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ドリーム小説
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*第2話*~神のメール? 記憶消失の謎!! ③

次の日、牧野くんが発見されて牧野くんの運ばれた病院にキュウとメグが向かった。
アタシも「行く」って言ったけど、メグに「ダメ!」って言われた。
「梓紗はさー、ほら!リュウと一緒に捜査しなよ!!」
『なんで??』
「こっちは!私とキュウで十分間に合ってるから!ね?」
『メグがキュウと2人がいいなら…それでいいけど』
「違うってば!私は梓紗を思って…」
『嘘、何が??』
「なんでもない!!」

メグがどうしても!って言うからアタシは行かないことにした。
アタシのためを思ってるみたいだし、行かないでおこう。
せっかく出てきたミッションルームに戻るはめに。

戻るとリュウが今出ようとしている時だった。
「…あれ、梓紗。病院じゃないの」
『キュウ達が行くっていうから任せてきた!』
アタシが笑って言うと、リュウは「そっか」と言った。
「よかった」
『?何が??』
「いや?別に、なんでもない」
リュウは首を横に振った。少し笑顔だった。
「今日、また竹山裕紀に会ってくる。…行く??」
リュウはアタシの微笑んで聞いてきたので、思いっきり頷く。
『行くっ!』

リュウに連れられてある公園へと着いた。
階段に1人の男の子が座っている。アレが…竹山くん??
何か、スケッチしてるのかな?絵を描いている。
少しの間眺めていると、突然黒の絵具で絵を塗りつぶしてしまっていた。

『あ、』

アタシは思わず呟いてしまった。
リュウが少し睨んで触れるだけの強さで頭を叩く。
だって、ここから見える限りじゃすごく綺麗な絵だったんだもん。
リュウは「行くよ」と言って歩きだした。
竹山くんに近づいていく。
「絵にはその人の心が描かれる…って言うよね」
竹山君は顔をあげる。
「その絵には、不安に押しつぶされそうな君の心があふれてる。
 記憶を失くしたっていうの、嘘なんじゃないの??」
『…?!』
…嘘、そんなコトってあり得るの?!
全然そんなコト気付かなかった…、でも。
「受験勉強に追われ、絵を描く自由を奪われた君は、」
「お前に俺の何が分かる!」
竹山くんは怒鳴りながら立ち上がった。

『ねぇ』
「、え?」
『絵、ホントに上手いんだね!他にはどんなの描いてんの??』
「…、ああ、いいけど」

言い争ってた場の空気に耐えられず、アタシは空気を破った。
突然、話を切り出したアタシに竹山くんは驚きを隠せていない。
リュウは「やれやれ」と見ている。
本人に許可をもらったので、早速竹山くんの隣に座り、スケッチブックを開く。
中に描かれていた絵はものすごくキレイで、見とれてしまった。

「ちょ、梓紗?」
『あ!ごめん、あまりに上手で見惚れてた』
「そんな…」
『すごい!アタシなんてどんなに頑張ってもこんなに上手に描けないよ!!
 それなのに…塗りつぶしちゃって…もったいないよ』
「…、うん…」
小さいけど、竹山くんは返事をしてくれた。
リュウみたいに唐突すぎるのはよくないからねっ!

『…急で悪いんだけど…、教えてくれないかな??
 どうして記憶がない、なんて嘘をついたの?…本当なら本当って言ってくれればいいし』
「えっと…」
『大丈夫、誰も責めたりはしない。そんなのアタシらがさせないから、ね?』
アタシは竹山くんに言った。
竹山くんはアタシを信用してくれたのか、俯きながらゆっくり話してくれた。
神のことや、どうやって失踪したのか、など。
話し終えた後、竹山くんは笑ってくれた。
後ろめたい気持ちなんてなさそうな、真っ直ぐな笑顔。


「メールで洗脳??」

アタシとリュウがミッションルームに戻ると、みんなはもう揃っていた。
五十嵐先生殺害のトリックはキュウとメグが解いたみたい。
共鳴振動を利用したトリックって言ってるけど…実際見てみないと分かんないし…、
みんな納得してたけど、アタシはよくわかんなくて適当に相槌を打ってた。
するとリュウがアタシにこっそり「ホントは分かってないでしょ」って。
どうせ分かってませんよーっ!
そしてキンタが失踪事件についてを話すみたい。
キンタも鈴木さんに会ったらしく、話が聞きだせたみたいだ。

「最初はほんのささやかな警告だったそうだ」
【君の人生本当にそれでいいのか?もし人生をやり直せたら君はどんな自分を選ぶ?】
2人の元に届いたメールの内容だ。
『2人ともストレスが溜まってたぽい。やりたいコトもできない、受験だってあるし…っていう状況。
 だから新しい自分に生まれ変わろうって思って、そのメールの失踪計画に乗ったらしいよ』
すると数馬が口を開きだす。
「2人を先導してた奴の正体は?」
「素性が割れるような話は一切してこなかったそうだ。
 ただ、ハンドルネームは【神】だったそうだ」
「神?」
「発売前の雑誌や漫画なんかの噂を流したり…そういうリスペクトされるような存在を、
 ネットの世界じゃ神って呼ぶんだ」
『へぇ…』
牧野くんが言ってた神の声っていうのは、このことだったのかな?

「でもキンタも梓紗もすごいよ!よくそこまで聞き出せたね」
「え?いや、大したことじゃねぇだろ」
『まぁ、そうだよね』
「ライバルに点数取られたっていうのに、キュウってホント無邪気よね」
メグは呆れた目でキュウに言う。
すると黙っていたリュウが口を開く。
「でも実際、2人ともすごいよ。相手の心を解いて真相を聞きだすなんて、
 悔しいけど僕には出来ないな」
リュウが呟いた。
その横顔は…どこかで見たことのあるような、寂しそうな顔。

「ねぇ数馬、さっきから何見てるの?」
キュウが沈黙を破り、数馬に話しかける。
数馬は動き出す。テレビの前に座ったみたい。
数馬が見ていたのは、塾のエレベーターの防犯カメラだった。
突然、リモコンの停止ボタンを押す。
「塾長が毎晩、音楽を聴く習慣があるのを知っているのは、塾の関係者だけだろ?
 …あれ?!」
数馬の驚いた声にみんなが一斉に立ち、数馬の元へ。
「こいつ今、防犯カメラ見てるよね」
そこに映っていたのは…牧野くん。
1人でエレベーターに乗っていて、鋭い目線がこちらに向けられている。

「メガネ、違うんだよねー」
メグが言う。
「失踪する前後で、メガネが変わってるの。見舞いに行ったときに気付いたんだけど」
メガネが…違う…
共鳴振動
死ぬ前に飛び散った血
遠くのガラスの破片
「…なんで…そんなこと……」

キュウが考え込む。
アタシだって……解ける、あとちょっと!解ける…!
現場に残った謎はあの割れたガラスの置物のみ。
あんなに遠くに置いてあったものがもみ合った時に落ちるなんて…まず、ない。
落ちたのは、ガラスの、置き物、…じゃなくて

『あ!』
「『…真犯人、分かっちゃった』」
アタシとキュウはハモる。
みんなは驚いた眼をしてこっちを見ていた。

電話をしていたメグがこっちに戻ってくる。
「鑑識が採取したガラスの置き物の破片の中から、2人が推理した例のものが発見されたそうよ」
『ありがとう、メグ!』
「、ねぇ!ネットの速報で、この辺りの中学生で失踪者が続出してるっていうニュースが流れてる」
「キンタ、梓紗!2人が失踪してた間そこに隠れてたのか知ってる?」
『小学校!』
「小学校だよ、最近廃校になったばっかりの」

