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*第4話*~ネットの恐怖から仲間を救え ③

次の日。
また亀田クンは欠席だった。

アタシ、メグ、朝吹さん、遠矢さん、富永クンの5人で朝吹さんの部屋に集まった。
「ぜぇったい佐久間が怪しいと思うんだよねぇー…アタシ、佐久間の周り徹底的にあらってみる!!」
「うん」
「俺、パソコン得意だし…そっち方面で」
『遠矢さんはどーするっ?』
「あ、…あたしは…」
「じゃあぁ…小椋絵美菜さんのコト調べてもらえるかなっ?!」
「はい、やってみます…」
「じゃあ、明日から本格的な捜査始めようっ。
 キュウくんと天草クンには私と梓紗で報告しとく!!」
『あ、うん!!!』

話しが終わった後、メグと2人で校舎裏で2人に電話することに。
「じゃあ、私はキュウに電話するから、梓紗はリュウにお願い」
『おっけぇ』
メグが電話を始める、アタシもリュウに発信した。
メグの後ろ姿を見ながらアタシはリュウが電話に出るのを待つ。

後ろに人影を感じる。
アタシはメグの背中から視線をはずし、振り返る。
そこには、黒で統一された衣装をまとった人の姿が…。


コレクター?!
アタシは突然過ぎて動くことができず、身体を持ち上げられる。

『…やっ!!!』
「梓紗?!」
メグはアタシの声で振り返る。
薬品を嗅がされたみたいで意識が遠のく。
「梓紗?!…誰よ!!!」
少ししか残っていない意識でメグを見る。
すると、ドサッと音がして、メグがアタシの前に倒れる。
メグと、アタシとメグの携帯だけがアタシの視界に入った。


ゆっくりと目が覚めた。
アタシは…座っているみたいだ。
辺りは薄暗く、少しカビの臭いがする。
ここ…どこだ?
そっと顔を上げて周りの様子を伺った。
パッと横を見ると…メグがいた。
メグはまだ気を失っているみたいだった。
口にはテープが張られているし、手はイスに縛られている。
どうにかしてメグを起こそうと身体を動かしていたら、メグが目を覚ました。
アタシの存在に気付くと「ここどこ?」といった顔でアタシを見つめる。
アタシはただ頭を横に振るだけだった。

その時。
足音がした。

アタシとメグは音に気づき、ふと視線を前に向けると、
そこにいたのは…きっと、コレクターだ。
アタシ達が電話をしていた時、薬品をかがせた、アイツだ。
すり足でアタシらに近づいてくる。
恐怖で震えが止まらない。
声が出ない。
ただコレクターを見ることしかできなかった。
いや、あまりの威圧にコレクターから目をそらせなかった。

コレクターはアタシ達の前まで来ると、左折して、横にある黒幕に触った。
一瞬を切って思いっきり幕を開けたかと思うと、次に飛び込んできたのは…亀田クンだ。
亀田クンも口にテープを張られていて、上手くしゃべれていない。
少しだけ、声が漏れているだけ。
セットされてあったビデオの電源を入れる。
その近くにあったビンを手に持つ。

ダメ、ダメ、ダメ、ダメ、イヤだ、イヤだ、イヤだ!!!!
それで何をする気なの。
亀田クンを?メグを?……アタシを?
やめて、これ以上人殺しなんて…やめて。
何、なんなの。
何するの、それで、いやだ…!!!

コレクターはゆっくり亀田クンに近づく…ビンを持ったまま。
亀田クンの目の前に来ると、大きくビンを振りかぶり…。

ガシャアァッンっっっ

アタシは怖くて見られなかった。
次に見た亀田クンの姿は…頭から血が流れ、目に光が無かった。
メグの呼吸が荒い。
アタシはもう、震えが止まらなくてしょうがない。
コレクターはアタシ達の前を何事もなかったかのように素通りし、
セットしてあったカメラに手を伸ばす。
カメラを持ったコレクターが近付く。
きっとカメラにアタシ達を映しているんだろう。

やだ、やだよ、やめて、いや、死にたくない!!!
メグの呼吸が更に荒くなる。
声が漏れている。
アタシはもう、怖い、怖くてしょうがない。
すると、メグに歩み寄った。
「んっ!!!んっ!!!!!」
メグは必死に声を出している。
コレクターは黒の衣装から白い布を取り出した。
それをメグの鼻元まで持っていくとメグはすぐにガクンと首を寝せた。
何か強烈な薬品なのか。
アタシの鼻元にも持ってくるコレクター。
すると、今までしなかった強烈な匂いがアタシの脳を襲う。

一瞬にして意識が消えた――――――。


リュウ……―――――助けて。




梓紗とメグいない。
そう気づいた僕達はみんなを総動員して2人を探した。
1度何手かに分かれて校内を探すことに。
僕は1人で探すことになったが、探していた最中の記憶がない。
梓紗に何かあったのか…。
まさか…コレクター…?!
梓紗に何かあったら…僕は生きていけない。

ふと気付くと集合する時間になったので、決められた場所へと向かった。
途中でキンタと合流し、その場所へ着くとキュウがそわそわして1人でいた。

「キュウ!!!」
キンタが叫び、走り出す。
僕もとっさに走る。
「メグと梓紗の携帯がここに落ちてた!!」
キュウが持っていたのは間違いなく2人の携帯だ。
僕は自分の顔が硬直するのが分かった。
キュウも挙動不審になり、息遣いが荒かった。
「まさか…メグと梓紗…」
「何かあったんだ。7時だ、もうすぐ日が暮れる」
「早く見つけなきゃ…どこだよメグ…どこにいるんだよぉ」
キュウは気がおかしくなったように、回り始める。
こんなに冷静にキュウを見ていられる僕も、相当焦っている。
梓紗にもしものことがあったら…?
もしも…もしもってなんだよ。
もしものことなんて、僕が起こさせないから…無事でいてくれ…。
「おい、落ちつけ!!俺たちがオタオタしてどーする!!」
キュウが少し落ち着いたのが分かる。

「だめだ!!」
向こうから声がした。
走ってきたのは、富永、朝吹、遠矢だ。
この3人も途中で合流したのだろう。
「美南さん…橘さん…どこにも見当たらない…」
「ねぇ、一体どーいうコトなの?」
「彼女、もしかして誰かに拉致、されたのかもしれない…!!」
「昨日姿を消した亀田も」
「亀田も?!」
「彼の部屋から、連れ去られた痕跡があったんだ」
「コレクターの仕業…?!まさか、本当にいたの?!」
朝吹さんが【コレクター】と発した瞬間、不安が怒りに変わった。
コレクターなのか?
だからって、何で梓紗なんだよ。
どうして…転校生なんかを狙うんだよ…。
「早く2人を見つけなきゃ、大変なコトになるかもしれない!!」
「…あ、そうだ」
冨永が思いついたように口を開いた。

「学院のネット掲示板を見れば、何かわかんじゃないのかな?」


僕達は急いでパソコンへと向かった。
すぐに掲示板を開くと、新しいスレが入っていた。
「掲示板に動画が貼り付けてある…」
キュウは動画へつながるURLをクリックした。
そこに出てきたのは…黒画面に赤字の「…殺人シアター……」。

そこには亀田が黒衣装を着た何者かにビンで殴られている。
破片が飛び散ったところを見ても、本当に殴っているようだ。
亀田の顔は下を向いたまま、動く術がないようだった。
周りの息をのむ音が聞こえてきた。
画面が一度黒くなり、次に映ったのは…メグ。
「メグっ!!」
画面にはメグしか映っていないが、かすかに映る制服のスカート。
「あ、梓紗!!」
「え?」
「このスカート…梓紗じゃないのか?」
「本当だ!」
「まさか…美南さんと橘さんまで?!」

