ドリーム小説
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*第5話*~ネットの恋! すれ違いの悲劇~ ①
『朝吹さんっ…………!!!!』
リュウの部屋のパソコンで見た、生中継の殺人ビデオで殺されたのは…朝吹さんだった。
朝吹さんの光のない目を見たとき、
朝吹さんを殺害したコレクターと、朝吹さんを守れなかった自分に腹が立った。
腹が立ったのと同時に自分は無力だというのを改めて感じさせられ、
不安と恐怖が1度に押し寄せてきたせいで声が出なく、息遣いだけが荒くなっていった。
「梓紗!!梓紗、落ちつけ、梓紗!!」
リュウが必死でアタシをなだめようとしてたのは分かる。
顔をぎゅーっとリュウの胸に押されていた。
遠矢さんだって、呼吸混乱状態になっている。
「遠矢さん…大丈夫?」
「あ、アタシ、あ…初めてで…何考えてるか分かんなくなって…」
『…はぁ………はぁ、はぁ…はぁ』
「とりあえず、女子寮に行くぞ。梓紗、立てるか?」
『う、……うん』
リュウはアタシを抱え込んで立ちあがってくれた。
『もう、大丈夫…だから。アタシは…見慣れた、なんて言ったら最悪だけど、
今までに死体を見てきたわけだから、遠矢さんを心配してあげて…遠矢さん、大丈夫?』
「あ、はい!!……だ、大丈夫です!」
「…2人とも無理するなよ」
リュウの部屋から出て、アタシ達は女子寮へと走る。
途中で何回か朝吹さんの笑顔が頭をよぎった。
遠矢さんもそうなのか、少しだけ辛すぎる表情を浮かべていた。
女子寮に着くと、キュウ達やキンタ、富永クンも朝吹さんの部屋の前に集まっていた。
「リュウっ!!」
『メグ!!大丈夫?!』
「叫んじゃったけど…もう整理ついた」
『良かった…』
「とにかく入ってみよう」
「待て!」
キンタがキュウを止める。
「犯人がまだ潜んでるかもしれない…」
そう言ってキンタは勢いよくドアを開けて中に入る。
キンタとキュウとリュウの背中ではっきりとは見えなかったけど…
そこにいたのは…朝吹さんの無残な姿、ただそれだけだった。
それぞれが中に入っていき、順に朝吹さんの姿を見る。
アタシは少し瞳孔が開きそうになったけど、心を落ち着かせた。
キンタは朝吹さんの死亡確認に入っていた。
出てきた答えは…「……死んでる…」。
その一言にみんなの表情は一気に凍りついた。
「警察に知らせてきます!!」
遠矢さんはすぐに部屋を出て行った。
すると、メグはゆっくりと朝吹さんに近づいて行く。
ただただ朝吹さんを見つめ、何を言うこともなく見つめ。
心配になったキュウはメグへと近づく。
「…メグ」
「なんなのよ一体…何者なのよコレクターって…何のために朝吹さんまで…?」
『メグ…』
メグの今にも泣きそうな顔を見て、【朝吹さんの笑顔は戻ってこない】と実感した。
朝吹さんは……死んじゃったんだ。
その中でもリュウの表情は険しかった。
朝吹さんを見つめている時間に比例して、眉間にしわがよっていっている。
『リュウ…?』
リュウはゆっくり歩いていき、朝吹さんの顔の近くでしゃがみこんだ。
朝吹さんの目を閉じさせると、リュウは微笑んだような顔で
「ばいばい…」と小さな声で言った。
きっと朝吹さんと何かあったのだろう。
言い終わった後のリュウの顔はまたいつもの強張った顔だった。
「実は…朝吹さんからさっき電話をもらってたんだ」
「え?」
「亀田殺しの重大なヒントを見つけた、って…梓紗も聞いてたよな?」
『…うん』
みんなの顔が一変したのが分かる。
殺されたのは…きっとそのせいだ。
「今日の放課後、みんなでここに集まってたんだよね?」
「うん」
リュウがメグに確認をとる。
「なんでもいい、その時と比べて何か無くなった物とかないかな?」
メグが辺りを見回す。
アタシが見る限り、大きなものがなくなったりはしていないように思う。
でもメグが探せば、「そこの本棚!!本の並びが変わってる」…ほらね。
「すげぇ…何で覚えてんの?」
「私記憶力だけは異常にいいの」
冨永くんのありふれた質問に答え慣れたように冷静に言う。
キュウとリュウがその棚へと行き、参考書を全て取り出した。
中にあったのは…何本かのホラービデオだ。
「ホラービデオだ」
「変だな、6の番号のビデオだけない…」
キュウとリュウの推理が始まる。
時計を見れば、9時から10分を回っていた。
時計の隅にしゃがみこむキュウ。
「この時計…」
『何?』
「目覚ましの針が9時になってる。学校の授業は8時半から。
9時じゃぁ、完全に遅刻だよ」
そうしてるうちに、遠矢さんが通報してくれた警察の人が来てくれた。
「全く狂ってやがるな、コレクターって野郎は!!」
「でもそれって本当に生中継だったのかなぁ?録画した映像を後で流したとも考えられるだろ?」
諸星警部と猫田さんだ。
「いえ、それはないと思います」
冨永くんが突然口を開いた。
「画面にこの部屋の目覚まし時計は大写しになりましたから」
「事件前後、不審な人物を見かけたという目撃情報はない、とするとー…犯人は!!」
「校内の人間である可能性が高いですね!!」
「よぉし、被害者に恨みを持つ人間がいないか、調べるぞ!!」
「はい!!」
そうして諸星警部と猫田さんは部屋を出た。
猫田さんに至っては、メグをチラ見しニヤけた顔で出て行った。
こっちは、そんな気分じゃないってのに…。
諸星警部、猫田さんが部屋を出て行ったあと
朝吹さんの部屋のビデオデッキが動き始めた。
みんな反射的にデッキ周りに集まる。
やっぱり探偵ってのはそーなっちゃうもんなんだねぇ。
「朝吹さん、何か録画してたのかな?」
アタシは気づいた。
『ねぇ、このデッキの時計のトコ見て?』
「だよね、時間表示が壊れてる」
キュウがアタシに付け加えた。
「ほら、数字が全部0のまま動かない」
キュウがそう言った後にデッキの動きは止まった。
「あ、止まった」
「彼女、何を録画してたんだろう…」
メグが徐に問うと、キュウの手が自然にリモコンへと伸びる。
そしてテレビの電源をつけて、ビデオを再生する。
そこに映ったのは、賑やかなバラエティー番組。
きっとお笑い番組なのだろう。
後半戦に突入と言っているところから見て、本来の放送時間の半分は過ぎているのではと推測される。
「バラエティー番組だ」
「しかも、途中から?」
「え?これ…今日の8時からやってたやつだ…」
キンタがぼそりと呟いた。
『なんで途中から?撮り忘れとか?』
キュウは腕時計と見てからテーブルの上のテレビ雑誌を手に取った。
今日のページを開くと、9時からの映画に赤丸がつけられていた。
と、なると、朝吹さんは9時からの映画を撮るのが目的だった?
するとキュウが何か気付いたみたい。
「そうか…そーいうコトだったのか」
『え?』
『…………え?!?!』
「佐久間さんが犯人?!」
突然の知らせにアタシ達は驚いた。
さすがに佐久間さんは人間の死や殺人とかに興味がありそうな人だけど。
実際に殺人を犯したりするような行き過ぎた人ではないと思うし…。
それに、信じたくない。
「ま、まさか、何を根拠に?」
「警察からの連絡だと、9時ころに佐久間さんが寮にいないことが確認されたとか…」
『嘘、それだけの理由で…?』
「それに佐久間は死や殺人に興味があるらしいし、
被害者の朝吹麻耶に『コレクターの犯人は佐久間しかいない』と陰口を叩かれていたそうで、
殺す動機もはっきりしているという…」
『本人はっ?なんて言ってるんですか?!』
「そりゃあもちろんやってないって言ってるよ。
今もう、連行されそうな勢いだったから、早く行った方がいいよ」
『でも…佐久間さんが犯人じゃないっていう根拠がアタシ達にもない…』
「それなら…あるよ」
キュウがゆっくり口を開く。
さっきから朝吹さんの殺された殺人ビデオをずっと見ていたのには訳があったのだろう…。
キュウはきっと何かに気づいたんだ。
アタシ達は根拠を得たからにはと、全力で佐久間さんの元へと向かう。
このままだと本当に佐久間さんが署に連れて行かれちゃう…!!
「待って下さい!!!」
佐久間さんの元まで走るとキュウが焦って言う。
「佐久間さんは心理的に見て、犯人ではないと思います…!!!」
「心理…?」
「まずは、これを見てください!!」
キュウは手に持っているDVDを警察の前に出した。
アタシ達は上映のできる部屋を探して、DVDを再生した。
「ここをよく見てください」
それは朝吹さんの部屋にコレクターが入ったときの映像だ。
「被害者の朝吹さんが、犯人を招き入れるような動きをしているのが判りますか?」
「…確かに…そう見えるな…」
「朝吹さんがコレクターだと疑っていた佐久間さんをこんな風に
簡単に自分の部屋に招き入れるでしょうか?…そんなコト、するはずがない。
つまり、朝吹さんが犯人に対して取ったこの無防備な行動こそが…
佐久間さんが犯人じゃないっていう、証明なんです」
な、……なるほど。
「…しかし、この男にはアリバイが…」
諸星警部は声を濁らせて反抗する。
「だから…そのアリバイ自体がトリックだったのよ」
『おおっ、そーか』
「梓紗、大丈夫?」
リュウが心配そうにアタシを覗き込んだ。
『大丈夫ですっ』
すると、佐久間さんは喜んで猫田さんの膝にあったビデオカメラを奪い取る。
「…ったくよぉ……」
「この続きを見てください」
キュウは一時停止していたビデオに再生をかける。
音と同時に朝吹さんが倒れる、そして時計が映る……見慣れたものだ。
「コレクターは被害者の部屋の中の目覚まし時計を、わざわざカメラを向けて映しこんでいます。
…この映像はリアルタイムでネット掲示板で流れていたから、
その時間にアリバイの無い者が犯人だと普通は考えます。
でも、もし、この目覚まし時計の時刻そのものが犯人による細工だとしたら…どうしますか?」
「…えっ」
猫田さんは驚き過ぎて声が出ている。
「どぉーしますかぁ?!」
佐久間さんも猫田さんに嫌味っぽく問いただす。
「被害者にとって犯人は、招き入れるような親しい関係なんです。
時計の針を進めることぐらい、いつでもできます。
現に僕が午後8時過ぎに朝吹さんから電話を受けた時、彼女の部屋に何者かが訪ねて来たんです」
「それっ…本当か?!」
諸星警部がビックリするのに対し、佐久間さんはいつものようにカメラで警部を撮影していた。
「もしそれが犯人だとしたら…時計の針を進めるチャンスは、必ずあったはずです」
「しかしー…犯人が時計の針を進めたという証拠はないだろう…!!」
「証拠ならキュウが見つけたよ」
キンタが後ろから呟いた。
あ…もしかして、さっきの目覚まし時計の針?!