そして私達は、2人が疾走している間に隠れていた廃校に向かった。
夜じゃないと潜入はできないし、廃校だからもとから暗いし…。
結構怖いけど、捜査のためだし…行くしかないよね!
「…ねえ、ほんとにいるのかなこの廃校に…」ガタンッ!!
メグが言い終わらないうちに何かが倒れる音がする。
「うわ、出た!出た!!」
「「「わーっ!!」」」
『何何何何?!ちょっと!!』

アタシはみんなの声に驚いて声をあげる。
ビックリしてリュウの腕にしがみついてしまった…情けない…。
リュウも声は出てないけど、結構ビックリしてるっぽいし。
「大丈夫?」笑いながらリュウが言った。
『リュウだってビックリしてたくせに!』「…そういうコト言うなよ」
照れながら言うリュウ。
可愛いなぁ。
すると、いまだにしがみついてたリュウの腕がピクっと動く。
「みんな」
リュウは気づいたように口を開く。
そして、近くの教室へと突然動き出す。特に変わった様子は…ないけど。

その時、アタシの腕の中からリュウの腕がするりと抜けた。
『リュウ?』
「…どうしたのリュウ、急に」
「…いや、あっちの方から人の声が聞こえた気がしたんだけど」
「体育館の方だなー…」
「行ってみよう!」
みんなが教室を忙しなく出て行く。
アタシの後をついて走り出した時、リュウが止まったままなのに気付く。
アタシはもう1回教室に入り直して聞く。
『リュウ?もしかして、さっきの嘘だったり…する?』
「え、、、梓紗にはバレるな。悪い、先行っててくれないか」
『?…うん。じゃぁ分かった。追いついてきてね、絶対!』
「うん」
アタシはそう言って振り返らずにみんなのあとを追った。
辿り着いたのは体育館。
中にはたくさんの中学生が。
人の声が聞こえたって言うのは本当だったのかな??
中にはピアノを弾いていたり、球技していたり、話したり。
やっていることはさまざま。
だけど、みんな、楽しそう。
「どうする?」
「行こう!」

キュウの言葉にアタシ達は一斉にドアを開けた。
中に入ると、すべての音が止み、すべての視線がこちらに向けられた。

「君達も神に先導されたの?だったら今すぐ家に帰った方がいい!」
「神はもうすぐ、警察に捕まるのよ」
メグが言うと、周りの人は首を傾げたり、
「意味分かんない」「そんなわけねぇじゃん」と言ったりと、
アタシ達の言っていることを少しも信用していないようだった。
その時、上の方から声が。

「勝手な真似はしないでくれる?」

体育館の2階から声。
お面をかぶった学ランの人が現れる。
「姿を見せなよ…牧野くん!!」
キュウが大声で言うと、あの人はお面を…はずす。
お面をとってあらわれた顔は…牧野くんだった。

『牧野…くん』
アタシがとっさに口から漏れた言葉。
すると、少しだけ牧野くんの眉が動いた気がした。

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*第2話*~神のメール? 記憶消失の謎!! ②

「考えてみたら、あいつらも不幸よね」
五十嵐学院の帰り道。
3人で歩きながら話している。
「え?」
『なんで急にそんなコト…』
「だって、学歴があれば幸せになれるって時代じゃないでしょ??」
まぁ…確かにそうかもね。
今もしそんな時代が続いてたらアタシは多分ここにいないし。
「同じ夢を目指す仲間。そういうのはいる僕達はすごい幸せなのかもね」
『そうだね、キュウっ』
キュウがにこにこしながら言う。
アタシもそれに同感。
今こうして6人で頑張ってるから、ここまでこれたんだしなーって思う。

「キュウと梓紗ってさ、ほんっとおめでたいよね」
『…?』
「何が??」
「私達を出し抜こうとか、そういうこと考えたことないの??」
『うーん…まぁ、まだないかな』
「いやあー負けたくないっていう気持ちはあるけどさぁ…」
『あー!それはあるね』
キュウは視線に困らせてキョロキョロしてると何か発見した見たい。

「…!キンタ?」
キュウの視線の先には紛れもなくキンタの姿が。
しかも、キンタの後ろには柄の悪そうな男の人がたくさんいる。
…キンタ、もしかしてケンカ??
アタシ達はキンタを追いかける。
辿り着いたのは、路地裏にある1つのトンネルの下。
アタシ達が着いた頃にはもうケンカは始まっていた。
しかも、相当レベルの高いケンカ。
キンタが1人に対して相手が5人。

「キンタッッッ!!」
キュウが叫ぶ。
「何やってんだお前ら?!」
キュウが叫ぶとキンタがこっちを向く。
かなり驚いてるっぽいけど、それでも隙を見せず続けるところが凄い。
やっぱりキンタすごいなーって改めて思った。
「その人達がキンタのことつけてたから!」
「キュウ!」
メグがキュウのTシャツの裾を引っ張って連れて行こうとしてる。
「危ねぇから向こう行ってろ!」
「嫌だ!キンタ1人を置いて逃げられないよ!!」

そう言ってキュウは近くにあった棒を手に走っていく。
『ちょっと!キュウ!!』
キュウがケンカに加算したって、邪魔なだけなんだってば!!
でもまぁ、案の定抵抗に棒を振り回されて、それにビックリして、あっさり転ぶ。
あーあ、こんなカッコ悪いとこメグに見られちゃって…。
『もう、何やってんのよ』
アタシがそこにいると余計にケガすると思い、キュウを立ち上がらせると、
アタシの腕を引っ張る…男の人。
やっば、つかまった。
掴まれてる腕にかかる力が思ったより強くて声が出る。

『ちょ、痛ッ!離して!!』
「うっせぇ、てめぇが勝手に入って来たんだろうが!」
キュウがどうにかして腕を離そうとしてたのは見えたけど…。
きょろきょろしてばっかりで何にもできてないじゃん!
やばい、手に血が回んなくなってきた…。
するとキンタがすぐに助けに来てくれて、アタシの腕を掴んでる男の人を殴る。
男の人は悲鳴をあげてその場に寝転ぶ。

キンタはすぐに続きの体制を取り、
キュウがアタシの腕をすっごい心配してくれてる。
しばらくすると、メグがやってきた。
ケンカは終わったみたい。1対5のケンカだったのにあっさりキンタの勝利。

「キュウ、梓紗!!大丈夫?!」
『あ、うん。ちょっと痛いけど』
「お前って野郎は…なんであんな無茶までしたんだ。梓紗まで巻き込んで…」
『ああ、アタシは大丈夫だから。勝手に入っていったんだし』
「…梓紗ごめん。だってキンタは仲間だし、仲間を見捨てて逃げられないよ」

キンタはその言葉を聞いて「ばーかっ」と微笑みながらキュウの頭をポンと叩く。
するとキンタは立ち上がってまだ逃げ残っていた1人の男の人を捕まえた。
「何で俺をつけまわした?」
「別に意味なんかねえよ!」
「誰に頼まれた!!」
「知らねえ!さっき携帯にメールが回って来たんだ!」
キンタが携帯を取り出すと、男の人を離した。
「ちょっと借りるぞ」
キンタは携帯を手にこちらに向かってくる。
「ったく梓紗!お前もボーッとしてんなよ!」
『…ごめん』
「…はぁ……俺がリュウに怒られんじゃねぇかよ」
『…リュウ?なんで??』
「別に」とキンタは言う。
メグは「ああー、そうだよ梓紗」とニヤニヤしながら言う。
キンタはこっちに向かって歩いてきたかと思うとアタシ達を通り過ごす。

