ドリーム小説
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*第1話*~実践開始!戦慄の死の予言!死体消滅の謎を追え ②
リュウを先頭に現場に到着。
ビルの目の前まで来ると、やっぱり怖い。
この中で人が殺された?考えただけで身震いがする。
「大丈夫」
リュウはアタシの肩を少し叩き、ちょっと笑顔を見せてら中に入って行った。
少し、楽になった気がする。「アリガト」。
事件現場にはあっさり入る事が出来た。
途中階段の奥に怖い人形みたいなの置いてあってすっごいビックリしたけど。
部屋の中に入る。
すると、死んだ岡田律子さんの死体の型があった。
ぞわっとして、本当にそこから抜け出したかった。
「…事件当時、入口のドアは内側から鍵はかけられ、この部屋に続くドアも閉まっていた」
「つまり…ドアは二重に閉まっていたってことだよね」
「そして、被害者のそばには部屋の鍵が」
「でも誰がその鍵を保管してたんだ?」
「このビルを管理してる不動産屋。そこで盗まれたみたい」
「…その鍵のコピー作れば密室もクソもねぇじゃん」
「それが、IDカードがなければコピーできない、特殊な鍵だったらしい」
みんなの言ってることはだいたい整理がつく。
アタシは怖くて、みんなの会話を聞いてることしかできなかった。
そんなアタシの様子に気づいたのかリュウは隣に来てくれた。
その時突然ドアの開く音がした。
みんながドアの方に反応し、一斉に振り返る。
リュウはアタシの手の甲を握ってくれてる。
ビックリしてリュウを見たけど、真っ直ぐドアを見てる。
かなりビックリしたけど安心したっていうのは本心。
あぁ、やっぱりリュウはアタシを安心させるのが得意だね。
すると不安から解放されたのも束の間。キュウが口を開く。
「…犯人は…何度も現場に訪れる、っていうよね…」
『え、犯人かもしれないってこと…変なこと言わないでよ、』
キュウは呟いたのも一瞬、キンタを前に押した。
「何だよ、何だよ」
「こういうときこそキンタの出番でしょ!?」
「もしものときはちゃんと骨拾うから!」
『キンタ、お願い、骨拾うからっ!』
「勝手に殺すなよっ!」
ドンドン近づく足音。
扉が開いた!キンタは一瞬の隙に入ってきた人を背負い投げ。
「いてててて、誰だ貴様!!!」
「お前こそ何者だ!」
「け、警視庁の諸星だっ!」
「…、刑事?!」
開いた警察手帳からして、嘘ではないことは確かだ。
「つまり、警察に協力を要請され、事件現状を調べるためにあそこに入り込んだ。
ってわけだな?」
「…あ、はい、そういうことです」
私達は警察署に連行さえて、さっきのことを説明させられていた。
外はもうすっかり暗くなっている。
アタシとキュウ以外、ぐったりだ。
「なるほどね…って納得すると思ってるのか!!」
刑事さんが扇子を持ったまま、机をドンと叩く。
アタシはちょっとビックリした。
「お前らみたいなガキにな、えぇ?助けを求めた覚えはねぇ!!」
「いやだから、それもっとえらい、えらーい人から、」
「もうよせ、」
キュウの言葉をキンタが遮った。
キンタの顔は、もう「くだらねぇ」というのが出ていた。
「どうせこいつら見かけでしか人を判断しねぇ。
バッジかざして威張るだけで、聞く耳なんか持たねぇーよ」
「貴様、桜田門にケンカ売ってるのか?!」
キンタが挑発したせいで刑事さんはキレちゃった。
一応ココ警察署だし、アタシらは何も悪いことしてないわけだし、
変なことする前に帰りたかったんだけどなー。
「諸星さん!」
1人の刑事が入ってきた。
その人はメグと目が合い、少し硬直する。メグは「あ、」と声を漏らしている。
その刑事さんは「いや、あのー実はですね」と諸星さんに話し始める。
でも目ではメグを追ってるコトからこの2人は知り合いだと確信。
すると諸星さんは「何だと?!」と目を大きくして驚いている。
何を聞いたんだろう??
「…警視庁からの通達だ。お前らをサポートしろってよ」
うはぁーっと、今までのグッタリ様が嘘のように、
みんな笑顔になる。(…リュウは別だけどね)
「ほーらっ!分かったらさっさと捜査資料見せろよっ!」
「ふざけるなっ!調べたかったらお前達で勝手にやれ!!」
諸星さんは怒って出て行ってしまった。
あとから来た刑事さんも困った顔して出て行った。
「…で、どうする??」
数馬が1番に口を開いた(珍しい)。
「…よーし!みんなで力を合わせて事件を解決しよう!」
『うん、それがいいよ!』
キュウが立ち上がってかなりの笑顔で叫ぶ。
アタシもそれがいいと思い、キュウに大賛成っ!!
…でもアタシとキュウ以外はまたもやグッタリ。
「時間の無駄遣いだ」
「あーあ」
「ほんっと、付き合ってらんない」
みんながのそのそと立ち上がって次々と部屋を出て行く。
リュウが部屋を出て行く時、少し目が合った。
ちょっと困ったような微笑みをして、ポケットに突っ込んでいる手を出し、
腰のあたりで小さく手を振って出て行っちゃった。
「ねぇ、何で?何でみんな一緒に調べないの?!」
「キュウ、梓紗。僕達は競争ゲームの中にいるんだよ」
「団先生の後継者は1人ってことだろ…?」
『わかってるよ、そんなの』
「だったらなおさらだ。Qクラスは仲良しグループなんかじゃない。ライバル同士なんだよ」
数馬は冷たくそう言い放ち出て行ってしまった。
そんなに冷たく言わなくたっていいじゃん…。
「自信ねぇならあの部屋で留守番でもやってろっ!」
キンタもメグも出て行ってしまった。
「…ねぇみんな!ライバルだけど…仲間でしょ?」
すると、出て行ったはずのメグが戻ってきて言った。
「梓紗の気持ちはいくらか分かるよ?でもキュウ、はっきり言ってウザい」
はっきり言ったねー。
アタシの気持ちはいくらか分かるってのも…ホントかな…??
実は、アタシもウザかったりしない?!
「そこまで言うなら梓紗と頑張るよっ!僕だってやる時はやるんだから!!
ね、梓紗、頑張ろうっ!!!」
『キュウ、無理しなくて…いいよ、悲しくなる」
「…うん」
次の日、キュウとメグが学校に編入して調査するって言うからアタシもそうすることにした。
岡田さんが通っていた高校の制服を着て調査っていうのは、
ちょっと慣れないのもあって恥ずかしい…。
「…ねぇ、昨日1人で調べるって言わなかったっけ??」
「1人じゃない!梓紗も一緒だよっ、メグ1人じゃ心細いかなーっと思って…」
「っていうか、ビビってんのキュウの方じゃん。私、梓紗と調べるからっ」
『え!?』
そう言ってメグはアタシの手を引っ張った。
キュウは後ろから早歩きでついてくる。
「ねぇ!僕達中学生だよ?!バレたらヤバいよ!」
「嫌なら帰んなさいよ。被害者は高校生だし、探るなら学校の友達が1番なのよっ」
メグは人差し指を振りながら話す。
そしたら、何かに気づいたのか向こうに行ってしまった。
すると後ろから「ねぇねぇあの子可愛くない?」との女子の先輩の声。
キュウがそれに反応する。
「隣の子誰?もしかして彼女?」
「えー嘘。でも可愛いし、いるかもねーっ!」
キュウはキョロキョロを繰り返す。
「あははは、こっち向いたっ」
「彼女の子も結構可愛くない?」
キョロキョロを繰り返しているうちにメグがいないことに気付く。
『キュウ、可愛いって褒められて嬉しがるのは分かるよ?』
「え、別に嬉しがってないよ」
『アタシをキュウの彼女にするのは、やめてほしいよね…」
「何それ!?」
「梓紗っ、こっち!」
メグがアタシを呼ぶ。
メグに近寄るとそこには体全身が映る大きな鏡。
「1度着てみたかったんだよねー、この学校の制服っ♪」
『メグって、ホント何着ても似合うよねっー、ね、キュウっ?』
「何で僕に言うの?ていうかホントにやる気あんの!?」
無事に編入も済み、放課後廊下を歩いていると、ある教室にたどり着いた。
『文芸部』と書いてある。
この部室はメグの話によると、殺された岡田さんが所属していたサークルらしい。
「失礼しまーっす!あの、岡田律子さんと親しかった人どなたはいませんか?」
メグは躊躇なく入って行き、いきなり聞き込み開始。
「いきなりかよ」
『メグ、いきなりそれはないっしょ』
「お前ら…誰だ?」
机に向かっていた男の人がこっちを見た。
おかっぱな頭で、ちょっと不気味な感じ。…ちょっとじゃないかも。
「…転校してきたばっかりの1年生でぇ…す」
「転校生が何で岡田のコト嗅ぎまわってる?」
『えっと…それは』
返事に困ったアタシとメグは両端からキュウの半袖の裾を掴んで、
前へ前へと押し出す(ごめんね、キュウ…)。
「あ、あの僕達文芸部に入部したいなーと思ってたんですけど、クラスの連中にリサーチしたら
部員が1人、1週間前に殺されたって言うじゃないですか。
おまけに密室殺人だって聞いて、その、ミステリー好きな僕らとしては、こう…
血が…うずいちゃって…」
キュウの必死の弁解。
「調べたって無駄だ。岡田は呪われたんだ」
『へ?呪われた?』
笑いそうになったアタシをキュウが腕を縦に振り、風の音で制す。
