ドリーム小説
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*第4話*~ネットの恐怖から仲間を救え ①
あー…暑い。
久しぶりに早くミッションルームに行こうと思って家を出たら、
こんなに暑いったらない。
ミッションルームの中は涼しくて快適かも!!と微かな期待を抱き、
来て見たけど、はずれ。
外より温度は低いんだろうけど、蒸し暑いさが半端ない。
クーラーが壊れてるらしい。
アタシは偶然持ってきていた内輪でパタパタと自分を仰ぐだけだった。
すると、キュウが元気に入ってきた。
「おはよう!!!」
そしてその元気が嘘のように、すぐに顔が変わった。
暑さで誰もキュウに挨拶を返そうとしない。…もちろんアタシもだ。
「何この部屋、何でこんなに暑いの?!」
「クーラーが古くてきかないんだよぉ」
『あー…あっつい。もうちょっと家にいればよかったぁー!!!』
「団先生に頼んで新しいの入れてもらおうよー」
「秋葉のネットアイドルがそんなだらしないカッコしてていいの?」
数馬がパソコンを持ち出して、こっちに来る。
秋葉のネットアイドル?
秋葉のアイドルだったら分かるけど…ネット??
「何言ってんの?」
「見ちゃったよ、メグのブログ」
「…え?」
数馬に差し出されたパソコンの画面には「メグたんブログ」とタイトルを飾った
可愛らしーいブログが現れた。
「メグがブログとは…女ってさ色んな顔があるって言うけど、ホント怖いよなぁ」
「私こんなの知らないわよ」
「照れてるし」
「だから、違うんだってば!!!私こんなの作った覚えないもん」
メグと数馬の会話を聞きながら、画面を見続けた。
でも、何かメグはホントに否定してるし、どっか違和感があるんだよなぁ。
ていうか、隣でこんなに騒いでるのにリュウはクールに読書してるし。
「ねぇ、これ全部、隠し撮り、っぽくない?」
「隠し撮り…」
メグが困惑したのが分かる。
「全部目線外れてるよな」
『ってことはメグはカメラに気付いてない?』
「もしかして」
「何?」
メグがすぐに数馬の言葉に反応する。
「メグに憧れてる奴の仕業かも」
少し得意げに笑ったメグは優しく「どーいうコト?」と聞いた。
「つまり、メグのようになりたいっていう奴がメグになりすましてブログを立ち上げたんだよ。
ネットの中じゃ自分の理想の女の子になれるからねぇ…
でもそれがよりによってメグとは…」
『あはは』
頬杖ついて嬉しそうに頷いていたメグはガクッと顎を落とす。
「え、じゃあ、もう1人のメグがネットの中で存在してるってコト?」
「…自分を捨てて他の誰かに同一化しようとする、病的な心理さ」
リュウが口を開いた。
なんだかんだで本は読んでるけど、ちゃんと聞いてくれてたんだ。
「こういう奴はエスカレートすると怖いんだよなぁ…」
「…やめてよ!!気持ち悪い!!!ねぇ数馬お願い!!コレ作ったの誰かすぐに調べて!!!」
「こっちもメグになりすまして、表に引きずりだしてやろう!!!」
『うわ、数馬カッコいいねー!!!』
「うるさいな、そーいうコト言うと梓紗がこういう目に遭っても助けないからな」
『ああっ、ごめんって、冗談だってば』
「しかし、こうも暑いと脳みそトロットロの奴が増えてくるなぁー」
キンタが口を開いた。
すると、突然ミッションルームの扉が開く。
「遠山!!いい若いもんが何だらけたこと言ってんだ!!!」
「七海先生…」
七海先生の登場だ。
「ってか、どうしたんすか、その格好!!!」
「今日はちょっとしたデートがあってな…」
「相手誰なんですか?!」
キュウが恐ろしい程の勢いで喰いつく。
『キュウ、食いつき過ぎだってば』
「薔薇の様に美しく、鋭い尖ったトゲを隠し持つ、怖い女」
「顔と台詞が全然合ってないんですけど」
『惚気てんのかなんなのか分かんないですけど』
「…あちーなこの部屋」
七海先生は遠くを見ながらさりげなく話題を変えた。