次の日、アタシ達はそれを説明するために、朝吹さんの部屋に1度戻った。
そしてさっき見つけた途中から録画されているビデオを見せた。
「この番組は昨日の夜8時に放送された、バラエティー番組です」
「被害者は殺される直前、この番組を録画してたのか…」
「そうです」
「でもこの番組、途中からしか録画されてないじゃないか」
「そりゃー当然だ。彼女が本当に録りたかったのは、この番組じゃなく…
このあと9時から始まるホラー映画だったんだ」
キンタはテーブルへと近づき、証拠のテレビ雑誌を見せた。
やはりそこには9時からのホラー映画の欄に赤丸が記されてる。
「…これは」
「実はこのデッキ、タイマーが壊れてるんです。
朝吹さんは…どうしても録画しておきたい番組があるときは、目覚ましをセットして、
番組開始時間と合わせて録画していたに違いありません。
つまり、そのアラームが指し示す【9時】直前という時間は朝の9時ではなく、夜の9時だったんです。
朝吹さんは、犯人に殺される直前にセッティングしておいた、目覚ましのベル通りにしたがって、
録画ボタンを押した…にも関わらず、録画されていたのは映画の前に放送されたバラエティー番組。
しかも途中からです。つまり、犯人は…あらかじめ目覚まし時計の時間を進めておくことで、
リアルタイム映像と見せかけて殺人シーンを録画し、アリバイをでっちあげた証拠です」
キュウの長い推理が終了した。
さすがにここまで細かく推理を説明されると警察もなす術がないだろう。
猫田さんはうろたえながら口を開いた。
「え、え?じゃあやっぱりあの映像は生中継じゃなかったんだ」
すると、猫田さんはすごくまずいという顔をしている。
ああ、佐久間さんのことか。
「…となるとぉー…夜の9時のアリバイは、意味をなさなくなるな」
「そういうことです」
諸星警部と猫田さんは気まずい顔で佐久間さんを見る。
佐久間さんは相当キレてるようで、2人に対し中指を立てていた。
「よしっ、もう一度アリバイを洗い直すぞ!!」
「はいぃ」
猫田さんの声が少し震えて聞こえてきたのは、気のせいだろうか?
部屋を立ち去ろうとした時、リュウが口を開いた。
「刑事さん」
「なんだ?」
「押収した朝吹さんのビデオテープ、僕達にも見せてもらえませんか?」
「どうしてそんなこと?」
佐久間さんはまだ怒っているのか、猫田さんの肩にあごをのせ、睨みつけている。
「数時の打たれたビデオの中で6番のビデオだけ抜けおちていたんです。
そのビデオを犯人が持ち去った可能性があります」
「本当か?」
「その前後の映像を見ることで、何か手掛かりがつかめるかもしれません…。
……お願いします」
リュウが頭を下げた。
アタシは少し驚いたけど、すぐに頭を下げた。
『お、お願いします…』
「私からも…お願いします!!」
「お願いします!」
「…捜査本部に連絡して、見られるように手配しておく。しかし、今日1日だけだぞ」
「「「『ありがとうございます』」」」
『朝吹さんっ…………!!!!』
リュウの部屋のパソコンで見た、生中継の殺人ビデオで殺されたのは…朝吹さんだった。
朝吹さんの光のない目を見たとき、
朝吹さんを殺害したコレクターと、朝吹さんを守れなかった自分に腹が立った。
腹が立ったのと同時に自分は無力だというのを改めて感じさせられ、
不安と恐怖が1度に押し寄せてきたせいで声が出なく、息遣いだけが荒くなっていった。
「梓紗!!梓紗、落ちつけ、梓紗!!」
リュウが必死でアタシをなだめようとしてたのは分かる。
顔をぎゅーっとリュウの胸に押されていた。
遠矢さんだって、呼吸混乱状態になっている。
「遠矢さん…大丈夫?」
「あ、アタシ、あ…初めてで…何考えてるか分かんなくなって…」
『…はぁ………はぁ、はぁ…はぁ』
「とりあえず、女子寮に行くぞ。梓紗、立てるか?」
『う、……うん』
リュウはアタシを抱え込んで立ちあがってくれた。
『もう、大丈夫…だから。アタシは…見慣れた、なんて言ったら最悪だけど、
今までに死体を見てきたわけだから、遠矢さんを心配してあげて…遠矢さん、大丈夫?』
「あ、はい!!……だ、大丈夫です!」
「…2人とも無理するなよ」
リュウの部屋から出て、アタシ達は女子寮へと走る。
途中で何回か朝吹さんの笑顔が頭をよぎった。
遠矢さんもそうなのか、少しだけ辛すぎる表情を浮かべていた。
女子寮に着くと、キュウ達やキンタ、富永クンも朝吹さんの部屋の前に集まっていた。
「リュウっ!!」
『メグ!!大丈夫?!』
「叫んじゃったけど…もう整理ついた」
『良かった…』
「とにかく入ってみよう」
「待て!」
キンタがキュウを止める。
「犯人がまだ潜んでるかもしれない…」
そう言ってキンタは勢いよくドアを開けて中に入る。
キンタとキュウとリュウの背中ではっきりとは見えなかったけど…
そこにいたのは…朝吹さんの無残な姿、ただそれだけだった。
それぞれが中に入っていき、順に朝吹さんの姿を見る。
アタシは少し瞳孔が開きそうになったけど、心を落ち着かせた。
キンタは朝吹さんの死亡確認に入っていた。
出てきた答えは…「……死んでる…」。
その一言にみんなの表情は一気に凍りついた。
「警察に知らせてきます!!」
遠矢さんはすぐに部屋を出て行った。
すると、メグはゆっくりと朝吹さんに近づいて行く。
ただただ朝吹さんを見つめ、何を言うこともなく見つめ。
心配になったキュウはメグへと近づく。
「…メグ」
「なんなのよ一体…何者なのよコレクターって…何のために朝吹さんまで…?」
『メグ…』
メグの今にも泣きそうな顔を見て、【朝吹さんの笑顔は戻ってこない】と実感した。
朝吹さんは……死んじゃったんだ。
その中でもリュウの表情は険しかった。
朝吹さんを見つめている時間に比例して、眉間にしわがよっていっている。
『リュウ…?』
リュウはゆっくり歩いていき、朝吹さんの顔の近くでしゃがみこんだ。
朝吹さんの目を閉じさせると、リュウは微笑んだような顔で
「ばいばい…」と小さな声で言った。
きっと朝吹さんと何かあったのだろう。
言い終わった後のリュウの顔はまたいつもの強張った顔だった。
「実は…朝吹さんからさっき電話をもらってたんだ」
「え?」
「亀田殺しの重大なヒントを見つけた、って…梓紗も聞いてたよな?」
『…うん』
みんなの顔が一変したのが分かる。
殺されたのは…きっとそのせいだ。
「今日の放課後、みんなでここに集まってたんだよね?」
「うん」
リュウがメグに確認をとる。
「なんでもいい、その時と比べて何か無くなった物とかないかな?」
メグが辺りを見回す。
アタシが見る限り、大きなものがなくなったりはしていないように思う。
でもメグが探せば、「そこの本棚!!本の並びが変わってる」…ほらね。
「すげぇ…何で覚えてんの?」
「私記憶力だけは異常にいいの」
冨永くんのありふれた質問に答え慣れたように冷静に言う。
キュウとリュウがその棚へと行き、参考書を全て取り出した。
中にあったのは…何本かのホラービデオだ。
「ホラービデオだ」
「変だな、6の番号のビデオだけない…」
キュウとリュウの推理が始まる。
時計を見れば、9時から10分を回っていた。
時計の隅にしゃがみこむキュウ。
「この時計…」
『何?』
「目覚ましの針が9時になってる。学校の授業は8時半から。
9時じゃぁ、完全に遅刻だよ」
そうしてるうちに、遠矢さんが通報してくれた警察の人が来てくれた。
「全く狂ってやがるな、コレクターって野郎は!!」
「でもそれって本当に生中継だったのかなぁ?録画した映像を後で流したとも考えられるだろ?」
諸星警部と猫田さんだ。
「いえ、それはないと思います」
冨永くんが突然口を開いた。
「画面にこの部屋の目覚まし時計は大写しになりましたから」
「事件前後、不審な人物を見かけたという目撃情報はない、とするとー…犯人は!!」
「校内の人間である可能性が高いですね!!」
「よぉし、被害者に恨みを持つ人間がいないか、調べるぞ!!」
「はい!!」
そうして諸星警部と猫田さんは部屋を出た。
猫田さんに至っては、メグをチラ見しニヤけた顔で出て行った。
こっちは、そんな気分じゃないってのに…。
諸星警部、猫田さんが部屋を出て行ったあと
朝吹さんの部屋のビデオデッキが動き始めた。
みんな反射的にデッキ周りに集まる。
やっぱり探偵ってのはそーなっちゃうもんなんだねぇ。
「朝吹さん、何か録画してたのかな?」
アタシは気づいた。
『ねぇ、このデッキの時計のトコ見て?』
「だよね、時間表示が壊れてる」
キュウがアタシに付け加えた。
「ほら、数字が全部0のまま動かない」
キュウがそう言った後にデッキの動きは止まった。
「あ、止まった」
「彼女、何を録画してたんだろう…」
メグが徐に問うと、キュウの手が自然にリモコンへと伸びる。
そしてテレビの電源をつけて、ビデオを再生する。
そこに映ったのは、賑やかなバラエティー番組。
きっとお笑い番組なのだろう。
後半戦に突入と言っているところから見て、本来の放送時間の半分は過ぎているのではと推測される。
「バラエティー番組だ」
「しかも、途中から?」
「え?これ…今日の8時からやってたやつだ…」
キンタがぼそりと呟いた。
『なんで途中から?撮り忘れとか?』
キュウは腕時計と見てからテーブルの上のテレビ雑誌を手に取った。
今日のページを開くと、9時からの映画に赤丸がつけられていた。
と、なると、朝吹さんは9時からの映画を撮るのが目的だった?