カメラはメグへと近づいていく。
梓紗の姿は映らなくなってしまった。
メグの目がカメラを向けていると思われるコレクターに向けられている。
「場所はどこだよ、どこだよ!!」
「学校の外かな?」
「いや、拉致されたのが校内なら白昼外に連れ出すのは難しいし、
 1度に2人もの人間を運ぶことは簡単ではない。
 2回に分けたと考えたとしても、1人残ってしまうからそう遠くには行けないはず…
 学校の中のどこかだ」
キュウが動画を巻き戻している。
何か手掛かりになるものを…。
「学校の時計台…」
キュウが見つけたのは、亀田が殴られる直前の背景に時計台があることだ。
時計の針が…7時を射している。
「7時…ちょうどアタシ達が合流した頃よ!」
朝吹がそう言った次の瞬間、キュウは走り出した。
僕も同時に走りだす。

時計台に着いたことは、7時を15分程過ぎていた。
僕は梓紗が連れ去られていると思われる場所を必死で探す。
「どこだ、どこからこの時計台を…」
あ、あそこか?!
「アレだ!!角度からしてあそこだ」
「体育館の倉庫だ!」
僕達は一気に走りだす。

長い廊下を駆け抜け、富永の言う体育館の倉庫へと向かう。
少し走ったところに体育館の倉庫はあった。
キュウが勢いよく扉を開けた。
「メグ!!!!」
「梓紗!!!!」
僕は梓紗が無事でいてくれることだけを望んでいて、
他は何も考えられなかった。
進んでいくとグッタリとしているメグと梓紗の姿が飛び込んできた。
「あ…梓紗!!!!!」
「メグ!!」
梓紗の元へ駆け寄る。
ダメだ、梓紗…梓紗、梓紗!!
「梓紗、しっかりしろ、大丈夫か?!梓紗!!」
僕は必死になって梓紗の肩をゆする。
すると、すぐに梓紗は目を覚ました。
少し瞳が潤んでいるのが分かった。
口に貼られてたテープをゆっくり剥がす。
隣ではメグも目を覚ましたようだった。

『あ、…リュ、リュウ…』
「だい、大丈夫か?!」
『大丈夫だよ、薬品嗅がされただけだと思うし…』
強がっているように言った梓紗の肩は震えていた。
いてもたってもいられなくなった僕はふいに抱きしめてしまった。
「ああ、もう、本当に心配させるな…
 梓紗がいなくなったら僕…本当にどうしようかと…」
『ごめん、ありがとう…』
「無事ならそれでいいよ」
僕の腕から解放された梓紗は小さな笑顔を浮かべていた。
でも、目の潤みは消えていなかった。

『リュウ、ありがとう…ごめんね』

僕が泣きそうになった。

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*第4話*~ネットの恐怖から仲間を救え ②

教室に戻ると人影は少なく、静かな空間が広がっていた。
アタシ達はそれぞれ自分の席へと向った時、1人の男子が話しかけてきた。
「なんだよぉ、転校生同士でつるんでどこ行ってたんだよ」
アタシ達は少し愛想笑いを浮かべた。
だって、そんなコト聞かれたってどうしようもないじゃん!!!
「俺、クラス委員の富永。何かわかんないコトあったらさ、何でも聞いてよ!!」
「うん、ありがとう」
「んでーこっちが」
すると富永クンは隣にいる女子に手を向ける。
あ、さっき冨永クンと一緒に教室入ってくるのが少し見えた!!
「女子のクラス委員の…」
「ととと、遠矢、邦子です。どうぞ、よろしくお願いします!!!」
遠矢さんは深々と頭を下げた。
『え、いや、こっちの方こそよろしくお願いします!!!』
アタシ達はいてもたってもいられなく、頭を下げる。
「なぁーにかたっくるしい挨拶してんのよぉ!!!」
髪が長く、元気のいいコが入ってきた。
「あたし、朝吹麻耶!!よろしくねっ!!」
そう言って朝吹さんはキュウに手を差し伸べる。
握手を望んでいるのだろう。
「お願いします!!」キュウが握手する。
「どうも」メグとも握手をする。
『よろしくね』アタシとも握手をしてくれた。
と、アタシの手を掴んだまま黒板の方へと連れて行かれる。
「ねぇ、梓紗ってさ、天草クンと知り合いなの?!」
『えー…いや、知り合いっていうか、さっき会ったばっかりだし…。
 転校生同士だから、ちょっと話すくらいだよ』
「彼、彼女とかいるかなぁ…?いるよねーあの美貌だし…普通。頭もいいしさぁー…」
『ど、どうかなぁ…』
「彼、次のテストで間違いなくトップとるわよ」
…嘘。
リュウ、そんなに?!
しかも朝吹さん、リュウのコト好きみたいな感じだし。
「亀田、次のテスト楽しみだね」
朝吹さんは前の席に座っている亀田クンに話しかけた。
亀田クンが振り返らず「せやなぁ、小椋が姿消してもーてから競う相手がおらへんで退屈してたんや」と、
呟いて教科書、ノートを片づけたかと思うと、それを持って立ち上がり、
「久々にやる気出てきたわ」と言い教室を出て行ってしまった。

亀田クンが出て行ったあとの教室は静かな空気が流れた。
『小椋さんって誰?』
「ああ…小椋絵美菜っていってこの学校でずっと成績トップだった子。
 1ヶ月前、突然学校から姿消したの!!」
「亀田の奴、小椋がいた頃は敵意むき出しだったもんな」
「そう、絵美菜の失踪に亀田が関わってるんじゃないか、って噂になったくらいだもんね」
「や、やっぱり…絵美菜はコレクターに殺されたんだよ」
「冨永またその話?!」
「でもネットじゃぁ、すげぇ話題になってんだぜ」
「ね、殺されたってどーいうコト?」
キュウがすかさず聞く。
「うちの学校に通ってる生徒がコレクターっていう殺人気に殺されたって
 話題がネットですげぇ広がってんだ…」
キュウの顔つきが変わるのが分かる。
「しかも、その殺人ビデオ…見た奴もいるらしいんだ」
「らしいって…実際に見た人はいないの?」
「まぁね…でも先週うちの3年が、学校で何者かに殺されかけて
 ショックなあまり学校退学しちゃったんだぜ」
「あれは、コレクターを真似た誰かの悪質ないたずらよ」
「いや、コレクターは絶対この学校にいるって!!!」
冨永クンと朝吹さんは少しケンカ口調になってきている。
アタシはこの空気を変えたくて仕方無かったので切り替えてみることに。
『と、遠矢さんは?どー思う??』
「あたしは…、わかりません…」
「でも、もし本当にそんなクレイジーな殺人鬼いるとしたら、考えられるのはあの人ね」
朝吹さんは口を開いた。
……あの人?
「誰?あの人って」
メグが疑問を口にした。
アタシも聞こうと思っていたので、相槌をする。
「放課後、嫌でも会えるよ」
冨永クンはすごく嫌そうな顔をして答えてくれた。
やっぱり、キュウはさっきから顔付きが変わったままだった。

「梓紗!!!」
放課後、アタシは特にするコトもなく、廊下をうろついていたらキュウに話しかけられる。
『キュウ?あ、リュウもいんじゃん、何??』
「放課後、梓紗って女子寮に行くよね?」
『あ、そっか。そうだね、たぶん行くと思う…』
「そのことなんだけど…急で悪いんだけど、梓紗も一緒に男子寮に来てくれないかな?」
『…はっ?!』
「いや、その後ちゃんと女子寮に送るんだけど、挨拶の時だけ来てほしいんだ」
『いいけど…男子寮に女子が入ってもいいの?』
「い…いのかなぁ?僕、その辺はまだ聞いてないんだけど」
「いいってさ。僕がさっき冨永クンに聞いてきた」
『うっわぁ、リュウ準備いいなー』
と言ってアタシはキュウを少し見た。
「じゃじゃ、じゃあ決定ね!!!今から行くけど…いい?」
『うん』
「じゃあ行こう」