「、というわけで、団先生からの新しい指令だ」
それを聞いたアタシ達はすぐにDVDの上映の準備を整えた。
それぞれ自分の指定位置の席に座り、DVDの鑑賞を始める。
「Qクラスの諸君、ごきげんよう」
団先生が映った。
その瞬間、みんな反射的に立ってしまう。
「今回君達に調べてもらいたいのは、ある噂の調査だ。
インターネット上にネットロアという都市伝説を紹介するサイトがあるんだが、
その中で大きな話題となっている書き込みがある。
その書き込みによるとコレクターと呼ばれる殺人鬼が存在し、
若い娘を殺してはビデオにおさめているらしい。
しかも、コレクターが潜んでいると噂される全寮制の高校、渋沢学院では実際、
小椋絵美菜という女生徒が1ヶ月前から失踪したままだ。
更に別の女生徒が数日前校内で殺されかけ、しかもそのビデオ映像がネット上で公開された。
私にはこの一連の事件が何か恐ろしい事が起こる予兆のような気がしてならない。
君達の力でコレクターの噂と事件との関係を探り真相を暴いてもらいたい。
諸君らの健闘を祈る」
そこでDVDは終わり、部屋が明るくなる。
DVDの映像は団先生が映ったり、サイトが映ったり、小椋さんが映ったり、
全寮制の学校だっけ?それから追いかけられてる女生徒の映像。
色々一気に頭に入り過ぎて、ごちゃごちゃしてるけど、なんとなく整理はついた。
「それでは、Qクラス!!!…出動!!!」
七海先生がおかしなポーズを得意げに決める。
アタシらはそれに大きく返事をした。
キーンコーンカーンコーン
「それでは転校生を紹介します」
ここは…渋沢学院だっけ。
コレクターが潜んでいると噂される全寮制の学校。
より事件に深入りするためにその高校に転入してきた。
「美南恵さん、橘梓紗さん、天草流くん、それから…」
「あ、キュウです!!よろしくお願いします!!!」
先生の言葉を遮り、キュウが自己紹介をする。
「天草流です、よろしく」リュウが一礼した。
…空気的にアタシか?
「あ、橘梓紗です。よろしくお願いしますっ!!!」
「美南恵ですっ、メグって呼んでくださいっ!!…よろしくぅー!!!」
異常なテンションの高さで自己紹介するメグ。
しかも、「よろしく」にはフリまでついてる。
だけど、アタシ達の目の前にいるクラスのみんなはいそいそと授業の準備を始めた。
少しくらいは反応してくれる子いてもいいんじゃない?
「何コイツら…感じ悪ーっ」
キュウがそれを聞いて少しだけ愛想笑いをしたのが分かった。
それからいざ授業が始まった。
アタシはまだ中学2年生。
高校の授業なんて受けたって何の意味もない…てか何にも分かんない。
アタシの隣はリュウでアタシの前はキュウ。
キュウの隣はメグだ。
何やらこそこそ話してるのが分かる。
リュウをチラッと見ても特に何をするわけでもなく、手を組んで黒板を見てるだけ。
アタシはせっかくだし、とノートをとってみたけど、全然分かんない。
「誰?!おしゃべりしてるの!!!」
黒板にカツカツと音を立てて問題を書いていた先生が振り返って注意する。
そりゃあ周りがこれだけ静かだもん、話してればバレるよねー…。
それを聞いてビックリした2人は大きな音を出す。
あーあ。
「あなたなの?」
先生はキュウを見て問う。
「え、あの、僕は、いや、な…んねぇ…」
すると隣のリュウがバッと立ち上がった。
『リュ…あ、天草くん?』
アタシ達は一応転校してきたばっかりだから、少し遠めに接する。
「…すいません、僕の独り言です」
『え?!』
「独り言…?あなたそんな癖があるの?」
リュウが素気ない顔をしてる。
んなわけねぇだろ、とでも言いたそうな顔。
「これは東大の入試問題よ、10分以内にこれを解けなければ、
このクラスの授業にはついてこれないわ」
メグが小さな声で何か言っていたのは聞こえた。
うわーリュウどうするんだろう。
…と、次の瞬間リュウは黒板へと歩きだした。
まさか解きに行く気?!