するとキュウが何か気付いたみたい。
「そうか…そーいうコトだったのか」
『え?』
『…………え?!?!』
「佐久間さんが犯人?!」
突然の知らせにアタシ達は驚いた。
さすがに佐久間さんは人間の死や殺人とかに興味がありそうな人だけど。
実際に殺人を犯したりするような行き過ぎた人ではないと思うし…。
それに、信じたくない。
「ま、まさか、何を根拠に?」
「警察からの連絡だと、9時ころに佐久間さんが寮にいないことが確認されたとか…」
『嘘、それだけの理由で…?』
「それに佐久間は死や殺人に興味があるらしいし、
被害者の朝吹麻耶に『コレクターの犯人は佐久間しかいない』と陰口を叩かれていたそうで、
殺す動機もはっきりしているという…」
『本人はっ?なんて言ってるんですか?!』
「そりゃあもちろんやってないって言ってるよ。
今もう、連行されそうな勢いだったから、早く行った方がいいよ」
『でも…佐久間さんが犯人じゃないっていう根拠がアタシ達にもない…』
「それなら…あるよ」
キュウがゆっくり口を開く。
さっきから朝吹さんの殺された殺人ビデオをずっと見ていたのには訳があったのだろう…。
キュウはきっと何かに気づいたんだ。
アタシ達は根拠を得たからにはと、全力で佐久間さんの元へと向かう。
このままだと本当に佐久間さんが署に連れて行かれちゃう…!!
「待って下さい!!!」
佐久間さんの元まで走るとキュウが焦って言う。
「佐久間さんは心理的に見て、犯人ではないと思います…!!!」
「心理…?」
「まずは、これを見てください!!」
キュウは手に持っているDVDを警察の前に出した。
アタシ達は上映のできる部屋を探して、DVDを再生した。
「ここをよく見てください」
それは朝吹さんの部屋にコレクターが入ったときの映像だ。
「被害者の朝吹さんが、犯人を招き入れるような動きをしているのが判りますか?」
「…確かに…そう見えるな…」
「朝吹さんがコレクターだと疑っていた佐久間さんをこんな風に
簡単に自分の部屋に招き入れるでしょうか?…そんなコト、するはずがない。
つまり、朝吹さんが犯人に対して取ったこの無防備な行動こそが…
佐久間さんが犯人じゃないっていう、証明なんです」
な、……なるほど。
「…しかし、この男にはアリバイが…」
諸星警部は声を濁らせて反抗する。
「だから…そのアリバイ自体がトリックだったのよ」
『おおっ、そーか』
「梓紗、大丈夫?」
リュウが心配そうにアタシを覗き込んだ。
『大丈夫ですっ』
すると、佐久間さんは喜んで猫田さんの膝にあったビデオカメラを奪い取る。
「…ったくよぉ……」
「この続きを見てください」
キュウは一時停止していたビデオに再生をかける。
音と同時に朝吹さんが倒れる、そして時計が映る……見慣れたものだ。
「コレクターは被害者の部屋の中の目覚まし時計を、わざわざカメラを向けて映しこんでいます。
…この映像はリアルタイムでネット掲示板で流れていたから、
その時間にアリバイの無い者が犯人だと普通は考えます。
でも、もし、この目覚まし時計の時刻そのものが犯人による細工だとしたら…どうしますか?」
「…えっ」
猫田さんは驚き過ぎて声が出ている。
「どぉーしますかぁ?!」
佐久間さんも猫田さんに嫌味っぽく問いただす。
「被害者にとって犯人は、招き入れるような親しい関係なんです。
時計の針を進めることぐらい、いつでもできます。
現に僕が午後8時過ぎに朝吹さんから電話を受けた時、彼女の部屋に何者かが訪ねて来たんです」
「それっ…本当か?!」
諸星警部がビックリするのに対し、佐久間さんはいつものようにカメラで警部を撮影していた。
「もしそれが犯人だとしたら…時計の針を進めるチャンスは、必ずあったはずです」
「しかしー…犯人が時計の針を進めたという証拠はないだろう…!!」
「証拠ならキュウが見つけたよ」
キンタが後ろから呟いた。
あ…もしかして、さっきの目覚まし時計の針?!
次の日、アタシ達はそれを説明するために、朝吹さんの部屋に1度戻った。
そしてさっき見つけた途中から録画されているビデオを見せた。
「この番組は昨日の夜8時に放送された、バラエティー番組です」
「被害者は殺される直前、この番組を録画してたのか…」
「そうです」
「でもこの番組、途中からしか録画されてないじゃないか」
「そりゃー当然だ。彼女が本当に録りたかったのは、この番組じゃなく…
このあと9時から始まるホラー映画だったんだ」
キンタはテーブルへと近づき、証拠のテレビ雑誌を見せた。
やはりそこには9時からのホラー映画の欄に赤丸が記されてる。
「…これは」
「実はこのデッキ、タイマーが壊れてるんです。
朝吹さんは…どうしても録画しておきたい番組があるときは、目覚ましをセットして、
番組開始時間と合わせて録画していたに違いありません。
つまり、そのアラームが指し示す【9時】直前という時間は朝の9時ではなく、夜の9時だったんです。
朝吹さんは、犯人に殺される直前にセッティングしておいた、目覚ましのベル通りにしたがって、
録画ボタンを押した…にも関わらず、録画されていたのは映画の前に放送されたバラエティー番組。
しかも途中からです。つまり、犯人は…あらかじめ目覚まし時計の時間を進めておくことで、
リアルタイム映像と見せかけて殺人シーンを録画し、アリバイをでっちあげた証拠です」
キュウの長い推理が終了した。
さすがにここまで細かく推理を説明されると警察もなす術がないだろう。
猫田さんはうろたえながら口を開いた。
「え、え?じゃあやっぱりあの映像は生中継じゃなかったんだ」
すると、猫田さんはすごくまずいという顔をしている。
ああ、佐久間さんのことか。
「…となるとぉー…夜の9時のアリバイは、意味をなさなくなるな」
「そういうことです」
諸星警部と猫田さんは気まずい顔で佐久間さんを見る。
佐久間さんは相当キレてるようで、2人に対し中指を立てていた。
「よしっ、もう一度アリバイを洗い直すぞ!!」
「はいぃ」
猫田さんの声が少し震えて聞こえてきたのは、気のせいだろうか?
部屋を立ち去ろうとした時、リュウが口を開いた。
「刑事さん」
「なんだ?」
「押収した朝吹さんのビデオテープ、僕達にも見せてもらえませんか?」
「どうしてそんなこと?」
佐久間さんはまだ怒っているのか、猫田さんの肩にあごをのせ、睨みつけている。
「数時の打たれたビデオの中で6番のビデオだけ抜けおちていたんです。
そのビデオを犯人が持ち去った可能性があります」
「本当か?」
「その前後の映像を見ることで、何か手掛かりがつかめるかもしれません…。
……お願いします」
リュウが頭を下げた。
アタシは少し驚いたけど、すぐに頭を下げた。
『お、お願いします…』
「私からも…お願いします!!」
「お願いします!」
「…捜査本部に連絡して、見られるように手配しておく。しかし、今日1日だけだぞ」
「「「『ありがとうございます』」」」
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*第4話*~ネットの恐怖から仲間を救え ④
足音が聞こえる。
そう思って少し意識が戻ってきた。
目は…まだ開けられていない。
足音が近付く。
さっきは気づかなかったけど、かなりの人数で…走ってきている。
誰…アタシ達に追い打ちをかける何者か…?
大きな音をたてて、扉が開かれた。
「メグ!!!!」
「梓紗!!!!」
キュウ、それにリュウの声だ。
そう気づいた瞬間、これは夢なのかと自分で確認したほどだった。
「あ…梓紗!!!!!」
「メグ!!」
さらに近付いて聞こえるリュウの声。
リュウがアタシを呼ぶ声。
でもいつもの冷静な声ではなかった。
息が切れてて今にも崩れそうな声だった。
その瞬間、肩に温かいものが触れた。
「梓紗、しっかりしろ、大丈夫か?!梓紗!!」
肩をゆすられ、嫌でも現実に引き戻される。
ゆっくり目を開けると、夢だと思っていたリュウが目の前にいる。
それを気付かされた時、不安と安心が一気に訪れ、
アタシは泣きそうになったのを必死にこらえた。
リュウは口に貼られていたテープを優しく剥がしてくれた。
不安でリュウに抱きつきたい思いも、腕がつながれていてできないことに腹が立つ。
『あ、…リュ、リュウ…』
長い間しゃべっていなかったようには思わなかったのだか、
震えて上手くしゃべることができなかった。
「だい、大丈夫か?!」
『大丈夫だよ、薬品嗅がされただけだと思うし…』
リュウも少し滑舌が回っていなかったのに安心を感じ、
もう不安にさせたくないという想いから、アタシの口から強がった言葉が出た。
身体は震えているのに。
その次に目に入ったのはリュウの肩だった。
ああ、抱きしめてくれてるんだ。
「ああ、もう、本当に心配させるな」
アタシの背中にあるリュウの手がすごく震えているのに気づいた。
本当に心配させちゃったんだと、すごく反省した。
自分が鈍いから勝手に連れ去られたのに、こんなに震えて探してくれた…。
『ごめん、ありがとう…』
「無事ならそれでいいよ」
リュウのその言葉を聞いた時、さっき止まりかけていた涙がまた溢れてきた。
更に心配させちゃうから、泣かないと決意した。
アタシも抱き返したいと腕を動かしたが、つながれているのを改めて分かり、
さっき以上の苛立ちを感じた。
『リュウ、ありがとう…ごめんね』
リュウは小さな声で「うん」と言ったのが聞こえた。
その声は、さっき以上に震えていた。
『メグっ、メグは?』
「メグも無事だよ」
隣にはキュウとメグの姿があった。
正面には富永クン、朝吹さん、遠矢さんの姿も。
リュウとキンタが腕の紐を外してくれた、抱きついたい想いを封じてメグを見つめた。
「それより…」
メグが指差した黒幕。
その向こうに…何が………か、亀田クン!!!!
