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ドリーム小説
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*第1話*~実践開始!戦慄の死の予言!死体消滅の謎を追え ⑤

次の日。
ミッションルームに入るとそこにはキュウと数馬の姿が。
「おはよう」と声をかけると昨日のことを話しこんでいたみたい。
リュウとメグとキンタはまだ来ていない。
メグ…昨日あれから見てないけど、大丈夫かな??

「何やってんだよ僕は…はぁ…彼女のそばにいながら、救えなかった…」
『キュウ、キュウが全部悪いんじゃないよ。
 アタシだってメグの異変に気付いたのに…アタシが1番最初に気付いたのに…』
「…僕もショックだよ。こんなものを発見するなんて…」
さっきまで黙っていた数馬が口を開く。
テーブルの上にはキュウの…バッグ??
中から取り出したのはメイドさんが表紙のDVD。
もしかして…あの時の?!
まさか…借りてたなんて…ホント見損なうよ…。
「!何で人のカバン勝手にあさってんだよ!」
「キュウがメイド好きだったとは…やられたよ」
『嘘!キュウあの時借りてたの?!ホントに見てるだけだと思ってたのに…』
「ビデオ屋さんで人とぶつかったんだよ!」
『アタシが行ったときぶつかってなかったじゃんっ!』
「嘘もそこまでひねりがないと、逆におもしろいね!」
「梓紗が来る前だってば!嘘じゃないって!!」

すると、ミッションルームの扉が開いた。
キュウは慌ててDVDを服の下に隠す。
入ってきたのはメグとリュウ。
「一緒だったんだ!」
平然を装って話しかけるキュウは最高におもしろい。
堪えられずに笑顔でいたらキュウに睨まれた…。
『メグ、大丈夫??』
「心配かけてごめん」
「無理ないよ…あんなの見ちゃったら…梓紗は平気なの??」
リュウとちょっと目が合う。アタシは微笑んで、
「平気…って言えばウソになるけど…メグはアタシよりもっと辛いと思うから。
 メグに比べたらアタシなんて…全然平気」
アタシはキュウにそう言うとリュウの方を向いた。
リュウは何を思ったかアタシと目が合った瞬間申し訳なさそうに目をそらした。

するとソファーに腰掛けたメグが口を開く。
「瞬間記憶能力ってさ、1度見たものは絶対に忘れないんだよね。
 っていうか忘れたくても忘れられないの。…便利そうで意外とキツいんだよね」
アタシはメグの言葉を聞いてすごく重く感じた。
1度見たものは忘れられない。
今こうして4人で過ごしてる時もメグの記憶には残り続けるだろうけど…。
こういう時を忘れちゃうっていう怖さよりも、
あんなに残酷なものをいつまでも覚えていちゃうっていう怖さ…。
やっぱり瞬間記憶能力ってそんな軽いものじゃない。
メグはいつも元気で明るく振舞ってるけど…本当は辛いと思う。
メグは本当に強いなって、心から思った。

「昨日の話、メグに聞いたよ」
リュウが呟く。キュウは悔しそうに言う。
「情けないけど…何もできなかった」
「でも、だんだんおもしろくなってきたじゃないか」
「っ、おもしろいって…ゲームじゃないんだよ!?ひと1人死んだんだよ!」
キュウが怒鳴る。場は一気に張り詰める。
「僕が興味あるのは謎解きと犯人の正体だけだ。
 だからこんなときでも思ってしまう。…謎よ、もっと深まれってね」
リュウ…が言う。
でも、リュウ、リュウだって…リュウはクールで素気ないけど…。
アタシだってそりゃ犯人の正体確かめたいけど…でもリュウだって…。

「ねぇ、死体消失のトリック、もう1度考えてみない??」
メグが場の空気を変えようと話をもちかける。
「…僕達が外に飛び出して、もう1度現場に戻るまで約3分。
 その3分間で死体は跡形もなく消えた」
『たった3分…3分で死体を持ち去るなんて…無理だよね??
 それに誰が何の目的で…』
「それ、やっぱり無理だよね??」
「それに、床に敷いてあったブルーシートや段ボールも…何で持ち去ったんだろう」
『シートと段ボールもって…余計に3分じゃ無理だよ』
「やっぱり…亡霊の呪い…「大体さぁ!!何でわざわざ死体を持ち去るわけ?
 マギー審司じゃあるまいし。私達を驚かして何が楽しいのよ…」
「マギー審司…「参ったなーまだ密室トリックの謎も解けてないっていうのに」
さっきから数馬の発言はスルーされまくり。
しかも妙なとこにつけこんでくるし、大丈夫ですかー?
「『ああ、そっちの方はもう解決したよ』」
リュウとアタシの声がハモる。
ハモったのと解けたっていうのでみんなの目は丸くなる。
驚くみんなをよそにアタシ達は現場へと向かった。

