ドリーム小説
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*第3話*~小さな恋に魔の手が迫る! ②
事件現場から少し離れたところでユリエと話す。
「今回の事件も、冥王星が絡んでいるのか?」
「だったらどうします?」
僕はこのユリエの笑顔が嫌いだ。
この口だけが笑っていて目が笑っていない。
こんな笑顔を見せられて不快しか湧き上がってこない。
「探偵学園の生徒として、やるべきことをやるだけだ」
僕はそれだけ言って立ち去ろうとすると、ユリエが刺すように話しかける。
「なぜ、冥王星から逃れようとするのですか?」
―――なぜ。
「…生まれながらに犯罪者の宿命を背負わされた人間の苦しみが、あんたにわかってたまるか」
わかってもらおうなんて思わない。
誰にもわかってもらうつもりなんてない。
…嘘。
誰もわかってなんてくれるはずないじゃないか。
「では冥王星を敵に回す覚悟が本当におありなのですか?
Qクラスのメンバーがあなたの正体を知ったとき、手を広げて迎えてくれると思いますか?」
「…っ」
うるさい。
そんなこと、最初から分かってる。
――リュウが謝るコトじゃないよ――
梓紗の言葉がよぎる。
だって、君は、それを知ったら僕から離れていくだろ?
それが怖い。
君が怯えた顔をして、今までのことを捨て去ろうとするのが怖い。
僕は君がくれる優しい笑顔に甘えている、弱い人間なんだよ。
「あとで辛い思いをするのは…あなたですよ?」
頬に触るユリエの手が冷たい。
知ってるんだよ、そんなこと。
それを知ったときに離れていくみんなの姿が。
こんな現実、僕が1番信じたくないんだよ。
もう、やめてくれ。
頼む。
これ以上、
嫌だ、やめてく『…あの、』
突然聞こえた梓紗の声。
小さかったけど、しっかりと聞こえた。
瞬間、僕はユリエの手を振り払い、振り返る。
そこには走ってきたのか息が切れている梓紗。
ああ、こんなにも安心を与えてくれるのか。
一気に全身に血が通ったような救い…君しかいない。
『あの、すいません。あっ、声かけちゃって。話の途中だと思いますが…呼び出しが…』
梓紗はかなり困惑した様子で言葉を濁す。
ユリエは、あの笑みを残し、その場を去った。
やっぱり僕は梓紗に助けてもらってばかりだ。
梓紗が来ていなかったら…僕はどうなっていたんだろう。
「…話、聞いてたのか?」
『ううん、すごく探して、見つけた途端に話しかけちゃって…。
別に話すことも何にも考えてなかったのに…自分でもビックリしちゃった…それに、』
「それに?」
『リュウにすごく話しかけたかったの。実は…呼び出しなんかなくて…。
話しかけなきゃ、っていう、何か、感情が…』
「そっか」
話、聞いてなくて良かった。
すごい焦ってる様子だったら話を聞いてなのかと思った。
本当のことを知ったら君はそんな顔するんだろう。
軽蔑?呆れる?恐れる?…離れていくことは、確かだろうか。
『ごめんね、勝手なコトして。話の途中だったでしょ?』
「…ありがとう」
『?』
僕は梓紗に手を伸ばし、ゆっくりと自分の腕におさめる。
甘くて温かくて安心して、こんなにも僕に愛しいと思われる君がズルい。
『…リュウ!?』
「待って、ちょっとだけ」
『…?分かった…』
「顔、赤いね?」
『…なっ!』
君の慌てる様子がおかしくて、少しだけ笑った。
すると、それにつられて笑う君のその顔。
この笑顔が絶望に変わってしまうなら、僕はずっと嘘つきでいい。
弱い人間でいい、君が笑顔でいてくれるなら…そう、思った。
ー待って、ちょっとだけー
リュウがそんなコト言うからアタシは大人しくリュウの腕の中。
あの女の人は誰?
リュウと何を話してたの?
リュウは何にあんなに怯えていたの?
走って探して見つけたリュウの手のひらは強く拳になっていた。
アタシはあの時どうすれば正解だった?
どんな言葉をかければよかったのかな?