「ああ」
すると男の人は額に入った写真に近づいて行った。
額に入っているのはちょっとウェーブがかったセミロングの髪に、
賞状を持って満面の笑みで映っている綺麗な人。
「…西村静香の亡霊にね」
それを聞いてメグも笑いそうになってた。アタシだって堪えるの大変だったけど。
そしたらキュウがアタシの時と同じ動きでメグの笑いを制す。
『西村静香さんって…誰ですか?』
アタシは男の人に聞いた。
「文芸部のメンバーよ」
聞こえたのは明らかに女の人の声。
気がつかなかった…そこに人が寝てたなんて。
かなりダルそうに起き上がる姿…少し不気味…。
「1ヶ月前に亡くなったの」
2人の説明をまとめると、西村静香さんは1ヶ月前に転落事故で亡くなった、
この学校の生徒さんらしい。
警察の話によると、岡田さんの死体現場に西村さんのノートが落ちていた。
そのノートにはある話が描かれており、
【事故に見せかけて殺された少女の亡霊が真犯人である仲間達を次々復讐していく】
という内容だったみたい。
「亡くなった静香の呪いよ」
「…なんかヤバいよ、この2人」
「うん…アタシもそう思う…」
アタシとメグは小さい声で話した。キュウには睨まれちゃったけどね…。
「実はその物語には続きがあるらしいの。警察の話じゃあ、あと2人殺されるそうよ
同じ文芸部の仲間が…」
「…あの、その2人って…」
メグは言いかけたその時、突然部室のドアが開いた。
「2人とも、いくらオカルト好きだからって趣味悪いわよ」
入ってきたのは、2人の女の人。
「私達はただこの子達に事実を伝えてるだけよ」
「それじゃ、律子が静香を殺したみたいじゃないっ!」
「…佐々木まどか、何そんなにビクビクしてんだよ」
男の人が言うと、佐々木さんは黙ってしまった。
「何か身に覚えでもあるのかしら?」
「っ、あんたねぇ!!」
佐々木さんは手を挙げたが、女の人の腕で止められてる。
2人は腕を押し合い、睨みあっている。
すると、そこに顧問らしき女の人が入ってきた。
その人は気づいたように話しかける。
「あなた達、何してるの?」
それを聞いた佐々木さんと一緒に部屋に入ってきた女の子は出て行ってしまった。
「芳村さん?何かあったの?」
芳村さん…て言う人だったのか。芳村さんも何も答えず、男の人と出て行ってしまった。
「…貴方達は??」
「入部希望の1年生です…もしかして顧問の先生ですか?」
「…そうだけど」
顧問の先生は戸惑いながら答えた。
「あの、岡田律子さんが西村静香さんの亡霊に呪い殺されたって、どういう意味ですか?」
「え?」
『今、芳村さんたちに聞いてたんですけど…』
「文芸部で何かトラブルでもあったんですか?」
「どうしてそんなこと聞くの」
「純粋な好奇心です」
メグは淡々と先生を交渉していく。
メグの目に迷いはないように見えた。
「私、顧問っていっても名ばかりだし、聖とのプライベートには立ち入らないようにしてるの。
それに呪いだなんて…、」
女の人は部室を出ようと思ったのか、ドアの近くへ歩み寄る。
それを、キュウは止めた。
「ちょっと待って下さい!」
女の人は立ち止まってキュウの方へ振り返る。
「入部する前に内部事情を知っておきたいっていうか…、後々、立ち回り易いっていうか、
その…先輩達には絶対内緒にしておきます!何があったか教えてください、お願いします!」
キュウが深々と頭を下げる。
それに押され、アタシとメグも頭を下げる。
リュウを先頭に現場に到着。
ビルの目の前まで来ると、やっぱり怖い。
この中で人が殺された?考えただけで身震いがする。
「大丈夫」
リュウはアタシの肩を少し叩き、ちょっと笑顔を見せてら中に入って行った。
少し、楽になった気がする。「アリガト」。
事件現場にはあっさり入る事が出来た。
途中階段の奥に怖い人形みたいなの置いてあってすっごいビックリしたけど。
部屋の中に入る。
すると、死んだ岡田律子さんの死体の型があった。
ぞわっとして、本当にそこから抜け出したかった。
「…事件当時、入口のドアは内側から鍵はかけられ、この部屋に続くドアも閉まっていた」
「つまり…ドアは二重に閉まっていたってことだよね」
「そして、被害者のそばには部屋の鍵が」
「でも誰がその鍵を保管してたんだ?」
「このビルを管理してる不動産屋。そこで盗まれたみたい」
「…その鍵のコピー作れば密室もクソもねぇじゃん」
「それが、IDカードがなければコピーできない、特殊な鍵だったらしい」
みんなの言ってることはだいたい整理がつく。
アタシは怖くて、みんなの会話を聞いてることしかできなかった。
そんなアタシの様子に気づいたのかリュウは隣に来てくれた。
その時突然ドアの開く音がした。
みんながドアの方に反応し、一斉に振り返る。
リュウはアタシの手の甲を握ってくれてる。
ビックリしてリュウを見たけど、真っ直ぐドアを見てる。
かなりビックリしたけど安心したっていうのは本心。
あぁ、やっぱりリュウはアタシを安心させるのが得意だね。
すると不安から解放されたのも束の間。キュウが口を開く。
「…犯人は…何度も現場に訪れる、っていうよね…」
『え、犯人かもしれないってこと…変なこと言わないでよ、』
キュウは呟いたのも一瞬、キンタを前に押した。
「何だよ、何だよ」
「こういうときこそキンタの出番でしょ!?」
「もしものときはちゃんと骨拾うから!」
『キンタ、お願い、骨拾うからっ!』
「勝手に殺すなよっ!」
ドンドン近づく足音。
扉が開いた!キンタは一瞬の隙に入ってきた人を背負い投げ。
「いてててて、誰だ貴様!!!」
「お前こそ何者だ!」
「け、警視庁の諸星だっ!」
「…、刑事?!」
開いた警察手帳からして、嘘ではないことは確かだ。
「つまり、警察に協力を要請され、事件現状を調べるためにあそこに入り込んだ。
ってわけだな?」
「…あ、はい、そういうことです」
私達は警察署に連行さえて、さっきのことを説明させられていた。
外はもうすっかり暗くなっている。
アタシとキュウ以外、ぐったりだ。
「なるほどね…って納得すると思ってるのか!!」
刑事さんが扇子を持ったまま、机をドンと叩く。
アタシはちょっとビックリした。
「お前らみたいなガキにな、えぇ?助けを求めた覚えはねぇ!!」
「いやだから、それもっとえらい、えらーい人から、」
「もうよせ、」
キュウの言葉をキンタが遮った。
キンタの顔は、もう「くだらねぇ」というのが出ていた。
「どうせこいつら見かけでしか人を判断しねぇ。
バッジかざして威張るだけで、聞く耳なんか持たねぇーよ」
「貴様、桜田門にケンカ売ってるのか?!」
キンタが挑発したせいで刑事さんはキレちゃった。
一応ココ警察署だし、アタシらは何も悪いことしてないわけだし、
変なことする前に帰りたかったんだけどなー。
「諸星さん!」
1人の刑事が入ってきた。
その人はメグと目が合い、少し硬直する。メグは「あ、」と声を漏らしている。
その刑事さんは「いや、あのー実はですね」と諸星さんに話し始める。
でも目ではメグを追ってるコトからこの2人は知り合いだと確信。
すると諸星さんは「何だと?!」と目を大きくして驚いている。
何を聞いたんだろう??
「…警視庁からの通達だ。お前らをサポートしろってよ」
うはぁーっと、今までのグッタリ様が嘘のように、
みんな笑顔になる。(…リュウは別だけどね)
「ほーらっ!分かったらさっさと捜査資料見せろよっ!」
「ふざけるなっ!調べたかったらお前達で勝手にやれ!!」
諸星さんは怒って出て行ってしまった。
あとから来た刑事さんも困った顔して出て行った。
「…で、どうする??」
数馬が1番に口を開いた(珍しい)。
「…よーし!みんなで力を合わせて事件を解決しよう!」
『うん、それがいいよ!』
キュウが立ち上がってかなりの笑顔で叫ぶ。
アタシもそれがいいと思い、キュウに大賛成っ!!
…でもアタシとキュウ以外はまたもやグッタリ。
「時間の無駄遣いだ」
「あーあ」
「ほんっと、付き合ってらんない」
みんながのそのそと立ち上がって次々と部屋を出て行く。
リュウが部屋を出て行く時、少し目が合った。
ちょっと困ったような微笑みをして、ポケットに突っ込んでいる手を出し、
腰のあたりで小さく手を振って出て行っちゃった。
「ねぇ、何で?何でみんな一緒に調べないの?!」
「キュウ、梓紗。僕達は競争ゲームの中にいるんだよ」
「団先生の後継者は1人ってことだろ…?」
『わかってるよ、そんなの』
「だったらなおさらだ。Qクラスは仲良しグループなんかじゃない。ライバル同士なんだよ」
数馬は冷たくそう言い放ち出て行ってしまった。
そんなに冷たく言わなくたっていいじゃん…。
「自信ねぇならあの部屋で留守番でもやってろっ!」
キンタもメグも出て行ってしまった。
「…ねぇみんな!ライバルだけど…仲間でしょ?」
すると、出て行ったはずのメグが戻ってきて言った。
「梓紗の気持ちはいくらか分かるよ?でもキュウ、はっきり言ってウザい」
はっきり言ったねー。
アタシの気持ちはいくらか分かるってのも…ホントかな…??
