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ドリーム小説
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『ねえっ、辰哉っ!』
 
 
彼氏・辰哉からの返事はない。
 ゲームに夢中。
 
 
 
『さっきからゲームばっか…』
 
「んー?」
 
 
ゲームって言ったから反応したんだな…
 
なんか最近あたしばっかり好きみたいでヤダなあ…
 
ヤダっていうかホントにそうだったらどうしよう
 
だって辰哉からあたしのこと好きな素振りないし…
 
今も辰哉の部屋に2人きりなのに
 辰哉はあたしなんか気にせずゲームだし。
 
…あたし?あたしの色気が足りないせい?!
 
 
 
『辰哉ぁー、そんなにゲームやる人だったっけー』
 
「…」
 
 
無視というより、どこか違和感のある沈黙された。
 
なんか変なこと言ったか?
 
 
 
 
 
 
 
…しばらくしても反応はなし。
 
さっきのウソ。
 沈黙なんかじゃなくてシカト!
 
 
『もう知らない!話しかけないもん!』
 
 
 
プイッとわざとらしくそっぽを向いた。
 
バッと立ち上がって部屋の隅に行く。
 
 
 
…ここで怒って部屋を出て行けないのが辰哉に弱い証拠。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「梓紗~」
 
 
 
ピクリ
 
 
 
 
 
我慢だ。
 
そんな簡単に振り向いたら軽い女になってしまう…
 
 
 
「梓紗ちゃーん…」
 
 
 
 
 
 
呼び続ける辰哉……優しいなあ
 
 
 
 
じゃなくて!
 
さっきまでのあたしの気持ち味わってもらわなきゃ!
 
 
 
 
 
 
 
 
「ねぇ…ごめんってば、もうゲームやめたから」
 
 
 
 
 

 
……うぅ。
 
 
負けそう…
 いつになく辰哉の声が甘い…。
 
 
 
 
 
 
 
イイ子だから、こっち来な
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ばかぁ…
 
 
辰哉からのそういう言葉、
 あたしが弱いの知ってて言うんだもん
 
 
 
 
『たつやぁー』
 
 
立たずにテクテク辰哉の元へ。
 
辰哉もあたしに近づいてきてくれる。
 
そして、あたしの頭を腕でつつみこんで撫で始めた。
 
 
 
「はい、イイ子だねぇ」
 
『なにそれ、うざい…』
 
「あ、イイ子じゃなくなった」
 
 
 
 
『ゲームばっかりやってる辰哉の方がイイ子じゃない…』
 
「だってさあ……ねぇ、引かない?」
 
 
『うん、何?』
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 

 
「彼女と自分の部屋で2人だよ?
  なんかしてないと危ないっつの…」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
あぁ
 
この人はあたしをどれだけ溺れさせれば気が済むんだろう…
 
 
 
 
 
 
『ゲームばっかの辰哉よりだったら危ない辰哉のがいい…』
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
「…お前、言ったかんな?」
 
 
 
 
 
 
妖しい笑顔を見せた。
 
…あれ?こんな辰哉知らないぞ…?
 
 
 
 
 
 
 
『ちょっ、待っ…色々準備が…』
 
 
 
 
 
 
 
 「大丈夫っ!すぐ可愛くしてあげるからっ♪」
 
 
 
 
 
 

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意味分かんない、何この状況。
 
さっきまで全然こんな感じじゃなかったじゃん!
 
 
 
 
「ねえ、」
 
『ちょっと亮平、待って』
 
「なんで?」
 
『だって、なんかキャラ変わってない?
 
「別に?」
 
 
 
いつもみたいに一緒に下校して、そのまま仲良く亮平の家へ。
 
…のはずだったんだけど。
 
 
いや、一緒に下校して仲良く亮平の部屋に来るとこまでは。
そこまではいつもと…というかつい昨日と一緒だった。
 
 
 
 
 
…なのに今のこの状況、何??
 