振り向いてくれたリュウの顔の一瞬は、すごく悲しい目。
誰かに助けを求めたくて、仕方がない目をしてた。
すぐに駆け寄りたかった。
だけど、足が動かなかった。
リュウがアタシに助けを求めてる。
そう思った瞬間、足が固まった。
どうすれば助けられるの?アタシは言葉を濁すばかりだった。
その後に聞いたリュウの「ありがとう」は情けなく感じた。
もっと気の利いた行動はできないのか、もっとリュウを楽にさせる言葉はないのか。
やっぱりアタシはリュウに助けてもらってばっかりだ。
ねぇリュウ、アタシはどうしたらいいの?わかんないよ…。
リュウが先に帰っててって言うから、アタシは仕方なく1人で帰る。
リュウ、またあんな風になんないかな?
言葉に出して聞けなくて、ちょっとだけリュウを見つめてたら
「大丈夫だよ」って言ってくれた。
アタシはまだ少し心配が抜け切れてないけど迷惑掛けたくなかったから帰ることにした。
「あれ?梓紗なんかあった?」
ミッションルームに入ると、いち早くキュウに気付かれる。
誰にも言わないつもりだったけど、キュウにはごまかせないなぁ。
『え?なんで?別になんもないよ?疲れただけだよっ』
「…そっか!」
キュウは察したように話を打ち切ってくれた。
キュウのそういうトコ尊敬するよ、本当に。
「それにしても、1日歩いても手がかりゼロかぁー!」
「被害者の年齢も職業もバラバラ、接点は何も見当たらないもんなー」
メグとキンタがソファーにもたれかかって言う。
相当疲れてるね、これ。
『え?あったじゃん、共通点』
「え?」
「2人とも、人に恨まれてた。
こいつに復讐してやりたいとか、こらしめてやりたいとか、そういう人たちの心の叫びを
聞いた犯人が、今回の事件を引き起こしたんじゃないかなって考えられない?」
「殺された連中は社会のゴミだった。
だから犯人は、正義の味方を気取ってそういう連中をゴミ箱に捨てたっていうのか?」
『すごい正義感だけど、方向が間違ってる』
「でも、僕は絶対に犯人を認めない。どんなに悪人だろうと、人殺しは許されることじゃない。
絶対に犯人を捕まえてみせる!」
キュウの言葉にアタシは深く頷いた。
「そうすると、問題は、犯人が彼らの存在をどこで知ったかってことか」
メグが呟く。
「地道に調べて回るなんて、相変わらずアナログだね」
『数馬?』
数馬が突然しゃべりだす。
「そういう数馬はネットで何か情報掴んだの?」
「別に」
「真剣に捜査もしないで、そういうコト言わないでよ!」
「こっちはゲームのプログラムとか色々やることがあったんだよ!!」
「何逆ギレしてんだよ」
数馬の様子がおかしい。
瑶子さん関係かな?って思ったけど、数馬だってその辺のメリハリはつけれるだろう。
もっと、もっと深い悩みだな、これは。
解決するまで放っておいてやるしかないね。
「数馬!」
立ち去ろうとする数馬にキュウが声をかける。
「…どうしたの?」
「…キュウはいいよなぁ、迷いがなくて」
「え?」
数馬は何を言ったかと思うとそそくさと部屋を出て行った。
キンタが「なんだアイツ」と呟くのが聞こえた。
「迷いがなくていいなぁ」…か。
アタシもキュウのコトそう思うな。
悪い意味じゃなくて、1つのコトに真っ直ぐ向き合えてるってのが…。
数馬もきっと…そういうことなんじゃないの??
次の日、また被害者が出たと聞いて、アタシ達はすぐに現場に向かった。
現場には警察、野次馬、パトカーやらうじゃうじゃしてた。
そこには当然、諸星さんと猫田さんの姿も。
「諸星さん!」
「…何しに来た」
「今度の被害者は?」
「おう、この辺の悪ガキだ。…って、何で答えてんだよ!」
そう言って諸星さんは自分で自分の顔をひっぱたく。
隣にいた猫田さんは「自分で突っ込んでどうすんですか?!」と驚いていた。
「すみません、下がって下さい」
「おう、落合!!」
野次馬を抑えようとしている1人の警察官に諸星さんが声をかける。
落合さん…というらしい。
諸星さんに対して機敏に敬礼をする。
「お前、スクラップマーダーについて何か面白いネタもってないか?