「犯人はまず被害者を殺害し、そとから部屋の鍵をかけた。
 そしてこの穴を利用して、遺体のそばまで鍵を運んだんだ」
リュウは穴を指差しながら説明する。
「でもどうやって?どんな道具を使ったんだよ」
『道具なんか必要ないんだよ』
「なんで?」
「この穴から鍵を戻してやるだけで、自動的に奥の部屋まで辿り着くんだ」
「そんな、鍵が勝手に歩いて行くとでも言うの?」
『うっわ、また数馬そんなアナログなこと言って!』
「たとえだよ、こんなコト本気で思ってるわけだいだろ?!」
「…歩いて行くんじゃない。転がっていくんだ」
リュウはちょっとムスッとした感じでアタシ達の言い合いを遮った。
リュウは少しメグを見ると、メグは持っていたアイスボックスから氷玉を取り出した。
なんで、真相を知ってるアタシに持たせてくれなかったんだろう…。
「え、氷??」
「よく見てろ」
リュウはそう言ってしゃがみこむと、床近くの壁の穴に氷玉を投げた。
だから、なんでアタシにやらせてくれないんだよう!
氷玉に沿ってアタシ達も部屋の中に入る。

「…なんで?なんで止まらないの??」
「…そうか!傾斜だ!!」
『そうなの。この部屋の床、見た目ではあんまりわかんないけど、
 ある一点に向けて緩やかな傾斜になってるの』
「そして、この段ボールも、玉が転がっていくベクトルを邪魔しない位置に
 計算して置いてあったんだ」
岡田さんが殺された部屋まで来ると、氷玉は止まった。
キュウはそれを拾い上げてメグに取られる。
「部屋の中は日中40度近くまで気温が上がる。氷が溶けて気化すれば床に鍵だけが残る」
『鍵が部屋の中にあれば密室殺人だと思っちゃうよね。
 実はこれが密室殺人のトリックの正体なの』
満足げにアタシが言うとリュウは「全く…」という微笑みでアタシを眺めてた。
「リュウ、梓紗、すごい…!」
キュウは笑顔でアタシ達に言う。
メグは小さい声で「おめでたい奴」とつぶやく。まぁまぁ。

「喜ぶのは犯人の正体か死体消失のトリックが解けてからにしたら??」
『アレ?数馬くん、負け惜しみかなぁ??』
「悔しいねー数馬、リュウと梓紗に先越されて」
メグがからかうように数馬に言う。
メグが数馬に氷玉を投げる。
数馬はそれを受け取ると手の中で転がしながら言う。
「別に。僕が優先してたのは犯人探しだし」
「妙な占いにハマってたくせに」
「やるべきことはやったさ」
『占い?数馬、占いなんかやるの??何の占い??』
「あっ、メグ!僕占いなんてしてないから、いいね?」
メグは少し笑って「はいはい、言いませんよー」って。
数馬ってば、また変なコトやってたらしい。
深く探らないけど、何やってたんだか。

「西村静香のファンサイトで幻の遺作が話題になってたよ」
数馬が話を変えようと事件に関する情報を言い出す。
「彼女、新作書きあげてたの??」
「ああ。出版社に問い合わせたら、彼女、無くなる直前、非公式にメールを送ってたらしい。
 【次の作品のコピーを学校の図書館に隠します。
  それを発見できた方と今回は出版契約を交わします。
  ヒントは決して読まれることのない作品です】ってね」
『ここでもまた謎を出題ねぇー』
「さすがミステリーの紹鴎、謎かけときたか」
「で、その原稿誰か見つけたの??」
キュウが興味津々に聞く。
「いや。各出版社はいろんな手を使って探したけど、未だに発見できずにいるんだって。
 彼女のパソコンに原稿が残っている可能性もあったんだけど、亡くなったときに
 クラッシュして確かめようがないみたい」