「キンタどこ行くの!?」
「早くキュウと梓紗のケガの治療でもやってろ!」
…治療??
ふと腕を見ると、掴まれた跡の痣と、何本かの擦り傷。
ちょっとだけ血が出てる。
でもまぁ、これで済んで良かったかもしれない。

ミッションルームに戻るとメグはすぐにキュウの治療を始めた。

「いったぁあ!ねぇ、もっと優しくしてよ」
「男でしょ??我慢しなさいよ」
メグもさー、素直に「痛くない?」とか言ったらいいのに。
メグがキュウのこと1番心配してたの知ってるんだからね、アタシ。
キュウが飛び出して行ったとき「キュウ…っ!」って呟いてたの聞こえちゃたよ??
ケガの手当をしているメグをキュウはずっと見つめてる。
何を思ったか恥ずかしそうに目をそらすキュウ。
やっぱり、2人は両想いかー…。
アタシは1人で頑張って治療中。

その時ドアが開いてリュウが入ってきた。
『あー、リュウおかえりー』
「あ!リュウいいタイミングで来た!
 私さぁ、キュウの治療終わってから梓紗の傷の手当てやろうと思ってたんだけどさー。
 キュウが情けないから終わんないのよー。梓紗の手当手伝ってあげて??
 数馬に頼んでもやってくれないのよぉー」
「そんなの、僕が手当してるときにリュウが入ってきたらどうなるか分かんないだろ?」
「…まっ、そうだけど」
アタシはよく理解できない会話だったけど「ふーん」と思って聞いてた。
メグがリュウを呼んでイスに座ってるアタシの横に立たせる。
リュウはゆっくりとしゃがみこむと心配そうに見た。

「けが??何でしたの?」
『いや、色々あって』
「…色々って?」
『えーっと…転んだの!この痣は転んだ時に引っ掛かってできちゃって…』
「ふーん…」
納得してるように見えるけど、絶対疑ってるな。
キュウを助けようとして男の人に掴まれたなんて情けなくて言えないしなぁー。
「メグ、消毒液。あとガーゼ」
「はいはーい♪」
メグはかなりのご機嫌で消毒液とガーゼを持ってくる。
こっちはケガしてるっていうのに、何を楽しんでるんだか。
リュウはガーゼを消毒液で浸して、アタシの傷口につける。
「…痛い?」
『…っ、えーっと、ちょっと』
「梓紗に痛い思いさせるなんて…後でキンタに言っとかなきゃな」
『…?なんでキンタ?(なんで知ってんの?!)』
「まぁ…これくらいで済んで良かったよ。あんまり無理するな」
リュウがすごく心配した顔で言った。
その顔は今まで見たことのない顔でちょっとドキっとした。
『…心配かけてごめん。ありがとね』
「うん」
アタシが頭を下げて言うと、リュウがポンポンと頭を撫でた。
それが、妙に居心地が良かった…なんて言ったら怒られるかな。

「あーそうそう!!」
メグが急に声を張る。
「さっきまでさ、五十嵐学院に行ってたんだけどね。
 梓紗ねぇ、牧野大介っていうAクラスの子に気に入られちゃってさーっ。
 リュウもさ、早くしないと梓紗取られちゃうよ??」
『だからさ、牧野クンが言ってた訳じゃないんだしさ!その話やめようよ!
 しかも、取られるとかって何よ?!』
メグは「梓紗はね、気にしなくていいんだよ」っておちゃらけて言われた。

「気に入られてるの??」
『えっ…そんな、分かんないよ』
「牧野…大介だっけ。Aクラスなんでしょ?」
『うん…』
「へぇ…覚えとく」
リュウは少し怒ったように言った。
「リュウ、名前とクラス覚えて何する気だろうねー?」
メグがおもしろそうに言う。
『ええ?知らないよ、そんなの』
「梓紗ってば、ホントに鈍感だよね~。そろそろ気づいてもいいのに…」
『?』
メグってば、いっつもアタシとリュウが話してると茶化してくるんだよね。
何??じゃぁアタシもキュウとメグが話してる時、いっつも茶化せばいいのかな?
ていうか、キュウとメグみたいな関係じゃないし…なんでよ??

「リュウどこ行ってたの?」
ケガの治療を終えたキュウがリュウに問う。
「失踪した竹山裕紀って奴に会ってきた。彼、もしかして解離性健忘症かもしれない」
「かいりせいけんぼうしょう…って何??」
『アタシもわかんない』
「心の傷やストレスが原因で、記憶を失ったり部分的に思い出せなくなる一種の記憶障害だ。
 過去の記憶を思い出そうとして、頭痛や吐き気に襲われるというのも彼らの症状と一致する」
リュウってそこまで知ってるんだ…。
あ、でもリュウのことだから、どこかで調べて来たんだろうなぁ…。
そこまで事件に深追いするなんて…すごい。

「つまり2人は、受験勉強に追い立てられて記憶を失くしたってこと?」
「ひとつの可能性としてね」
『2人同時に??そんな…偶然がすぎる』
「私は塾の講師が怪しいと思う」
「なんで?」
「キュウも梓紗も見たでしょ??あの塾長の傲慢な態度!!
 きっと行使の誰かが腹いせに嫌がらせしてるのよ。今夜、塾に忍び込んで証拠探してみる!」
メグが突然思い切ったことを言う。
まあ…それ、楽しそうだけど…。
キュウはかなり驚いてる様子。

「よしわかった、一緒に行こう。メグ1人じゃ心配だし。ね、リュウ、梓紗!」
『うん!アタシも行く!!』
「…僕に振るなよ」
リュウはうんざりしたように言ったけど、
アタシがしつこく誘ったら「しょうがないな…」って来てくれることになった。


「よし!12時ジャスト!!」
アタシらは12時に塾に入り込むという作戦で今12時になったところ。
アタシ、キュウ、メグ、リュウ、数馬の5人で忍び込むことに。
数馬の12時宣言の瞬間アタシ達は塾の入口へと走る。

塾の中は月明かりで薄暗く、すっごい雰囲気でてる。
さすがに怖いなーと思ってたらいつの間にかリュウの服の裾つかんでた。
「怖いの?」って笑って聞いてくる。
「う、っわ!こ、怖くない!ごめん!」ってパッと慌てて裾を離したら、
「別に掴んでてもいいよ、ちゃんとついてきてね」って言われたから…つかんじゃおっかな。
エレベーターから降り、少し進むと部屋が立ち並ぶ廊下に出る。


すると突然響く電子音。
「ねぇ、何の音?」
『…電話、かな?』
「あっちだ!」
リュウは勢いよく走り出して行った。
その瞬間手の中からリュウの服の裾がこぼれる。
だけど、リュウはアタシの腕を掴んでくれた。

「…この部屋からだ」
1番奥の部屋にたどり着く。
…確かに、この部屋から音が聞こえるのは確かだ。
電子音はなり続ける。
「…誰かいるのかしら」
「でも…誰も出ないよ」
音が止む。
リュウが焦ったようにドアノブを回す。
鍵がかかっていてビクともしない。
すると、リュウはしゃがみ込んでピッキングを始める。
全く…どこでそんな術覚えてくんのよ。
部屋の鍵は見事に開き、部屋の中は真っ暗だった。