いや、リュウのことだ。
解けたりするんだよ、これが。
黒板についたリュウはポケットに手を突っ込みながらスラスラと問題を解き始める。
先生やメグ、キュウ、それにクラス全員の顔が動揺に染まる。
10分以内なんてどころじゃない、多分、5分もかかってないんじゃないかな。
「先生、これでいいでしょうか」
「…完璧だわ」
リュウは見事に先生を見返してやってた。
席に戻ってきたリュウは誰にも気づかれないような笑顔をアタシに向けた。
アタシはそれにつられて笑顔になる。
クラスの何人かは席に座ったリュウを見ていた。
リュウは顎を手に乗せ、少し俯いていた。
「さっきどうやってやったの?」
昼休み、屋上でアタシ達は時間をずらして集まった。
転校生が全員で仲良く屋上でお昼ご飯…なんてあり得ないでしょ?
「見てなかったの?」
「見てなかった」
『あ、アタシも知りたいー!!!』
「こう、こう、こうだよ!!!」
メグは自己紹介の時のフリをキュウとアタシにやってみせた。
腕をクロスして肩を触り、次はクロスを外して肩に触る。
最後に両親指を突き出しながら、前に手を伸ばす、といフリだった。
リュウは全く興味なさそうに本を読んでる。
『こう、こう、こう?!』
「そうそう!!梓紗上手いじゃんー!!キュウ、リュウ、見てた?!」
「…見てた」
リュウが呟いた。
なんなんだ、この子は。
「梓紗、何でそんな早く習得できるんだよー、
ってかあのさぁ!!自己紹介からいきなりハズさないで!!ヒヤヒヤしたんだから僕…」
「リュウってホント頭いいよねー?一緒に居て心強いわっ…誰かさんと違って」
「中2の僕が東大の問題なんて解けるはずないじゃんっ!!!
リュウは特別なんだからっ!!!」
「女の子って特別な存在の弱いのよねーぇ、ね、梓紗!!!」
『ははは、そーだねぇー』
「ねぇ、リュウからも何か言ってやってよー!!!」
「3人ともさぁー…一応僕らは高校生ってコトになってるんだし、
子供っぽい振る舞いは控えた方がいいよ」
すると、みんなしょぼーんとし始めた。
リュウってばこういう雰囲気つくるの得意だよねー…。
「ここは立ち入り禁止だぞ!!!」
背後から男の人の声。
アレ?この声、すごい親しみがあるんだけど…。
「ごめんなさい!!」キュウが物凄く謝りながら振り返った。
アタシ達も振り返る。
そこにいたのは…キンタ。
「あっ…キンタ、どーしたのその格好」
「んえ?この格好なら誰にも怪しまれずに校内を調べられるだろ」
と、言い終わった丁度いいタイミングでキンタの携帯が鳴る。
電話に出るキンタ。
「おおっ、数馬」
アタシ達はすぐにキンタの携帯に駆け寄る。
覗きこむようにして5人で携帯を見る。
「例のサイトのコレクターに関する書き込みだけど、そのほとんどが
渋沢学院から発信されてるようだ」
「それホント?!」
メグが携帯に顔を近づけ、数馬に話しかける。
「それも、1人の人間の手によるものかもしれない…」
「え、どーいうこと?!」
キュウがメグと全く同じことをして数馬に話しかける。
「サイトの書き込みを分析してみたんだけど、曜日によって書き込まれる時間が決まっていたり、
文章に微妙な規則性があるんだよねぇ。
もしかしたら1人の人間が複数の人間を装って、噂を盛り上げようとしてるのかもしれない」
「…つまり、自作自演ってわけか…」
リュウが静かに呟く。
そこは、メグやキュウと同じように携帯を覗き込んで…ってリュウがするわけないか。
「顔も名前も分からない匿名性がインターネットの特徴だからねぇ…
例えば、誰かを陥れるために1人の人間が悪い噂を勝手に盛り上げるコトができるんだ」
『でも、誰が何に目的でそんなコトを?』
アタシは携帯を覗き込みはしなかったけど、数馬に向かって話した。
「とにかく、何か分かったらまた連絡する」
そう言い終わった後すぐに切れた数馬からのテレビ電話。
空気が一気に謎解きの雰囲気に変わる。
「やっぱり何かありそうねぇ…この学校」
メグが静かに呟いた。
あー…暑い。
久しぶりに早くミッションルームに行こうと思って家を出たら、
こんなに暑いったらない。
ミッションルームの中は涼しくて快適かも!!と微かな期待を抱き、
来て見たけど、はずれ。
外より温度は低いんだろうけど、蒸し暑いさが半端ない。
クーラーが壊れてるらしい。
アタシは偶然持ってきていた内輪でパタパタと自分を仰ぐだけだった。
すると、キュウが元気に入ってきた。
「おはよう!!!」
そしてその元気が嘘のように、すぐに顔が変わった。
暑さで誰もキュウに挨拶を返そうとしない。…もちろんアタシもだ。
「何この部屋、何でこんなに暑いの?!」
「クーラーが古くてきかないんだよぉ」
『あー…あっつい。もうちょっと家にいればよかったぁー!!!』
「団先生に頼んで新しいの入れてもらおうよー」
「秋葉のネットアイドルがそんなだらしないカッコしてていいの?」
数馬がパソコンを持ち出して、こっちに来る。
秋葉のネットアイドル?