 
『な、だって、いつもこんなことしないでしょ…』
 
「…そうだね」
 
 
 
 
あたしがいつも座ってる亮平のベット。
 
いつもどおりに座ったら、亮平が壁にバンッて手をつけて、
 
すごく近い距離で攻められてる。
 
こんなに顔近いことなんて…初めてだよ。
 
 
…やばい。
腕の力がもたない…倒れちゃうよ…。
 
 
 
 
 
 
 
『…なんか怒ってんの?』
 
 
 
おそるおそる聞いてみると、ピクっと亮平は反応した。
 
 
 
 
 
 
 
 
「あのさあ!いっつも俺以外の男としゃべってるよねえ?」
 
 
ビックリした。
 
『亮平とだってしゃべってるじゃん!いっつもじゃないよ…』
 
「いつもじゃなくても、妬くもんは妬くの」
 
『妬くって…』
 
「分かってくれないの?」
 
 
 
 
 
違う、亮平じゃない。
 
ごめん、気付けなくて、亮平…ごめん。
 
やだ、別れるとか言わないよね?…ヤダよ亮平。
 
 
 
 
「分かってくれないなら教えるしかないよね」
 
『え』
 
 
 
乱暴にあごを持ち上げられる。
 
グッと距離が近くなる。
 
 
あたしは無意識に目をつむった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
唇がくっついた。
 
 
 
すると、ちゅっと音をたてて少しで離れた。
 
あたしはゆっくり目を開ける。
 
予想外のことが起こってパニック状態だった。
 
 
 
 
 
 
 
 
そこにはさっきとは違う、いつもの微笑みの亮平。
 
 
『りょ、へ…』
 
とまで言うと、ピシッとデコピンをくらった。
 
 
『い、たっ…』
 
「どー?分かった?」
 
『え、な…』
 
「うそうそ、あんなの俺じゃないよ、疲れたあ。
 あー、いつもこうしてる人の気がしれない」
 
 
 
ケラケラと笑いながら、デコピンしたとこを撫でてくれた。
 
『な、…何それ!』
 
「いやー友達が阿部は優しすぎるから
 1回彼女に教えてあげた方がいいよって言うからさぁ」
 
『ちょっと…なにそれもう』
 
「ビックリした?ごめんごめん」
 
 
 
 
いつもの亮平だ…
 
 
 
安心したら涙が出そうになっちゃった。
必死で堪えてた。
 
 
『うぅ…』
 
「あら」
 
『わ、別れるって…言われたらどうしよう…かと、』
 
「俺がこんなにお前を好きなのに?」
 
 
 
一粒こぼれちゃった。
 
泣いてるのを隠そうとして亮平に抱きついた
 
…というのは口実で、ただ亮平に触りたくなった。
 
 
「ごめんね…泣かないで」
 
 
…バレてた。
頭をポンポンしてくれる。
んー…亮平の匂いがする…。
 
 
「もうしないから…ね?」
 
『…うん』
 
「大好きだよ、心配しないで」
 
『うん…あたしも好き、大好き』
 
「あーなにそれ、可愛いっ」
 
『~~~~っ、ねえ!
 さっき言ってくれたことホント?』
 
「妬くってやつ?
 んー半分くらいね、でもいや大丈夫だから」
 
『逆にショックなんだけど…
 妬いてくれるってちょっと嬉しい…』
 
「そう?じゃあ迷惑かけない程度に妬いとく。
 …っていうか妬かせないでよ!」
 
『はは…そうだね』
 
 
 
 
 
 
 
そう言うと優しく抱きしめてくれた。
 
 
 
 
 
 
 
迫られた時、怖いって思ったけど、ちょっとカッコいいと思ったのは秘密。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
同時に亮平にならグチャグチャにされてもいいって思っちゃったのも…秘密。
 
 
 
 
 
 

拍手


 
「ねーえ、少しはかまってよー」
 
『ダメ!落ちる!!』
 
 
 
 
 
 
 
ただいま1つ上の彼氏の照とあたしの家でデート中…
 
って堂々と言えたらいいんだけど。
 
 
もうすぐ高校受験を控えている。
あたしはバリバリ受験勉強中…。
 
 
「大丈夫、お前頭いいから落ちないよ!
 
 だからちょっとはかまってくれてもいいじゃあ~ん!!」
 
 
 
 
本当は2学期の時点でちゃんと志望校決めてた。
 
でもやっぱり照と同じ高校が良いな…と不覚にも思ってしまった。
 
照は何も言わないから別にいいんだろうなと思ってたから、
 
あたしはそこに行くつもりだった。
 
 
 
 
でも志望校最終決定先を学校に提出する締め切り1日前。
 
電話がきた…照から。
 
「ごめん、黙ってたけど…我慢してたけど言うわ!
 