アタシ達3人は冨永クンに連れられて男子寮へと向かう。
ああ、いまだに罪悪感がある…。
女子のアタシが入って明日から変態呼ばわりされないか…とか。
って、リュウに言ったら「それはない」って笑いながら言われた。
キュウにいたっては「梓紗、考えすぎだから。男女の行き来は普通らしいよ」だって。
どこで入れて来たんだ、その情報。

「これからぁー…うちの寮長紹介するよ」
冨永クンは愛想よく言ってくれた。
そして1つのドアの前に立ち止まると、大きく深呼吸をしノックをした。
「佐久間さん?!あ…転校生連れてきました!!!」
とだけ言い終わると、アタシ達に「前へ前へ」と言いたげな素振りをし、
「失礼しましたー」とそそくさとその場を後にしてしまった。
ドアのすりガラスの奥に見えるのは、茶髪で黒のTシャツを来てる…寮長さん。
ドアが開く。
見えたのは、やっぱり茶髪に黒のTシャツ。
読みが外れていたのは…ビデオカメラを持っていたこと。
ずっとアタシ達にカメラを向けている。
アタシら3人を順番に映してから「3年生の佐久間です…よろしく!」と挨拶してくれた。
「どーも」キュウが言う。
リュウが頭を下げる。
アタシも『どーも』と頭を下げた。

すると、佐久間さんはアタシを見て
「あれ?何で女の子がいんの?しかも可愛いーし…男子寮に入るの!」
『あっ、違います!!あの…見学というか…入ってもいいみたいだったので…』
「何?どっちかの彼女ですか?!」
『…え?』
「ち、違います」
「違います」
2人はすっぱりと否定した。
そんなに断固拒否しなくても…よくない?
と、ふと部屋の中を見れば、そこには骸骨やら傷ついた女の人の写真やらがあった。
そのアタシ達の目線に気付いた佐久間さんが言った。
「僕のぉ…コ、コレクション、興味ある?」
と言ってアタシの後れ髪をクルクルと触った。
『え、えっと…』
「僕のコレクションに…入る?!」
『えっ?!』
リュウは佐久間さんの腕を静かにどけた。
それをされた佐久間さんは「ぉぉ…」と手を離す。
「僕は…怖い、ですねぇ…」
「じゃぁ案内するよ!!!」
キュウの言葉にイラッとしたのか大声で言った。
終いには嫌味っぽくリュウに息を吐きかけた。
それに少しも動じないリュウもリュウですごいと思うけど。

「ねぇ天草クン」
佐久間さんは後ろ歩きでアタシ達を撮りながら部屋を案内する。
「もう学校中の噂になってるよ、すげぇ秀才が入学してきたぁ!!って」
「…どういうことですか?」
リュウがそっと聞いた。
「うちの生徒全員1人1台ずつパソコン持ってて、寮の部屋に入ると必ず掲示板をチェ――ックすんのっ
 …気をつけた方がいいよ!」
「気をつけた方がいいっていうのは?」
キュウが無理矢理ビデオカメラに映ろうとリュウによる。
「頭のいい奴らは優遇されるけどー…憎まれもする。
 …失踪した小椋絵美菜っていう1年生もそうだった」
そう言った佐久間さんの顔はどことなく切なそうに感じたのは…気のせいだろうか。

1つの部屋の前まで来る。
佐久間さんは何も言わずに入って行った。
それにつられてアタシ達3人も中に入る。
「これが天草ル――ッム!!!!」
キュウは笑顔であちこち見まわしてる。
リュウとキュウはベットの横にバックを置いていた。
アタシはすぐに帰る予定だったから持ったまま。
するとキュウは勢いよくリュウのベットにダイブした。
思ったより固ったのか、痛がっていた。
「い、いいね、気持ちいいね、これ、いいよ」
キュウは強がって言う。
『ばぁーか』

「誰か入ったのかな…?」
佐久間さんの方を見ると、撮影するのをやめてパソコンを見る。
その言葉にアタシ達はパソコンの前に集まる。
佐久間さんがパソコンを操作すると黒画面に赤文字で【コレクター】が出てきた。
『…コレ、クター…?』
すると動画が流れ始める。
イスに縛られた女の人が目の前にいる人にチェンソーを向けられて怯えている。
手もつながれていて声も出ない様子だ。
「まさか、これ、殺人ビデオ?!」
「いや。これはただの映画のワンシーンだ。確か…【変態民族連続100人殺し】。
 1990年に作られたインディーズのC級映画だ」
「でも…誰がこんなイタズラを…?」
『すごく凝ってるよね…』
「早速誰かくいついてきたな、楽しみだねっ!!…これから」
佐久間さんがリュウの耳元で言う。

アタシはその後女子寮へ行き、寮長の部屋を訪問しろとのことだったので行ってみた。
「はい」と言って出てきたのは遠矢さんだった。

『女子寮の寮長って遠矢さんだったんだぁー』
「はい、それ、美南さんにも言われました」
『あ、そーなの?』
「は、はい!!!」
『そっかぁー…よろしくね!!』
「あ、よろしくお願いします!!…あ、ここです!!隣は美南さんです」
『ありがとう』
メグの部屋をチラと見る。
その奥には【小椋絵美菜】と書かれていたのがなんとなく見えた。
『突然で悪いんだけど…小椋さんってどんな人だったの?』
「すごく…素敵な人でした…。頭がいいだけじゃなく、誰にでも優しく…クラスの人気者でした!!」
『そんな人だったんだぁ…』
「ただ、彼女、家のことでは随分悩んでたみたいで…」
『家のこと?たとえば?』
「家が厳しくて自由がない、ってよくぼやいてました」
『遠矢さんって小椋さんと親しかったんだねぇ…』
アタシはそう言うと、遠矢さんは少しボーッとしてから、慌てたように急いで言った。
「あ、いえ!!!特にそういう間柄じゃ!!!失礼しますっ」
遠矢さんは深く一礼してから部屋へ戻ってしまった。
…何か触れちゃいけないトコに触れちゃったかな?

部屋に入って携帯を見ると、メールが着信されてあった。
…リュウからだ。
【午後8時に女子寮に迎えに行くから、外まで出てきて。
 僕のパソコンにあった指紋をとったから教室まで検証しに行こうと思って…来てくれる?
 ちなみにキュウとメグ、キンタもいるけど】
リュウからのメールなんて久しぶりすぎて、すぐに返信を送った。
【行くっ♪8時ね、了解】

夜、8時少し前に部屋を出たらメグも丁度部屋から出てきた。
『メグっ』
「あ、梓紗、行こう!!」
『うん』
「ねぇ、アタシ、ただ8時に女子寮の外にってキュウからメール来たんだけど、
 なんで?理由が書いてなかったの」
『アタシね、女子寮に来る前に2人にくっついて男子寮に行ってきたの』
「え?!そーなの?!」
『うん、で、リュウの部屋のパソコンに殺人ビデオじゃないんだけど、
 ある映画の殺人シーンみたいな動画が貼り付けられてて…』
「あ、それが誰なのか検証しに行くの?」
『そうそう、メグ話早いなー…』
外に出ると、3人がいた。
「行こう」

学校の中への潜入はあっさりできた。
教室までの廊下を5人で歩く。
「リュウのパソコンに殺人ビデオねぇー…」
メグが呟いた。
「キーボードやマウスから、犯人の指紋らしきものがとれた…」
「あとは教室の中の指紋と照合するだけだね」
「…え?!まさか、これから全部調べるのか!?」
『まっさかぁー』
「その心配はないよ。もう犯人の目星はついてる」