秋葉のアイドルだったら分かるけど…ネット??
「何言ってんの?」
「見ちゃったよ、メグのブログ」
「…え?」
数馬に差し出されたパソコンの画面には「メグたんブログ」とタイトルを飾った
可愛らしーいブログが現れた。
「メグがブログとは…女ってさ色んな顔があるって言うけど、ホント怖いよなぁ」
「私こんなの知らないわよ」
「照れてるし」
「だから、違うんだってば!!!私こんなの作った覚えないもん」
メグと数馬の会話を聞きながら、画面を見続けた。
でも、何かメグはホントに否定してるし、どっか違和感があるんだよなぁ。
ていうか、隣でこんなに騒いでるのにリュウはクールに読書してるし。
「ねぇ、これ全部、隠し撮り、っぽくない?」
「隠し撮り…」
メグが困惑したのが分かる。
「全部目線外れてるよな」
『ってことはメグはカメラに気付いてない?』
「もしかして」
「何?」
メグがすぐに数馬の言葉に反応する。
「メグに憧れてる奴の仕業かも」
少し得意げに笑ったメグは優しく「どーいうコト?」と聞いた。
「つまり、メグのようになりたいっていう奴がメグになりすましてブログを立ち上げたんだよ。
ネットの中じゃ自分の理想の女の子になれるからねぇ…
でもそれがよりによってメグとは…」
『あはは』
頬杖ついて嬉しそうに頷いていたメグはガクッと顎を落とす。
「え、じゃあ、もう1人のメグがネットの中で存在してるってコト?」
「…自分を捨てて他の誰かに同一化しようとする、病的な心理さ」
リュウが口を開いた。
なんだかんだで本は読んでるけど、ちゃんと聞いてくれてたんだ。
「こういう奴はエスカレートすると怖いんだよなぁ…」
「…やめてよ!!気持ち悪い!!!ねぇ数馬お願い!!コレ作ったの誰かすぐに調べて!!!」
「こっちもメグになりすまして、表に引きずりだしてやろう!!!」
『うわ、数馬カッコいいねー!!!』
「うるさいな、そーいうコト言うと梓紗がこういう目に遭っても助けないからな」
『ああっ、ごめんって、冗談だってば』
「しかし、こうも暑いと脳みそトロットロの奴が増えてくるなぁー」
キンタが口を開いた。
すると、突然ミッションルームの扉が開く。
「遠山!!いい若いもんが何だらけたこと言ってんだ!!!」
「七海先生…」
七海先生の登場だ。
「ってか、どうしたんすか、その格好!!!」
「今日はちょっとしたデートがあってな…」
「相手誰なんですか?!」
キュウが恐ろしい程の勢いで喰いつく。
『キュウ、食いつき過ぎだってば』
「薔薇の様に美しく、鋭い尖ったトゲを隠し持つ、怖い女」
「顔と台詞が全然合ってないんですけど」
『惚気てんのかなんなのか分かんないですけど』
「…あちーなこの部屋」
七海先生は遠くを見ながらさりげなく話題を変えた。
「、というわけで、団先生からの新しい指令だ」
それを聞いたアタシ達はすぐにDVDの上映の準備を整えた。
それぞれ自分の指定位置の席に座り、DVDの鑑賞を始める。
「Qクラスの諸君、ごきげんよう」
団先生が映った。
その瞬間、みんな反射的に立ってしまう。
「今回君達に調べてもらいたいのは、ある噂の調査だ。
インターネット上にネットロアという都市伝説を紹介するサイトがあるんだが、
その中で大きな話題となっている書き込みがある。
その書き込みによるとコレクターと呼ばれる殺人鬼が存在し、
