ドリーム小説
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見てる。
ぜーぇったい、ずーっとこっち見てる。
授業中なのにも関わらず、隣の席の梓紗が…見てる。
そんな可愛い顔で見つめんでくれ。
俺は理性を保つので精いっぱいなんだからさ…。
........
ああ!!ダメだ、やっぱり我慢できないっ!!
「ちょっと、梓紗」
「あ、やっと見たあ、43秒もかかったよ?!」
「…そんなことしてたの、」
「うん、てか、絶対わざと気付かないふりしてたでしょ」
「気付かないふりはしてないけど…まぁ、気付いてたけど」
「ひっでーえ」
「うっせえ、一応授業中だぞ」
そう言って俺はまた黒板の文字に視線を戻した。
なーんかまだ見てる気ぃする…。
「ねえ…こっち見ないでくれる?」
「えー、なんで」
「逆に何でそんなに見るんだよ」
「だって、太輔の横顔カッコいいんだもん」
「ばっか、授業中だってば!!」
授業中なのに、コイツは言いたい放題だ…全く。
俺はもうかまってやんない、と決めて前を向く。
「正面の方がカッコいいんだけどなあー…?」
やっぱり弱いな、俺はこの声に。
「あとでいっぱい見してやっから…今は、我慢して?」
うんっ、と嬉しそうに声をあげる、
あー、後で俺どうなっちゃうんだろう…、
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「あの…北山くん……」
「…何?」
放課後、階段踊り場、男女が2人きり…、
そして女子は恥じらいながら俺に何か言おうとしている―――、
完全告白じゃね?!
ダメダメダメダメっ!!!
俺、彼女居るし!!
知ってて言ってんのかな、この人。
しかも教室で待たせてるんだけど…、
「ずっと、ずっと前から…北山くんのコト好きでした!!」
…ヤバい。
「……ありがとう、でm【ガタンっ!!】…え?」
振り返る…長い髪がサッと消えたような気がした。
あ、梓紗だ。
「か、彼女ですよね…今の…、」
「た、たぶんな…って、知ってたのか」
「あの…ダメですか?!私じゃっ?!…北山くんの彼女になれませんか?」
「な、何を…」
「どうしても好きなんです!…ダメですか?」
「……ダメだな、俺、梓紗じゃないと……それに…、
アレを手放すつもりはないね」
そう言って俺は走り出すんだ。
愛しいお前の元へ―――…。
そして誤解を解かなきゃ、なんねーんだろうなあ…
ま、アイツも俺じゃなきゃダメだろーし、
分かってくれるっしょ。
「ねえ祐樹」
「はい?」
今、友達のカップルと6人で合同デート中。
いつもはこんなコトして遊んでても、
女子達は女子で話してて、彼氏と話す…なんてことは少ないのに…、
何故、話しかけてきた?
「な、なんでしょうか」
「ほらねー?」
そう言ってまた女子達と話し始めた。
何か俺の噂でもしてんのか?
「ちょ、おい、何?」
「べっつにー…ね?」
「冗談だと思ってたけど、ホントだとはねえ」
「そういえば聞いたことなかったな、うん」
女子達が口ぐちに言いだした。
「あ、分かったかも」
「はあ?」
俺の隣の奴もポツリと言った。
「やっぱり?俺も分かったと思う」
そう言って2人は俺から離れ、何か話し合った。
そして「だよなーっ!!」と大声を出していた。
「何なの、全然分かんない」
「梓紗って呼んでみ?」
………は?
「な、なんで」
「やっぱり俺もそれだと思った」
「野澤ってめっちゃ名前で呼ばねーよな」
「は、何ゆってんの、呼んでんじゃん」
「んじゃ、呼んでみろよー」
「あ、あず、あ」
よ、呼べない…。
「あず、あ…あ」
何で呼べないんだよっ!!
「じゃあ…これは言えるべ」
そう言って1人が俺の耳元でコソっと呟いた。
俺はその言葉を聞いた時、血の気が引いた。
「無理無理っ!!それは無理ッ!」
「はー?なんでえ?」
「言えるわけないっしょ、んなの」
「恥ずかしいんだ?」
「う、うるせえ!!」
まあどうせ後で言わされるんだろうなあ…
梓紗、愛してる
真っ赤になって口を覆う、梓紗の嬉しそうな顔が浮かんだ。
「ねー梓紗あー」
こっちを向いてくれない。
「梓紗ってば」
「なに、」
「ねえー、何でこっち向いてくんないの?」
一向にこっちを向く気配はなかった。
「俺さあ…鈍感なの知ってっしょ?…なんか怒らすようなことした?」
「はっしーが気付かないなら、別にいーじゃない」
「絶対怒ってる」
「別に、」
梓紗は完全に不機嫌モードだ。
俺、マヂで何かした記憶がない。
梓紗に隠れて何かをやってるわけでもないし。
「じゃあ、いいや」
「は?何それ」
梓紗は俺の唐突な言葉に驚き振り返った。
「あ、」
「やっとこっち見たね?」
「は、はっしーが酷いこと言うから」
「かまってほしかったの?」
「う、うるさいっ!!」
もう…、可愛いんだからあ。
素直に言えばいいのに。
「んで?結局なんで不機嫌なの」
「言いたくない、」
「なんで」
「嫌だもん、はっしーバカにするもん」
「しねーよ、いつ俺がお前をバカにしたって」
「常に」
「……、し、しないから、言って?ね?」
「はっしーが、とっつー好き過ぎてるんだもんっ!!!」
「……はい?」
機嫌悪い理由が……それ?
「え、何?そ、それで機嫌悪いの?」
「そ、そうだよ!!文句あるっ?」
「な…ないです、……てゆーか、」
「?」
「可愛すぎでしょ――――っ!!!!!」
俺はガバッと梓紗を覆った。
梓紗は俺の腕の中でもごもご言っている。
いくら俺がとっつー好きだからって…同姓だよ?
それに嫉妬なんて…か、可愛すぎる。
でも、梓紗がそれで嫌な思いするんだったら…可愛いだけじゃダメだよな。
「そーいうことは、バカにされてでもちゃんと言えよ?」
「ば、バカにすんのか」
「しないけどさあ!!!」
「梓紗の嫌なことはしたくないじゃん?」
「宏光ーぅ」
「…何、藤ヶ谷、どうした」
「宏光ーっ」
「…は?」
藤ヶ谷太輔がおかしい。
いつもは、北山なのに突然下の名前で呼び始めた。
「ひーろみつっ」
「…だからさっきから何?変なもん食った?」
そしたら突然黙り込んだ。
…俺、そんなに酷いこと言ったか?
「ちょ、藤ヶ谷…何?」
「って感じで、いっつもイチャついてんだろ?」
「はあ?」
「梓紗ちゃんだよ、梓紗ちゃん」
「な、…なんで今その話…」
梓紗…俺の彼女だ。
グループ内では有名だ。
北山に似合わないくらい可愛い子だ、って。
余計なお世話だっつの…
「んだよー、せっかくノロけさせてやってのにー?」
「は?…つか、アノ存在はストレス以外の何物でもないね」
「周りの男が寄ってくるからでしょ?」
藤ヶ谷がいやらしい笑みを浮かべて俺に言った。
「まあ……それもあるけどな」
藤ヶ谷の言ったことは、紛れもなく俺の本音。