教室に入って真っ先に向かったのは…やっぱり亀田クンの机。
「この机…あの亀田って人のだ」
リュウは着々と指紋の照合を始める。
パソコンで検証したところ、見事に…MATCH
「間違いない、僕のパソコンにイタズラしたのは亀田だ」


次の日。
アタシ達は平然と授業に参加した。
「えー…今日は37ページの構成関数から始めます」
先生が授業を始めようとした時、キュウは手を挙げた。
「あのっ、先生!!」
「何?」
「亀田クンの姿が…見えないんですけど」
「出席簿に欠席届が挟まってたわ。風邪をひいたから休むって」

昼休み、アタシとメグ、朝吹さん遠矢さんで一緒に昼食をとった。
「コレクターをつきとめる?!」
「私、探偵小説とかすっごく興味あってさぁ、昨日の話聞いたら興味もっちゃって…」
『だよね?アタシも!!!アタシもそーいうのすごい好きなんだ!!』
「だよねー!!!やらない??」
「でも…何かあったらヤバくない…?」
「僕もー良かったら手伝うよ」
隣のテーブルに座ってるキュウが話しかけてくる。
これは偶然ではなく、作戦。
「俺も参加するよ、何か楽しそうだし」
冨永クンも話にのってくれた。
「え、ええ――っ!!」
朝吹さんはうなだれている。
『ね、遠矢さんも一緒にやってみない??』
すると、遠矢さんはコクリと頷いてくれた。
「天草クンもどう?」
キュウが尋ねる。
あ、天草クンだって…転校生っていう設定、大変だね…。
「僕も暇だし…手伝ってもいいよ」
といい終わったリュウは本を閉じ、朝吹さんを見つめた。
すると、パアッと笑顔になった朝吹さんは「アタシもやるっ!!」と小さく手を挙げて言った。
メグはその2人の様子を見て慌てているように見えた。
アタシもビックリだよ、リュウがそんなコトするなんて…。
その次にアタシを見て「ええ?」っとずっと小言で言っていた。
なんでアタシを見るかな…

「あ、梓紗?い、いいの?」
『…何がよ』
「いや…ううん、なんでも」

拍手

*第4話*~ネットの恐怖から仲間を救え ①

あー…暑い。
久しぶりに早くミッションルームに行こうと思って家を出たら、
こんなに暑いったらない。
ミッションルームの中は涼しくて快適かも!!と微かな期待を抱き、
来て見たけど、はずれ。
外より温度は低いんだろうけど、蒸し暑いさが半端ない。
クーラーが壊れてるらしい。
アタシは偶然持ってきていた内輪でパタパタと自分を仰ぐだけだった。

すると、キュウが元気に入ってきた。
「おはよう!!!」
そしてその元気が嘘のように、すぐに顔が変わった。
暑さで誰もキュウに挨拶を返そうとしない。…もちろんアタシもだ。
「何この部屋、何でこんなに暑いの?!」
「クーラーが古くてきかないんだよぉ」
『あー…あっつい。もうちょっと家にいればよかったぁー!!!』
「団先生に頼んで新しいの入れてもらおうよー」
「秋葉のネットアイドルがそんなだらしないカッコしてていいの?」
数馬がパソコンを持ち出して、こっちに来る。
秋葉のネットアイドル?
秋葉のアイドルだったら分かるけど…ネット??
「何言ってんの?」
「見ちゃったよ、メグのブログ」
「…え?」

数馬に差し出されたパソコンの画面には「メグたんブログ」とタイトルを飾った
可愛らしーいブログが現れた。
「メグがブログとは…女ってさ色んな顔があるって言うけど、ホント怖いよなぁ」
「私こんなの知らないわよ」
「照れてるし」
「だから、違うんだってば!!!私こんなの作った覚えないもん」
メグと数馬の会話を聞きながら、画面を見続けた。
でも、何かメグはホントに否定してるし、どっか違和感があるんだよなぁ。
ていうか、隣でこんなに騒いでるのにリュウはクールに読書してるし。
「ねぇ、これ全部、隠し撮り、っぽくない?」
「隠し撮り…」
メグが困惑したのが分かる。
「全部目線外れてるよな」
『ってことはメグはカメラに気付いてない?』
「もしかして」
「何?」
メグがすぐに数馬の言葉に反応する。
「メグに憧れてる奴の仕業かも」
少し得意げに笑ったメグは優しく「どーいうコト?」と聞いた。
「つまり、メグのようになりたいっていう奴がメグになりすましてブログを立ち上げたんだよ。
 ネットの中じゃ自分の理想の女の子になれるからねぇ…
 でもそれがよりによってメグとは…」
『あはは』
頬杖ついて嬉しそうに頷いていたメグはガクッと顎を落とす。
「え、じゃあ、もう1人のメグがネットの中で存在してるってコト?」
「…自分を捨てて他の誰かに同一化しようとする、病的な心理さ」
リュウが口を開いた。
なんだかんだで本は読んでるけど、ちゃんと聞いてくれてたんだ。
「こういう奴はエスカレートすると怖いんだよなぁ…」
「…やめてよ!!気持ち悪い!!!ねぇ数馬お願い!!コレ作ったの誰かすぐに調べて!!!」
「こっちもメグになりすまして、表に引きずりだしてやろう!!!」
『うわ、数馬カッコいいねー!!!』
「うるさいな、そーいうコト言うと梓紗がこういう目に遭っても助けないからな」
『ああっ、ごめんって、冗談だってば』
「しかし、こうも暑いと脳みそトロットロの奴が増えてくるなぁー」
キンタが口を開いた。

すると、突然ミッションルームの扉が開く。
「遠山!!いい若いもんが何だらけたこと言ってんだ!!!」
「七海先生…」
七海先生の登場だ。
「ってか、どうしたんすか、その格好!!!」
「今日はちょっとしたデートがあってな…」
「相手誰なんですか?!」
キュウが恐ろしい程の勢いで喰いつく。
『キュウ、食いつき過ぎだってば』
「薔薇の様に美しく、鋭い尖ったトゲを隠し持つ、怖い女」
「顔と台詞が全然合ってないんですけど」
『惚気てんのかなんなのか分かんないですけど』
「…あちーなこの部屋」
七海先生は遠くを見ながらさりげなく話題を変えた。
「、というわけで、団先生からの新しい指令だ」

それを聞いたアタシ達はすぐにDVDの上映の準備を整えた。
それぞれ自分の指定位置の席に座り、DVDの鑑賞を始める。
「Qクラスの諸君、ごきげんよう」
団先生が映った。
その瞬間、みんな反射的に立ってしまう。
「今回君達に調べてもらいたいのは、ある噂の調査だ。
 インターネット上にネットロアという都市伝説を紹介するサイトがあるんだが、
 その中で大きな話題となっている書き込みがある。
 その書き込みによるとコレクターと呼ばれる殺人鬼が存在し、
 若い娘を殺してはビデオにおさめているらしい。
 しかも、コレクターが潜んでいると噂される全寮制の高校、渋沢学院では実際、
 小椋絵美菜という女生徒が1ヶ月前から失踪したままだ。
 更に別の女生徒が数日前校内で殺されかけ、しかもそのビデオ映像がネット上で公開された。
 私にはこの一連の事件が何か恐ろしい事が起こる予兆のような気がしてならない。
 君達の力でコレクターの噂と事件との関係を探り真相を暴いてもらいたい。
 諸君らの健闘を祈る」
そこでDVDは終わり、部屋が明るくなる。
DVDの映像は団先生が映ったり、サイトが映ったり、小椋さんが映ったり、
全寮制の学校だっけ?それから追いかけられてる女生徒の映像。
色々一気に頭に入り過ぎて、ごちゃごちゃしてるけど、なんとなく整理はついた。
「それでは、Qクラス!!!…出動!!!」
七海先生がおかしなポーズを得意げに決める。
アタシらはそれに大きく返事をした。