若い娘を殺してはビデオにおさめているらしい。
しかも、コレクターが潜んでいると噂される全寮制の高校、渋沢学院では実際、
小椋絵美菜という女生徒が1ヶ月前から失踪したままだ。
更に別の女生徒が数日前校内で殺されかけ、しかもそのビデオ映像がネット上で公開された。
私にはこの一連の事件が何か恐ろしい事が起こる予兆のような気がしてならない。
君達の力でコレクターの噂と事件との関係を探り真相を暴いてもらいたい。
諸君らの健闘を祈る」
そこでDVDは終わり、部屋が明るくなる。
DVDの映像は団先生が映ったり、サイトが映ったり、小椋さんが映ったり、
全寮制の学校だっけ?それから追いかけられてる女生徒の映像。
色々一気に頭に入り過ぎて、ごちゃごちゃしてるけど、なんとなく整理はついた。
「それでは、Qクラス!!!…出動!!!」
七海先生がおかしなポーズを得意げに決める。
アタシらはそれに大きく返事をした。
キーンコーンカーンコーン
「それでは転校生を紹介します」
ここは…渋沢学院だっけ。
コレクターが潜んでいると噂される全寮制の学校。
より事件に深入りするためにその高校に転入してきた。
「美南恵さん、橘梓紗さん、天草流くん、それから…」
「あ、キュウです!!よろしくお願いします!!!」
先生の言葉を遮り、キュウが自己紹介をする。
「天草流です、よろしく」リュウが一礼した。
…空気的にアタシか?
「あ、橘梓紗です。よろしくお願いしますっ!!!」
「美南恵ですっ、メグって呼んでくださいっ!!…よろしくぅー!!!」
異常なテンションの高さで自己紹介するメグ。
しかも、「よろしく」にはフリまでついてる。
だけど、アタシ達の目の前にいるクラスのみんなはいそいそと授業の準備を始めた。
少しくらいは反応してくれる子いてもいいんじゃない?
「何コイツら…感じ悪ーっ」
キュウがそれを聞いて少しだけ愛想笑いをしたのが分かった。
それからいざ授業が始まった。
アタシはまだ中学2年生。
高校の授業なんて受けたって何の意味もない…てか何にも分かんない。
アタシの隣はリュウでアタシの前はキュウ。
キュウの隣はメグだ。
何やらこそこそ話してるのが分かる。
リュウをチラッと見ても特に何をするわけでもなく、手を組んで黒板を見てるだけ。
アタシはせっかくだし、とノートをとってみたけど、全然分かんない。
「誰?!おしゃべりしてるの!!!」
黒板にカツカツと音を立てて問題を書いていた先生が振り返って注意する。
そりゃあ周りがこれだけ静かだもん、話してればバレるよねー…。
それを聞いてビックリした2人は大きな音を出す。
あーあ。
「あなたなの?」
先生はキュウを見て問う。
「え、あの、僕は、いや、な…んねぇ…」
すると隣のリュウがバッと立ち上がった。
『リュ…あ、天草くん?』
アタシ達は一応転校してきたばっかりだから、少し遠めに接する。
「…すいません、僕の独り言です」
『え?!』
「独り言…?あなたそんな癖があるの?」
リュウが素気ない顔をしてる。
んなわけねぇだろ、とでも言いたそうな顔。
「これは東大の入試問題よ、10分以内にこれを解けなければ、
このクラスの授業にはついてこれないわ」
メグが小さな声で何か言っていたのは聞こえた。
うわーリュウどうするんだろう。
…と、次の瞬間リュウは黒板へと歩きだした。
まさか解きに行く気?!