キンタがさっと立ち上がり、幕の元へ歩いて行く。
できることなら、見たくない。
リュウは震えるアタシの手をぎゅっと握ってくれた。
アタシもリュウにぎゅっと握り返す。
バッとキンタが幕を開くと、そこにはシャツが真っ赤に染まった亀田クンの姿だった。
その後は警察が来て、救急車が来て。
救急車にはアタシとメグと亀田クンを乗せて病院へと向かった。
キュウが「僕も行く!!」ってきかなかったのを、メグが説得してるのを見て、
「ああ、いつものみんなだ」と感じれたことが嬉しかった。
リュウは最後まで心配そうに見つめてくれていた。
アタシが微笑むとリュウも無理に笑ってくれた。
病院では精密検査をするって言ってたけど、
軽くレントゲンみたいなのを撮って、薬飲まされて点滴打って寝てるだけで。
先生には「どこも異常なしです」って言われたし、なんでもなかったみたい。
「梓紗」
『メグ?』
「こ、怖かったね、私、本当に死ぬんだと思ったもん」
『アタシだって!!ホント、怖くて…』
「助けてもらえてさ…私達、幸せだよね…」
『うん…ホントに』
メグの顔はとろーんとしてた。
『メグ?』
「あ、え、何?!」
『今、もしかしてキュウのコト考えてた?』
「な、なにそれ?!あ、梓紗こそ!!リュウのコト、じゃないの?!
…だ、抱きしめられてたじゃんっ」
『わ、わわ!!何言ってんの!!いや、でも助けてもらったし!!!
心配してくれたんだよっ、別に深い意味なんかは…』
「それ!!私はそれなの!!助けてもらったから!!」
『もう、メグうるさいよ!!ここ病院なんだから!!』
「それは梓紗もでしょーがっ!!」
やっぱりメグはキュウを好きなんだなーって再確認。
こんなに赤くなってるなんて…ねぇ?
アタシもリュウを話に持ち込まれたとき、ちょっと焦ったけど…。
でも…抱きしめてくれた時、心臓の奥ががきゅーってなった。
タクシー拾って寮に帰ろうと思ってた時、「ねぇお腹すかない?」ってメグ。
「まぁ…ちょっとは」
「あそこ、行かない?」
メグが指差したのは、ラーメン屋さん。
「い、いいよ?」
アタシがそう言った瞬間メグは勢いよく走り出して、「チャーシュー麺2つ!!」と注文していた。
ああ、2つって…ひとつはアタシのか。
アタシが半分くらい食べてる頃にメグは1杯目完食。
「すいません…ラーメン、もう1杯お願いしますっ!!」
「ええ?!」
「だってさー、お腹すいちゃってっ♪」
アタシが1杯目を食べ終わった少し後にメグは2杯目を完食した。
改めてタクシーを拾い、寮に帰った。
タクシーを降りると、女子寮の玄関にはキュウが待っていてくれていた。
メグはそれに気づいていないみたいで、つまようじで口の中をイジっている。
「メグっ!!キュウ、待っててくれてるよ?」
「え?!」
「メグ…っ?」
するとメグは我に返り、つまようじをポイと捨てると、
何も見てないよね?と言いたげな顔で優雅に手を振って見せていた。
「なんかすっごくお腹すいちゃってー…病院の前の店でラーメン、2杯も食べちゃったっ♪」
「2杯…あ、梓紗は?」
『いやぁーアタシは1杯しか食べてませんよ?』
「だろーね」
「ちょっと、キュウそれどーいう意味よ?!」
「いやいやいや」
「なっがぁーい緊張から解放されると、急にお腹すくことってあるよねっ」
「うん、あぁーるぅ、ねぇ、うんある」
「味はいまいちだったけどね」
『味はいまいちなのに、2杯食べたからねこの人』
「最強だよね」
すると、キュウが身体中をかき回している。
待ってくれてる間に蚊に刺されたんだろう。
「何?かゆいの?」
「うん、かゆい」
「ああ、そう」
「あっ、ここ!ここ!!」
メグは部屋についたみたい。
アタシはメグの部屋の1個手前。
『あ、アタシの部屋も、こっち』
「じゃぁねーっぇ!!お、や、す、みぃーっ!!!」
メグは自己紹介の時のフリを「おやすみ」にあてはめてキュウに向けた。
「じゃあね、お、や、す、みぃっ!!」
『お、や、す、みぃっ!!!』
みんなで「おやすみ」をして、手を振って別れた。
キュウはまだ身体のあちこちがかゆいみたいで、かきながら帰って行った。
アタシはメグにもう1度「んじゃ、おやすみー」と言った。
メグは少し元気なさげに「おやすみ!!」と言ってドアノブを回そうとしていた。
アタシはちょっと気になったけど、何だかキュウは戻ってきてくれるような気がして、
部屋に入って行った。
部屋に戻ってベットにはぁーっと大きなため息をついて飛び込む。
すると、何だか手足が縛られてるような感覚に襲われた。
バッと腕を動かしてもあたりまえに繋がれてなどいない。
怖くて目を閉じると、走馬灯のように倉庫での不安が蘇る。
コレクターと亀田クンの悲劇がうずをまく。
恐怖と不安で身体が徐々に震えだしてきた。
そこに机の上に置いた携帯が大きなバイブ音でアタシを驚かせる。
発信は…リュウだ。
『りゅ、リュウっ?!』
「あ、梓紗、今キュウに2人が帰ったって聞いたから…」
『うん』
「今1人?」
『うん』
「1人で大丈夫?」
『だ、大丈夫じゃない!!さっきね、手足が縛られるような感じがしたし、
目を閉じると、カメラを向けられた瞬間が蘇るの…』
「僕の部屋、来るか?」
『い、行くっ!!』
「すぐ迎えに行くから、待ってて!!」
リュウはそれだけ言ってプチっと電話を切った。
リュウは5分も経たないうちに来てくれた。
「ごめん、待った?」
『ううん、全然。隣メグの部屋なんだけど、多分、キュウがいるんだ』
「そっか」
『仲良くていいよね、あの2人。似合ってる』
「…行くぞ」
『…?うん』
リュウの部屋に着くと、そこは物静かな部屋だった。
部屋に付属されてる家具以外はほとんど何もない状態だった。
『リュウの部屋、来た時と全然変わってないっ』
「そーいう梓紗は部屋に何か置いたの?」
『時計とか…まぁアタシもそれくらいかっ!!』
「だろ?」
すると、リュウの携帯が鳴った。
「…朝吹さんだ」
『え?』
「…出るよ?……はい」
何を言ってるのかは分からないけど、電話越しに朝吹さんの声がする。
リュウの顔が少し険しくなった。
『何?どーしたの?』
アタシは携帯に耳を近付けた。
【あれっ、もしかして今橘さんの部屋にいる?】
「いないけど」
【じゃあ天草クンの部屋に橘さんがいるの?】
「いるよ」
『なになにー?』
【え、嘘、それってもしかして邪魔しちゃった?】
『…えっ』
「ん、まぁそうかもしれない」
『ちょ、リュウ、何言ってんの!!」
「んで?話の続き」
【あ、そうそう、亀田殺しの重要なヒントを見つけたの】
「え?」『え?』
【あっ…ごめん、誰か来た。またあとで電話するね。
橘さんと、仲良くやってください♪】
そう言って朝吹さんは電話を切った。
亀田殺しの重要なヒントを見つけた?
『朝吹さん、アタシが電話を聞く前、何て言ってたの?』
「何?気になるの?」
『違うくて!!!』
「見せたいものがある…って言ってたけど」
『あ、それが亀田クン殺しの重要なヒントってコトか…』
すると、ドアの方からトントンとノックをする音がした。
『誰か、来たんじゃない?』
「うん」
リュウはゆっくりドアへ歩いて行く。
アタシもその後を追う。
ドアを開けるとそこに立っていたのは…「遠矢さん…?」
遠矢さんが申し訳なさそうに立っていた。
『え?遠矢さんっ?!』
「あ、え、すいません!突然お邪魔しちゃって…」
「いや、別に大丈夫なんだけど」
「いや、だって、橘さんと2人のとこに割って入るのは申し訳なくて…」
『ああー…アタシ、今日のコトが1人だと思いだして怖いから、
リュ、天草クンのトコにお邪魔してただけだからっ』
「や、え、す、すいません!…それで、またネット版に奇妙なメッセージがアップされてて…。
怖くなって…」
それを聞いて、早速ネット掲示板へとページを飛んだ。
すると【午後9時よりビックリ映像生中継】という書き込みとURLがアップされていた。
「9時より生中継…」
『9時って…もう9時なんじゃないの?」
リュウの時計を見ると、9時の少し前だった。
「…これ、放送部が使っている、映像配信アドレスだと思います…」
リュウがURLをクリックする。
黒画面に赤字で【某所より生中継中】と出てきた。
「梓紗、悪いんだけど、キュウに連絡してくれ」
『わ、分かった』
アタシは携帯を取り出して、キュウに発信した。
【もしもしっ】
『キュウ、コレクターがまた現れたの!!』
【え!!?】
パソコンでは画面が切り替わり、建物が映し出されている…廊下?少し見覚えが…。
「ここ、女子寮だわっ!!」
遠矢さんの一言で「そうだ」と確信した。
カメラはゆっくりと誰かの部屋へと向かっていく。
アタシはメグの部屋じゃないことだけを祈って画面を見ていた。
ノックをして、ドアが開く。
その部屋の女生徒の下半身のみが映し出される。
手招きをして、部屋の中へと案内しているのが見受けられる。
そして、部屋の奥の方まで来たかと思うとカメラと女生徒の距離が縮まっていく。
ずんっ、という音と同時に女生徒は倒れてしまった。
何…え?まさか、そんなはずないよね?
次に時計が映る…9時だ。
大きな音がしたかと思えばカメラは女生徒へと向けられる。
さっきとは体勢が違っていた。
足が伸び、しっかりと気をつけをして寝ている状態である。
足もとからゆっくりと上半身へとカメラが動く……!!!!
胸にクッションの上からナイフが刺されてある。
『い、いゃっ…!!』
「ひぃっ…」
遠矢さんも声が漏れていた。
リュウはアタシの頭を腕で覆ってくれた。
そしてゆっくりと顔の方へと向かっていく…や、う、あ…あ、あさ、
『朝吹さんっ…………!!!!』
足音が聞こえる。
そう思って少し意識が戻ってきた。
目は…まだ開けられていない。
足音が近付く。
さっきは気づかなかったけど、かなりの人数で…走ってきている。
誰…アタシ達に追い打ちをかける何者か…?