実は、アタシもウザかったりしない?!
「そこまで言うなら梓紗と頑張るよっ!僕だってやる時はやるんだから!!
ね、梓紗、頑張ろうっ!!!」
『キュウ、無理しなくて…いいよ、悲しくなる」
「…うん」
次の日、キュウとメグが学校に編入して調査するって言うからアタシもそうすることにした。
岡田さんが通っていた高校の制服を着て調査っていうのは、
ちょっと慣れないのもあって恥ずかしい…。
「…ねぇ、昨日1人で調べるって言わなかったっけ??」
「1人じゃない!梓紗も一緒だよっ、メグ1人じゃ心細いかなーっと思って…」
「っていうか、ビビってんのキュウの方じゃん。私、梓紗と調べるからっ」
『え!?』
そう言ってメグはアタシの手を引っ張った。
キュウは後ろから早歩きでついてくる。
「ねぇ!僕達中学生だよ?!バレたらヤバいよ!」
「嫌なら帰んなさいよ。被害者は高校生だし、探るなら学校の友達が1番なのよっ」
メグは人差し指を振りながら話す。
そしたら、何かに気づいたのか向こうに行ってしまった。
すると後ろから「ねぇねぇあの子可愛くない?」との女子の先輩の声。
キュウがそれに反応する。
「隣の子誰?もしかして彼女?」
「えー嘘。でも可愛いし、いるかもねーっ!」
キュウはキョロキョロを繰り返す。
「あははは、こっち向いたっ」
「彼女の子も結構可愛くない?」
キョロキョロを繰り返しているうちにメグがいないことに気付く。
『キュウ、可愛いって褒められて嬉しがるのは分かるよ?』
「え、別に嬉しがってないよ」
『アタシをキュウの彼女にするのは、やめてほしいよね…」
「何それ!?」
「梓紗っ、こっち!」
メグがアタシを呼ぶ。
メグに近寄るとそこには体全身が映る大きな鏡。
「1度着てみたかったんだよねー、この学校の制服っ♪」
『メグって、ホント何着ても似合うよねっー、ね、キュウっ?』
「何で僕に言うの?ていうかホントにやる気あんの!?」
無事に編入も済み、放課後廊下を歩いていると、ある教室にたどり着いた。
『文芸部』と書いてある。
この部室はメグの話によると、殺された岡田さんが所属していたサークルらしい。
「失礼しまーっす!あの、岡田律子さんと親しかった人どなたはいませんか?」
メグは躊躇なく入って行き、いきなり聞き込み開始。
「いきなりかよ」
『メグ、いきなりそれはないっしょ』
「お前ら…誰だ?」
机に向かっていた男の人がこっちを見た。
おかっぱな頭で、ちょっと不気味な感じ。…ちょっとじゃないかも。
「…転校してきたばっかりの1年生でぇ…す」
「転校生が何で岡田のコト嗅ぎまわってる?」
『えっと…それは』
返事に困ったアタシとメグは両端からキュウの半袖の裾を掴んで、
前へ前へと押し出す(ごめんね、キュウ…)。
「あ、あの僕達文芸部に入部したいなーと思ってたんですけど、クラスの連中にリサーチしたら
部員が1人、1週間前に殺されたって言うじゃないですか。
おまけに密室殺人だって聞いて、その、ミステリー好きな僕らとしては、こう…
血が…うずいちゃって…」
キュウの必死の弁解。
「調べたって無駄だ。岡田は呪われたんだ」
『へ?呪われた?』
笑いそうになったアタシをキュウが腕を縦に振り、風の音で制す。
「ああ」
すると男の人は額に入った写真に近づいて行った。
額に入っているのはちょっとウェーブがかったセミロングの髪に、
賞状を持って満面の笑みで映っている綺麗な人。
「…西村静香の亡霊にね」
それを聞いてメグも笑いそうになってた。アタシだって堪えるの大変だったけど。
そしたらキュウがアタシの時と同じ動きでメグの笑いを制す。
『西村静香さんって…誰ですか?』
アタシは男の人に聞いた。
「文芸部のメンバーよ」
聞こえたのは明らかに女の人の声。
気がつかなかった…そこに人が寝てたなんて。
かなりダルそうに起き上がる姿…少し不気味…。
「1ヶ月前に亡くなったの」
2人の説明をまとめると、西村静香さんは1ヶ月前に転落事故で亡くなった、
この学校の生徒さんらしい。
警察の話によると、岡田さんの死体現場に西村さんのノートが落ちていた。
そのノートにはある話が描かれており、
【事故に見せかけて殺された少女の亡霊が真犯人である仲間達を次々復讐していく】
という内容だったみたい。
「亡くなった静香の呪いよ」
「…なんかヤバいよ、この2人」
「うん…アタシもそう思う…」
アタシとメグは小さい声で話した。キュウには睨まれちゃったけどね…。
「実はその物語には続きがあるらしいの。警察の話じゃあ、あと2人殺されるそうよ
同じ文芸部の仲間が…」
「…あの、その2人って…」
メグは言いかけたその時、突然部室のドアが開いた。
「2人とも、いくらオカルト好きだからって趣味悪いわよ」
入ってきたのは、2人の女の人。
「私達はただこの子達に事実を伝えてるだけよ」
「それじゃ、律子が静香を殺したみたいじゃないっ!」
「…佐々木まどか、何そんなにビクビクしてんだよ」
男の人が言うと、佐々木さんは黙ってしまった。
「何か身に覚えでもあるのかしら?」
「っ、あんたねぇ!!」
佐々木さんは手を挙げたが、女の人の腕で止められてる。
2人は腕を押し合い、睨みあっている。
すると、そこに顧問らしき女の人が入ってきた。
その人は気づいたように話しかける。
「あなた達、何してるの?」
それを聞いた佐々木さんと一緒に部屋に入ってきた女の子は出て行ってしまった。
「芳村さん?何かあったの?」
芳村さん…て言う人だったのか。芳村さんも何も答えず、男の人と出て行ってしまった。
「…貴方達は??」
「入部希望の1年生です…もしかして顧問の先生ですか?」
「…そうだけど」
顧問の先生は戸惑いながら答えた。
「あの、岡田律子さんが西村静香さんの亡霊に呪い殺されたって、どういう意味ですか?」
「え?」
『今、芳村さんたちに聞いてたんですけど…』
「文芸部で何かトラブルでもあったんですか?」
「どうしてそんなこと聞くの」
「純粋な好奇心です」
メグは淡々と先生を交渉していく。
メグの目に迷いはないように見えた。
「私、顧問っていっても名ばかりだし、聖とのプライベートには立ち入らないようにしてるの。
それに呪いだなんて…、」
女の人は部室を出ようと思ったのか、ドアの近くへ歩み寄る。
それを、キュウは止めた。
「ちょっと待って下さい!」
女の人は立ち止まってキュウの方へ振り返る。
「入部する前に内部事情を知っておきたいっていうか…、後々、立ち回り易いっていうか、
その…先輩達には絶対内緒にしておきます!何があったか教えてください、お願いします!」
キュウが深々と頭を下げる。
それに押され、アタシとメグも頭を下げる。
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*第1話*~実践開始!戦慄の死の予言!死体消滅の謎を追え ①
久しぶりの休み。
休みっていってもどうせ暇だし、と思って
近くのレンタルビデオ屋に来てる。
よく見ると、見慣れた顔が…キュウだ。
キュウは『18歳未満立入禁止』のビデオコーナーを何気に覗いている。
はぁ…キュウがこんな奴だとは思わなかったよ。
『お客さん、貴方18歳未満ですよね?』
アタシはそう言ってキュウの肩を叩いた。
「うっわ、すみません、違うんで…梓紗?!」
「キュウもそんな人だったなんて…普通にショック…」
キュウは場の状況を理解したようで、手を左右に振り、
かなり必死の否定を始めた。
「違う、違う!僕、見てないからっ!」
『キュウがそういうのに興味あるとはねぇ~?』
「いやっ、だからっ、その!」
はぁ…と少しため息をついたふりして。
ホントはちょっとからかってるだけ。
『大丈夫、大丈夫。みんなには言わないからっ!』
「いや、別言う言わないの問題じゃなくて、違うって!」
すると、ジーパンの後ろポケットに入れている携帯が鳴る。
キュウもごそごそとポケットから携帯を取り出す。
「秋葉原万世橋前に金髪に黒サングラスの女がいる」
『尾行して証拠を押さえろ』
「え、今から?!」
キュウは驚いていたけど、アタシは携帯をしまい走り出す。
ちょうど暇だったし、いい運動になるっ。
キュウも大急ぎでアタシを追いかけてくる。
『大丈夫だって、そんなに急がなくても。
アタシの方が早く現場に着いたってメグには何にも言わないからっ♪』
「梓紗、もうその話やめてって!」
キュウもそろそろからかわれてることに気付いてる(つまんないの)。
秋葉原の街を全力で走ってるのなんて、アタシらくらいじゃない?