それを言い終えた数馬は氷玉をキュウに投げる。
「でも、誰にも読まれることのない本って言われても…」
誰にも読まれれることのない本…
「ねぇたとえば…『続きものの漫画を読んでて1巻だけ抜けてたらどうする??』…あっ。
 ねぇ、梓紗、今僕全く同じこと言おうとしたんだけど…?」

アタシ達は急いで高校の図書室へ向かう。
数馬はミッションルームに戻って調べ物をするからってアタシ達とは別方向に歩きだした。
そっちはミッションルームの方向じゃなかったのが…気になったけど。

「答えは前・後編の作品で、前編が存在しないもの。
 前篇読まなきゃ後編には進めないよね。あった!」
キュウが図書室にある本の在庫が詳しく表示されてるパソコンを操作する。
マウスで刺した本のタイトルは『亡者の棲家』。
その本の上巻は赤字で『紛失』を記されていた。
アタシはそそくさとその場を後にするリュウについていく。
リュウはすぐにその本を見つけ出し、ページをパラパラめくる。
するとメグが駆け寄ってくる。
アタシはリュウに近づいて指先で綺麗にめくられる本を見る。
最後にたどり着いた裏表紙の内側には破かれた跡が。

『ここに…あったんだね。破かれてる』
「…誰かがもう持ち去ってる」
「一体誰が……うわぁ!」
メグの驚いた声にビックリし振り返るとそこには文芸部の先輩、芳村さんの姿が。
アタシはホントにビックリしてリュウの肩に隠れる。
リュウもビックリしてたけど、アタシが隠れたのに気づくと意地悪な顔して笑った。
アタシはそっとリュウの肩から手を離して知らないふりをする。
「無理しなくていいのに」と少しバカにしながら言ってきた。
「無理なんてしてないしー」小さく言ったらリュウがまた笑った。

「嘘、もしかして先越されちゃったの??」

アタシ達は図書室の机に場所を移し話すことにした。
メグとキュウは椅子に座ってて、アタシとリュウが立って聞いてる。
芳村さんはメグとキュウの向かいに座る。
「その新作、誰か読んだことがある人いるんですか?」
「律子達は読んでたんじゃないかな?登校前によく読み直しやらされてたから。
 それから・・・顧問の米山先生」
『え、あの先生も??』
「あの人、ああ見えて昔はミステリー作家目指していたそうよ。
 そのために家庭も捨てたっていうんだから、半端じゃないわ」
「それで、デビューできたんですか?」
「結局才能なくて挫折しちゃったみたい。でも、批評は的確でね。
 プライドの高い静香も、先生のアドバイスだけには耳を貸してたわ」
それを聞いた途端リュウは不思議な顔をして少し離れた所で電話をしだした。
・・・っ!

『ねぇ、パトカーの音。すぐ近くで聞こえない??』
「え?そんなの聞こえな…、ほんとだ!!」
アタシは尋常じゃない胸騒ぎが始まり、次の瞬間には走り出した。
気付くとキュウとメグがアタシを越して走り出す。
リュウは追いかけてきたようにアタシに追いつく。
ひたすら廊下を走る。騒がしい様子から…警察が学校に来てる。

「刑事さん…!!」
「ああ、またお前らか」
「何か起こったんですか??」

「大森恭子の死体が、ここで発見された」

大森さんが殺された??
どうして?どうして。アタシはまた1人助けられなかった。
岡田さんと佐々木さんが殺されたときにあんなに悔んだじゃない。
それが…また同じことを繰り返して…アタシ達は誰も助けられないまま。
「メグ…、もう見ない方が…」
「、え?」
「またパニック起こすかもしれないし…」
メグ、またパニック起こしちゃうのかな??
でも、毎回毎回死体見る度にパニック起こしちゃうんだったら…。
メグの体にも心にもいいことなんてないよね…。
やっぱりメグは見ない方が…いいのかな「何甘いこと言ってんだよ」
リュウが冷たいトーンで言う。
「メグの能力は生まれながらに授かったものだろ?それを生かさないでどうすんだよ」
「…、リュウはメグの怯えた姿を見てないからそういうことが言えるんだよ」
「だったら。探偵なんて目指すの、今すぐやめるんだな」
リュウの冷たく言い放った言葉がアタシの胸にも突き刺さる。
『リュウ、そこまで言わなくても』
「リュウ、誰にだって苦手なことや嫌なことはある。それを助け合うのが仲間だろ?」
「悪いけど僕にはそんなもの必要ない」
リュウはアタシを少し見た。
一瞬寂しそうに見えたけど…すぐに冷たい目に戻ってキュウを見る。
「僕はずっとそうやって生きてきたんだ」