キーンコーンカーンコーン
「それでは転校生を紹介します」
ここは…渋沢学院だっけ。
コレクターが潜んでいると噂される全寮制の学校。
より事件に深入りするためにその高校に転入してきた。
「美南恵さん、橘梓紗さん、天草流くん、それから…」
「あ、キュウです!!よろしくお願いします!!!」
先生の言葉を遮り、キュウが自己紹介をする。
「天草流です、よろしく」リュウが一礼した。
…空気的にアタシか?
「あ、橘梓紗です。よろしくお願いしますっ!!!」
「美南恵ですっ、メグって呼んでくださいっ!!…よろしくぅー!!!」
異常なテンションの高さで自己紹介するメグ。
しかも、「よろしく」にはフリまでついてる。
だけど、アタシ達の目の前にいるクラスのみんなはいそいそと授業の準備を始めた。
少しくらいは反応してくれる子いてもいいんじゃない?
「何コイツら…感じ悪ーっ」
キュウがそれを聞いて少しだけ愛想笑いをしたのが分かった。

それからいざ授業が始まった。
アタシはまだ中学2年生。
高校の授業なんて受けたって何の意味もない…てか何にも分かんない。
アタシの隣はリュウでアタシの前はキュウ。
キュウの隣はメグだ。
何やらこそこそ話してるのが分かる。
リュウをチラッと見ても特に何をするわけでもなく、手を組んで黒板を見てるだけ。
アタシはせっかくだし、とノートをとってみたけど、全然分かんない。
「誰?!おしゃべりしてるの!!!」
黒板にカツカツと音を立てて問題を書いていた先生が振り返って注意する。
そりゃあ周りがこれだけ静かだもん、話してればバレるよねー…。
それを聞いてビックリした2人は大きな音を出す。
あーあ。
「あなたなの?」
先生はキュウを見て問う。
「え、あの、僕は、いや、な…んねぇ…」
すると隣のリュウがバッと立ち上がった。
『リュ…あ、天草くん?』
アタシ達は一応転校してきたばっかりだから、少し遠めに接する。
「…すいません、僕の独り言です」
『え?!』
「独り言…?あなたそんな癖があるの?」
リュウが素気ない顔をしてる。
んなわけねぇだろ、とでも言いたそうな顔。
「これは東大の入試問題よ、10分以内にこれを解けなければ、
 このクラスの授業にはついてこれないわ」
メグが小さな声で何か言っていたのは聞こえた。
うわーリュウどうするんだろう。
…と、次の瞬間リュウは黒板へと歩きだした。
まさか解きに行く気?!
いや、リュウのことだ。
解けたりするんだよ、これが。
黒板についたリュウはポケットに手を突っ込みながらスラスラと問題を解き始める。
先生やメグ、キュウ、それにクラス全員の顔が動揺に染まる。
10分以内なんてどころじゃない、多分、5分もかかってないんじゃないかな。
「先生、これでいいでしょうか」
「…完璧だわ」
リュウは見事に先生を見返してやってた。
席に戻ってきたリュウは誰にも気づかれないような笑顔をアタシに向けた。
アタシはそれにつられて笑顔になる。
クラスの何人かは席に座ったリュウを見ていた。
リュウは顎を手に乗せ、少し俯いていた。

「さっきどうやってやったの?」
昼休み、屋上でアタシ達は時間をずらして集まった。
転校生が全員で仲良く屋上でお昼ご飯…なんてあり得ないでしょ?
「見てなかったの?」
「見てなかった」
『あ、アタシも知りたいー!!!』
「こう、こう、こうだよ!!!」
メグは自己紹介の時のフリをキュウとアタシにやってみせた。
腕をクロスして肩を触り、次はクロスを外して肩に触る。
最後に両親指を突き出しながら、前に手を伸ばす、といフリだった。
リュウは全く興味なさそうに本を読んでる。
『こう、こう、こう?!』
「そうそう!!梓紗上手いじゃんー!!キュウ、リュウ、見てた?!」
「…見てた」
リュウが呟いた。
なんなんだ、この子は。
「梓紗、何でそんな早く習得できるんだよー、
 ってかあのさぁ!!自己紹介からいきなりハズさないで!!ヒヤヒヤしたんだから僕…」
「リュウってホント頭いいよねー?一緒に居て心強いわっ…誰かさんと違って」
「中2の僕が東大の問題なんて解けるはずないじゃんっ!!!
 リュウは特別なんだからっ!!!」
「女の子って特別な存在の弱いのよねーぇ、ね、梓紗!!!」
『ははは、そーだねぇー』
「ねぇ、リュウからも何か言ってやってよー!!!」
「3人ともさぁー…一応僕らは高校生ってコトになってるんだし、
 子供っぽい振る舞いは控えた方がいいよ」
すると、みんなしょぼーんとし始めた。
リュウってばこういう雰囲気つくるの得意だよねー…。

「ここは立ち入り禁止だぞ!!!」
背後から男の人の声。
アレ?この声、すごい親しみがあるんだけど…。
「ごめんなさい!!」キュウが物凄く謝りながら振り返った。
アタシ達も振り返る。
そこにいたのは…キンタ。
「あっ…キンタ、どーしたのその格好」
「んえ?この格好なら誰にも怪しまれずに校内を調べられるだろ」
と、言い終わった丁度いいタイミングでキンタの携帯が鳴る。
電話に出るキンタ。
「おおっ、数馬」
アタシ達はすぐにキンタの携帯に駆け寄る。
覗きこむようにして5人で携帯を見る。
「例のサイトのコレクターに関する書き込みだけど、そのほとんどが
 渋沢学院から発信されてるようだ」
「それホント?!」
メグが携帯に顔を近づけ、数馬に話しかける。
「それも、1人の人間の手によるものかもしれない…」
「え、どーいうこと?!」
キュウがメグと全く同じことをして数馬に話しかける。
「サイトの書き込みを分析してみたんだけど、曜日によって書き込まれる時間が決まっていたり、
 文章に微妙な規則性があるんだよねぇ。
 もしかしたら1人の人間が複数の人間を装って、噂を盛り上げようとしてるのかもしれない」
「…つまり、自作自演ってわけか…」
リュウが静かに呟く。
そこは、メグやキュウと同じように携帯を覗き込んで…ってリュウがするわけないか。
「顔も名前も分からない匿名性がインターネットの特徴だからねぇ…
 例えば、誰かを陥れるために1人の人間が悪い噂を勝手に盛り上げるコトができるんだ」
『でも、誰が何に目的でそんなコトを?』
アタシは携帯を覗き込みはしなかったけど、数馬に向かって話した。
「とにかく、何か分かったらまた連絡する」
そう言い終わった後すぐに切れた数馬からのテレビ電話。
空気が一気に謎解きの雰囲気に変わる。
「やっぱり何かありそうねぇ…この学校」

メグが静かに呟いた。

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*第3話*~小さな恋に魔の手が迫る! ④

アタシは昨日の神社でのコトも気になったけど、
やっぱり事件が気になったので、例のマンションに来てみた。
ミッションルームに行ったら誰もいなくて、
じゃぁ事件現場行ってみよう…というコトで来てみたんだけど…。

行く途中であの花屋さんに寄ってみるコトに。
すると、数馬が店の前のベンチに1人で座っているのが見えた。
すぐに近づこうとしたけど、店から瑶子さんに話しかけられたらしく、
数馬は席を立ってしまう。
あ、と思って方向転換をしようかと思うと数馬は1人で歩きだしてしまった。
アタシは急いで数馬の後を追う。