でも、これが楽しくてやめらんない。
走っていると向こうから男の人がきた。
アタシは間一髪のトコでよけたけど、すぐに気付いた。
『キンタ?!』
「キュウ、梓紗!なんでお前ら一緒なんだ?まさかデートとか言わねぇよな?」
『ばっか、何言ってんのキンタ!偶然会っただけ!』
「これって、実習?!それとも本番?!」
「なんだよ、もしかしてビビってんのか?」
「そんなんじゃないよ!」
『キュウ、そんなビビってたら証拠押さえられないよ?笑』
「無理しねぇで俺の後ろにでも隠れてろ!」
アタシ達はそのキンタの一声でまた走り出した。
キンタは私達、探偵学園のQクラスの中の唯一の大人。
私達の保護者であり、お兄さんであり…そんな存在。
キンタ、速い…。
キュウもいつの間にか足速くなってるし。
追いつけないよーっ!
アタシが着いた頃にはもう2人は万世橋に着いてた。
橋の影に隠れてる。そんなんで見つからないもんかな?
『速いよ、2人とも』
「梓紗が遅いんでしょっ、僕をからかった罰!」
「ああ?からかった?何の話だ?」
「ううん、なんでもない!」
そう言ってアタシは2人の間に入る。
そして、アタシも金髪サングラスの女の人を見た。
「よーし、他の連中まだみてぇだなぁ」
「そこのデコボコっ!目立ちすぎっ!!」
後ろから声がする。
声は知ってるけど、足元に憶えがない。
ゆっくり顔をあげると、
『メグッ!なにその格好ッ!!』
「お前、そんな格好してたら目立つだろっ、隠れろ!」
キンタはメグの腕を引っ張りメグを隠れさす。
「メッメッメッメグッ!どうしたのそこカッコ」
「お姉ちゃんの店の手伝い。私目当ての客が多くてさ~」
『うっわー、やっぱメグすごいね!』
「メグ、お前も呑気にアイスなんか食ってねぇで見ろよっ!」
メグはアタシにアイスを「ちょっとあげる」と言って持たせ、
後ろを振り返る。
アタシは「やったw」と一口パクリ。
うーんっ、冷たくておいしい。
キュウの視線が痛い
「何?食べたいの?」
「いやっ、別に欲しくないよっ!」
「…どうでもいいけど、行っちゃうよ??」
「「『あっ』」」
アタシはメグに「ありがとっ」と言ってアイスを返して走り出した。
メグは「うん」と笑顔で返してくれた。
Qクラスはアタシも入れて全員で6人。
その中で女の子はアタシとメグだけ。
だからメグはアタシにとって唯一の親友(メグはどう思ってるか分かんないけど…)。
何気にキュウと両想いなんだけど、お互い鈍感なんだよね。
メグは「瞬間記憶能力」っていう1度見たものは忘れないっていう能力を持っていて、
その能力のおかげで何度助かったことか…。
女の人はデパートに続くエスカレーターに乗る。
「俺向こう行くからっ」
キンタはデパートの反対側に走って行った。
アタシ達3人は少し間を置いてからエスカレーターに乗って追いかける。
…?今エスカレーターの外にリュウがいたような気がしたんだけど…。
きのせいかっ、気にしない気にしないっ♪
『・・・あれ?ここにしか通じてないはず…』
そこに女の人はいなかった。
キュウもメグもキョロキョロしてる。
向こう側から来たキンタも同じだ。
「梓紗っ、ちょっと来て」
『メグ?!』
メグはアタシを連れて人目のつかないトコでしゃべりだす。
「あの人、長い黒髪で黒いスーツの人」
『あの人がどうした?』
「あの人、さっきの金髪のサングラスの女よ」
『変装したってこと!?』
「うん、だけどマニキュアは変えられなかったみたいね」
『マヂで?!メグありがとう!行こっ♪』
アタシとメグはキュウとキンタを置いて店を出て女の人を追う。
木の影に隠れながら尾行を続ける。
「おぉっ」
『何?』
「当たっちゃったぁw」
『マヂで?!』
アタシはメグの食べていたアイスが当たったのにビックリして、
それ程でもないが、少し大きな声を出してしまった。
その声が聞こえたのか、女の人は振り向く。
アタシとメグはさっと木の影に隠れる。
…良かった、気付かれなかったみたい。
女の人を追い続けてると、細く狭い路地に入った。
道は2つに分かれている。女の人はどちらかに進んだが見当たらない。
「どっち行こうか」
『じゃぁ…アタシ右行くよっ』
「分かった、じゃぁ私は左ね。危なかったら逃げてね」
『メグも気をつけて』
手を振って別れた。アタシは全力疾走で女の人探す。
しばらく走っていると広い道路に出た。見失っちゃったかな。
少し辺りを見回すと、そこにはリュウの姿が。
リュウの前には女の人が。やっぱリュウすごい。
でも、メグがいない。見失っちゃったか、キュウ達のトコに戻ったか?
『リュウっ』
「梓紗」
リュウはこっちを振り向き。少し笑ってみせる。
でもリュウは他のQクラスのメンバーに笑顔を見せてるトコを見たことない。
アタシにだってホント滅多にしか笑ってくれないけどね。
「梓紗、行くぞ」
『うんっ』
リュウは頭がよくて、推理力はずば抜けて性格。
顔もカッコいいし、クールだけど優しい一面だってある。
今だってキュウ達が見つけられやすいように追跡マーカーを落としてる。
女の人はよく分からないビルの屋上でカバンを開いた。
中には驚く程たくさんの札束。リュウはそれを見てしっかり証拠をとる。
その時、キュウ、メグ、キンタ、数馬が走ってくる。
メグも数馬もキュウ達と合流できたんだ。
「リュウ、助かったよ追跡マーカー!」
「別に、授業で習ったことを実践しただけだ」
キュウは笑ってお礼を言ってるけど、リュウは無表情で女の人を見る。
そこがいいのかもしれないけどね。
『ねぇ、メグ。あの後どうしたの??』
「笑気ガス吸わされたし、当たり棒取られちゃったし、梓紗は大丈夫だった?」
『あ、うん、大丈夫だったっ。何で数馬はそんなローテンションなの?』
「何かね、[こんな初歩的なものに壊されるなんて…]ってカメラ壊されたらしいよーっ」
「…メグ、うるさいよ…」
数馬はパソコンとかのデジタル関係が得意ですごい技術を持ってる。
本人はデジタル関係が得意だから、アタシらに「アナログ」って言ってくるけどね。
でも数馬のおかげで助かってるコトもあるし、そこは許しとこう。
「女は?」
「カバンの中に札束が入ってた。証拠は押さえたよ」
「よしっ!じゃぁついでにあの女も取り押さえよう」
リュウはパッと前に出てキンタを止める。
「僕たちのミッションはもう終わりだ」
「教科書通りにやるだけじゃつまんねぇだろっ」
リュウが止めたのにも関わらずキンタはキュウに持っていた内輪を預けて飛び出す。
メグと数馬は「はぁ…」と呆れた様子でため息をついてる。
アタシも出ていかない方がいいと思うけどなぁ…。
「さあ、それを大人しくこっちに渡してもらおうか」
キンタが女の人に向かって言うと、しばらく経ってから女の人は走り出す。
それを止めようとキンタはカバンを掴むが足で落とされる。
キンタは一瞬驚いたがすぐに態勢を立て直し集中する。
この人強い。キンタとこんなまでに戦ってる。
キンタが抑えられた!
女の人がスカートをめくったかと思うとそこには小さなナイフが。
「うそぉ?!」
キンタの驚きをよそに女の人はキンタを刺す。
『あああっ!!!!』
キンタは苦しがって地面に寝転ぶ。突然過ぎて声が出ない私達。
「がはっ……うう…ってアレ?」
キンタが押さえていた胸には傷も血も刺された跡もない。
私達は驚いて女の人を見る。
するとナイフを自分の胸に刺している。…え??
女の人の口が開く。
「遠山!思いこみで行動するなといつも言ってるだろう」
「その声…七海先生?!」
女の人は二ヤリと笑い眼鏡をはずすと、首元に手を当て大胆にマスクを剝ぎとった。
そこには見慣れた七海先生の顔があらわれた。
「「「「「『ええっーー?!』」」」」」
七海先生は団先生の右腕で、いつも私達に色々教えてくれる。
探偵としての知識、技術、体術、色々。
「ったくお前ら!それでも団校長の後継者候補か!
俺が需要で教えた備考術ろくに実践できてないじゃないか!