「数馬、電気!!」
リュウが突然叫ぶ。
数馬は焦って電気をつける。
その瞬間目に入ってきたのは…首の脈にナイフの刺さった五十嵐先生。
『…っ、嘘』
五十嵐先生のスーツは血に染まっていて真っ赤になっている。
周りには粉々になったガラスの破片が散らばっている。
「数馬、記録」
「う、うん」
そう言うと数馬はカメラで現場の写真を撮り始めた。
リュウはそっとアタシの隣に立ち、腕を肩にまわして、アタシを寄せた。
「見せてゴメン」と呟くと、頭をポンと撫でてくれた。
「…大丈夫だよ」アタシはゆっくり頷いて、微笑して言った。
心配そうにしてたけど、毎回辛くなってたら拉致あかないもん。がんばらなきゃ。

しばらくすると、警察が来た。
メンバーの誰かが連絡したんだろう(…気付かなかった)。
「第一発見者は…って!何でお前らここにいるんだよ!!」
諸星さんと猫田さんが入ってくる。
ソファーに腰掛けていたアタシ達はだるそうに立ち上がる。
「勝手に入っていたのか、不法侵入罪だぞ!」
『そんなコトより、今は捜査でしょう!それにアタシ達が来なきゃ発見されなかっただろうし』
「…えー、男の身元は?」
納得したように諸星さんは言う。
「被害者の名前は五十嵐匠45歳。この塾の経営者です」
猫田さんが答えるべきである、諸星さんの質問にキュウが答える。
「死因は?」
「おそらく、頚動脈切断による失血性のショック死です」
リュウが答える。
「死亡推定時刻!」
猫田さんは誰かが答えると思っていたようで、黙っていたが、
誰も答えそうでないのを把握し、キュウに「どうぞ」と手を差し伸べる。
さすがにそこまではプロじゃないと分からないでしょう。
キュウは猫田さんに手を返す。
「何確認してんだバカ!」
猫田さんは怒られる。
「死後硬直から推定して、夜10時から11時の間とのことです」

すると、数馬が口を開く。
「非常階段の出入り口は、内側から鍵がかかっていた。残る出入り口は通用口だけ」
「その時間帯、警備員は?」
「ビルの見回りをしていたそうです」
「じゃぁ、エレベーターの防犯カメラをチェックしてみたら?ね、猫田さんっ」
メグが笑顔で猫田さんにそう告げると、猫田さんの顔がぐにゃあっと笑った。
知り合いだっけ、この2人。どんな関係か聞き忘れてた。
猫田さんが「にゃあるほど」と言うと、また諸星さんに怒られる。

「ちょっと気になる事があるんですけど」
今まで数馬の撮影したカメラに記録を見ていたリュウが言う。
「死体の上の陶器のかけらを見てください。血しぶきを浴びたように血だらけです。
 完全に心臓が止まった後なら、派手に血が飛ぶことはありません。
 つまり被害者は生きてはいたけれど、動けない状態だったんじゃないでしょうか」
そっか。死んで心臓が止まった後じゃ、血が流れてないからね。
「じゃぁ、睡眠薬か何かで眠らされてたってこと??」
「おそらく」
「だが、何のために?」
諸星さんがうっかりこっち側に聞いてくる」
「それはこれから調べます」
「おお、…あ、いい!調べなくて!」

諸星さんは否定を始める。
すると、1人の警官に呼ばれて諸星さんと猫田さんが部屋を出る。
写真と部屋を見比べているメグがしゃべりだす。
「花瓶と燭台、本棚の上にあったんだ」
「なんであんな上にあったものが落ちてるんだろう」
「犯人ともみ合った時に堕ちたんじゃないの??」
『でもあんなに遠くにあるよ?ここで粉々になってるのは、不自然じゃない??』
キュウとメグと3人で考える。

諸星さんが部屋に戻ってくる。
「ほら、もうお前らさっさと帰れ!家でサッカーでも見てろ!」
すると猫田さんが慌てて部屋に飛び込んできた。
「諸星さん!この塾の生徒がまた行方不明になったそうです!!」
「名前は!?」

「牧野大介、15歳です!!」


…牧野大介って・・・あの牧野くん??
アタシは驚いて。メグとキュウを見た。
2人も相当驚いてるようで、目を丸くしてた。

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*第2話*~神のメール? 記憶消失の謎!! ①

いつものダーツバーへと向かう道。
階段を上って、ある部屋へと入る。
ミッションルームへの入り口である扉を開く瞬間。
立ち直っていたと思っていた記憶が蘇る。

突然鳴り響いた銃の音。
慌ただしく動く警察。
血が飛びついているパトカーの窓。
銃を持った血にまみれた先生の手。

アタシ達は、子供なんだ。
そんな少しの努力じゃ人は救えない。
そう思い知らされた昨日の夜。
リュウに胸をかしてもらえなければ、どうしていただろう。
今日、ここに来ることもできなかったかもしれない。
後でちゃんとお礼を言わなきゃ。
みんなだって昨日のことを全く気にしてないなんて有り得ないだろう。
それぞれ乗り越えて今日ここに来てるんだ。
これからもっと辛いことがあるかもしれない。
アタシは気持ちを切り替えてミッションルームの扉を開けた。

『みんな、おっはよー!!!』
「おー梓紗!」
「おはよ」
やっぱりみんな明るく振舞っているのが分かる。
アタシが部屋の中に入ると、少し遅れてキュウが入ってきた。
キュウも少し無理してる感じある…ってアタシが言えないか。

部屋に入ってすぐのイスに本を読んでるリュウが座ってる。
アタシは隣のイスに腰を下して言った。
『リュウ、おはよう』
「…おはよう」
『昨日、ありがとね。リュウがいなかったらもっとパニックになってたかも。
 ホント、ごめん。ありがとう』
「…うん、今日来ないかと思った。遅かったし」
そう言ったリュウは安心そうに笑ってくれた。
アタシはそれを見て満面の笑みを返し勢いよく立ってメグのもとに行く。

アタシが立ったイスが空いたのを見つけたキュウがゆっくりと腰を下ろす。
しばらくすると、キュウが怒ったように何か言った。
キュウはなんて言ったかよく聞こえなかったけど、その言葉と重なるようにどこからか声が。

「お前達!!ずいぶん楽しそうだなぁ」
この声は…確かに七海先生。
だけど姿が見つからない。
多分、また変装してるんだろうけど…。
すると部屋の隅に置いてあるサボテンの植木鉢が動いた。
アタシはその時に初めてそこにサボテンがあるのを知ったけどね。
植木鉢はゆっくりと回転を始め、1周するとそこに七海先生の顔が現れる。

「、七海先生?!」
「この部屋は団先生がお前たちに特別に用意してくれた教室だ!
 そこにこんなチャラチャラしたもの持ち込みやがって!」
そう言いながらイスにかけてあったメグのピンクの服を自分に合わせる。
「すいません…っていうか、先生いつからいたんすか?」
「お前達が来るずっと前からだよ!」
『先生、そんな暇な時間がどこに…』
「だからって、サボテン…」
キュウが引きながら先生に言う。
キュウの言葉を遮るように先生が話し始める。
思うんだけど、その変装っていうか、もう仮装だよ。
その、仮想の衣装は一体どこで手に入れてんだろ。
「相手の意表を突くのが、変装術の極意だ」
「誰がどう見ても仮装じゃん」
いや、やっぱり仮装だよね!?
メグはポソリと呟く。
「まぁまぁまぁまぁまぁ。その前にお前達にはこれだ。団先生の新しい課題だ!」

七海先生はディスクを取り出した。
みんなの表情が一気に凍りついた。
それにしてもこんなに早く次の課題だなんて…。
でもまぁ、気持ちを切り替えるためにはいいかもしれない。