 お前と同じ高校がいい!どこ受けんの!?
 
 お前がこっち来ないんだったら、俺がそこに編入する!!」
 
とか言い出した。

嬉しかった、死ぬほど。
 
でもさすがに照の編入なんて無理に近いし…。
 
というか自分は女子高に行くつもりだったので確実に無理だった。
 
『あたしが行くよ』
 
 
 
 
 
そうは言ったものの…
照の学校は特殊学科ばかりのところで、
あたしが行こうとしていた普通科のところとは全然違う。
1から勉強やり直しって言われた時は血の気が引いた。
 
 
 
「ねー、なんでそんなに勉強すんの?」
 
『照のせいでしょ』
 
「俺のせい?!だから俺が行くってば~」
 
『ばっかじゃないの?!女子高だから…』
 
「じゃ、しょうがないじゃん!ねっ?」
 
お蔭で睡眠不足ですよ…』
 
 
カリカリ勉強を続ける…
 
あたしだってせっかく一緒にいるんだからかまいたいよ…
 
分かってよ、照!!
 
 
 
 
「…じゃ、ちょっとだけ」
 
『え?』
 
 
 
 
さっきまでとは違う低いトーンの声で言われた。
 
勉強してるあたしを後ろから抱き締めた。
 
 
いつもはギューッて強くなんだけど、
 
今はいつもとは違って、ふわっと包まれてる感じだった。
 
 
 
『何?どうしたの?』
 
「何が?」
 
『なんかいつもと違くない?』
 
「優しいから?」
 
『…うん』
 
「俺だっていっつも力任せに抱き締めないよ」
 
『そっか…』
 
「今はね…充電中なの」
 
『あたしの?』
 
「俺のだよ」
 
 
 
 
勉強だって、照にかまうの我慢してるのだって、全部照のため。
 
歳だって1つ下だけど、対等に接してくれるし。
 
照だって忙しいのに、こうして受験勉強見に来てくれたりするし。
(ちょっと集中できなくなるけど、それがなんだか嬉しい…)
 
そんな照が大好きだから、あたしはこうして頑張れるんだ。
 
 
 
『ひかる…』
 
「ん?」
 
『あたし頑張るね』
 
「おう…ていうかお前にばっかり頑張らせてごめん」
 
『あたしが勝手に頑張ってるだけだもん』
 
「…あっそ」
 
 
頭をあたしの首にすりすりしてくる照。
…嬉しいくせに、とか思っちゃう。
うそ、嬉しいのはあたしの方。
 
 
あたしは鎖骨らへんにある照の右手に、あたしの左手を絡ませた。
いつもは絶対こんなことしないけど…
なんだか急に照が可愛くなっちゃって、触らずにはいられない。
きゅーっと恋人つなぎにした。
 
 
「お?」
 
『…』
 
「珍しいね、そゆことしてくんの」
 
『たまには…』
 
「照れちゃって」
 
『照れてない』
 
「はいはい」
 
 
そしたら照が急にギューッて手を握ってきた。
お得意の力加減を考えない、最強の握力で。
 
『いっ…たいから!』
 
「だって俺の手いじいじしてるの可愛くて」
 
『可愛くない』
 
「可愛いよ~」
 
『じゃあもうしないもん』
 
「あら、離しちゃった」
 
 
今度は抱きしめてくれていた腕の力もグッと強くなる。
あ、いつもの照の感じだ。
 
『ん~…』
 
「何?」
 
『こっちのがいい』
 
「強さ?」
 
『うん』
 
「お前、俺のこと大好きなのね」
 
『…』
 
「黙っちゃった」
 
『好きじゃなきゃこんなに頑張らないもん』
 
「……そうだね」
 
 
より一層ギューッてしてくれた。
…照だ。
 
 
「よし!じゃあお前はまた頑張りなさい」
 
 
 
 
なんか切ない感じもしたけど、あと少しの我慢だ。
 
『うん』
 
ふと離れ際に照の口があたしの耳元に近づく。
 
ひっ、とちっちゃく声が漏れそうになったのを堪えて。
 
 
 
 
 