『よっ、数馬!!!』
「…もしかして、ずっといたなんて言わないよな?」
『言わない言わない!!!たったさっき見つけただけ』
「ホント?」
『ホントだってー!!!…それより何話してたの?』
「メアド…ゲットしちゃったんだよ!!!」
『嘘、すごいね!!』
「実は瑶子さんに声かける前にメグとも会ったんだ。
 その時にちょっと励まされちゃって…なんとか聞けたんだよ」
『へぇー…アタシにはそんなコト一言も言ってくれないけどねー数馬?』
数馬は気まづそうな顔でアタシを見る。
「はいはい」と適当な返事で返された。
横断歩道と渡り終えた直後、数馬の携帯が鳴る。

『数馬、携帯』
「あ、ホントだ」
携帯に出ると、それはメグからの電話だった。
「えっ!?どーいうコト?!」
数馬が大声をあげる。
何?って聞いたら「瑶子さんが、危ないって…」。
普段なら絶対に見せないような表情でアタシに言う。
アタシは数馬の耳元にある携帯に耳を寄せる。
「彼女、スクラップマーダーの殺害の様子を偶然電話で聞いていたみたいで、
 今店に電話してみたんだけど、彼女配達に出たまま行方が分からないって!!!」
「…えええ?!?!」
しばらく経つと数馬はさっきよりも大きく驚く。
もしかしたらスクラップマーダーの罠かもしれないと、勘がうずく。

「ちょっと電話貸して」
リュウの声だ。
「数馬、梓紗と一緒なのか?」
「うん」
「……梓紗を、頼むな」
『リュウ?!』
アタシは強引に数馬から電話を取る。
「あ、梓紗?!ケガ、すんなよ?何かあったら無理矢理でも数馬連れて逃げろよ?」
『わ、分かってるよ!!!』
そう言って数馬に電話を渡した。
「うん、分かった、じゃぁ」
数馬は電話を切る。

すると、その瞬間、数馬の携帯にメールが届く。
「…瑶子さん!!!」
「何?!瑶子さんから?!」
メールの内容は1枚の写真が添付されてるだけだった。
「この場所は……」
これ…今居る場所?!SOSだしてるのかな!?
数馬は素早くパソコン、ケーブルを出し携帯とつなぐ。
「この建物が見えるのは、方向から考えて…この廃工場だけ!!!」
『早く行こう!!ここからそう遠くないでしょ!?』
「言われなくても、行くよ!!!」
アタシと数馬は走る。
数馬にいたっては走りながらキュウに連絡を取っている。
「キュウ!!瑶子さんは廃工場だ!!!ボク先言ってる!!!」
アタシと数馬は走る。
そんなに遠くない廃工場に向かって全力で走る。
1秒でも遅れたら瑶子さんが危ないと思うと足が勝手に動く。

廃工場に着く。
ここに瑶子さんがいるはず。
足音を消し、数馬と中に入る。
だけど、整え切れない息切れは消せなかった。
鉄塔と鉄塔の間から見えたのは…瑶子さんと、落合さんだった。
な、なんで落合さんが?
もしかして…スクラップマーダー?!
あ、そっか!!!あの部屋から誰にも怪しまれずに部屋を出たのは落合さんしかいない!!!
アタシは一瞬にして察するコトができた。
数馬は少し離れると息を整えるように背を向けた。
何を考えたかと思うと。
ナイフが振りかぶられた時、飛び出して行った。

「やめろ!!!!」
『ちょ、数馬!!』
アタシは数馬の突然の行為に驚いて一緒に出てしまう。
「誰だ貴様」
落合さんは重く口を開く。
「あんたがここにいることは警察に通報した!
 もう逃げられないぞ、スクラップマーダー!!!!」
「お前も邪魔をするのか。…じゃぁお前から始末してやるよ」
数馬はその言葉を聞いた瞬間、背負っていたバッグを投げつける。
その抵抗はあっけなく払われ、首に腕を巻かれ動けない状態になってしまった。
そしてミゾオチに膝を一発入れられた数馬はぐったりと倒れこむ。

『いやっ!!!数馬、数馬!!!』
「うるさいな。あー…コイツはもう伸びてる。お前も始末するか?」
『ひっ…』
落合さんの目がアタシに向けられる。
【何かあったら無理矢理でも数馬連れて逃げろよ】
リュウの声が脳裏によぎった頃には遅かった。
数馬は倒れ、アタシはもう動けない。
それに目の前に震えている瑶子さんがいるんだもん。
ごめん、リュウ、逃げられなかった。
落合さんがナイフをかまえ、アタシに向かって歩いてきた。
目の前まで歩いてきたかと思うと落合さんはさっきの瑶子さんのようにナイフを振りかぶる。
ああ、刺される。と察したアタシは無意識に目を瞑る。

「数馬ぁ―――!!!!!」
「梓紗、いるのか?!」

キュウ…と、リュウの声だ。
アタシはゆっくりと目を開けた。
目の前には振りかぶられたナイフがある。
キュウ達の存在に気づいた落合さんはアタシの肩を強く押した。
アタシは震えが止まらなくなってその場にグシャっと倒れた。

「お前達、探偵学園?!」
「まさかあなたが犯人だったなんて…なぜです?
 警察官のあなたがどうして…??」
「警察官、だからこそ当然のコトをしたまでだ」
「…え?」
キュウの驚く声が聞こえる。
アタシはそこからは意識が朦朧としてよく覚えていない。

「俺が警察でいくら喚こうが、管轄が違う、被害届が出ていない。
 そう言って誰も正義の裁きを行おうとしない…!!だから俺が、ゴミ掃除をしてやった。
 周りを見渡してみろ!!アイツらが死んで、みんな喜んでんじゃねぇか!!!」
「じゃぁ瑶子さんは?!瑶子さんや数馬、梓紗は何をしたって言うの?!
 罪の無い人を自分のために殺そうとするのが正しいって言うの?!
 …そんなのおかしい。間違ってる!!!!あなたがいくら正義を気取ったって、
 そんな身勝手な理屈で人の命を奪うことは絶対に許されない!!!
 ……僕達はあなたを絶対に認めない。
 あなたはただの人殺しだよ!!!!!!!!」
「違う!!!!!!!!」
そう言って落合さんはキュウ達に近づく。
ジリジリと後ずさりをする3人。
危ないよ、ケガしないでって言ったのはそっちなんだから、守ってよ。
すると上からキンタが降ってきた!!
アタシは突然過ぎて目を丸くした。
その瞬間激しい戦いは始まった。
落合さん、キンタ、キュウは向こう側に走って行ってしまった。

「大丈夫ですか?!」
メグとリュウが瑶子さんのもとへ走って行く。
ああ、良かった、瑶子さんが無事で…。
数馬も膝をくらっただけでケガはしてないと思うし…。
あとはキンタとキュウがケガしないでくれれば。

「梓紗!!!大丈夫か?!」
リュウの声がする。
「梓紗、大丈夫か、立てるか、ケガしてないか?」
リュウがアタシにそっと腕を回して起き上がらせる。
『ん…大丈夫。それより…数馬と瑶子さんは?無事?』
「うん、大丈夫。大丈夫だよ。ああ、もう、ホント心配したんだから。
 来た時、梓紗にナイフが向けられててホントに、どうしようかと思った」
『大丈夫だって!ほら、ケガもしてない…あ』
足には大きな擦り傷があった。
多分キュウ達が来たときに安心して倒れちゃった時の傷だ。
「うわ、大きい傷あるじゃん。ミッションルームまで我慢できるか?」
『だから、大丈夫だって!!心配し過ぎ』

数馬の方にはキュウが行ってるみたい。
チラッと様子を見たら、キュウが数馬を起こしてあげてて、トンと背中を押してた。
きっと、瑶子さんのとこに行きな…って意味だと思う。
数馬は瑶子さんに歩み寄る。