…犯人は見落とす?」
内輪で仰いでいたキュウは気づいたように目をそらす。
「油断して、返り討ちにあう?」メグはふいと横を見る。
「自分の能力を過信する?」数馬は下を向き眼鏡をあげる。
「大声は出すし、結局は人頼り?」アタシは組んでいた右腕を動かしあごに指を置く。
「最後は敵を甘く見て命を落としそうになる…か」キンタは黙って七海先生を見る。
「状況を冷静に判断して最善の行動をとれたのは天草だけだ!」
みんなの視線がリュウへ。
「ったく、どうした?…あ、俺の変装術にそんなに驚いたか。
やる時は徹底的にやらないとな!例えばこーんな感じ??」
そう言って七海先生は後ろを向き、スカートをめくり上げた。
いいよ、別にそこまでやらなくて。
そしたらリュウがさりげなくアタシの前に立つ。その優しさにちょっと笑えた。
『リュウ、ありがと』
「…別に」
リュウは素気ない風に見えるけど、ホントはすごく優しいの知ってる。
こんなコトできるのは、当たり前だけど優しさがないとできないでしょ??
「あのぉ…そんな情けない恰好で…自慢されても…」
「…っていうか、ただの変態だろ」
「私の当たり棒!返してよ」
キュウ、数馬、メグは順に不満をぶつける。
少し沈黙が流れると七海先生の携帯が鳴る。
「はい、七海・・・団先生?!」
団先生って聞くだけでアタシ達の背筋は伸びる。
それだけ尊敬してるってこと。
「Qクラスのメンバーをですか?…分かりました」
電話を切ると「はぁ…」と深いため息をつき、振り返って、
「今すぐここへ行け」と紙をつきだす。
その紙には「ダーツバーLOOP」と書いてある。
私達は一見怪しげそうなその店に向かった。
突然ダーツバーに行けだなんて、急にも程がある。
七海先生に言われてきた場所はやっぱり正真正銘のダーツバー。
キュウはみんなより好奇心旺盛なのか部屋をドンドン入っていく。
店の女の人が「左横の扉です。非常ボタンを押してください」と説明してくれた。
少し狭い通路を進むと小さな扉があった。
キュウは開けれなくて困っている。リュウがそっとボタンを押すと、
キュウを先頭にみんな入っていく。
『いって』
「何ぶつけてんだ、バカ」
扉がちっちゃくて頭をぶつけた。後ろを歩いていたキンタに内輪で叩かれる。
キンタにバカ言われたら、終わりだって思ってたのに…。
キュウが部屋の電気をつける。
『おっぉーっ』
それぞれみんなが感嘆の声を漏らす。
その部屋はダーツバーのどこにこんな部屋隠してるんだってくらい広くて。
大きな本棚にはたくさんの本。
椅子やソファーや書斎。すっごく素敵な部屋だった。
「ここが団探偵事務所のミッションルームか」
キュウが机に座りながら嬉しそうに言う。
「すっごぉーいっ!家出したらココ泊っちゃおっ♪」
メグはソファーに座りながら辺りを見渡す。
リュウはひたすら本をめくってる。
アタシは色々探検、探検っ♪
おおーっと言いながらキンタは椅子に腰掛ける。
「みんな!」
数馬は叫んだ。書斎の上にあるDVDを見つけたみたい。
私達はすぐに部屋を暗くし、すぐに再生した。
映ったのは団先生。座っていた私達は一斉に立つ。
「御機嫌よう。今、君達がいるその部屋は、私がまだ駆け出しのころ事務所として
使用していた場所、つまり…私の原点だ。今後、その部屋は君達の教室だと思ってくれ。
今回、その部屋を提供したのは他でもない。君達にある事件を調査してもらうためだ。
1週間前、秋葉原の雑居ビルで1人の女子高生の死体が発見された。
被害者の名前は岡田律子。3年生だ」
資料映像として、殺害現場と死体が映し出された。
本物だった。今まで人間がこんな顔して死んでるの、見たことない。
何か、すごく怖かった。
「死因は刺殺による出血死。警察は殺人事件として調査を続けたが、すぐに行き詰った。
殺害現場となった部屋の中に鍵が残され、完全な密室となっていたからだ。
警察からの調査協力の要請を受け、今回私は思い切って君達を派遣することにした。
それぞれに力を発揮して、事件を解決に導いてもらいたい…諸君らの健闘をを祈る」
…ここでDVDは終わった。
「…密室殺人……」
キュウの「殺人」という言葉がすごく怖かった。
初めての調査が殺害事件。突然すぎると思ったけど、やるしかない。
私達はすぐにでも殺害現場へ向かった。
久しぶりの休み。
休みっていってもどうせ暇だし、と思って
近くのレンタルビデオ屋に来てる。
よく見ると、見慣れた顔が…キュウだ。
キュウは『18歳未満立入禁止』のビデオコーナーを何気に覗いている。
はぁ…キュウがこんな奴だとは思わなかったよ。
『お客さん、貴方18歳未満ですよね?』
アタシはそう言ってキュウの肩を叩いた。
「うっわ、すみません、違うんで…梓紗?!」
「キュウもそんな人だったなんて…普通にショック…」
キュウは場の状況を理解したようで、手を左右に振り、
かなり必死の否定を始めた。
「違う、違う!僕、見てないからっ!」
『キュウがそういうのに興味あるとはねぇ~?』
「いやっ、だからっ、その!」
はぁ…と少しため息をついたふりして。
ホントはちょっとからかってるだけ。
『大丈夫、大丈夫。みんなには言わないからっ!』
「いや、別言う言わないの問題じゃなくて、違うって!」
すると、ジーパンの後ろポケットに入れている携帯が鳴る。
キュウもごそごそとポケットから携帯を取り出す。
「秋葉原万世橋前に金髪に黒サングラスの女がいる」
『尾行して証拠を押さえろ』
「え、今から?!」
キュウは驚いていたけど、アタシは携帯をしまい走り出す。
ちょうど暇だったし、いい運動になるっ。
キュウも大急ぎでアタシを追いかけてくる。
『大丈夫だって、そんなに急がなくても。
アタシの方が早く現場に着いたってメグには何にも言わないからっ♪』
「梓紗、もうその話やめてって!」
キュウもそろそろからかわれてることに気付いてる(つまんないの)。
秋葉原の街を全力で走ってるのなんて、アタシらくらいじゃない?
でも、これが楽しくてやめらんない。
走っていると向こうから男の人がきた。
アタシは間一髪のトコでよけたけど、すぐに気付いた。
『キンタ?!』
「キュウ、梓紗!なんでお前ら一緒なんだ?まさかデートとか言わねぇよな?」
『ばっか、何言ってんのキンタ!偶然会っただけ!』
「これって、実習?!それとも本番?!」
「なんだよ、もしかしてビビってんのか?」
「そんなんじゃないよ!」
『キュウ、そんなビビってたら証拠押さえられないよ?笑』
「無理しねぇで俺の後ろにでも隠れてろ!」
アタシ達はそのキンタの一声でまた走り出した。
キンタは私達、探偵学園のQクラスの中の唯一の大人。
私達の保護者であり、お兄さんであり…そんな存在。
キンタ、速い…。
キュウもいつの間にか足速くなってるし。
追いつけないよーっ!
アタシが着いた頃にはもう2人は万世橋に着いてた。
橋の影に隠れてる。そんなんで見つからないもんかな?
『速いよ、2人とも』
「梓紗が遅いんでしょっ、僕をからかった罰!」
「ああ?からかった?何の話だ?」
「ううん、なんでもない!」
そう言ってアタシは2人の間に入る。
そして、アタシも金髪サングラスの女の人を見た。
「よーし、他の連中まだみてぇだなぁ」
「そこのデコボコっ!目立ちすぎっ!!」
後ろから声がする。
声は知ってるけど、足元に憶えがない。
ゆっくり顔をあげると、
『メグッ!なにその格好ッ!!』
「お前、そんな格好してたら目立つだろっ、隠れろ!」
キンタはメグの腕を引っ張りメグを隠れさす。
「メッメッメッメグッ!どうしたのそこカッコ」
「お姉ちゃんの店の手伝い。私目当ての客が多くてさ~」
『うっわー、やっぱメグすごいね!』
「メグ、お前も呑気にアイスなんか食ってねぇで見ろよっ!」
メグはアタシにアイスを「ちょっとあげる」と言って持たせ、
後ろを振り返る。
アタシは「やったw」と一口パクリ。
うーんっ、冷たくておいしい。
キュウの視線が痛い
「何?食べたいの?」
「いやっ、別に欲しくないよっ!」
「…どうでもいいけど、行っちゃうよ??」
「「『あっ』」」
アタシはメグに「ありがとっ」と言ってアイスを返して走り出した。
メグは「うん」と笑顔で返してくれた。
Qクラスはアタシも入れて全員で6人。
その中で女の子はアタシとメグだけ。
だからメグはアタシにとって唯一の親友(メグはどう思ってるか分かんないけど…)。
何気にキュウと両想いなんだけど、お互い鈍感なんだよね。
メグは「瞬間記憶能力」っていう1度見たものは忘れないっていう能力を持っていて、
その能力のおかげで何度助かったことか…。
女の人はデパートに続くエスカレーターに乗る。
「俺向こう行くからっ」
キンタはデパートの反対側に走って行った。
アタシ達3人は少し間を置いてからエスカレーターに乗って追いかける。
…?今エスカレーターの外にリュウがいたような気がしたんだけど…。
きのせいかっ、気にしない気にしないっ♪
『・・・あれ?ここにしか通じてないはず…』
そこに女の人はいなかった。
キュウもメグもキョロキョロしてる。
向こう側から来たキンタも同じだ。
「梓紗っ、ちょっと来て」
『メグ?!』
メグはアタシを連れて人目のつかないトコでしゃべりだす。
「あの人、長い黒髪で黒いスーツの人」
『あの人がどうした?』
「あの人、さっきの金髪のサングラスの女よ」
『変装したってこと!?』
「うん、だけどマニキュアは変えられなかったみたいね」
『マヂで?!メグありがとう!行こっ♪』
アタシとメグはキュウとキンタを置いて店を出て女の人を追う。
木の影に隠れながら尾行を続ける。
「おぉっ」
『何?』
「当たっちゃったぁw」
『マヂで?!』
アタシはメグの食べていたアイスが当たったのにビックリして、
それ程でもないが、少し大きな声を出してしまった。
その声が聞こえたのか、女の人は振り向く。
アタシとメグはさっと木の影に隠れる。
…良かった、気付かれなかったみたい。
女の人を追い続けてると、細く狭い路地に入った。
道は2つに分かれている。女の人はどちらかに進んだが見当たらない。
「どっち行こうか」
『じゃぁ…アタシ右行くよっ』
「分かった、じゃぁ私は左ね。危なかったら逃げてね」
『メグも気をつけて』
手を振って別れた。アタシは全力疾走で女の人探す。
しばらく走っていると広い道路に出た。見失っちゃったかな。
少し辺りを見回すと、そこにはリュウの姿が。
リュウの前には女の人が。やっぱリュウすごい。
でも、メグがいない。見失っちゃったか、キュウ達のトコに戻ったか?