大きな音をたてて、扉が開かれた。
「メグ!!!!」
「梓紗!!!!」
キュウ、それにリュウの声だ。
そう気づいた瞬間、これは夢なのかと自分で確認したほどだった。
「あ…梓紗!!!!!」
「メグ!!」
さらに近付いて聞こえるリュウの声。
リュウがアタシを呼ぶ声。
でもいつもの冷静な声ではなかった。
息が切れてて今にも崩れそうな声だった。
その瞬間、肩に温かいものが触れた。
「梓紗、しっかりしろ、大丈夫か?!梓紗!!」
肩をゆすられ、嫌でも現実に引き戻される。
ゆっくり目を開けると、夢だと思っていたリュウが目の前にいる。
それを気付かされた時、不安と安心が一気に訪れ、
アタシは泣きそうになったのを必死にこらえた。
リュウは口に貼られていたテープを優しく剥がしてくれた。
不安でリュウに抱きつきたい思いも、腕がつながれていてできないことに腹が立つ。
『あ、…リュ、リュウ…』
長い間しゃべっていなかったようには思わなかったのだか、
震えて上手くしゃべることができなかった。
「だい、大丈夫か?!」
『大丈夫だよ、薬品嗅がされただけだと思うし…』
リュウも少し滑舌が回っていなかったのに安心を感じ、
もう不安にさせたくないという想いから、アタシの口から強がった言葉が出た。
身体は震えているのに。
その次に目に入ったのはリュウの肩だった。
ああ、抱きしめてくれてるんだ。
「ああ、もう、本当に心配させるな」
アタシの背中にあるリュウの手がすごく震えているのに気づいた。
本当に心配させちゃったんだと、すごく反省した。
自分が鈍いから勝手に連れ去られたのに、こんなに震えて探してくれた…。
『ごめん、ありがとう…』
「無事ならそれでいいよ」
リュウのその言葉を聞いた時、さっき止まりかけていた涙がまた溢れてきた。
更に心配させちゃうから、泣かないと決意した。
アタシも抱き返したいと腕を動かしたが、つながれているのを改めて分かり、
さっき以上の苛立ちを感じた。
『リュウ、ありがとう…ごめんね』
リュウは小さな声で「うん」と言ったのが聞こえた。
その声は、さっき以上に震えていた。
『メグっ、メグは?』
「メグも無事だよ」
隣にはキュウとメグの姿があった。
正面には富永クン、朝吹さん、遠矢さんの姿も。
リュウとキンタが腕の紐を外してくれた、抱きついたい想いを封じてメグを見つめた。
「それより…」
メグが指差した黒幕。
その向こうに…何が………か、亀田クン!!!!
キンタがさっと立ち上がり、幕の元へ歩いて行く。
できることなら、見たくない。
リュウは震えるアタシの手をぎゅっと握ってくれた。
アタシもリュウにぎゅっと握り返す。
バッとキンタが幕を開くと、そこにはシャツが真っ赤に染まった亀田クンの姿だった。
その後は警察が来て、救急車が来て。
救急車にはアタシとメグと亀田クンを乗せて病院へと向かった。
キュウが「僕も行く!!」ってきかなかったのを、メグが説得してるのを見て、
「ああ、いつものみんなだ」と感じれたことが嬉しかった。
リュウは最後まで心配そうに見つめてくれていた。
アタシが微笑むとリュウも無理に笑ってくれた。
病院では精密検査をするって言ってたけど、
軽くレントゲンみたいなのを撮って、薬飲まされて点滴打って寝てるだけで。
先生には「どこも異常なしです」って言われたし、なんでもなかったみたい。
「梓紗」
『メグ?』
「こ、怖かったね、私、本当に死ぬんだと思ったもん」
『アタシだって!!ホント、怖くて…』
「助けてもらえてさ…私達、幸せだよね…」
『うん…ホントに』
メグの顔はとろーんとしてた。
『メグ?』
「あ、え、何?!」
『今、もしかしてキュウのコト考えてた?』
「な、なにそれ?!あ、梓紗こそ!!リュウのコト、じゃないの?!
…だ、抱きしめられてたじゃんっ」
『わ、わわ!!何言ってんの!!いや、でも助けてもらったし!!!
心配してくれたんだよっ、別に深い意味なんかは…』
「それ!!私はそれなの!!助けてもらったから!!」
『もう、メグうるさいよ!!ここ病院なんだから!!』
「それは梓紗もでしょーがっ!!」
やっぱりメグはキュウを好きなんだなーって再確認。
こんなに赤くなってるなんて…ねぇ?
アタシもリュウを話に持ち込まれたとき、ちょっと焦ったけど…。
でも…抱きしめてくれた時、心臓の奥ががきゅーってなった。
タクシー拾って寮に帰ろうと思ってた時、「ねぇお腹すかない?」ってメグ。
「まぁ…ちょっとは」
「あそこ、行かない?」
メグが指差したのは、ラーメン屋さん。
「い、いいよ?」
アタシがそう言った瞬間メグは勢いよく走り出して、「チャーシュー麺2つ!!」と注文していた。
ああ、2つって…ひとつはアタシのか。
アタシが半分くらい食べてる頃にメグは1杯目完食。
「すいません…ラーメン、もう1杯お願いしますっ!!」
「ええ?!」
「だってさー、お腹すいちゃってっ♪」
アタシが1杯目を食べ終わった少し後にメグは2杯目を完食した。
改めてタクシーを拾い、寮に帰った。
タクシーを降りると、女子寮の玄関にはキュウが待っていてくれていた。
メグはそれに気づいていないみたいで、つまようじで口の中をイジっている。
「メグっ!!キュウ、待っててくれてるよ?」
「え?!」
「メグ…っ?」
するとメグは我に返り、つまようじをポイと捨てると、
何も見てないよね?と言いたげな顔で優雅に手を振って見せていた。
「なんかすっごくお腹すいちゃってー…病院の前の店でラーメン、2杯も食べちゃったっ♪」
「2杯…あ、梓紗は?」
『いやぁーアタシは1杯しか食べてませんよ?』
「だろーね」
「ちょっと、キュウそれどーいう意味よ?!」
「いやいやいや」
「なっがぁーい緊張から解放されると、急にお腹すくことってあるよねっ」
「うん、あぁーるぅ、ねぇ、うんある」
「味はいまいちだったけどね」
『味はいまいちなのに、2杯食べたからねこの人』
「最強だよね」
すると、キュウが身体中をかき回している。
待ってくれてる間に蚊に刺されたんだろう。
「何?かゆいの?」
「うん、かゆい」
「ああ、そう」
「あっ、ここ!ここ!!」
メグは部屋についたみたい。
アタシはメグの部屋の1個手前。
『あ、アタシの部屋も、こっち』
「じゃぁねーっぇ!!お、や、す、みぃーっ!!!」
メグは自己紹介の時のフリを「おやすみ」にあてはめてキュウに向けた。
「じゃあね、お、や、す、みぃっ!!」
『お、や、す、みぃっ!!!』
みんなで「おやすみ」をして、手を振って別れた。
キュウはまだ身体のあちこちがかゆいみたいで、かきながら帰って行った。
アタシはメグにもう1度「んじゃ、おやすみー」と言った。
メグは少し元気なさげに「おやすみ!!」と言ってドアノブを回そうとしていた。
アタシはちょっと気になったけど、何だかキュウは戻ってきてくれるような気がして、
部屋に入って行った。
部屋に戻ってベットにはぁーっと大きなため息をついて飛び込む。
すると、何だか手足が縛られてるような感覚に襲われた。
バッと腕を動かしてもあたりまえに繋がれてなどいない。
怖くて目を閉じると、走馬灯のように倉庫での不安が蘇る。
コレクターと亀田クンの悲劇がうずをまく。
恐怖と不安で身体が徐々に震えだしてきた。
そこに机の上に置いた携帯が大きなバイブ音でアタシを驚かせる。
発信は…リュウだ。
『りゅ、リュウっ?!』
「あ、梓紗、今キュウに2人が帰ったって聞いたから…」
『うん』
「今1人?」
『うん』
「1人で大丈夫?」
『だ、大丈夫じゃない!!さっきね、手足が縛られるような感じがしたし、
目を閉じると、カメラを向けられた瞬間が蘇るの…』
「僕の部屋、来るか?」
『い、行くっ!!』
「すぐ迎えに行くから、待ってて!!」
リュウはそれだけ言ってプチっと電話を切った。
リュウは5分も経たないうちに来てくれた。
「ごめん、待った?」
『ううん、全然。隣メグの部屋なんだけど、多分、キュウがいるんだ』
「そっか」
『仲良くていいよね、あの2人。似合ってる』
「…行くぞ」
『…?うん』
リュウの部屋に着くと、そこは物静かな部屋だった。
部屋に付属されてる家具以外はほとんど何もない状態だった。
『リュウの部屋、来た時と全然変わってないっ』
「そーいう梓紗は部屋に何か置いたの?」
『時計とか…まぁアタシもそれくらいかっ!!』
「だろ?」
すると、リュウの携帯が鳴った。
「…朝吹さんだ」
『え?』
「…出るよ?……はい」
何を言ってるのかは分からないけど、電話越しに朝吹さんの声がする。
リュウの顔が少し険しくなった。
『何?どーしたの?』
アタシは携帯に耳を近付けた。
【あれっ、もしかして今橘さんの部屋にいる?】
「いないけど」
【じゃあ天草クンの部屋に橘さんがいるの?】
「いるよ」
『なになにー?』
【え、嘘、それってもしかして邪魔しちゃった?】
『…えっ』
「ん、まぁそうかもしれない」
『ちょ、リュウ、何言ってんの!!」
「んで?話の続き」
【あ、そうそう、亀田殺しの重要なヒントを見つけたの】
「え?」『え?』
【あっ…ごめん、誰か来た。またあとで電話するね。
橘さんと、仲良くやってください♪】
そう言って朝吹さんは電話を切った。
亀田殺しの重要なヒントを見つけた?
『朝吹さん、アタシが電話を聞く前、何て言ってたの?』
「何?気になるの?」
『違うくて!!!』
「見せたいものがある…って言ってたけど」
『あ、それが亀田クン殺しの重要なヒントってコトか…』
すると、ドアの方からトントンとノックをする音がした。
『誰か、来たんじゃない?』
「うん」
リュウはゆっくりドアへ歩いて行く。
アタシもその後を追う。
ドアを開けるとそこに立っていたのは…「遠矢さん…?」
遠矢さんが申し訳なさそうに立っていた。
『え?遠矢さんっ?!』
「あ、え、すいません!突然お邪魔しちゃって…」
「いや、別に大丈夫なんだけど」
「いや、だって、橘さんと2人のとこに割って入るのは申し訳なくて…」
『ああー…アタシ、今日のコトが1人だと思いだして怖いから、
リュ、天草クンのトコにお邪魔してただけだからっ』
「や、え、す、すいません!…それで、またネット版に奇妙なメッセージがアップされてて…。
怖くなって…」
それを聞いて、早速ネット掲示板へとページを飛んだ。
すると【午後9時よりビックリ映像生中継】という書き込みとURLがアップされていた。
「9時より生中継…」
『9時って…もう9時なんじゃないの?」
リュウの時計を見ると、9時の少し前だった。
「…これ、放送部が使っている、映像配信アドレスだと思います…」
リュウがURLをクリックする。
黒画面に赤字で【某所より生中継中】と出てきた。
「梓紗、悪いんだけど、キュウに連絡してくれ」
『わ、分かった』
アタシは携帯を取り出して、キュウに発信した。
【もしもしっ】
『キュウ、コレクターがまた現れたの!!』
【え!!?】
パソコンでは画面が切り替わり、建物が映し出されている…廊下?少し見覚えが…。
「ここ、女子寮だわっ!!」
遠矢さんの一言で「そうだ」と確信した。
カメラはゆっくりと誰かの部屋へと向かっていく。
アタシはメグの部屋じゃないことだけを祈って画面を見ていた。
ノックをして、ドアが開く。
その部屋の女生徒の下半身のみが映し出される。
手招きをして、部屋の中へと案内しているのが見受けられる。
そして、部屋の奥の方まで来たかと思うとカメラと女生徒の距離が縮まっていく。
ずんっ、という音と同時に女生徒は倒れてしまった。
何…え?まさか、そんなはずないよね?