「…瑶子さん……」
数馬に気付いた瑶子さんは座っていたイスから立ち上がり、数馬に近寄る。
そして「ありがとう」。
そう呟いた瑶子さんは数馬を抱きしめる。
そう言った後に瑶子さんは数馬から離れ、
「ありがとう、数馬クン」
数馬の目を見て、ゆっくりと言った。
「ありがとう」
そしてまた抱きしめる瑶子さん。
怖くて震える瑶子さんをただ見つめていた数馬。
何を考えてるんだろう…。

「梓紗」
『ん?』
「ホント心配したんだから」
そう言って瑶子さんのようにアタシを抱きしめるリュウ。
『うわっ』
思いっきり抱き寄せられてたのと、突然でビックリして声が出た。
『ちょ、みんな居るよっ!!』
「別に大丈夫だよ、みんな数馬の方見てるし」
アタシは少し戸惑ったけど、言ってみることにした。
『……ありがとう、リュウ』
リュウは少し驚いたようにピクッとしたけど、さっきよりも強い力で抱きしめてくれた。
「いいよ、何でも。梓紗が無事ならそれで」

しばたくすると、警察が来た。
数馬が通報したんだって。
廃工場にはアタシら6人と諸星警部、猫田さん、そして落合さん、警察しかいない。
暴れる落合さんを警察がおさえる。
それで落合さんは抵抗している。
「落合!!!!…厳しくいくぞ!覚悟しとけ!!!」
そう言って手錠をかけた時だった。
落合さんは今まで暴れていたのが嘘のように突然グタッとし始めた。
終いに何も考えていないような眼で連れて行かれてしまった。

パトカーを見送った。
…最初に口を開いたのはキンタ。
「さぁ、俺達も帰るかっ」
「帰ろっか」
「うん」
そう言ってみんな歩き始めたけど、リュウの足取りが重い。
それに気づいたアタシとキュウは立ち止まる。
「…リュウ」
キュウが声をかけた。
下を向いていたリュウがゆっくり顔を上げてキュウを見る。
「昨日…男の人に呼びとめられて、妙なコト言われたんだけど」
『あ、』
リュウは「何?」と言いたげな顔で少し首を傾げる。
「【天草流の正体を知ってるか】…って」
アタシもリュウを見る。
それを聞いた瞬間、リュウはキュウから目をそらした。
「それって…どういうコト?」
『…リュウ、アタシも一緒にいたんだけど…どーいうコト?』
リュウは下を向き続けている。
「今はまだ…話したくないんだ」
リュウはしばらく下を見続けた後、1人で歩いて行ってしまった。
「わかった!!!…僕からはもう、詮索しない」
足を止める。
「だから、リュウから話してくれるまで待つから、ね」
『あ、アタシも待つ!!!』
リュウはすたすたと歩いて行ってしまった。
その後はキュウとまた昨日と同じ道を歩いて帰った。
神社の前を通るとき、少しだけ、寒気がした。

次の日、ダーツバーの前で少しボーッとしてたらキュウとキンタが来た。
アタシらは話が盛り上がって、笑いながらミッションルームへと到着。
すると、イスに座っていたメグの姿が1番に飛び込んできた。
笑いながら入ってきたアタシ達に「しーっ」と呼びかける。
「アレ?数馬、どうしたの?」
『何?暑さでダウン?具合悪いの?』
「それがさー…」
メグが立ち上がり、アタシ達の方へ歩いてきた。
「ふふ……瑶子さん、結婚するんだって…!!」
「ええっ?」
「ええ?マヂで?」
『嘘ぉ?!』
「え…じゃぁ、数馬…フラレちゃったの?」
その言葉を聞いた数馬は机に伏せていた顔がグンッと起き上がった。
「ちゃん、ちゃんと告ったわけじゃないからフラれたとは…いい、言えないよ」
「どんだけ負けず嫌いなんだよ」
『そうだね、うん。数馬はまだ告ってないもんねー?』
「梓紗、それ、どーいう意味」
『いや?』

すると、数馬の携帯の軽快な着信音が鳴る。
ゆっくりと携帯に手を伸ばし、電話に出る数馬。
「もしもし、……はぁ、はい。申し訳ありません。
 ゲーム製作の方は当分休ませてもらいます。今、本気でやりたいコトがあって…
 失礼します」
電話を切った数馬にいち早く話しかけたのはキュウだった。
「ねぇ数馬…本気でやりたいコトって…」
「デジタルだろうと、アナログだろうと…キュウ達には負けないからね!!!」
数馬はアタシ達の方を指差して言い放った。
『な、何?どうしたの』
その次にバシッと見せてきた紙には、
「何それ」
「…探偵養成ギブスさ…」
数馬はメガネを上げてしゃべる。
「これさえあれば、キンタにも負けない体力がつく!!!」
「こんなの作ってる暇あったら、腕立てでもやってろ!」
キンタは数馬の持っている紙を取り上げた。
数馬は「ちょっと」とすごく返してもらいたそうだ。
数馬から取り上げた紙とキンタはメグに渡し、メグの方に数馬が来たかと思うと、
その紙をアタシによこした。
「エネルギー向ける方向間違ってるよねー、はいっ!!」
『よくできてると思うけど…これはねぇー?』
「ちょっと、返せって」
数馬が来たからアタシはキンタに紙を渡す。

…―――その日はリュウがミッションルームに顔を出すことはなかった。

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*第3話*~小さな恋に魔の手が迫る! ③

メグ、キュウ、キンタはその【SAHARA】っていうクラブに行くって言うから、
アタシもしかたなく…行くことにした。
1回家に帰ってからって言われて、渋々家に帰って着替えることに。

メグがリュウも一応誘ってみたら?って。
電話したら「梓紗は行くの?」って聞かれた。
「行くよ」って言ったら「他に誰居るの?メグと2人?」って心配そうに言われた。
キュウとキンタもいるって言ったら、
「んー…、まぁそのキンタがいるんだったら大丈夫か、僕はいいや。気をつけてね」
って言われてすぐにブチッと切られちゃった。

「家にある1番ギャルっぽい服着てこなきゃ、ナメられるからね!!!」

メグのその一言が頭を離れず、服を探してたら、
すっごーいチャラい、ジャラジャラしてるのがあった。
なんでもってるんだろう…とか思いながら着替える。

集合場所に着くと、メグがアタシ以上のギャルさで待ってた。
「えー!!!ヤバい梓紗、そんな服着るの?!普通に可愛いじゃんっ!!!」
メグが大声で驚く。
別に…着たのは今日が初めてなんだけどね…。
カバンの中をゴソゴソとし出すメグを見てたら携帯が出てきた。

すると次の瞬間。
「いえーい♪梓紗のギャル姿ゲット☆」
キラキラの笑顔でメグが見せてきたのは携帯の中にいるアタシ。
しかも相当な真顔だ。
『なっ…撮って何すんのよ!!!すっごい変な顔してんじゃん!!消してー!!』
「これはねー、ある人に送らなきゃいけないのよねー?」
『はぁー?』
「まず、行こうっ!!みんな待ってるから!!!」

クラブの前で集合って言ったはずなのに2人がいない。
キュウに電話したら「え?!中に入っちゃったよ!!すぐそこにいるから入ってきて!」だって。
クラブの中は人がたっくさん居るし、音楽はガンガンかかってるし、
お酒やカクテルの匂いが漂ってるし、ライトがチラチラしてるし
…アタシは苦手だな、こーいうとこ。

「みーんな、怪しく見えちゃうなぁー…」
メグが店内を見物して発した一言。
『そーだねぇ…』
「ってか、何その格好?!」
「ガキっぽい格好してたら、ナメられるでしょ~?ね、梓紗」
『うんー…そーだねぇ…』
アタシはメグが振って来てたのは分かってたけど適当に流す。
「梓紗までそんな格好でさー…っていうか、僕が梓紗のこの姿見ていいの?」
『何それー!!そんなにアタシこーいうの似合わないってゆーのか!!」
「いやぁ…そーいうわけじゃなくてさぁ…」
「でしょ?!アタシもそー思ってさぁ、もう写メ送っといたから♪」
「あー、そーなの?」
『はー?誰の話??』
「梓紗はとことん鈍感だな、リュウも苦労すんな」
『何でリュウが苦労するんだよー!!!』
そう言ったらメグは少し笑ってから前へと歩いて行った。
アタシも後をついていく。

すると何かに気づいたようにキュウに話しかける。
「ねぇ」
「ん?」
「アイツさっきっから店ン中うろうろしてる」
「えっ?」
店の中は人の声と爆音で少し離れると上手く会話が繋がらない。
アタシとキュウはその話をもとに誰なのか探す。
すると、キンタが突然歩き出す。
「キンタぁ?」
『どこ行くの?』
ドンドン進んでいくキンタはメグが言っていた男の人の前で立ち止まる。
こっそりついて行くアタシ達。
…何?