 
 
 




 
 
『ちょっと!そーいうこと言うとさあ!!』
 
「何?集中できなくなっちゃうー?」
 
『~~~っ、もう!!』
 
「顔真っ赤だよ?どうした?」
 
『べ、勉強するの!静かにして!!』
 
「はーい」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
『愛してるよ』
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

拍手

 
【ごめんきょういけなくなった
 なんかフラフラする
 
 
 
 
 
 
翔太からそれだけのメールが届いた。
 
 
 
「え?!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
待ち合わせの1時間前。
家を出て、駅に向かってる途中だった。
 
いつもは絵文字でキラキラなのに、文字だけ…。
しかも漢字に変換されきれてないあたり、相当ヤバいんじゃないか…。
 
 
【フラフラって…熱はあるの?!】
 
そう送ろうとしたけど、無理させたくないなと思い、
送信せずに携帯を閉じる。
 
 
 
 
(翔太ん家に変更だ…)
 
 
もう1度携帯を開いて【いまいく】とだけ打って送信した。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
翔太の家に着く。
チャイムを鳴らしても物音はしなかった。
…寝てる?
恐る恐るドアを開けてみると、鍵はかかってなかった。
 
 
「おじゃましまーす…」
 
 
 
渡辺家に人の気配はしなかった。
 
翔太の部屋に直行。
 
 
 
 
 
 
 
「しょーた?」
 
 
 
ゆっくりとドアを開けると、ベッドで毛布にくるまって壁を向いてる翔太。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「フラフラするなんてレベルじゃないじゃん…もう」
 
あたしは翔太に近づき、毛布を少しだけ剥いでみた。
 
 

 
 「しょーた!!」
「…な、なんでいるの?!」
 
聞いたことがないくらい弱々しい声で静かに驚いた。
 
「メールしたじゃん」
 
「え…分かんなかった…」
 
「鍵開いてたよ?」
 
「あ……閉めるの忘れてた…」
 
「もう…しっかりしてよ~…ってそんな状態じゃないか」
 
 
 
ごめん…と呟いて、またもぞもぞと毛布にくるまり元の態勢に戻りだした。
 
 
 
……可愛い。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
あ、ちがう!
可愛いじゃない!看病しなきゃ!!
 
 
「翔太、熱測って?」
 
「ん~…めんどい」
 
「…もー、じゃあこっち向いて?」
 
「………ヤダ」
 
「な、なんでよ!」
 
「……だって今の俺超情けないじゃん。
 デートさぼってあげくに彼女に看病してもらうってありえない…」
 
 
 
 
 
アホじゃないの…この可愛い子。
 
 
「ヤダじゃない!看病くらいさせてよ!
 お父さんとかお母さんいないの?妹さんは?」
 
「親は2人で2泊3日の海外出張で、妹は部活の遠征で1泊」
 
「じゃあ翔太ずっと1人じゃん!」
 
「ん~…」
 
 
 
もうしゃべるのしんどいのかな…。
汗も掻いてるし、呼吸もどことなく忙しない感じするし…
 
「ごめんごめん、しゃべるのしんどいよね。
 もう話しかけないから仰向けになって?お願いだから」
 
んん…と言いながら素直に仰向けになる翔太。
…どうしよう、可愛すぎる!
 
 
 
「熱、測らなくてもあるよね…冷蔵庫開けるね?
 おでこに貼るの持ってくるよ」
 
 
「ヤダ」
 
「え?」
 
 
 
 
 
 
部屋を出ようとしたら何かにグンッと引っかかった感覚。
 
 
振り返ると、服を翔太に引っ張られてた。
 
あと少しあたしが動くとダランとなってしまいそうな程弱い力で。
 
 
 
 
 
「どうした?」
 
「……いて」
 
「へ?」
 
「行かないで…ここにいてよ…」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
キューン
 
 
素直!
素直だし、なんかすごい弱ってる!可愛い!!
 