次に時計が映る…9時だ。
大きな音がしたかと思えばカメラは女生徒へと向けられる。
さっきとは体勢が違っていた。
足が伸び、しっかりと気をつけをして寝ている状態である。
足もとからゆっくりと上半身へとカメラが動く……!!!!
胸にクッションの上からナイフが刺されてある。
『い、いゃっ…!!』
「ひぃっ…」
遠矢さんも声が漏れていた。
リュウはアタシの頭を腕で覆ってくれた。
そしてゆっくりと顔の方へと向かっていく…や、う、あ…あ、あさ、
『朝吹さんっ…………!!!!』
*第4話*~ネットの恐怖から仲間を救え ③
次の日。
また亀田クンは欠席だった。
アタシ、メグ、朝吹さん、遠矢さん、富永クンの5人で朝吹さんの部屋に集まった。
「ぜぇったい佐久間が怪しいと思うんだよねぇー…アタシ、佐久間の周り徹底的にあらってみる!!」
「うん」
「俺、パソコン得意だし…そっち方面で」
『遠矢さんはどーするっ?』
「あ、…あたしは…」
「じゃあぁ…小椋絵美菜さんのコト調べてもらえるかなっ?!」
「はい、やってみます…」
「じゃあ、明日から本格的な捜査始めようっ。
キュウくんと天草クンには私と梓紗で報告しとく!!」
『あ、うん!!!』
話しが終わった後、メグと2人で校舎裏で2人に電話することに。
「じゃあ、私はキュウに電話するから、梓紗はリュウにお願い」
『おっけぇ』
メグが電話を始める、アタシもリュウに発信した。
メグの後ろ姿を見ながらアタシはリュウが電話に出るのを待つ。
後ろに人影を感じる。
アタシはメグの背中から視線をはずし、振り返る。
そこには、黒で統一された衣装をまとった人の姿が…。
コレクター?!
アタシは突然過ぎて動くことができず、身体を持ち上げられる。
『…やっ!!!』
「梓紗?!」
メグはアタシの声で振り返る。
薬品を嗅がされたみたいで意識が遠のく。
「梓紗?!…誰よ!!!」
少ししか残っていない意識でメグを見る。
すると、ドサッと音がして、メグがアタシの前に倒れる。
メグと、アタシとメグの携帯だけがアタシの視界に入った。
ゆっくりと目が覚めた。
アタシは…座っているみたいだ。
辺りは薄暗く、少しカビの臭いがする。
ここ…どこだ?
そっと顔を上げて周りの様子を伺った。
パッと横を見ると…メグがいた。
メグはまだ気を失っているみたいだった。
口にはテープが張られているし、手はイスに縛られている。
どうにかしてメグを起こそうと身体を動かしていたら、メグが目を覚ました。
アタシの存在に気付くと「ここどこ?」といった顔でアタシを見つめる。
アタシはただ頭を横に振るだけだった。
その時。
足音がした。
アタシとメグは音に気づき、ふと視線を前に向けると、
そこにいたのは…きっと、コレクターだ。
アタシ達が電話をしていた時、薬品をかがせた、アイツだ。
すり足でアタシらに近づいてくる。
恐怖で震えが止まらない。
声が出ない。
ただコレクターを見ることしかできなかった。
いや、あまりの威圧にコレクターから目をそらせなかった。
コレクターはアタシ達の前まで来ると、左折して、横にある黒幕に触った。
一瞬を切って思いっきり幕を開けたかと思うと、次に飛び込んできたのは…亀田クンだ。
亀田クンも口にテープを張られていて、上手くしゃべれていない。
少しだけ、声が漏れているだけ。
セットされてあったビデオの電源を入れる。
その近くにあったビンを手に持つ。
ダメ、ダメ、ダメ、ダメ、イヤだ、イヤだ、イヤだ!!!!
それで何をする気なの。
亀田クンを?メグを?……アタシを?
やめて、これ以上人殺しなんて…やめて。
何、なんなの。
何するの、それで、いやだ…!!!
コレクターはゆっくり亀田クンに近づく…ビンを持ったまま。
亀田クンの目の前に来ると、大きくビンを振りかぶり…。
ガシャアァッンっっっ
アタシは怖くて見られなかった。
次に見た亀田クンの姿は…頭から血が流れ、目に光が無かった。
メグの呼吸が荒い。
アタシはもう、震えが止まらなくてしょうがない。
コレクターはアタシ達の前を何事もなかったかのように素通りし、
セットしてあったカメラに手を伸ばす。
カメラを持ったコレクターが近付く。
きっとカメラにアタシ達を映しているんだろう。
やだ、やだよ、やめて、いや、死にたくない!!!
メグの呼吸が更に荒くなる。
声が漏れている。
アタシはもう、怖い、怖くてしょうがない。
すると、メグに歩み寄った。
「んっ!!!んっ!!!!!」
メグは必死に声を出している。
コレクターは黒の衣装から白い布を取り出した。
それをメグの鼻元まで持っていくとメグはすぐにガクンと首を寝せた。
何か強烈な薬品なのか。
アタシの鼻元にも持ってくるコレクター。
すると、今までしなかった強烈な匂いがアタシの脳を襲う。
一瞬にして意識が消えた――――――。
リュウ……―――――助けて。
梓紗とメグいない。
そう気づいた僕達はみんなを総動員して2人を探した。
1度何手かに分かれて校内を探すことに。
僕は1人で探すことになったが、探していた最中の記憶がない。
梓紗に何かあったのか…。
まさか…コレクター…?!
梓紗に何かあったら…僕は生きていけない。
ふと気付くと集合する時間になったので、決められた場所へと向かった。
途中でキンタと合流し、その場所へ着くとキュウがそわそわして1人でいた。
「キュウ!!!」
キンタが叫び、走り出す。
僕もとっさに走る。
「メグと梓紗の携帯がここに落ちてた!!」
キュウが持っていたのは間違いなく2人の携帯だ。
僕は自分の顔が硬直するのが分かった。
キュウも挙動不審になり、息遣いが荒かった。
「まさか…メグと梓紗…」
「何かあったんだ。7時だ、もうすぐ日が暮れる」
「早く見つけなきゃ…どこだよメグ…どこにいるんだよぉ」
キュウは気がおかしくなったように、回り始める。
こんなに冷静にキュウを見ていられる僕も、相当焦っている。
梓紗にもしものことがあったら…?
もしも…もしもってなんだよ。
もしものことなんて、僕が起こさせないから…無事でいてくれ…。
「おい、落ちつけ!!俺たちがオタオタしてどーする!!」
キュウが少し落ち着いたのが分かる。
「だめだ!!」
向こうから声がした。
走ってきたのは、富永、朝吹、遠矢だ。
この3人も途中で合流したのだろう。
「美南さん…橘さん…どこにも見当たらない…」
「ねぇ、一体どーいうコトなの?」
「彼女、もしかして誰かに拉致、されたのかもしれない…!!」
「昨日姿を消した亀田も」
「亀田も?!」
「彼の部屋から、連れ去られた痕跡があったんだ」
「コレクターの仕業…?!まさか、本当にいたの?!」
朝吹さんが【コレクター】と発した瞬間、不安が怒りに変わった。
コレクターなのか?
だからって、何で梓紗なんだよ。
どうして…転校生なんかを狙うんだよ…。
「早く2人を見つけなきゃ、大変なコトになるかもしれない!!」
「…あ、そうだ」
冨永が思いついたように口を開いた。
「学院のネット掲示板を見れば、何かわかんじゃないのかな?」
僕達は急いでパソコンへと向かった。
すぐに掲示板を開くと、新しいスレが入っていた。
「掲示板に動画が貼り付けてある…」
キュウは動画へつながるURLをクリックした。
そこに出てきたのは…黒画面に赤字の「…殺人シアター……」。
そこには亀田が黒衣装を着た何者かにビンで殴られている。
破片が飛び散ったところを見ても、本当に殴っているようだ。
亀田の顔は下を向いたまま、動く術がないようだった。
周りの息をのむ音が聞こえてきた。
画面が一度黒くなり、次に映ったのは…メグ。
「メグっ!!」
画面にはメグしか映っていないが、かすかに映る制服のスカート。
「あ、梓紗!!」
「え?」
「このスカート…梓紗じゃないのか?」
「本当だ!」
「まさか…美南さんと橘さんまで?!」
カメラはメグへと近づいていく。
梓紗の姿は映らなくなってしまった。
メグの目がカメラを向けていると思われるコレクターに向けられている。
「場所はどこだよ、どこだよ!!」
「学校の外かな?」
「いや、拉致されたのが校内なら白昼外に連れ出すのは難しいし、
1度に2人もの人間を運ぶことは簡単ではない。
2回に分けたと考えたとしても、1人残ってしまうからそう遠くには行けないはず…
学校の中のどこかだ」
キュウが動画を巻き戻している。
何か手掛かりになるものを…。
「学校の時計台…」
キュウが見つけたのは、亀田が殴られる直前の背景に時計台があることだ。
時計の針が…7時を射している。
「7時…ちょうどアタシ達が合流した頃よ!」
朝吹がそう言った次の瞬間、キュウは走り出した。
僕も同時に走りだす。
時計台に着いたことは、7時を15分程過ぎていた。
僕は梓紗が連れ去られていると思われる場所を必死で探す。
「どこだ、どこからこの時計台を…」
あ、あそこか?!