中身次第じゃ、刑事課に推薦してやるぞ」
「いや、その話は…もう」
「あれ?お前刑事課に行きたがってたじゃねぇか」
「地域の人を身近で守れるこの仕事の素晴らしさに気付いたんです」
「おお、そうか」
「失礼します」
「ああ」
落合さんはまた諸星さんに敬礼をすると、その場を後にした。
少し…なんだか気になる会話だ。
特に…変なコトを話しているわけでもないんだけど…。
「なぁ、殺されたやついつもうちに顔出してた奴だぜ」
後ろにいた男の人たちの会話が耳に入る。
「これでやっと静かになるな」
「殺されたあの人、よく店に来てたのか?」
キンタが話に参加する。
「ほとんど毎晩だよ。駐車場でガンガン音楽かけてさ、迷惑なやつだったよな」
「ああ」
同意を求められた方は答えながらマッチでタバコに火をつける。
ブックマッチだ。
「あ、そのマッチ」
メグが突然しゃべり出す。
しかも、何かに気づいたように。
「マッチがどうしたの??」
「昨日ホームレスに差し入れいてた蕎麦屋のお兄ちゃんも持ってた。
あのラーメン屋さんにも同じマッチがあった」
『あのぉ…変な事聞きますけど、そのマッチもらったお店って?』
「これは行きつけのクラブのマッチだけど」
男の人の持っているブックマッチを見ると、【SAHARA】と書かれている。
聞いたコトのない店だなぁ…。
「もしかして、そのお店で殺された男の話とかしました?」
「ああー…そういえば話したコトもあったかも。酔った勢いで愚痴ったかもしれないなぁー」
『そうですか。ありがとうございます』
アタシ達は会話を終え、振り返るとみんなで目を合わす。
「見つかったわね、事件の共通点」
メグが自信ありげに言う。
アタシも大きくうなずく。
「犯人は、そのクラブで被害者の情報を手に入れてたんだ」
キュウも自信満々だ。
事件現場から少し離れたところでユリエと話す。
「今回の事件も、冥王星が絡んでいるのか?」
「だったらどうします?」
僕はこのユリエの笑顔が嫌いだ。
この口だけが笑っていて目が笑っていない。
こんな笑顔を見せられて不快しか湧き上がってこない。
「探偵学園の生徒として、やるべきことをやるだけだ」
僕はそれだけ言って立ち去ろうとすると、ユリエが刺すように話しかける。
「なぜ、冥王星から逃れようとするのですか?」
―――なぜ。
「…生まれながらに犯罪者の宿命を背負わされた人間の苦しみが、あんたにわかってたまるか」
わかってもらおうなんて思わない。
誰にもわかってもらうつもりなんてない。
…嘘。
誰もわかってなんてくれるはずないじゃないか。
「では冥王星を敵に回す覚悟が本当におありなのですか?
Qクラスのメンバーがあなたの正体を知ったとき、手を広げて迎えてくれると思いますか?」
「…っ」
うるさい。
そんなこと、最初から分かってる。
――リュウが謝るコトじゃないよ――
梓紗の言葉がよぎる。
だって、君は、それを知ったら僕から離れていくだろ?
