いだから…もうそんな顔しないで…、
 
 翔央には笑っていてほしいから、お願い…泣くの我慢しないで…。
 
 アタシの前では強がらなくていいよ…?」
 
 
俺の顔を梓紗が覆ってくれている








そうか…我慢、しなくてよかったんだ。
 
 
 
 
 
「ホント情けないんだけどさあ…、
 
 
 
 明日からちゃんと梓紗の好きな笑顔に戻る…だから、
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 今だけでいいから、このままでいてくれる?
 
 
 
 
 
その時、俺は静かに、一筋だけ涙を流した。
 
 
 
 
 
 
 
薮、光、おめでとう。
 
 
太陽…今度、逢いに行くから―――……
 
 
 
 

拍手

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
カレンダー
05 2025/06 07
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30
フリーエリア
最新コメント
最新記事
(05/09)
(12/02)
(11/30)
(03/25)
(12/30)
最新トラックバック
プロフィール
HN:
美羽莉
性別:
女性
職業:
高校生
趣味:
パソコン
バーコード
ブログ内検索
P R
カウンター
カウンター
アクセス解析
アクセス解析
忍者ブログ [PR]