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ドリーム小説
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聞きたくなかった。
聞きたくなかった。
聞きたくなかった。

「B組の…佐倉さん」

祐樹の好きな人は…ふんわりとしていて可愛い女の子だった。
アタシなんて到底かないもしないような美人。
中学同じだったのに…何の素振りも見せてなかったのに…。
少しでもアタシじゃないかって期待したのがばかばかしい。
あーあ、やっぱりアタシって口走って後悔するタイプだ。
ホント、聞かなきゃ良かった。

祐「んで、ホントに協力してくれんの?!」
 『す、するするっ!!するに決まってんじゃーんっ!!!』
祐「ホントか?まぁ、あんま変なことしなくていーよ、んじゃ」
 『えー…』

あーあ、ホントヤダなぁ。
でも実際協力するって言っちゃったし…まずは佐倉さんと友達になんなきゃ。
そっから、色々聞きだして祐樹に伝えて…。

『もう…アタシの、ばーか』
「お、独り言かぁ?」

声がしてみて振り返ると、『ゆ、佑馬ぁ?!』
そこには手をヒラヒラとさせてニッコリ笑っている佑馬の姿が。
 『は、はぁ?!なんでいんの』
佑「いやー…ねぇ」
 『な、なによっ』
佑「んー…ちょっと遊びに来ただけーっ」
 『遊びにって…アタシまだ居残りあるんだけど…』
佑「なにー?追試?」
 『違うよ、バカっ!!資料まとめてって言われたの!!』
佑「ねぇつか、のんはー?」
 『スルーかよ…さっきまでしゃべってたけど、どっか行っちゃった。
 帰っちゃったのかも…』
佑「まさか、のんは梓紗置いて帰らないでしょ」
 『そー…かなぁ』

周りの生徒がみんなブレザーなのに対し、
佑馬は1人学ランを着こなしている。
結構視線を感じた。
『まずさ、どっかの教室…入らない?』

そう言って入った教室はやっぱり自分の教室だった。
そこには大量に積み重ねられている、4つの紙の山が。
1つ山を覗けば【右から順に上にしてホチキスで留めて】とだけ書いてあった。
やるしかないねー、と机をガタガタと動かして、2つくっつけた。

「手伝うから、一緒やろ」

佑馬の笑顔が輝いた。
初めて見たかもしれない、佑馬のこんな顔。
いつものゲラゲラ笑ってて、すぐ調子に乗るような佑馬じゃないような気がした。
凛としてて、だけど少しあどけなさが残ってる…みたいな。
上手く表現できないけど…初めての顔だった。
『てゆーか佑馬何しに来たの??中にどーやって入ったの。
 よくここまで先生に見つからないで来れたね』
「んー…何か意外に行けたよ?先生に会ったし」
『はぁ?スルーされたの?』
「うん、こんちぁー言ったら、はいこんにちわだって。俺学ランなのに」
『つ、強いな』
「うん」

そこからはしばらく沈黙で作業を進めた。
佑馬との沈黙なんて…初めてじゃないかな。
いつも佑馬が話しかけてくれるから、か。
んじゃ、アタシが話しかけてみよう…でも何て言えばいいのかな。
「あのさ、」
佑馬が沈黙を破った。
え?と言って顔をあげたアタシは驚いた。
さっきの微笑みとはまた別の、違う大人っぽいってゆーか、なんつーか。

『な、何、どした?』
「あ、あのさ」
『なんだよっ』
「密室で2人きり」
『ん?』

佑馬は下を俯いて、ポソリと言った。
アタシは何のことはよくわかんなかった…とゆうか聞こえにくかった。

「だから、教室で2人っきりなんだよ?今」
『う、うん』

今度はしっかり聴こえた。
だからといって、さっきと変った返事をする必要はなかった。
…なんで、そんなこと聞く?
すると、佑馬はパッと顔をあげた。
その顔はなぜかすごく悲しそうだった…今にも泣きそうな。

 「やっぱり梓紗は俺を男として見るわけねぇーか」


 『え、』

佑馬は突然悲しそうに呟く。
な、何それ。
よく、意味がわかんな「まだ分かんない?」……『うん、』
「だよな、ずっと兄弟だったし」
『待って、何、佑馬とは兄弟じゃなくて』
「そうじゃなくてさっ!!…恋愛対象じゃなかった、てこと」