すると、諸星さんが来る。
後ろでは担架が運ばれてる。嫌な予感が胸を走る。

「大森恭子だ。死因はおそらく…強殺だ」

諸星さんはゆっくりとかぶせられていたシーツをめくる。
アタシは甘えてられない、と担架から目を離さない。
所々内出血している大森さんの顔。
怖くて…動けなくて目がそらせなかった。
少し経つとメグは離れたところに行ってしまった。キュウは追いかける。

リュウがアタシに気付いてくれたのか、肩を抱き寄せてくれた。
アタシはハッと我に返り、メグがいないのに気づく。
辺りを見回すとメグとキュウが部屋の端にいる。
『…メグ……』
「大丈夫、メグにはキュウがいる。…大丈夫だから」
『…ありがとう、もう、大丈夫』
アタシはリュウに安心をもらい、落ち着いたところでキュウとメグに少し近づく。
『…メグ』
「…キュウ、梓紗。大丈夫だから」
「でも…」
「どうしても乗り越えなきゃいけないの。自分の力をちゃんと役に立てたいの」
キュウは少し戸惑っていたけど、すぐに言った。
「…わかった。メグはそう決めたんなら、もう止めない。
 でもメグは1人じゃないから。僕も梓紗も…それからリュウもそばにいる」

メグは頷く。
メグが大森さんの死体の横で立ち止まると、ゆっくりと死体を見た。
パッと視線を移動させたかと思うと、すぐに辛そうな顔をした。
少し離れたところでしゃがみこんでしまった。
「…おかしいわ。佐々木さんと同じほくろがある」
メグが辛そうに言う。
アタシはそんなメグに我慢できなくなり、メグの隣にしゃがみ込む。
『…どういう意味??』
「…、切断されてた佐々木さんの下半身にも、大森さんと同じほくろがあったの」
同じほくろ…。
キュウはそれを聞き、死体に歩み寄る。
アタシは息がきれてるメグの背中をさする。
同じほくろ、無くなった死体、同時に持ち去られたブルーシートと段ボール。
ここまで来ると……そうか、そういうトリックか。

「…そうか。昨日の夜、僕達が見たのは、佐々木さんの死体なんかじゃなかった。
 あれは、佐々木さんと大森さんが、それぞれ死体のパーツを演じていたものだったんだ」
「おい、それどういうことだよ」

キュウとの答え合わせ。
よし、すべてがアタシのと一致してる。
諸星さんがキュウに聞き返した。
「つまりマジックの、胴体切断のトリックです!
 2人はそれぞれ上半身と下半身を段ボールに入れてただけなんです。
 そして、あの車の爆破は恐らく僕達を誘い出すための罠だ。
 2人は僕達が部屋から飛び出した直後、仕掛けから抜け出して現場から立ち去ったんです」
『ブルーシートや段ボールを現場から持ち去ったのもそのためだね』
「うん。警察に調べられたらトリックが水の泡だもん!」
キュウは優しくメグの方を向く。
「メグ、ありがとう。君のおかげでわかった」
「そんな単純な仕掛けに俺達引っ掛かったのか?」
諸星さんが不思議そうな顔をして聞く。
「最初の被害者の岡田律子さんは、ノートになぞられて殺されました。
 だから僕達は佐々木さんもノートに書かれていたように、
 胴体を切断されてしまったと思いこんでしまったんです。…巧妙な心理トリックです」
「でもなんでそんな面倒くさいことをしなくちゃいけないんだ?」
「…自分のアリバイを作るため」

突然リュウが口を開く。
「…そう。2人はきっと犯人に脅されてたんだと思う。
 言う通りにしなければ、西村静香さんを殺したことを表沙汰にするって」
「…じゃぁ、真犯人の正体は…?」
メグは立ち上がるとキュウに真剣な表情で聞いた。

「…あの人以外、考えられない」

アタシ達は真犯人の行きそうな場所を調べ、急いで移動する。

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