「いかないよ、ちょっと取ってくるだけだから…ね?」
 
 
そう言って頭を撫でてみた…翔太のこと撫でるなんて初めてなんだけど。
 
翔太はふいーっと気持ち良さそうに目を細めたかと思うと、ちょっと考えてから
 
 
「ん」
 
と言って手を離してくれた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
戻ると、スヤスヤ眠ってる翔太がいた。
 
(急いできたのに…)
 
 
 
そっとおでこに手を添えてみる…すごく熱い。
辛いよね、大丈夫だよ、そばにいるからね。
 
 
前髪をあげて、額の汗を拭いて、シートを貼る。
顔もすごく汗を掻いてたからポンポンと起きないように拭いてあげて…
 
 
 
 
 
すーすーと、寝息をたてて寝る翔太がすごく愛おしく思えた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
次に気付いた時は翔太の顔は目の前にあって、唇には違和感があった。
 
 
 
 
…あ、無意識にキス……かぁ。
 
 
 
 
 
 
 
 
気付いた自分に恥ずかしくなって、
 
そっと翔太の手を握ってあたしも一緒に寝ることにした。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
*数日後
 
 
「何熱出してんだよ」
 
「翔太からうつったんじゃないの…」
 
「近くにいたからってうつるもん?」
 
「……………そうじゃない?」
 
 
 
「お前、寝てる俺に熱うつるよーなことしたんでしょ」
 
 
ニヤニヤしてる。
 
この前の可愛い天使の寝顔はどこいったんだ…。
 
「し、してないし…」
 
「動揺してる…まあお前のことだからキスくらいで済んだ?」
 
「う、うるさい!」
 
「病人がデカい声出すなよ!」
 
「………もうヤダぁ」
 
「俺が看病してやるってw」
 
「…怖いな」
 
 
 
 
「ほらほら、早く眠りなさいっ♪」
 
 
 
 

拍手

 
『本日も始まりました、ザ少年倶楽部ー!!』
 
 
 
 
あ、始まった。
 
あ、祐樹出てきた!カッコいいな…
 
 
祐樹…今日もまたこんなにカッコつけちゃってさ。
 
 
 
 
 
 
彼氏の祐樹はジャニーズJr.で活動中…というか活躍中。
 
少クラは毎回かかさずチェックしてるし、雑誌も買ってる。
 
ひとまず見て瞬間的に思うのは「カッコいい」。
 
でもそれから少し経つと「遠いな」って淋しくなる。
 
 
あたしには祐樹しかいないのに、
祐樹にはたくさんの人がいるって思っちゃう。
あたしも祐樹を応援してるファンのうちの1人…なのかな。
 
 
 
なんか今日は深く考えすぎちゃう。
いつもは夢中になれるのに…こんなことばっか考えてる自分がヤダ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「遠いなあ…」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「何が?…俺じゃないよね?」
 
 
 
 
 
 
 
声がした。
 
ふっと何かの糸が切れたように安心する声。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「野澤祐樹が遠いんだよおっ……!」
 
 
 
 
 
振り返ると、バカだな、とでも言いたそうな口角の上がった笑顔。
 
なんでいるの?とか、稽古あるんじゃないっけ?とか、
色々思わなきゃいけないことはあったんだろうけど、
目の前に祐樹がいることが嬉しくて、それだけしか考えられなかった。
 
 
 
 
 
「ゆうきぃ…」
 
 
「そろそろ考えすぎてる時期かな、と思いましてね」
 
「ばかぁ…」
 
 
 
 
 
あたしは祐樹の腕もしっかりぎゅーっと抱きしめた。
 
 
 
だってなんか、捕まえとかないとどっかに行っちゃいそうで。
 
 
 
 
 
 
 
 
参ったな…腕ごと?」
 
 
 
 
祐樹は「はは…」と笑いながら、むりむりとあたしの腕の中から腕を出した。
 
 
腕が出た瞬間、バランスを崩して祐樹にもたれかかる。
 
 
 
「う、わ」
 
「…淋しいのはお前だけじゃないんだから」
 
 
 
 
 
 
そう言って頭をポンポンしてくれた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「俺が好きなんはお前だけ。
 
 
 
 
 遠いとか言わないの…俺が悲しくなるでしょ」
 
 
 
「ごめんね…あたしも祐樹だけだよ」
 
「んなの知ってるよ?改めてありがとう」
 
 
 
 
「ばか…」
 
 
 
 
 
 
 
 
「でもそんな俺が好きなんでしょ?」
 
 
 
 
「大好きだよ」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「じゃ、もうちょっとこのままでいよ」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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