『リュウっ』
「梓紗」
リュウはこっちを振り向き。少し笑ってみせる。
でもリュウは他のQクラスのメンバーに笑顔を見せてるトコを見たことない。
アタシにだってホント滅多にしか笑ってくれないけどね。
「梓紗、行くぞ」
『うんっ』
リュウは頭がよくて、推理力はずば抜けて性格。
顔もカッコいいし、クールだけど優しい一面だってある。
今だってキュウ達が見つけられやすいように追跡マーカーを落としてる。
女の人はよく分からないビルの屋上でカバンを開いた。
中には驚く程たくさんの札束。リュウはそれを見てしっかり証拠をとる。
その時、キュウ、メグ、キンタ、数馬が走ってくる。
メグも数馬もキュウ達と合流できたんだ。
「リュウ、助かったよ追跡マーカー!」
「別に、授業で習ったことを実践しただけだ」
キュウは笑ってお礼を言ってるけど、リュウは無表情で女の人を見る。
そこがいいのかもしれないけどね。
『ねぇ、メグ。あの後どうしたの??』
「笑気ガス吸わされたし、当たり棒取られちゃったし、梓紗は大丈夫だった?」
『あ、うん、大丈夫だったっ。何で数馬はそんなローテンションなの?』
「何かね、[こんな初歩的なものに壊されるなんて…]ってカメラ壊されたらしいよーっ」
「…メグ、うるさいよ…」
数馬はパソコンとかのデジタル関係が得意ですごい技術を持ってる。
本人はデジタル関係が得意だから、アタシらに「アナログ」って言ってくるけどね。
でも数馬のおかげで助かってるコトもあるし、そこは許しとこう。
「女は?」
「カバンの中に札束が入ってた。証拠は押さえたよ」
「よしっ!じゃぁついでにあの女も取り押さえよう」
リュウはパッと前に出てキンタを止める。
「僕たちのミッションはもう終わりだ」
「教科書通りにやるだけじゃつまんねぇだろっ」
リュウが止めたのにも関わらずキンタはキュウに持っていた内輪を預けて飛び出す。
メグと数馬は「はぁ…」と呆れた様子でため息をついてる。
アタシも出ていかない方がいいと思うけどなぁ…。
「さあ、それを大人しくこっちに渡してもらおうか」
キンタが女の人に向かって言うと、しばらく経ってから女の人は走り出す。
それを止めようとキンタはカバンを掴むが足で落とされる。
キンタは一瞬驚いたがすぐに態勢を立て直し集中する。
この人強い。キンタとこんなまでに戦ってる。
キンタが抑えられた!
女の人がスカートをめくったかと思うとそこには小さなナイフが。
「うそぉ?!」
キンタの驚きをよそに女の人はキンタを刺す。
『あああっ!!!!』
キンタは苦しがって地面に寝転ぶ。突然過ぎて声が出ない私達。
「がはっ……うう…ってアレ?」
キンタが押さえていた胸には傷も血も刺された跡もない。
私達は驚いて女の人を見る。
するとナイフを自分の胸に刺している。…え??
女の人の口が開く。
「遠山!思いこみで行動するなといつも言ってるだろう」
「その声…七海先生?!」
女の人は二ヤリと笑い眼鏡をはずすと、首元に手を当て大胆にマスクを剝ぎとった。
そこには見慣れた七海先生の顔があらわれた。
「「「「「『ええっーー?!』」」」」」
七海先生は団先生の右腕で、いつも私達に色々教えてくれる。
探偵としての知識、技術、体術、色々。
「ったくお前ら!それでも団校長の後継者候補か!
俺が需要で教えた備考術ろくに実践できてないじゃないか!
…犯人は見落とす?」
内輪で仰いでいたキュウは気づいたように目をそらす。
「油断して、返り討ちにあう?」メグはふいと横を見る。
「自分の能力を過信する?」数馬は下を向き眼鏡をあげる。
「大声は出すし、結局は人頼り?」アタシは組んでいた右腕を動かしあごに指を置く。
「最後は敵を甘く見て命を落としそうになる…か」キンタは黙って七海先生を見る。
「状況を冷静に判断して最善の行動をとれたのは天草だけだ!」
みんなの視線がリュウへ。
「ったく、どうした?…あ、俺の変装術にそんなに驚いたか。
やる時は徹底的にやらないとな!例えばこーんな感じ??」
そう言って七海先生は後ろを向き、スカートをめくり上げた。
いいよ、別にそこまでやらなくて。
そしたらリュウがさりげなくアタシの前に立つ。その優しさにちょっと笑えた。
『リュウ、ありがと』
「…別に」
リュウは素気ない風に見えるけど、ホントはすごく優しいの知ってる。
こんなコトできるのは、当たり前だけど優しさがないとできないでしょ??
「あのぉ…そんな情けない恰好で…自慢されても…」
「…っていうか、ただの変態だろ」
「私の当たり棒!返してよ」
キュウ、数馬、メグは順に不満をぶつける。
少し沈黙が流れると七海先生の携帯が鳴る。
「はい、七海・・・団先生?!」
団先生って聞くだけでアタシ達の背筋は伸びる。
それだけ尊敬してるってこと。
「Qクラスのメンバーをですか?…分かりました」
電話を切ると「はぁ…」と深いため息をつき、振り返って、
「今すぐここへ行け」と紙をつきだす。
その紙には「ダーツバーLOOP」と書いてある。
私達は一見怪しげそうなその店に向かった。
突然ダーツバーに行けだなんて、急にも程がある。
七海先生に言われてきた場所はやっぱり正真正銘のダーツバー。
キュウはみんなより好奇心旺盛なのか部屋をドンドン入っていく。
店の女の人が「左横の扉です。非常ボタンを押してください」と説明してくれた。
少し狭い通路を進むと小さな扉があった。
キュウは開けれなくて困っている。リュウがそっとボタンを押すと、
キュウを先頭にみんな入っていく。
『いって』
「何ぶつけてんだ、バカ」
扉がちっちゃくて頭をぶつけた。後ろを歩いていたキンタに内輪で叩かれる。
キンタにバカ言われたら、終わりだって思ってたのに…。
キュウが部屋の電気をつける。
『おっぉーっ』
それぞれみんなが感嘆の声を漏らす。
その部屋はダーツバーのどこにこんな部屋隠してるんだってくらい広くて。
大きな本棚にはたくさんの本。
椅子やソファーや書斎。すっごく素敵な部屋だった。
「ここが団探偵事務所のミッションルームか」
キュウが机に座りながら嬉しそうに言う。
「すっごぉーいっ!家出したらココ泊っちゃおっ♪」
メグはソファーに座りながら辺りを見渡す。
リュウはひたすら本をめくってる。
アタシは色々探検、探検っ♪
おおーっと言いながらキンタは椅子に腰掛ける。
「みんな!」
数馬は叫んだ。書斎の上にあるDVDを見つけたみたい。
私達はすぐに部屋を暗くし、すぐに再生した。
映ったのは団先生。座っていた私達は一斉に立つ。
「御機嫌よう。今、君達がいるその部屋は、私がまだ駆け出しのころ事務所として
使用していた場所、つまり…私の原点だ。今後、その部屋は君達の教室だと思ってくれ。
今回、その部屋を提供したのは他でもない。君達にある事件を調査してもらうためだ。
1週間前、秋葉原の雑居ビルで1人の女子高生の死体が発見された。
被害者の名前は岡田律子。3年生だ」
資料映像として、殺害現場と死体が映し出された。
本物だった。今まで人間がこんな顔して死んでるの、見たことない。
何か、すごく怖かった。
「死因は刺殺による出血死。警察は殺人事件として調査を続けたが、すぐに行き詰った。
殺害現場となった部屋の中に鍵が残され、完全な密室となっていたからだ。
警察からの調査協力の要請を受け、今回私は思い切って君達を派遣することにした。
それぞれに力を発揮して、事件を解決に導いてもらいたい…諸君らの健闘をを祈る」
…ここでDVDは終わった。
「…密室殺人……」
キュウの「殺人」という言葉がすごく怖かった。
初めての調査が殺害事件。突然すぎると思ったけど、やるしかない。
私達はすぐにでも殺害現場へ向かった。
*第5話*~ネットの恋! すれ違いの悲劇~ ③
アタシ達は再び亀田くんが殺された現場へと向かった。
何か、何かアリバイを崩す何かは無いか…。
殺されていた場所を見ると、鮮明に残像が浮かび上がる。
血にまみれた亀田くんの頭、そしてグッタリとした身体…
「何故だ…何故犯人はわざわざライトを当ててまで、
ここでの撮影にこだわったんだろう…」
キュウは少し歩いたかと思うと、何か気になったのかしゃがみ込んだ。
『キュウ?』
「これは…」
何かを手に取って、まじまじを見ている。
アタシの目には何かの欠片のように見える。
「ぁ…!!!」