それが怖い。
君が怯えた顔をして、今までのことを捨て去ろうとするのが怖い。
僕は君がくれる優しい笑顔に甘えている、弱い人間なんだよ。
「あとで辛い思いをするのは…あなたですよ?」
頬に触るユリエの手が冷たい。
知ってるんだよ、そんなこと。
それを知ったときに離れていくみんなの姿が。
こんな現実、僕が1番信じたくないんだよ。
もう、やめてくれ。
頼む。
これ以上、
嫌だ、やめてく『…あの、』
突然聞こえた梓紗の声。
小さかったけど、しっかりと聞こえた。
瞬間、僕はユリエの手を振り払い、振り返る。
そこには走ってきたのか息が切れている梓紗。
ああ、こんなにも安心を与えてくれるのか。
一気に全身に血が通ったような救い…君しかいない。
『あの、すいません。あっ、声かけちゃって。話の途中だと思いますが…呼び出しが…』
梓紗はかなり困惑した様子で言葉を濁す。
ユリエは、あの笑みを残し、その場を去った。
やっぱり僕は梓紗に助けてもらってばかりだ。
梓紗が来ていなかったら…僕はどうなっていたんだろう。
「…話、聞いてたのか?」
『ううん、すごく探して、見つけた途端に話しかけちゃって…。
別に話すことも何にも考えてなかったのに…自分でもビックリしちゃった…それに、』
「それに?」
『リュウにすごく話しかけたかったの。実は…呼び出しなんかなくて…。
話しかけなきゃ、っていう、何か、感情が…』
「そっか」
話、聞いてなくて良かった。
すごい焦ってる様子だったら話を聞いてなのかと思った。
本当のことを知ったら君はそんな顔するんだろう。
軽蔑?呆れる?恐れる?…離れていくことは、確かだろうか。
『ごめんね、勝手なコトして。話の途中だったでしょ?』
「…ありがとう」
『?』
僕は梓紗に手を伸ばし、ゆっくりと自分の腕におさめる。
甘くて温かくて安心して、こんなにも僕に愛しいと思われる君がズルい。
『…リュウ!?』
「待って、ちょっとだけ」
『…?分かった…』
「顔、赤いね?」
『…なっ!』
君の慌てる様子がおかしくて、少しだけ笑った。
すると、それにつられて笑う君のその顔。
この笑顔が絶望に変わってしまうなら、僕はずっと嘘つきでいい。
弱い人間でいい、君が笑顔でいてくれるなら…そう、思った。
ー待って、ちょっとだけー
リュウがそんなコト言うからアタシは大人しくリュウの腕の中。
あの女の人は誰?
リュウと何を話してたの?
リュウは何にあんなに怯えていたの?
走って探して見つけたリュウの手のひらは強く拳になっていた。
アタシはあの時どうすれば正解だった?
どんな言葉をかければよかったのかな?
振り向いてくれたリュウの顔の一瞬は、すごく悲しい目。
誰かに助けを求めたくて、仕方がない目をしてた。
すぐに駆け寄りたかった。
だけど、足が動かなかった。
リュウがアタシに助けを求めてる。
そう思った瞬間、足が固まった。
どうすれば助けられるの?アタシは言葉を濁すばかりだった。
その後に聞いたリュウの「ありがとう」は情けなく感じた。
もっと気の利いた行動はできないのか、もっとリュウを楽にさせる言葉はないのか。
やっぱりアタシはリュウに助けてもらってばっかりだ。
ねぇリュウ、アタシはどうしたらいいの?わかんないよ…。
リュウが先に帰っててって言うから、アタシは仕方なく1人で帰る。
リュウ、またあんな風になんないかな?
言葉に出して聞けなくて、ちょっとだけリュウを見つめてたら
「大丈夫だよ」って言ってくれた。
アタシはまだ少し心配が抜け切れてないけど迷惑掛けたくなかったから帰ることにした。
「あれ?梓紗なんかあった?」
ミッションルームに入ると、いち早くキュウに気付かれる。
誰にも言わないつもりだったけど、キュウにはごまかせないなぁ。
『え?なんで?別になんもないよ?疲れただけだよっ』
「…そっか!」
キュウは察したように話を打ち切ってくれた。
キュウのそういうトコ尊敬するよ、本当に。
「それにしても、1日歩いても手がかりゼロかぁー!」
「被害者の年齢も職業もバラバラ、接点は何も見当たらないもんなー」
メグとキンタがソファーにもたれかかって言う。
相当疲れてるね、これ。
『え?あったじゃん、共通点』
「え?」
「2人とも、人に恨まれてた。
こいつに復讐してやりたいとか、こらしめてやりたいとか、そういう人たちの心の叫びを