う、……嘘。
『え、や、な、何ゆってんの、待って、』
「何年待ったと思ってる?」
『ちょ、ゆー、ま?』





 「ずっと、梓紗が好きだった」


『う、うそでしょ、またゆーまのコトだからさ、冗談で』
「俺がこんな冗談つけるわけないじゃん」
『待ってよ、な、何で、何でアタシ?』
「ずっと好きだったって言ったじゃん、小学校の頃から好きだった。
 理由なんてないよ、ただ1番好きだった、最初っから」
『今まで、ずっと…?』
「うん」


し、信じらんない。
アタシが祐樹のコトで揺れてる間、佑馬は想ってくれてた。
しかも時間だって半端ない。
小学校の頃からってことは…最低でも3年以上って…何で気付かなかった。
…そっか、佑馬もアタシと同じ気持ちだったんだ。
――――【この関係を壊したくない】
みんなお互いを家族のように思ってるから、自分よりも先に他の3人を考えちゃう。
今ここで想いを打ち明けたらどーなるのか、想像しただけで切なくなる。

佑馬は今、それを超えたんだ。

「ちょ、梓紗?!」
『な、なんだよぉ』
「だって、何泣いてんだよ、そんなに俺じゃダメか?」
『そーじゃなくて…』

涙が…勝手に流れ出てた。
佑馬の今までと、アタシに想いを打ち明けるのにどれだけ勇気が必要だったか。
今の関係を壊す、そーなったとしても佑馬はアタシを想ってくれた。
そう考えてたら、自然と今までのアタシがずるいように思えてきた。
自分のズルさと、佑馬の強さが……アタシの涙を誘った。

『佑馬が、どんなに悩んだんだろうって思ったら…泣けてきた』
「おいおい…しょうがねぇなぁ」
『だって、そんなの勇気いるじゃん、なのに、こんなアタシなのに… 
 ずっと佑馬の気持ちに失礼なコトしたこといっぱいあると思うし…』
「そ、そんなコト思わせるために俺告ったわけじゃないからっ!!
 マヂ泣くなってっ!…もー、大丈夫だから、な?」
『嘘つけ、絶対苦しいほど悩んだくせに』
「別に、付き合ってってゆーわけじゃないから。
 だた伝えたかっただけ。そのために今日来たのっ、最初から。
 んじゃ俺帰るわ、のん居るんでしょ?いつも通りのんと帰ってっ…そんじゃ」

佑馬はアタシの肩をポンと押すと、アタシは少しフラついた。
佑馬の優しさと佑馬の強さが、温かく染みてきた。
教室を出て行った佑馬の背中はすごく大きくて、違って見えた。
アタシは泣きやんで、資料のまとめに入ろうとした時、祐樹は入ってきた。

祐「お、いたー。帰ったと思ってた…って、目ぇ赤くない?
  何か…あったの?俺いない間に」

とっくに泣きやんでたはずなのに、祐樹は何故か泣いてたことに気付いてくれた。
あれからどれだけ経ったと思う?
目だってもう赤くないはずなのに。
なんで、なんで分かってくれたの。
今でもすごく泣きたいよ。泣きたいよ。泣きたいんだよ。
泣きたい、泣きたいよ、誰か……泣かせて、泣かせてよ。
『別に、泣いてないよー。何で泣くんだよ
 あ、風かもしれない、さっきまで窓開けてたからさぁ』



 「……無理すんな」

アタシは祐樹の言葉に全てを奪われた。
今まで引っ掛かってた心の奥のモヤモヤが解消されたみたいに。
我慢してた涙が次々に溢れ出した。

『ゆ、祐樹ぃ、祐樹ぃ……ゆーき…』

突然泣き崩れたアタシに引きもせず、静かに頭をなでてくれた。
アタシは今までにないほど泣いて、なかったコトにしようとしてた。
だけど、そんなコトできるはずなくて。

「大丈夫だから、泣け泣け、俺で解消しろ」

ちょっと照れくさそうに言った祐樹がすごくカッコ良かった。




アタシは…やっぱり祐樹が好きなんだよ。



…、ゆーまぁ…ごめんね?

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