キュウはポツリと言って、パッと立ち上がった。
そして、手に持つ欠片と窓の外を見比べていた。
何か…分かったんだろう。
「そうか、そーいうことだったんだ!!」
「何か分かったのか?キュウ」
「犯人は亀田くんを2度殺したんだよ」
『え?』
「亀田くんを殴ったガラス瓶、あれは偽物だったんだ」
「…どーいうこと?」
「ほら、よく…アクション映画かなんかで、頭にガラス瓶を叩きつけて
気絶させるシーンがあるじゃん。
アレに使用されるガラス瓶は、飴ガラスっていって、
実は、ガラスよりずっと脆い素材でできた偽物なんだ」
「じゃぁー、亀田を殴ってるシーンに使ってたのは、
撮影用のガラス瓶だったてのか」
「でも…私確かに彼の頭から血が出るのを見たわ、ね、梓紗」
『うん、飴ガラスで血は流れないでしょっ』
「だからコレクターがアリバイを作るために亀田くんをガラス瓶で、
2度殴ったんだ」
キュウは歩きだして、カメラが置いてあった場所に向かう。
「カメラがここにあったのも、あの時計台の時間を僕達に見せ、
アリバイを証明するためだったんだ」
「そうか…僕達が亀田くん殺害の映像は、
実は梓紗とメグが見た殺害シーンとは違うものだったんだ」
「違うってどういうことよ」
「亀田くんは行方不明になってから、殺されるまでの間に
空白の1日があったってことだ」
「つまり、僕達がネットで見た殺人ビデオに映っていた時計台の
7時という時刻は、彼が殺された日ではなく、その前日の7時だったんだ。
コレクターはアリバイを手に入れるために、犯行の前日7時に
ビデオカメラを回し、まるで殺人の予行練習をするかのように、
飴ガラスで亀田くんの頭を殴った。
…そして、その翌日。
証言者として誘拐しておいたメグと梓紗の目の前で別の時間に
今度は本当の殺人を実行したんだ。
そして、その2つの映像を編集して繋げ、
あたかも一続きの殺人ビデオであるかのように見せかけた。
…これ、一応鑑識に見てもらおっか」
キュウが手にしていたのは…飴ガラスの欠片だった。
「それだけじゃ犯人を追いつめられる決定的な証拠にはならない…」
「犯人は、口封じのためには仲間ですら殺す奴だ。
真相に近づいたと知らせれば、また絶対…」
みんなの目付きが鋭くなる…もちろんアタシもだ。
こんな、コレクターに殺されるわけにはいかない。
「一か八か…僕に考えがある!!」
部屋に戻ると、キュウはみんなにメールを打ち始めた。
……当然、犯人にも。
【コレクターの正体が分かりました。
8時にミーティングルームにお集まりください。キュウ】と。
8時直前、キュウ、リュウ、アタシはエレベータから降りた。
扉が開いた瞬間にカメラが待っていた…佐久間さんだ。
「ねぇねぇねぇ、キュウくん天草くん、梓紗ちゃぁん、
犯人分かったってホント?」
佐久間さんは追いかけてくる。
2人はちょっと気になったのか、少し後ろを振り向いていた。
アタシは見向きもしないでミーティングルームへと向かう。
【ミーティングルーム1】と書かれた扉を開ける。
そこには既に富永くんと遠矢さんの姿が。
「犯人が分かったんだって?!警察に連絡しなくていいのかな…」
「その前にみんなに僕の考えを聞いてほしいんだ」
「ジュース入れてきたわ」
メグが笑顔で入ってくる。
そこにはコップが7個、オレンジに染まっていた。
そして隣を見ると、隣に座っていたはずのリュウがいなくなってた。
見まわすと、少し後ろの方で壁に寄りかかっている。
「あ、俺手伝うよ」
「あー、ありがとーっ」
『リュウ、なんでそんなトコいんの』
メグからトレイを受け取り、富永くんはジュースを配ってくれた。
「特に意味はないけど」
『あ、富永くんありがと』
「うん」
1人で座ってるのも何か嫌だったからアタシはリュウの近くに行った。
富永くんが順調にジュースを配っている中、キュウの携帯が鳴った。
「あ、もしもし?あー、ごめんごめんごめんっ!!
いや、ホント違うんだって、ホントごめん、マヂごめんホント」
キュウは携帯を片手に部屋を出て行ってしまった。
みんなの視線がキュウへと向けられる。
『キュ、キュウ出てっちゃったね…ちょっと待とっか』
「そうだね」
「ちょっと、ま、ちょ……」
キュウが部屋に戻ってきた。
「あ、お待たせしましたー、ごめんなさーい」
キュウはすたすたと入ってきてイスに座った。
そしてコップを持ってジュースを飲もうとした瞬間だった。
部屋の扉が開いた。
「すいませーん、今からこの部屋のエアコンの掃除をする予定なんですけども…」
入って来たのは青い作業服を着た背の高い男の人とツインテールの小柄な女の人だ。
「そう、なんですか」
『じゃぁ、ここに居れないよね』
「あ、僕達隣の部屋に移り、ます…けど」
「すいませんねぇ、何かお邪魔しちゃってぇ…あ、ジュース運んどきますから」
「あ、ありがとうございます」
『すいません』
2人はジュースを持って隣の【ミーティングルーム2】へ入って行った。
場所を移して、隣の部屋に来ると机の上にトレイに乗ったコップが7個。
メグはそれを素早く手に取って、配り始めた。
「ジュース、適当に配るわよ。まだ誰も口付けてないし」
メグが全員に適当にジュースを配る…ように見えていただろう。
アタシ達には…そうじゃあなかった。
キュウ、リュウが隣に座る。
アタシはリュウから曲って隣に座っている。
2人共、いつになく鋭い目つきをしている。
この中に犯人がいると思うとぞっとするが、言わなきゃいけない。
「キュウくん、天草くん、早く話聞かしてよ」
「まぁそう慌てないで。、まぁジュースでも飲みながら、ゆっくり話しましょう」
キュウがそう呼びかけたのでみんなはジュースを飲み始めた。
みんながジュースを飲みほす…そう、これが…答え。
飲み終わったかと思うと、キュウは何か気になるようだ…当然。
「どうしたの?飲んでないの君だけだよ? 富永くん」
キュウにそう問われた富永くんはすぐに下を向いた。
「ほら、飲んでごらんよ。君以外の全員はジュースを飲みほしたことで、
自らの無実を証明したんだから」
みんなのコップは向こうが見えているのに、
富永くんのコップだけ、オレンジに染まっていたままだった。
「…な、何わけなかんねぇこと言ってんだよ」
焦り出している富永くん。
その時、携帯が鳴った…仕事が早いな。
富永くんがポケットを探りだしたので、富永くんの携帯が鳴っていると分かる。
メールを見た瞬間の青ざめた顔ときたら。
その時、部屋の扉が急に開いた。
……そろそろ種明かしといこーか。
ツインテールの背の低い女の人が話し始める。
「君の真似して、ネットで見れるようにしてみたんだ」
機械のような声で言い放ったかと思うと、
持っていた箱ティッシュの中から小型カメラを取り出した。
これで富永くんは完全に挙動不審になるだろう。
そう、カメラで写したのは、富永くんがキュウのコップに薬を入れていた証拠。
女の人は、マスクを外す…もう女の人なんて言わなくていいか。
帽子を取ったかと思うと、髪の毛が同時に取れた。
メガネをかけて、いつもの帽子をかぶる…数馬だ。
そういうことは…隣の男の人は、キンタだ。
「一体なんなんだよぉっ!!!」
犯人は…、コレクターは…、
富永くんだ。
「僕の口から真犯人だと明かされるのを恐れた君は、
朝吹さんと同じように、僕を口封じするに違いない…
だから僕は試してみた…君が誘うに乗るか、ってね」
「ちなみに毒入りジュースのコップは私がしっかり記憶させてもらったわ。
さぁ…飲めるもんなら飲んでみなさいよ」
その場が凍りつく。こういう時の場のメグの言葉は突き刺さる。
真実を述べているから、よけい。
富永くんは息を荒くし、コップを手にとった。
興奮しているのか、先程からずっと立っている。
コップを口元まで運んだかと思うと、やはり自分で入れた毒だ。
飲めばどうなるかも分かっているんだと思う。
やっぱり飲めなくてどうしようもなくなったのか、コップを叩きつける。
部屋にはガラスの割れる切ない音が響いた。
……亀田くんの時と、同じだ。
アタシ達は再び亀田くんが殺された現場へと向かった。
何か、何かアリバイを崩す何かは無いか…。
殺されていた場所を見ると、鮮明に残像が浮かび上がる。
血にまみれた亀田くんの頭、そしてグッタリとした身体…
「何故だ…何故犯人はわざわざライトを当ててまで、