少し睨みあったかと思うと男の人は笑いだした。
そして、一瞬にして抱き合う2人。
「キンタっぁ!!久しぶりじゃねぇかぁ!!!!」
「なんだよ、お前ぇー!!ここで働いてたのか、ええ?!」
「店長だ!!雇われ店長だぁ!!!」
「そーうかぁー!!!」
と言ってまた抱き合う2人。
「キーンタっ♪」
少し離れたトコから女の人の声。
「おおー、はるかもいたのか。久しぶりじゃねーかぁー」
キンタと男の人は話しながら歩きだしてしまった。
…え??
「みんな…お友達みたい…」
「はぁー…あぁ…」
『どーいう?』
キュウは感心して言葉が出ない様子だった。
そこからカウンターに座り、みんなで事件のコトについて話すことに。

「スクラップマーダーかぁ…」
「誰か、怪しい人間に心当たりないか?」
「うちは色んな連中が出入りするからねぇー…」
「じゃぁ、逆に狙われそうな人は?」
「狙われそうな人……あ!!最近うちの店によく出入りする女がいんだよ。
 そいつが、覗き部屋サイトやってて、アクセスしてきた奴に、高額請求してきて、
 なんか、あちこちで恨みをかってるらしいよ」
『覗き部屋サイトってなんですか…?』
「女の人にカメラセットして、で、着替えたり、寝てるところを
 24時間流してるサイトがあんのよ」
「その女の名前分かるか?」

するとはるかさんにパソコンで覗き部屋サイトにアクセスしてもらうコトに。
慣れた手つきでサイトを探す。
少し経つとそのサイトは現れた。
「電話してる」
覗き部屋サイトに映ってる女の人は電話中だった。
マニキュアを塗ってる様子も伺える。
するとキンタは数馬に電話を始めた。
「俺だ。今から言うサイトに映ってる覗き部屋の住所調べてくれ」

サイトの方では女の人が携帯をベットに投げ捨て、部屋を出て行った。
次に女の人が画面に現れた時にはもう遅かった。
黒いジャンパーをかぶった人が女の人を床にたたきつける。
「キンタ!!!」
「ヤローぉ、出やがった!!!」
『何、これ、スクラップマーダーだったりするの?!』
と、その瞬間。
スクラップマーダーだと思われる人物は、カメラを壊す。
やっぱりこれは計画的な犯行。
サイトの画面は全て映らなくなってしまった。
「「「『あ』」」」

キンタの携帯が鳴る。
きっと、数馬からの電話だ。
覗き部屋の住所が分かったんだ。
キンタは数馬が教えてくれている住所をメモする。
「サンキュ、助かった…」
キンタはすぐに携帯を切り「ここからすぐだ。諸星警部にすぐに知らせてくれ」
キュウが「うん」と返事をした頃にはもうキンタは走り出していた。

キュウが諸星警部に連絡した後アタシ達もキンタが残したメモをもとに、
その住所へと急いだ。
メグが「リュウにも連絡して」って。
連絡したら「すぐ近くにいるからすぐ行く」って電話切れたら5分もしないうちに来た。
どんだけ近いトコいたんだよ。

「犯人は?」
「部屋にはぁー、間違いなく鍵がかかってたんだな?」
「ああ…だから消火器でぶっ壊して入ったんだろ」
「キンタ、本当にこの部屋には誰もいなかったの?」
「ああ、見ての通りこの部屋にはどこにも隠れる場所なんてないしな」
「ってことはぁー…、部屋の鍵は犯人が持ち出したっていうわけか?」
「諸星さん!!!」
猫田さんが来る。
鍵を持っている。
これって…。
「部屋の鍵、被害者の着衣から発見されました。スペアキーも部屋の中から」
「えっ…何ぃ?」
「じゃぁ…この部屋は、密室だったってこと?」
その密室という言葉にアタシは過剰反応してしまった。
密室??そんなものは存在しない。
どこかに必ずトリックがある筈だ。
リュウやキュウ、キンタも少し顔付きが変わっていた。

「ご苦労様です」
「…あの」
キュウが玄関先にいる警官に話しかける。
…あ、この人、諸星警部と話をしてた落合さんじゃない?
「おまわりさんは諸星警部の指示でこちらに来たんですか?」
「いや、匿名の通報があったんです」
「あ、じゃぁキンタを犯人と誤解しちゃったわけですね」
「僕の早とちりです、申し訳ありませんでした」
そう言って落合さんは深々と頭を下げる。
「落合、もう引き上げていいぞ」
ほら、やっぱり落合さんだ。
「はい、失礼します」
落合さんは厳つい敬礼をすると、部屋から立ち去って行った。

「ああ!!それと、被害者の携帯が見つからないンですが…」
「あ?」
『犯人が侵入してきたとき、被害者、携帯でしゃべってましたよ?』
「うん!!…ってコトは携帯は犯人が持ち去ったってこと?」
「もしかして…携帯で話してた相手は、犯行の一部始終を聞いてたのかも…」
『え、嘘、それって…』
「だとしたら、その人が危ない」
まっ先に矛先がその人に向かう。
「おい猫田!!急いで通話記録を調べろ!!!」
「あ、はい!!!!」

その後アタシ達は解散した。
帰る方向が途中まで同じキュウと一緒に帰るコトに。
リュウに送るよって言われたけど、夜遅いしリュウも早く家に帰りな?て言ったら
何か、大人しく「うん、じゃぁ、キュウよろしくね」って帰っちゃった。
なにか用事でもあったのかなぁ?

神社の前の通りをキュウと2人で並んで歩く。
「密室殺人なんてありえないよなぁ…」
キュウが口を開いた。
『だよねぇ…』
「でも…あの部屋には人が隠れる場所なんて無かった…」
『いや、でも絶対トリックがあるって…ん?』
遠くから聞こえてくる口笛。
…誰?
キュウと一緒に目線をやる。
アタシは怖くてキュウに少し隠れた。
口笛の人はアタシらの近くまで来ると、立ち止まった。

「探偵学園のキュウくんと梓紗さんですね?…ふ」
「はい」
『な、なんですか?』
「君達は…天草流の正体をご存知ですか?」
「え?」
な、何?この人。
どこかで見たような気が…。
リュウの…何?
「彼がどんな目的で探偵学園に入ったのか、確かめてみるといいですよ
 きっと、興味深い答えが返ってくるはずです」
アタシとキュウは男の人を凝視する。
そして、男の人は振り返って不気味に言う。
「いずれまた会いましょう。それが我々の宿命です…ふふ」
そう言ってアタシ達の前から姿を消した。

『キュウ…』
「な、何なんだろう。リュウに何があるんだろう」
『…何もあるわけないじゃんっ!!!怖いから、早く帰ろうよ…』
「そ、そうだね」

アタシはその日の夜、考えすぎて眠る事ができなかった。

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