「Qクラスの諸君、御機嫌よう。今回君達に調べてもらいたいのは、ある失踪事件だ。
 学習塾に通う中学生2人が忽然と家の中から姿を消し、3日後秋葉原駅前の路上で発見された。
 ただ奇妙なことに、彼らはそれまでの記憶を一切失くし、
 まるで別人のようになっていたそうだ」
画面に1人の男の子と1人の女の子の顔写真が映る。
竹山裕紀、鈴木彩香というらしい。
その後にその学習塾の名前だろう、「五十嵐学院」の表札。
それから「拾件は戦争だ!Aクラス」と書かれた紙を前に、
姿勢正しく並んで写っている1枚の写真。
その中に、竹山くんと鈴木さんが映っていた。
「この事件の影響で、学習塾の生徒達はかなり動揺しているらしい。
 君達の力で、この事件の真相を解明してもらいたい。
 諸君らの健闘を祈る」
そこで映像は終了する。
するとキュウが口を開いた。

「とりあえず、今回は殺人事件じゃないみたいだね。
 …よし、みんな!今度こそ力を合わせて頑張ろう!!」
『…キュウ?アタシも賛成したいのは山々なんだけどさ…』
「みんなもう行っちゃったけど?」
「・・・えええ?!」

キュウが1人で意気込んでいる間、ずっと見ていたアタシとメグ。
リュウ、数馬、キンタはキュウなんかお構いなしにミッションルームを出て行ってしまった。
リュウは「先行ってるね」ってアタシに小さな声で言ってったけど。
アタシはいくらかキュウに賛成だけど、メグは違うみたい。
呆れ顔でキュウと見てる。
「仕方ないでしょ?私達は団先生の後継者を競い合うライバルなんだから」
そう言ってメグもいそいそとミッションルームを出る。
ああ、またアタシとキュウが残る。
このパターン、前もあった気がするけど…成長しないなぁアタシら。

「欲がねぇなぁ、お前らは」
七海先生がアタシ達を見て呟く。
「まぁ、そこがお前らのいいところなんだけどな。
 お前らは、お前らでいいんだよ。余計なこと考えずに、そのまま突っ走れ!」
「、はい!!」
『七海先生、先生らしいこと言えるんじゃないですか!!』
「お前はなー一言多いんだよ!キュウも一言多いときあるよな??
 いっつもこうやって2人して残ってるみたいだし、似てるんじゃねぇか?」
『ええ、キュウと似てる?!一緒にしないでくださいよっ!』
「え!何それ、いくらなんでも酷過ぎない?!」
七海先生は、微笑みながら聞いてた。
キュウは毎回恒例、ブツブツ文句を言い始めた。
アタシは無理やりキュウをミッションルームに連れ出し、『行ってきます!』と、
七海先生に告げて部屋の扉を閉めた。
『今はそんなこと言ってる場合じゃないでしょ!捜査頑張るんでしょ?!』
「うん!!」

アタシ達は相談した結果、五十嵐塾に情報を探りに行くことに。
アタシは今の恰好じゃさすがに塾には行けないから家に帰って少し大人しめの服に変える。
五十嵐塾に着くとそこにはメグの姿が。
アタシ達は気づかれないようにメグの後ろに立つ。
「やっぱ情報を探るには学校か塾の友達だよね」
『何かメグもいるような気がしたんだよーっ!』
「、?!梓紗、キュウ?!」

メグはアタシ達を見てかなり驚いてるみたい。
アタシとキュウはメグに腕をつかまれ、少し離れた所に連れてかれる。
「考えてること、同じみたいだねっ」
「何慣れ慣れしくしてんのよ!今から梓紗誘おうと思ってたのに…」
『マヂで?やった、メグ大好きっ♪』
「なんで?なんでいっつも梓紗ばっかりさー…。
 でもだってメグ、この前励ましてくれたじゃんっ!!」
励ましたって言うのは…多分昨日先生が【ありがとう】を言ってくれたあと、
メグがキュウの肩を叩いて微笑んでたことだと思う。
そういうメグは素直でいいなーって思ったけどさ。
「あれは、キュウがへこんでたから気合入れただけで。
 自惚れないでよねっバーッカっ!!」
『何メグ、素直に一緒に調べようって言えばいいのに…』
「はぁ?梓紗まで…何で私がキュウと調べなきゃ…」
「なんで?一緒に調べようよ!!」
「いやだよっ、うるさいなぁー」

するとメグが突然立ち止まる。
「…あった」
「Aクラス」
『ここかぁ』
失踪した2人のクラスだ。
その途端アタシとメグはキュウに手を差し伸べる。
そしてAクラスの方へ向かって流し、「『どうぞ』」とハモった。
「え?僕??」
『うん、そう。はい頑張って』
「早く行きなさいよっ!」
メグとアタシはキュウを押す。
キュウは渋々とAクラスのドアを開けた。
中に見えたのは、頭に鉢巻きを巻き、紺色のポロシャツを着ている10人くらいの生徒。
みんな同じ格好で机に向かい、勉強している。

「…すいませーん…、ちょっといいですか??」
すると全員の生徒がこちらを一斉に振り向いたかと思うと、
すぐに目線をはずし、勉強を再開する。
「・・・・・ごめんなさーい」

ドアを閉めてすぐにこっちに向かっていた。
…と思うと、もっと先の方に走って行ってしまった。
1つの柱まで辿り着くとよっかかり深呼吸をしているのが見える。
「何で逃げんのよ!」
「空気読めよ!話し何か聞ける雰囲気じゃなかっただろ?!」
『アレはねー、確かに聞けないわ』
「…あれ?君達、Aクラスの新しいメンバー?」

突然話しかけられる。
驚いて振り向くとそこには紺のポロシャツを着た男の子。
きっとAクラスの人だろう、鉢巻きはつけてないけど。
「え、あ、いやぁー僕達はぁー」
『予備校の見学にきたんですけどー…』
「もしかして、Aクラスの人??」
「…まぁ、一応」
キュウが変なことを言いそうだったので、アタシは適当に理由づける。
見学ならチェックも入れられることないと思うし。
その人は立ち去ろうとしたけどメグはチャンスだと思ったのか、その人に話し始める。

「Aクラスってさ!成績優秀な生徒を集めた特別クラスなんでしょ??」
「…最近は、何かと気味悪がられてるけどね」
『…どうしてですか??』
「知らないの?このクラスの生徒が失踪したって話」
「何か知ってるの??」
キュウが効くと、その人は声のトーンを落とし話しだした。

「…神だよ」
『…っ?神って…』
「神って、神様の神??」
神様と失踪事件に何の関係が??
「ああ。そいつら、神の声を聞いて生まれ変わったんだ」
アタシには、その人が少し嬉しそうに話しているのが見えた。
すると、1人の先生がこちらに向かってくる。

「おい牧野、何してる。授業始めるぞ」
「…あ、はい」
背広を着た男の人で、この人は牧野クンというのだろう。
牧野クンの表情は一瞬怯え、先生から目を離さない。
「…誰?」
「塾長の五十嵐先生」
「ね、君の名前は??」
「牧野大介。…君は??」
『…へっ?アタシ??アタシは梓紗…だけど』
「梓紗ちゃん?そっか、じゃぁね」
そう言って牧野クンは微笑んで教室へと去って行った。
彼の後ろ姿を見ていたら、メグがアタシの前に突然現れる。

「あの人…牧野クンだっけか。絶対梓紗に気ぃあるよねー?」
『…はぃ?!』
「そうでしょ!名前聞いたキュウに聞いたんじゃないもん。
 しかも、梓紗だけだよ?私には聞かないのかよっ!!絶対梓紗に気があるって!」
『えー…しかも、メグめっちゃ嬉しそうだしー…??』
「えっ、いやぁ…別にぃ??(あーリュウに早く言いたいっ♪)」