ここでの撮影にこだわったんだろう…」
キュウは少し歩いたかと思うと、何か気になったのかしゃがみ込んだ。
『キュウ?』
「これは…」
何かを手に取って、まじまじを見ている。
アタシの目には何かの欠片のように見える。
「ぁ…!!!」
キュウはポツリと言って、パッと立ち上がった。
そして、手に持つ欠片と窓の外を見比べていた。
何か…分かったんだろう。
「そうか、そーいうことだったんだ!!」
「何か分かったのか?キュウ」
「犯人は亀田くんを2度殺したんだよ」
『え?』
「亀田くんを殴ったガラス瓶、あれは偽物だったんだ」
「…どーいうこと?」
「ほら、よく…アクション映画かなんかで、頭にガラス瓶を叩きつけて
気絶させるシーンがあるじゃん。
アレに使用されるガラス瓶は、飴ガラスっていって、
実は、ガラスよりずっと脆い素材でできた偽物なんだ」
「じゃぁー、亀田を殴ってるシーンに使ってたのは、
撮影用のガラス瓶だったてのか」
「でも…私確かに彼の頭から血が出るのを見たわ、ね、梓紗」
『うん、飴ガラスで血は流れないでしょっ』
「だからコレクターがアリバイを作るために亀田くんをガラス瓶で、
2度殴ったんだ」
キュウは歩きだして、カメラが置いてあった場所に向かう。
「カメラがここにあったのも、あの時計台の時間を僕達に見せ、
アリバイを証明するためだったんだ」
「そうか…僕達が亀田くん殺害の映像は、
実は梓紗とメグが見た殺害シーンとは違うものだったんだ」
「違うってどういうことよ」
「亀田くんは行方不明になってから、殺されるまでの間に
空白の1日があったってことだ」
「つまり、僕達がネットで見た殺人ビデオに映っていた時計台の
7時という時刻は、彼が殺された日ではなく、その前日の7時だったんだ。
コレクターはアリバイを手に入れるために、犯行の前日7時に
ビデオカメラを回し、まるで殺人の予行練習をするかのように、
飴ガラスで亀田くんの頭を殴った。
…そして、その翌日。
証言者として誘拐しておいたメグと梓紗の目の前で別の時間に
今度は本当の殺人を実行したんだ。
そして、その2つの映像を編集して繋げ、
あたかも一続きの殺人ビデオであるかのように見せかけた。
…これ、一応鑑識に見てもらおっか」
キュウが手にしていたのは…飴ガラスの欠片だった。
「それだけじゃ犯人を追いつめられる決定的な証拠にはならない…」
「犯人は、口封じのためには仲間ですら殺す奴だ。
真相に近づいたと知らせれば、また絶対…」
みんなの目付きが鋭くなる…もちろんアタシもだ。
こんな、コレクターに殺されるわけにはいかない。
「一か八か…僕に考えがある!!」
部屋に戻ると、キュウはみんなにメールを打ち始めた。
……当然、犯人にも。
【コレクターの正体が分かりました。
8時にミーティングルームにお集まりください。キュウ】と。
8時直前、キュウ、リュウ、アタシはエレベータから降りた。
扉が開いた瞬間にカメラが待っていた…佐久間さんだ。
「ねぇねぇねぇ、キュウくん天草くん、梓紗ちゃぁん、
犯人分かったってホント?」
佐久間さんは追いかけてくる。
2人はちょっと気になったのか、少し後ろを振り向いていた。
アタシは見向きもしないでミーティングルームへと向かう。
【ミーティングルーム1】と書かれた扉を開ける。
そこには既に富永くんと遠矢さんの姿が。
「犯人が分かったんだって?!警察に連絡しなくていいのかな…」
「その前にみんなに僕の考えを聞いてほしいんだ」
「ジュース入れてきたわ」
メグが笑顔で入ってくる。
そこにはコップが7個、オレンジに染まっていた。
そして隣を見ると、隣に座っていたはずのリュウがいなくなってた。
見まわすと、少し後ろの方で壁に寄りかかっている。
「あ、俺手伝うよ」
「あー、ありがとーっ」
『リュウ、なんでそんなトコいんの』
メグからトレイを受け取り、富永くんはジュースを配ってくれた。
「特に意味はないけど」
『あ、富永くんありがと』
「うん」
1人で座ってるのも何か嫌だったからアタシはリュウの近くに行った。
富永くんが順調にジュースを配っている中、キュウの携帯が鳴った。
「あ、もしもし?あー、ごめんごめんごめんっ!!
いや、ホント違うんだって、ホントごめん、マヂごめんホント」
キュウは携帯を片手に部屋を出て行ってしまった。
みんなの視線がキュウへと向けられる。
『キュ、キュウ出てっちゃったね…ちょっと待とっか』
「そうだね」
「ちょっと、ま、ちょ……」
キュウが部屋に戻ってきた。
「あ、お待たせしましたー、ごめんなさーい」
キュウはすたすたと入ってきてイスに座った。
そしてコップを持ってジュースを飲もうとした瞬間だった。
部屋の扉が開いた。
「すいませーん、今からこの部屋のエアコンの掃除をする予定なんですけども…」
入って来たのは青い作業服を着た背の高い男の人とツインテールの小柄な女の人だ。
「そう、なんですか」
『じゃぁ、ここに居れないよね』
「あ、僕達隣の部屋に移り、ます…けど」
「すいませんねぇ、何かお邪魔しちゃってぇ…あ、ジュース運んどきますから」
「あ、ありがとうございます」
『すいません』
2人はジュースを持って隣の【ミーティングルーム2】へ入って行った。
場所を移して、隣の部屋に来ると机の上にトレイに乗ったコップが7個。
メグはそれを素早く手に取って、配り始めた。
「ジュース、適当に配るわよ。まだ誰も口付けてないし」
メグが全員に適当にジュースを配る…ように見えていただろう。
アタシ達には…そうじゃあなかった。
キュウ、リュウが隣に座る。
アタシはリュウから曲って隣に座っている。
2人共、いつになく鋭い目つきをしている。
この中に犯人がいると思うとぞっとするが、言わなきゃいけない。
「キュウくん、天草くん、早く話聞かしてよ」
「まぁそう慌てないで。、まぁジュースでも飲みながら、ゆっくり話しましょう」
キュウがそう呼びかけたのでみんなはジュースを飲み始めた。
みんながジュースを飲みほす…そう、これが…答え。
飲み終わったかと思うと、キュウは何か気になるようだ…当然。
「どうしたの?飲んでないの君だけだよ? 富永くん」
キュウにそう問われた富永くんはすぐに下を向いた。
「ほら、飲んでごらんよ。君以外の全員はジュースを飲みほしたことで、
自らの無実を証明したんだから」
みんなのコップは向こうが見えているのに、
富永くんのコップだけ、オレンジに染まっていたままだった。
「…な、何わけなかんねぇこと言ってんだよ」
焦り出している富永くん。
その時、携帯が鳴った…仕事が早いな。
富永くんがポケットを探りだしたので、富永くんの携帯が鳴っていると分かる。
メールを見た瞬間の青ざめた顔ときたら。
その時、部屋の扉が急に開いた。
……そろそろ種明かしといこーか。
ツインテールの背の低い女の人が話し始める。
「君の真似して、ネットで見れるようにしてみたんだ」
機械のような声で言い放ったかと思うと、
持っていた箱ティッシュの中から小型カメラを取り出した。
これで富永くんは完全に挙動不審になるだろう。
そう、カメラで写したのは、富永くんがキュウのコップに薬を入れていた証拠。
女の人は、マスクを外す…もう女の人なんて言わなくていいか。
帽子を取ったかと思うと、髪の毛が同時に取れた。
メガネをかけて、いつもの帽子をかぶる…数馬だ。
そういうことは…隣の男の人は、キンタだ。
「一体なんなんだよぉっ!!!」
犯人は…、コレクターは…、
富永くんだ。
「僕の口から真犯人だと明かされるのを恐れた君は、
朝吹さんと同じように、僕を口封じするに違いない…
だから僕は試してみた…君が誘うに乗るか、ってね」
「ちなみに毒入りジュースのコップは私がしっかり記憶させてもらったわ。
さぁ…飲めるもんなら飲んでみなさいよ」
その場が凍りつく。こういう時の場のメグの言葉は突き刺さる。
真実を述べているから、よけい。
富永くんは息を荒くし、コップを手にとった。
興奮しているのか、先程からずっと立っている。
コップを口元まで運んだかと思うと、やはり自分で入れた毒だ。
飲めばどうなるかも分かっているんだと思う。
やっぱり飲めなくてどうしようもなくなったのか、コップを叩きつける。
部屋にはガラスの割れる切ない音が響いた。
……亀田くんの時と、同じだ。