聞いた犯人が、今回の事件を引き起こしたんじゃないかなって考えられない?」
「殺された連中は社会のゴミだった。
だから犯人は、正義の味方を気取ってそういう連中をゴミ箱に捨てたっていうのか?」
『すごい正義感だけど、方向が間違ってる』
「でも、僕は絶対に犯人を認めない。どんなに悪人だろうと、人殺しは許されることじゃない。
絶対に犯人を捕まえてみせる!」
キュウの言葉にアタシは深く頷いた。
「そうすると、問題は、犯人が彼らの存在をどこで知ったかってことか」
メグが呟く。
「地道に調べて回るなんて、相変わらずアナログだね」
『数馬?』
数馬が突然しゃべりだす。
「そういう数馬はネットで何か情報掴んだの?」
「別に」
「真剣に捜査もしないで、そういうコト言わないでよ!」
「こっちはゲームのプログラムとか色々やることがあったんだよ!!」
「何逆ギレしてんだよ」
数馬の様子がおかしい。
瑶子さん関係かな?って思ったけど、数馬だってその辺のメリハリはつけれるだろう。
もっと、もっと深い悩みだな、これは。
解決するまで放っておいてやるしかないね。
「数馬!」
立ち去ろうとする数馬にキュウが声をかける。
「…どうしたの?」
「…キュウはいいよなぁ、迷いがなくて」
「え?」
数馬は何を言ったかと思うとそそくさと部屋を出て行った。
キンタが「なんだアイツ」と呟くのが聞こえた。
「迷いがなくていいなぁ」…か。
アタシもキュウのコトそう思うな。
悪い意味じゃなくて、1つのコトに真っ直ぐ向き合えてるってのが…。
数馬もきっと…そういうことなんじゃないの??
次の日、また被害者が出たと聞いて、アタシ達はすぐに現場に向かった。
現場には警察、野次馬、パトカーやらうじゃうじゃしてた。
そこには当然、諸星さんと猫田さんの姿も。
「諸星さん!」
「…何しに来た」
「今度の被害者は?」
「おう、この辺の悪ガキだ。…って、何で答えてんだよ!」
そう言って諸星さんは自分で自分の顔をひっぱたく。
隣にいた猫田さんは「自分で突っ込んでどうすんですか?!」と驚いていた。
「すみません、下がって下さい」
「おう、落合!!」
野次馬を抑えようとしている1人の警察官に諸星さんが声をかける。
落合さん…というらしい。
諸星さんに対して機敏に敬礼をする。
「お前、スクラップマーダーについて何か面白いネタもってないか?
中身次第じゃ、刑事課に推薦してやるぞ」
「いや、その話は…もう」
「あれ?お前刑事課に行きたがってたじゃねぇか」
「地域の人を身近で守れるこの仕事の素晴らしさに気付いたんです」
「おお、そうか」
「失礼します」
「ああ」
落合さんはまた諸星さんに敬礼をすると、その場を後にした。
少し…なんだか気になる会話だ。
特に…変なコトを話しているわけでもないんだけど…。
「なぁ、殺されたやついつもうちに顔出してた奴だぜ」
後ろにいた男の人たちの会話が耳に入る。
「これでやっと静かになるな」
「殺されたあの人、よく店に来てたのか?」
キンタが話に参加する。
「ほとんど毎晩だよ。駐車場でガンガン音楽かけてさ、迷惑なやつだったよな」
「ああ」
同意を求められた方は答えながらマッチでタバコに火をつける。
ブックマッチだ。
「あ、そのマッチ」
メグが突然しゃべり出す。
しかも、何かに気づいたように。
「マッチがどうしたの??」
「昨日ホームレスに差し入れいてた蕎麦屋のお兄ちゃんも持ってた。
あのラーメン屋さんにも同じマッチがあった」
『あのぉ…変な事聞きますけど、そのマッチもらったお店って?』
「これは行きつけのクラブのマッチだけど」
男の人の持っているブックマッチを見ると、【SAHARA】と書かれている。
聞いたコトのない店だなぁ…。
「もしかして、そのお店で殺された男の話とかしました?」
「ああー…そういえば話したコトもあったかも。酔った勢いで愚痴ったかもしれないなぁー」
『そうですか。ありがとうございます』
アタシ達は会話を終え、振り返るとみんなで目を合わす。
「見つかったわね、事件の共通点」
メグが自信ありげに言う。
アタシも大きくうなずく。
「犯人は、そのクラブで被害者の情報を手に入れてたんだ」
キュウも自信満々だ。
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