「お前達は選ばれた人間だ。負け組になって惨めな人生を送りたくなければ競争に勝ち抜け。
 ライバルは容赦なく蹴落とすんだ。いいな?」
教室の中からAクラスのメンバーに言ってるのが聞こえる。
その五十嵐先生の言葉に「はい!」と大きく返事するのも聞こえた。
「だーめ、こいつらとだけは友達になれそうにないわ」
『あーアタシも絶対にダメっ。勉強しか頭になさそう』
「ああ、あんたはそういうコト言っちゃダメでしょうっ!
 あの中には牧野クンがいるんだからぁっ」
『もうメグ、その話はいいから!メグ、勝手に作っちゃダメだって!』
「何?照れてんの??可愛いなぁ」
「神の声、か」
アタシ達が騒いでるときにボソリと呟くキュウの言葉が耳に入る。

少しだけ塾の中を捜査してから帰ろうと思っていたら、
Aクラスの授業は終わったのか、牧野クンが出てきた。
「牧野くん!」
「…みんな、まだいたんだ」
「さっきの話の続きなんだけど、失踪した2人…何か変わった様子はなかったかな?」
「さあ?覚えてないな。教室じゃほとんど誰も話さないから」
『まぁ、あの雰囲気じゃあねぇ』
「じゃぁ、何かトラブルでも」
「別になかったけど。ていうか、何で君達そんなこと調べてるの?」
まぁ…そうだよね。
突然話しかけて失踪のことについて聞くなんておかしいよね。
キュウがごまかすように笑っていると五十嵐先生の声が。

「牧野、呑気にお喋りなんかしてていいのか。油断していると足元すくわれるぞ」
こんなに少し立ち話しただけで注意されるなんて。
ここでは何の自由もないって感じ。
アタシはムカッときたので少しだけ強く睨む。
五十嵐先生はアタシの目線に気付いただろうが、何事もなかったように逸らされた。

「森田先生」
「あ、はい!」
五十嵐先生が偶然近くを通りかかった森田先生という男の人に話しかける。
森田先生は恐ろしいものを見たかというように返事をする。
「前回の模試…生徒達の英語の平均が2点落ちてますよ」
「っ…申し訳ありませんでした!」
森田先生はものすごい勢いで頭を下げる。
「結果を出せない者に用はない。2度目の警告はないと思いたまえ」
それを言い終わると五十嵐先生は歩いて行ってしまった。

「ここ…先生も採点されちゃうんだ」
『しかも…生徒の面前でね…。先生も立場ないよ』
「あの人達にとって大事なのは数字だけだから。ここに通ってる生徒たちもね」
その言葉を残すと牧野クンも行ってしまった。
牧野クンも数字が大事なのかな?アタシにはそんな人に見えないけど。
立ち去る時の牧野クンの顔は何だかとても寂しそうだった。

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*第1話*~実践開始!戦慄の死の予言!死体消滅の謎を追え ⑥

誰もいない。
静かな駐車場にアタシ達は着く。
遠くから近くへ、響いてくる足音とスーツケースを転がす音。
現れたのは…間違いなく文芸部顧問の米山先生。

「お出かけですか??先生」
アタシ、キュウ、メグ、リュウ、数馬は先生の行く手を阻むように囲んで立つ。
「そのスーツケースの中身、処分しに行くとか?」
『…無駄です。トリックは全て解けました』
「あなたが今回の連続殺人事件の犯人ですね!」
キュウが高らかに言い放ったかと思うと、先生は微笑で言う。

「一体何の話?言ってる意味が全然分かんないわ」
先生は何事もなかったかのように知らないふりで、その場を後にしようとした。
「氷の玉と、2人の人間による死体切断のマジック。…それだけ言えば充分だろ」
リュウが言った言葉で先生は立ち止まる。

「ずっと引っ掛かってたんです。
 日頃から生徒たちとの関わりを避けているあなたに、なぜ佐々木さんがSOSの電話をかけてきたのか。
 それは僕達と行動を共にし、無実を証明するためのアリバイ工作だったんだ」
「妄想もいいところよ!」
『あの子達どこにいるの、って先生言いましたよね??それが証拠です。
 佐々木さんから電話があったとき、行方が分からなくなっていたのは佐々木さんだけですよ??
 先生はあの場に佐々木さんだけではなく、大森さんも居ることを知っていた。
 だから、【あの子達】と口にしてしまったんじゃないですか??』
「スーツケースの中、見せてよ」
メグが冷たい視線で見つめ、鋭く先生に言う。
スーツケースから血が流れ落ちた。
中には…やっぱり…。
考えただけで背筋が凍る。

「…先生、どうして、こんなひどいこと…どうして?」
「娘を殺された復讐なんだろ」

後ろからの声に振りかえる。
『…キンタ!!』
「今まで何してたのよ!!」
そこにいたのは久しぶりに見るキンタ。
最近、全然ミッションルームに顔出さないと思ってたら…。
「西村静香の周辺を調べてたんだ。彼女は、この人が産んだ娘だったんだ」
アタシ達は驚いて先生の方を向く。
「子供が生まれて間もなく、あんたは小説家になる夢を諦めきれず、家族を捨てた。
 でもそれだけ頑張っても、夢は夢のままだった。
 そのとき、あんたはこの学校で娘と再会したんだ」
「・・・・血は争えないわね」
先生は寂しそうにつぶやく。

「16年ぶりに再会した静香はミステリーに夢中で、天賦の才能の持ち主だった。
 あの子がコンクールで賞をもらったときも嬉しかった。私の夢をかなえてくれた気がして。
 …でもその幸せも、長くは続かなかった。
 そんなとき、偶然あの子達の話を聞いてしまったの」
先生は佐々木さん達が西村さんを階段から突き落とし、殺害したという事実を
偶然にも聞いてしまったらしい。
「あの子達、笑ってた。娘の未来を奪ったあの子達に生きる価値なんかない…っ!!」

「…へぇ…、彼女、実の娘だったんだ」
リュウが先生の周りを歩きながらため息交じりに言い放つ。
「娘の復讐ねぇ…よくそんな綺麗事言えたもんだな」
『?リュウ??』
「この人、推敲者の新人コンクールに作品を送ってた。
 でもそれは、西村静香が図書室に隠した、幻の遺作だったんだ」
黙っていた数馬が口を開く。
「…僕達がディスクの在り処に気付いた時、それはもう誰かの手に渡っていた。
 だから数馬に調べてもらったんだ。彼女の遺作を売りつけられた出版社はなかったかどうか」
「でも、どの出版社も原稿を手にしていなかった」
「出版社に売りつけることが目的ではないとすると、考えられる可能性は1つ。
 その原稿を自分の作品として発表することだ」
「コンクールの主催者に応募者の名前を問い合わせたら、見事にヒットしたよ。
 ・・・先生の名前が」
リュウと数馬が説明する。
そうか、だからリュウはあの時電話してたのは数馬だったのか。
そんなに早くから感づいていたリュウ…やっぱりすごい。

「でも…なんでそれが西村静香の遺作だってわかったんだ」
「作家はよく描きかけの作品をバックアップするのにメールボックスを利用する」
「ハッキングしてみたらしっかりと残ってたよ、西村静香の…オリジナル原稿」
「でも、かのじょの作品を自分のものにするには、ひとつだけ問題があった。
 その作品をすでに読んでいた人間がいたんだ」
『…そっか!殺された3人!!』
「ああ、こいつは娘の復讐なんかじゃなく、盗作がバレないように3人を殺したんだ」
「違う…違う!!私は静香のために「だったら!!」
リュウが先生の言葉を遮る。

「…何故娘の名で公表しなかった??