いや、リュウのことだ。
解けたりするんだよ、これが。
黒板についたリュウはポケットに手を突っ込みながらスラスラと問題を解き始める。
先生やメグ、キュウ、それにクラス全員の顔が動揺に染まる。
10分以内なんてどころじゃない、多分、5分もかかってないんじゃないかな。
「先生、これでいいでしょうか」
「…完璧だわ」
リュウは見事に先生を見返してやってた。
席に戻ってきたリュウは誰にも気づかれないような笑顔をアタシに向けた。
アタシはそれにつられて笑顔になる。
クラスの何人かは席に座ったリュウを見ていた。
リュウは顎を手に乗せ、少し俯いていた。
「さっきどうやってやったの?」
昼休み、屋上でアタシ達は時間をずらして集まった。
転校生が全員で仲良く屋上でお昼ご飯…なんてあり得ないでしょ?
「見てなかったの?」
「見てなかった」
『あ、アタシも知りたいー!!!』
「こう、こう、こうだよ!!!」
メグは自己紹介の時のフリをキュウとアタシにやってみせた。
腕をクロスして肩を触り、次はクロスを外して肩に触る。
最後に両親指を突き出しながら、前に手を伸ばす、といフリだった。
リュウは全く興味なさそうに本を読んでる。
『こう、こう、こう?!』
「そうそう!!梓紗上手いじゃんー!!キュウ、リュウ、見てた?!」
「…見てた」
リュウが呟いた。
なんなんだ、この子は。
「梓紗、何でそんな早く習得できるんだよー、
ってかあのさぁ!!自己紹介からいきなりハズさないで!!ヒヤヒヤしたんだから僕…」
「リュウってホント頭いいよねー?一緒に居て心強いわっ…誰かさんと違って」
「中2の僕が東大の問題なんて解けるはずないじゃんっ!!!
リュウは特別なんだからっ!!!」
「女の子って特別な存在の弱いのよねーぇ、ね、梓紗!!!」
『ははは、そーだねぇー』
「ねぇ、リュウからも何か言ってやってよー!!!」
「3人ともさぁー…一応僕らは高校生ってコトになってるんだし、
子供っぽい振る舞いは控えた方がいいよ」
すると、みんなしょぼーんとし始めた。
リュウってばこういう雰囲気つくるの得意だよねー…。
「ここは立ち入り禁止だぞ!!!」
背後から男の人の声。
アレ?この声、すごい親しみがあるんだけど…。
「ごめんなさい!!」キュウが物凄く謝りながら振り返った。
アタシ達も振り返る。
そこにいたのは…キンタ。
「あっ…キンタ、どーしたのその格好」
「んえ?この格好なら誰にも怪しまれずに校内を調べられるだろ」
と、言い終わった丁度いいタイミングでキンタの携帯が鳴る。
電話に出るキンタ。
「おおっ、数馬」
アタシ達はすぐにキンタの携帯に駆け寄る。
覗きこむようにして5人で携帯を見る。
「例のサイトのコレクターに関する書き込みだけど、そのほとんどが
渋沢学院から発信されてるようだ」
「それホント?!」
メグが携帯に顔を近づけ、数馬に話しかける。
「それも、1人の人間の手によるものかもしれない…」
「え、どーいうこと?!」
キュウがメグと全く同じことをして数馬に話しかける。
「サイトの書き込みを分析してみたんだけど、曜日によって書き込まれる時間が決まっていたり、
文章に微妙な規則性があるんだよねぇ。
もしかしたら1人の人間が複数の人間を装って、噂を盛り上げようとしてるのかもしれない」
「…つまり、自作自演ってわけか…」
リュウが静かに呟く。
そこは、メグやキュウと同じように携帯を覗き込んで…ってリュウがするわけないか。
「顔も名前も分からない匿名性がインターネットの特徴だからねぇ…
例えば、誰かを陥れるために1人の人間が悪い噂を勝手に盛り上げるコトができるんだ」
『でも、誰が何に目的でそんなコトを?』
アタシは携帯を覗き込みはしなかったけど、数馬に向かって話した。
「とにかく、何か分かったらまた連絡する」
そう言い終わった後すぐに切れた数馬からのテレビ電話。
空気が一気に謎解きの雰囲気に変わる。
「やっぱり何かありそうねぇ…この学校」
メグが静かに呟いた。
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