「アレだ!!角度からしてあそこだ」
「体育館の倉庫だ!」
僕達は一気に走りだす。
長い廊下を駆け抜け、富永の言う体育館の倉庫へと向かう。
少し走ったところに体育館の倉庫はあった。
キュウが勢いよく扉を開けた。
「メグ!!!!」
「梓紗!!!!」
僕は梓紗が無事でいてくれることだけを望んでいて、
他は何も考えられなかった。
進んでいくとグッタリとしているメグと梓紗の姿が飛び込んできた。
「あ…梓紗!!!!!」
「メグ!!」
梓紗の元へ駆け寄る。
ダメだ、梓紗…梓紗、梓紗!!
「梓紗、しっかりしろ、大丈夫か?!梓紗!!」
僕は必死になって梓紗の肩をゆする。
すると、すぐに梓紗は目を覚ました。
少し瞳が潤んでいるのが分かった。
口に貼られてたテープをゆっくり剥がす。
隣ではメグも目を覚ましたようだった。
『あ、…リュ、リュウ…』
「だい、大丈夫か?!」
『大丈夫だよ、薬品嗅がされただけだと思うし…』
強がっているように言った梓紗の肩は震えていた。
いてもたってもいられなくなった僕はふいに抱きしめてしまった。
「ああ、もう、本当に心配させるな…
梓紗がいなくなったら僕…本当にどうしようかと…」
『ごめん、ありがとう…』
「無事ならそれでいいよ」
僕の腕から解放された梓紗は小さな笑顔を浮かべていた。
でも、目の潤みは消えていなかった。
『リュウ、ありがとう…ごめんね』
僕が泣きそうになった。
次の日。
また亀田クンは欠席だった。
アタシ、メグ、朝吹さん、遠矢さん、富永クンの5人で朝吹さんの部屋に集まった。
「ぜぇったい佐久間が怪しいと思うんだよねぇー…アタシ、佐久間の周り徹底的にあらってみる!!」
「うん」
「俺、パソコン得意だし…そっち方面で」
『遠矢さんはどーするっ?』
「あ、…あたしは…」
「じゃあぁ…小椋絵美菜さんのコト調べてもらえるかなっ?!」
「はい、やってみます…」
「じゃあ、明日から本格的な捜査始めようっ。
キュウくんと天草クンには私と梓紗で報告しとく!!」
『あ、うん!!!』
話しが終わった後、メグと2人で校舎裏で2人に電話することに。
「じゃあ、私はキュウに電話するから、梓紗はリュウにお願い」
『おっけぇ』
メグが電話を始める、アタシもリュウに発信した。
メグの後ろ姿を見ながらアタシはリュウが電話に出るのを待つ。
後ろに人影を感じる。
アタシはメグの背中から視線をはずし、振り返る。
そこには、黒で統一された衣装をまとった人の姿が…。
コレクター?!
アタシは突然過ぎて動くことができず、身体を持ち上げられる。
『…やっ!!!』
「梓紗?!」
メグはアタシの声で振り返る。
薬品を嗅がされたみたいで意識が遠のく。
「梓紗?!…誰よ!!!」
少ししか残っていない意識でメグを見る。
すると、ドサッと音がして、メグがアタシの前に倒れる。
メグと、アタシとメグの携帯だけがアタシの視界に入った。
ゆっくりと目が覚めた。
アタシは…座っているみたいだ。
辺りは薄暗く、少しカビの臭いがする。
ここ…どこだ?
そっと顔を上げて周りの様子を伺った。
パッと横を見ると…メグがいた。
メグはまだ気を失っているみたいだった。
口にはテープが張られているし、手はイスに縛られている。
どうにかしてメグを起こそうと身体を動かしていたら、メグが目を覚ました。
アタシの存在に気付くと「ここどこ?」といった顔でアタシを見つめる。
アタシはただ頭を横に振るだけだった。
その時。
足音がした。
アタシとメグは音に気づき、ふと視線を前に向けると、
そこにいたのは…きっと、コレクターだ。
アタシ達が電話をしていた時、薬品をかがせた、アイツだ。
すり足でアタシらに近づいてくる。
恐怖で震えが止まらない。
声が出ない。
ただコレクターを見ることしかできなかった。
いや、あまりの威圧にコレクターから目をそらせなかった。
コレクターはアタシ達の前まで来ると、左折して、横にある黒幕に触った。
一瞬を切って思いっきり幕を開けたかと思うと、次に飛び込んできたのは…亀田クンだ。
亀田クンも口にテープを張られていて、上手くしゃべれていない。
少しだけ、声が漏れているだけ。
セットされてあったビデオの電源を入れる。
その近くにあったビンを手に持つ。
ダメ、ダメ、ダメ、ダメ、イヤだ、イヤだ、イヤだ!!!!
それで何をする気なの。
亀田クンを?メグを?……アタシを?
やめて、これ以上人殺しなんて…やめて。
何、なんなの。
何するの、それで、いやだ…!!!
コレクターはゆっくり亀田クンに近づく…ビンを持ったまま。
亀田クンの目の前に来ると、大きくビンを振りかぶり…。
ガシャアァッンっっっ
アタシは怖くて見られなかった。
次に見た亀田クンの姿は…頭から血が流れ、目に光が無かった。
メグの呼吸が荒い。
アタシはもう、震えが止まらなくてしょうがない。
コレクターはアタシ達の前を何事もなかったかのように素通りし、
セットしてあったカメラに手を伸ばす。
カメラを持ったコレクターが近付く。
きっとカメラにアタシ達を映しているんだろう。
やだ、やだよ、やめて、いや、死にたくない!!!
メグの呼吸が更に荒くなる。
声が漏れている。
アタシはもう、怖い、怖くてしょうがない。
すると、メグに歩み寄った。
「んっ!!!んっ!!!!!」
メグは必死に声を出している。
コレクターは黒の衣装から白い布を取り出した。
それをメグの鼻元まで持っていくとメグはすぐにガクンと首を寝せた。
何か強烈な薬品なのか。
アタシの鼻元にも持ってくるコレクター。
すると、今までしなかった強烈な匂いがアタシの脳を襲う。
一瞬にして意識が消えた――――――。
リュウ……―――――助けて。
梓紗とメグいない。
そう気づいた僕達はみんなを総動員して2人を探した。
1度何手かに分かれて校内を探すことに。
僕は1人で探すことになったが、探していた最中の記憶がない。
梓紗に何かあったのか…。
まさか…コレクター…?!
梓紗に何かあったら…僕は生きていけない。
ふと気付くと集合する時間になったので、決められた場所へと向かった。
途中でキンタと合流し、その場所へ着くとキュウがそわそわして1人でいた。
「キュウ!!!」
キンタが叫び、走り出す。
僕もとっさに走る。
「メグと梓紗の携帯がここに落ちてた!!」
キュウが持っていたのは間違いなく2人の携帯だ。
僕は自分の顔が硬直するのが分かった。
キュウも挙動不審になり、息遣いが荒かった。
「まさか…メグと梓紗…」
「何かあったんだ。7時だ、もうすぐ日が暮れる」
「早く見つけなきゃ…どこだよメグ…どこにいるんだよぉ」
キュウは気がおかしくなったように、回り始める。
こんなに冷静にキュウを見ていられる僕も、相当焦っている。
梓紗にもしものことがあったら…?
もしも…もしもってなんだよ。
もしものことなんて、僕が起こさせないから…無事でいてくれ…。
「おい、落ちつけ!!俺たちがオタオタしてどーする!!」
キュウが少し落ち着いたのが分かる。
「だめだ!!」
向こうから声がした。
走ってきたのは、富永、朝吹、遠矢だ。
この3人も途中で合流したのだろう。
「美南さん…橘さん…どこにも見当たらない…」
「ねぇ、一体どーいうコトなの?」
「彼女、もしかして誰かに拉致、されたのかもしれない…!!」
「昨日姿を消した亀田も」
「亀田も?!」
「彼の部屋から、連れ去られた痕跡があったんだ」
「コレクターの仕業…?!まさか、本当にいたの?!」
朝吹さんが【コレクター】と発した瞬間、不安が怒りに変わった。
コレクターなのか?
だからって、何で梓紗なんだよ。
どうして…転校生なんかを狙うんだよ…。
「早く2人を見つけなきゃ、大変なコトになるかもしれない!!」
「…あ、そうだ」
冨永が思いついたように口を開いた。
「学院のネット掲示板を見れば、何かわかんじゃないのかな?」
僕達は急いでパソコンへと向かった。
すぐに掲示板を開くと、新しいスレが入っていた。
「掲示板に動画が貼り付けてある…」
キュウは動画へつながるURLをクリックした。
そこに出てきたのは…黒画面に赤字の「…殺人シアター……」。
そこには亀田が黒衣装を着た何者かにビンで殴られている。
破片が飛び散ったところを見ても、本当に殴っているようだ。
亀田の顔は下を向いたまま、動く術がないようだった。
周りの息をのむ音が聞こえてきた。
画面が一度黒くなり、次に映ったのは…メグ。
「メグっ!!」
画面にはメグしか映っていないが、かすかに映る制服のスカート。
「あ、梓紗!!」
「え?」
「このスカート…梓紗じゃないのか?」
「本当だ!」
「まさか…美南さんと橘さんまで?!」
カメラはメグへと近づいていく。
梓紗の姿は映らなくなってしまった。
メグの目がカメラを向けていると思われるコレクターに向けられている。
「場所はどこだよ、どこだよ!!」
「学校の外かな?」
「いや、拉致されたのが校内なら白昼外に連れ出すのは難しいし、
1度に2人もの人間を運ぶことは簡単ではない。
2回に分けたと考えたとしても、1人残ってしまうからそう遠くには行けないはず…
学校の中のどこかだ」
キュウが動画を巻き戻している。
何か手掛かりになるものを…。
「学校の時計台…」
キュウが見つけたのは、亀田が殴られる直前の背景に時計台があることだ。
時計の針が…7時を射している。
「7時…ちょうどアタシ達が合流した頃よ!」
朝吹がそう言った次の瞬間、キュウは走り出した。
僕も同時に走りだす。
時計台に着いたことは、7時を15分程過ぎていた。
僕は梓紗が連れ去られていると思われる場所を必死で探す。
「どこだ、どこからこの時計台を…」
あ、あそこか?!
「アレだ!!角度からしてあそこだ」
「体育館の倉庫だ!」
僕達は一気に走りだす。
長い廊下を駆け抜け、富永の言う体育館の倉庫へと向かう。
少し走ったところに体育館の倉庫はあった。
キュウが勢いよく扉を開けた。
「メグ!!!!」
「梓紗!!!!」
僕は梓紗が無事でいてくれることだけを望んでいて、
他は何も考えられなかった。
進んでいくとグッタリとしているメグと梓紗の姿が飛び込んできた。
「あ…梓紗!!!!!」
「メグ!!」
梓紗の元へ駆け寄る。
ダメだ、梓紗…梓紗、梓紗!!