 あんたは悪魔に魂を売り渡したんだよ!!!!!」

リュウの言葉が駐車場を凍りつかせる。
静まり返る。
聞こえるのは、スーツケースから滴る…血の音だけが駐車場をこだまする。

しばらく、沈黙が続く。
すると、こちらに向かってくるパトカーのサイレン。
駐車場に着くと、警察がパトカーから降り、先生の周りに集まる。
1人の警官がスーツケースの中身を確認し、言った。
「…死体遺棄の容疑で、署まで同行願います」
諸星さんの言葉に、何人かの警官と一緒に先生はパトカーへ向かった。

「待って下さい!!」
キュウが叫ぶ。
「僕には・・・どうしても信じられません。
 そんな、醜い欲望のために…あなたが人を殺すなんて…」
「キュウ・・・これがこの世界のリアルなんだ。僕達が立ち向かおうとしている現実なんだよ」
「違う!そんなことない!」
リュウがキュウを説得しようと口を開いたが、キュウはそれを否定する。

「だって、あの人、メグを抱いてくれたんだもん。
 メグが死体を見てパニック起こしてるとき、母親みたいに優しく」

先生がメグを抱いてるとき。
先生にならメグを任せられると確信したんだ。
優しく、包み込むように抱いていた。
大丈夫って、安心させようとしてくれてた。
アタシだって…信じられないよ。
「リュウ、事実が全て、真実を語っているわけじゃないんだ。 
 事件を解決することも大切だけど、その裏に隠された真実を見抜くことも…探偵として、大切な役目だと思う。
 だからこそ、人を救うことができるんじゃないかな。
 甘っちょろいって思われるかもしれないけど…僕は・・・信じたいんだ。
 この人も、ここにちゃんと血が通ってる。
 だから人の痛みとか苦しみとか、そういうのを感じる心を持ってる」
キュウが胸に手を当て、先生に向かって真っすぐな目で言う。
先生は振り向かず、黙って背中で言う。

「バカな子ね。私みたいな女を信じるなんて・・・」
「先生…」
キュウは小さく呟いた。
先生はゆっくりと振り返り、言った。

「ありがとう」

そう言った先生は少し微笑んだように見えた。
その声は少し震えていて、少し…寂しそうな、切なそうな。
その後は振り返ることもなく先生はパトカーに乗り込む。
メグがキュウに近寄って行き、肩にポンと手を置き、優しく微笑む。
『やっぱり、キュウってすごいねー』
「とことんアナログだね」
「ガキのくせに生意気なんだよ」
アタシ、数馬、キンタの順に発言する。

でも本当はすごいなんて簡単な感情じゃない。
キュウの言った一言ずつに考えさせられた。
裏に隠された真実を…キュウは何よりも大切にしていると感じた。
あんなに人の心に響く言葉を…。
キュウだから、先生の【ありがとう】を聞けたのかも知れない。
今でも先生の最後の言葉は頭に鮮明に残っている。

そのとき、パンッ!と駐車場中に響く音。
アタシ達は一瞬のうちにパトカーへと歩み寄る。
アタシは音に驚いて少し遅れてパトカーのもとに着く。
リュウの隣に立つと、そこに見えたのは、血にまみれた拳銃を持った先生の手。

『・・・いやっ…!』
「梓紗、見るな」
リュウがアタシの顔を胸にうずめる。

メグは辛そうにしゃがみこみ。
数馬は吐きそうになっていた。
キンタとリュウはただ立ちつくしている。
リュウが見るなと言った瞬間、アタシは悟った。

『なんで…なんで、どう、してよ!』

リュウの胸の中でアタシは無意識のうちに叫んでいた。
リュウはさっきより強くうずめる。
助けたはずの先生が…どうしてこんなことに?


先生の最後の【ありがとう】がアタシの頭の中をぐるぐるめぐる。
結局アタシは、誰も救えなかった。
誰1人として救えなかった。
子供の探偵など、こんなに無力なのか。
アタシは無力すぎて叫ぶしかなかった。



頬には一粒の涙だけが流れ落ちた。

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*第1話*~実践開始!戦慄の死の予言!死体消滅の謎を追え ④

「梓紗?!」
梓紗は突然倒れた。
苦しそうな動作もないし、きっとケルベロスの催眠だろう。
これほどケルベロスの催眠に安心したことはない。
「リュウ様。そんなに心配なさらないで下さい。ケルベロスの催眠です。
 梓紗様が次に目を覚ました時にはここにいた記憶はなくなるようにしました」


『リュウが謝るコトじゃないよ』


梓紗にそう言われたとき心にひびが入った。
きっと梓紗は気づいている、僕が謝ったのは守れなかったコトだけじゃないことを。
でも気遣って気にしないふり、気付かないふりをしてくれたんだ。
梓紗に僕のことを話すことはできないんだ。
きっとそれを知ったら君は僕から離れて行く。それだけが怖い。
「お前ら、何で梓紗を巻き込んだ?何が目的だ」
「大丈夫ですよリュウ様。梓紗様に危害、ましてや傷もつけません。
 おじい様から通達が届いてると言ったじゃありませんか。今回の事件には関わらないようにと」
「…関わったら梓紗に何かする気か…?」
「そのようなご命令はきておりません…が、どうしましょうか」
「さっきも言った。そういうことなら余計に引き下がれないって。
 梓紗に何かしてみろ、僕がただじゃおかない。守りとおしてみせる」
梓紗は僕が守る。こんなに愛しい人をこいつらに壊されてたまるか。
事件だって、解決する。お前達の思い通りなんかにさせない。

僕は梓紗を抱きかかえ、その場を後にした。
ユリエがずっと僕を睨んでいたのは…視線で分かる。




…目が覚めた。
はっきりと分かる、ここはミッションルーム。
アレ?さっきまでリュウと事件現場の調査を…。
アタシはソファーに足をたたんで寝ている。
隣を見れば、メグ、リュウ、数馬がアタシを覗いてる。
「梓紗?!大丈夫!?」
『あ、だ、大丈夫だけど…アタシどうしたの?』
「事件現場で倒れたんだ。貧血とか熱中症とかだと思う」
あれ?そっか。
アタシは倒れたからリュウがミッションルームに連れてきてくれたのか。
『そっか…ありがと、ごめんねリュウ』
「ううん」
「梓紗ぁ~、心配したんだからぁ~っ!」
メグが泣きそうな顔で抱きつく。
『えー、ありがとうー。でもメグおおげさだよーっ』
「リュウが梓紗を抱えて入って来た時はビックリしたんだからね!
 ホント、最初は分かんなくて「何やってんだ?」って思ったけど…」
「梓紗でも、倒れるんだね」
『何よ数馬』
「別に?」
「でも、入って来た時のリュウ、結構動揺してたよね。梓紗抱えてたのにはビックリだけど」

リュウが動揺かぁ。
それ、ちょっと見たかったかも、とかって。
アタシ重いのに…ずっと抱えてくれたのかな?
『リュウ、アタシ重くなかった?』
「大丈夫、重くなかったよ。暑かったし、仕方ないよ」

良かったぁーと2人ともアタシから離れた。
すると、リュウがストンとソファーに座る。
「無事でよかったよ」
と、アタシの頭をくしゃくしゃっと撫でた。
リュウの顔はホントに安心しきってるような顔だった。

「あ、メール」
メグが携帯を見る。
「…キュウからだ」
『なんだって?』
「今、佐々木さんの家の前で見張りしてるから、メグも来ない?
 僕と2人が嫌だったら梓紗も誘っていーよ、だって」
『アタシ、行かなくていいよね?』
「何言ってんの、行くに決まってるっ!!」
なんだかんだ言って、キュウに誘われて嬉しいんだよね、メグ。
アタシ、絶対行かない方がいいと思うんだけどなぁ。
メグには逆らえないし、隙を見計らって1人で抜けるか。
リュウも行かない?って言ったら「僕はまだ調べることあるから」って、
ちょっと笑って言ったから無理に誘えなかった。
メグは途中家に寄って浴衣に着替えた。
キュウに見せるの?って言ったら「違う!気分、気分!」って…誤魔化しきれてないよ。


キュウ、発見!
佐々木さん家の前の神社の石段で携帯持ってる。
なんか呟いてるみたいだけど…通りかかるの、アタシ達で良かったね。
「キュウ見ぃっけー♪じゃーん、可愛い?」
「…何その格好!」
「…、可愛くないんだ」
「や、かわいいよ、すっごい可愛いよ!でもなんで浴衣着てこんなとこいんの?」
メグは可愛いって言われたの、嬉しいのかな。
顔がすごい笑ってる。
『メグねぇ、キュウに見せるって張り切ってたんだよーっ?』
「違うわよ!梓紗変なこと言わないでよ!ただの冷やかし。
 キュウ1人じゃ寂しがってるかなぁと思って」
「いや、別に?遊びに来てるわけじゃないんだからさー」

メグがキュウの隣に座ったので、アタシはメグの隣に座る。
メグが口を開く。
「…ねぇ、胴真っ二つって、あれ本気かなぁ」
胴体真っ二つっていうのは西村さんのノートに書かれていた内容。
次に殺される人は胴を2つにされて殺されるらしい。
人1倍死体が苦手なだけあって身震いがする。
こんなんで探偵やってけるかな?
「…どんな理由があろうと、人間がそんな残忍なことできるなんて、僕は信じたくない」
キュウの強い意志が伝わる。
なんだかんだ言ったって、キュウだってちゃんと考えてるもんね。
それ以降はみんな黙って会話が無くなり、沈黙が続く。

メグ、今日色々あって疲れたのかな?
うとうとしてきてるなぁと思ってたらキュウの肩に寄りかかって眠っちゃった。
キュウはビックリしてたけど、そのままにしてあげようと思ったのかな。
思わず、2人の幸せに頬が緩んだ。
『キュウ、嬉しいねー?浴衣だし、可愛いもんねー?』
「え、な、何だよ梓紗!」
微笑ましいのも束の間。
道路をはさんだ向かいの家から声が飛び出した。

「刑事さん!まどかがっ…まどかがいなくなったんです!!」
「何ィ?!」
アタシはすぐ立ち上がった。
キュウはメグを起こし、アタシ達は諸星さんのとこへ向かった。
「刑事さん!」
「…、またお前らか」
『そんなコト言ってる場合ですか?!何が起こったんですか?!』
「佐々木まどかが家から消えた!」
「え…、みんなにも連絡しなきゃっ!!」
アタシ達は携帯を取り出すと、それぞれ連絡を取り合う。
すると、1台のタクシーが止まった。
中から出てきたのは昼に話した文芸部の顧問の先生。
「先生!」
「どうしてあなた達ここに!?」
『説明はあとでします!どうしたんですか?!』
「さっき佐々木さんから電話があって、泣きながら助けてほしいって!」
『佐々木さんが…?』
アタシはこの時から何かが矛盾していると感づいた。
根拠は無い、…探偵の勘。
すると、先生の携帯が鳴りだす。
画面には、「まどか」の文字が。先生は諸星さんに携帯を渡した。
「もしもし、警察だ!いまどこだ、どこにいる?!」
【律子が殺された部屋です…早く助けて!】

電話はそこで切れる。
「あの子達、どこにいるんですか?!無事なんですか?!」
「岡田律子の死体が発見された部屋です!」
なんだろう。やっぱりどこか矛盾してる。
何だ、何かがひっかかってる…なんだ、何だ??
猫田さんが向こうから走ってくる。
「どうした!?」
「裏口から出たようです!!」
「よし、秋葉原へ強行だ!」
「私も一緒に行きます!」
「梓紗、キュウ?!何してんの、一緒に行くわよっ!」
「え、あ、うん!」
『あ、ごめん!』
考えてるアタシの腕を引っ張るメグ。
キュウもどこか不自然に感じたのか少し黙ってたみたい。
多分、メグに腕を引っ張られるまでずっと考えてたかも。
アタシ達はパトカーで佐々木さんのいる、岡田さんが殺害された部屋へ向かう。
岡田さんが殺害されたビルに着くと、それぞれ手に懐中電灯を持ち、
奥へ奥へ進んでいく。

「警察だ!誰か居るか?!」
諸星さんがドアを開ける。
諸星さんが懐中電灯を部屋にまわす。
ある1点に向けると、そこには目を閉じ、口元から血が流れている佐々木さん。
死んでた。どうしよう。生きてる時に少しでも関わりがあった人だよ?
どうしよう、どうしよう。死んでる、ヤダ、信じたくない、守れなかった。
気付く。佐々木さんの下半身が無い…!!!

「、諸星さん」
猫田さんの声で我に返る。猫田さんの灯りの先には佐々木さんの下半身。
叫びそうだった。あんなの、残酷すぎる。誰がこんなコトを…。
いやだよ、こんな殺され方…残酷すぎるよ…。いや、いやだ、いやだ!
アタシは気づく、メグの呼吸が荒い。
『メグ?大丈夫?』
メグは小さく頷くと、ゆっくりとふらついた足で部屋を出て行った。
アタシは心配で部屋のドアの縁まで行くと、メグの悲鳴。
『メグ!メグ!!』
「メグ!どうした?!ねぇメグ!!」
すると、そこに先生が来る。
「早く外へ!」
「、はい!」
アタシとキュウと先生が立ち上がると、どこからか爆発音。
諸星さんと猫田さんは勢いよく走り出す。

ビルの外に出ると、パトカーが燃えている。
アタシ達がさっきまで乗っていたパトカー。
怖かった、あと少し出るのが遅かったら…死んでた?
パトカーから出る白い煙がアタシの恐怖を誘う。
「どうなってんだこりゃ?!」
「諸星さん、もしかしてこれ犯人が!」
「だとしたらそう遠くには行ってない!あとは調べろ、俺がげんばを補整する!」
「はい!」
猫田さんが走りだす、すると、諸星さんの携帯が鳴った。
「もしもし、…何!?、わかった、すぐに手配する!」
「どうしたんですか?!」
「大森恭子も家から消えたそうだ!」
『…嘘…』

諸星さんがビルへ走り出す、
するとキュウは立ち止まる。怯えているメグをあやしている先生を見つめてる。
「あの、メグを…お願いします」
アタシも先生に頭を下げる。頭をあげたとき、先生はしっかり頷いてくれた。
メグを頼める、って確信できた頷きだった。

死体がある部屋の前でちょっと立ちすくむと、キュウはそれに気づき、
「大丈夫?」と声をかけてくれた。
アタシは、大丈夫と微笑み中に入る決心を固める。

…あれ?


「…死体、消えた?!」


諸星さんが言うので初めて気づいた。
佐々木さんの遺体は跡形もなく消え去っていた。
アタシは安心したと同時に、やっぱりどこか矛盾していると察した。
何だ、何か決定的な矛盾が、見つからない。

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