「梓紗、しっかりしろ、大丈夫か?!梓紗!!」
僕は必死になって梓紗の肩をゆする。
すると、すぐに梓紗は目を覚ました。
少し瞳が潤んでいるのが分かった。
口に貼られてたテープをゆっくり剥がす。
隣ではメグも目を覚ましたようだった。
『あ、…リュ、リュウ…』
「だい、大丈夫か?!」
『大丈夫だよ、薬品嗅がされただけだと思うし…』
強がっているように言った梓紗の肩は震えていた。
いてもたってもいられなくなった僕はふいに抱きしめてしまった。
「ああ、もう、本当に心配させるな…
梓紗がいなくなったら僕…本当にどうしようかと…」
『ごめん、ありがとう…』
「無事ならそれでいいよ」
僕の腕から解放された梓紗は小さな笑顔を浮かべていた。
でも、目の潤みは消えていなかった。
『リュウ、ありがとう…ごめんね』
僕が泣きそうになった。
*第4話*~ネットの恐怖から仲間を救え ②
教室に戻ると人影は少なく、静かな空間が広がっていた。
アタシ達はそれぞれ自分の席へと向った時、1人の男子が話しかけてきた。
「なんだよぉ、転校生同士でつるんでどこ行ってたんだよ」
アタシ達は少し愛想笑いを浮かべた。
だって、そんなコト聞かれたってどうしようもないじゃん!!!
「俺、クラス委員の富永。何かわかんないコトあったらさ、何でも聞いてよ!!」
「うん、ありがとう」
「んでーこっちが」
すると富永クンは隣にいる女子に手を向ける。
あ、さっき冨永クンと一緒に教室入ってくるのが少し見えた!!
「女子のクラス委員の…」
「ととと、遠矢、邦子です。どうぞ、よろしくお願いします!!!」
遠矢さんは深々と頭を下げた。
『え、いや、こっちの方こそよろしくお願いします!!!』
アタシ達はいてもたってもいられなく、頭を下げる。
「なぁーにかたっくるしい挨拶してんのよぉ!!!」
髪が長く、元気のいいコが入ってきた。
「あたし、朝吹麻耶!!よろしくねっ!!」
そう言って朝吹さんはキュウに手を差し伸べる。
握手を望んでいるのだろう。
「お願いします!!」キュウが握手する。
「どうも」メグとも握手をする。
『よろしくね』アタシとも握手をしてくれた。
と、アタシの手を掴んだまま黒板の方へと連れて行かれる。
「ねぇ、梓紗ってさ、天草クンと知り合いなの?!」
『えー…いや、知り合いっていうか、さっき会ったばっかりだし…。
転校生同士だから、ちょっと話すくらいだよ』
「彼、彼女とかいるかなぁ…?いるよねーあの美貌だし…普通。頭もいいしさぁー…」
『ど、どうかなぁ…』
「彼、次のテストで間違いなくトップとるわよ」
…嘘。
リュウ、そんなに?!
しかも朝吹さん、リュウのコト好きみたいな感じだし。
「亀田、次のテスト楽しみだね」
朝吹さんは前の席に座っている亀田クンに話しかけた。
亀田クンが振り返らず「せやなぁ、小椋が姿消してもーてから競う相手がおらへんで退屈してたんや」と、
呟いて教科書、ノートを片づけたかと思うと、それを持って立ち上がり、
「久々にやる気出てきたわ」と言い教室を出て行ってしまった。
亀田クンが出て行ったあとの教室は静かな空気が流れた。
『小椋さんって誰?』
「ああ…小椋絵美菜っていってこの学校でずっと成績トップだった子。
1ヶ月前、突然学校から姿消したの!!」
「亀田の奴、小椋がいた頃は敵意むき出しだったもんな」
「そう、絵美菜の失踪に亀田が関わってるんじゃないか、って噂になったくらいだもんね」
「や、やっぱり…絵美菜はコレクターに殺されたんだよ」
「冨永またその話?!」
「でもネットじゃぁ、すげぇ話題になってんだぜ」
「ね、殺されたってどーいうコト?」
キュウがすかさず聞く。
「うちの学校に通ってる生徒がコレクターっていう殺人気に殺されたって
話題がネットですげぇ広がってんだ…」
キュウの顔つきが変わるのが分かる。
「しかも、その殺人ビデオ…見た奴もいるらしいんだ」
「らしいって…実際に見た人はいないの?」
「まぁね…でも先週うちの3年が、学校で何者かに殺されかけて
ショックなあまり学校退学しちゃったんだぜ」
「あれは、コレクターを真似た誰かの悪質ないたずらよ」
「いや、コレクターは絶対この学校にいるって!!!」
冨永クンと朝吹さんは少しケンカ口調になってきている。
アタシはこの空気を変えたくて仕方無かったので切り替えてみることに。
『と、遠矢さんは?どー思う??』
「あたしは…、わかりません…」
「でも、もし本当にそんなクレイジーな殺人鬼いるとしたら、考えられるのはあの人ね」
朝吹さんは口を開いた。
……あの人?
「誰?あの人って」
メグが疑問を口にした。
アタシも聞こうと思っていたので、相槌をする。
「放課後、嫌でも会えるよ」
冨永クンはすごく嫌そうな顔をして答えてくれた。
やっぱり、キュウはさっきから顔付きが変わったままだった。
「梓紗!!!」
放課後、アタシは特にするコトもなく、廊下をうろついていたらキュウに話しかけられる。
『キュウ?あ、リュウもいんじゃん、何??』
「放課後、梓紗って女子寮に行くよね?」
『あ、そっか。そうだね、たぶん行くと思う…』
「そのことなんだけど…急で悪いんだけど、梓紗も一緒に男子寮に来てくれないかな?」
『…はっ?!』
「いや、その後ちゃんと女子寮に送るんだけど、挨拶の時だけ来てほしいんだ」
『いいけど…男子寮に女子が入ってもいいの?』
「い…いのかなぁ?僕、その辺はまだ聞いてないんだけど」
「いいってさ。僕がさっき冨永クンに聞いてきた」
『うっわぁ、リュウ準備いいなー』
と言ってアタシはキュウを少し見た。
「じゃじゃ、じゃあ決定ね!!!今から行くけど…いい?」
『うん』
「じゃあ行こう」
アタシ達3人は冨永クンに連れられて男子寮へと向かう。
ああ、いまだに罪悪感がある…。
女子のアタシが入って明日から変態呼ばわりされないか…とか。
って、リュウに言ったら「それはない」って笑いながら言われた。
キュウにいたっては「梓紗、考えすぎだから。男女の行き来は普通らしいよ」だって。
どこで入れて来たんだ、その情報。
「これからぁー…うちの寮長紹介するよ」
冨永クンは愛想よく言ってくれた。
そして1つのドアの前に立ち止まると、大きく深呼吸をしノックをした。
「佐久間さん?!あ…転校生連れてきました!!!」
とだけ言い終わると、アタシ達に「前へ前へ」と言いたげな素振りをし、
「失礼しましたー」とそそくさとその場を後にしてしまった。
ドアのすりガラスの奥に見えるのは、茶髪で黒のTシャツを来てる…寮長さん。
ドアが開く。
見えたのは、やっぱり茶髪に黒のTシャツ。
読みが外れていたのは…ビデオカメラを持っていたこと。
ずっとアタシ達にカメラを向けている。
アタシら3人を順番に映してから「3年生の佐久間です…よろしく!」と挨拶してくれた。
「どーも」キュウが言う。
リュウが頭を下げる。
アタシも『どーも』と頭を下げた。
すると、佐久間さんはアタシを見て
「あれ?何で女の子がいんの?しかも可愛いーし…男子寮に入るの!」
『あっ、違います!!あの…見学というか…入ってもいいみたいだったので…』
「何?どっちかの彼女ですか?!」
『…え?』
「ち、違います」
「違います」
2人はすっぱりと否定した。
そんなに断固拒否しなくても…よくない?
と、ふと部屋の中を見れば、そこには骸骨やら傷ついた女の人の写真やらがあった。
そのアタシ達の目線に気付いた佐久間さんが言った。
「僕のぉ…コ、コレクション、興味ある?」
と言ってアタシの後れ髪をクルクルと触った。
『え、えっと…』
「僕のコレクションに…入る?!」
『えっ?!』
リュウは佐久間さんの腕を静かにどけた。
それをされた佐久間さんは「ぉぉ…」と手を離す。
「僕は…怖い、ですねぇ…」
「じゃぁ案内するよ!!!」
キュウの言葉にイラッとしたのか大声で言った。
終いには嫌味っぽくリュウに息を吐きかけた。
それに少しも動じないリュウもリュウですごいと思うけど。
「ねぇ天草クン」
佐久間さんは後ろ歩きでアタシ達を撮りながら部屋を案内する。
「もう学校中の噂になってるよ、すげぇ秀才が入学してきたぁ!!って」
「…どういうことですか?」
リュウがそっと聞いた。
「うちの生徒全員1人1台ずつパソコン持ってて、寮の部屋に入ると必ず掲示板をチェ――ックすんのっ
…気をつけた方がいいよ!」
「気をつけた方がいいっていうのは?」
キュウが無理矢理ビデオカメラに映ろうとリュウによる。
「頭のいい奴らは優遇されるけどー…憎まれもする。
…失踪した小椋絵美菜っていう1年生もそうだった」
そう言った佐久間さんの顔はどことなく切なそうに感じたのは…気のせいだろうか。
1つの部屋の前まで来る。
佐久間さんは何も言わずに入って行った。
それにつられてアタシ達3人も中に入る。
「これが天草ル――ッム!!!!」
キュウは笑顔であちこち見まわしてる。
リュウとキュウはベットの横にバックを置いていた。
アタシはすぐに帰る予定だったから持ったまま。
するとキュウは勢いよくリュウのベットにダイブした。
思ったより固ったのか、痛がっていた。
「い、いいね、気持ちいいね、これ、いいよ」
キュウは強がって言う。
『ばぁーか』
「誰か入ったのかな…?」
佐久間さんの方を見ると、撮影するのをやめてパソコンを見る。
その言葉にアタシ達はパソコンの前に集まる。
佐久間さんがパソコンを操作すると黒画面に赤文字で【コレクター】が出てきた。
『…コレ、クター…?』
すると動画が流れ始める。
イスに縛られた女の人が目の前にいる人にチェンソーを向けられて怯えている。
手もつながれていて声も出ない様子だ。
「まさか、これ、殺人ビデオ?!」
「いや。これはただの映画のワンシーンだ。確か…【変態民族連続100人殺し】。
1990年に作られたインディーズのC級映画だ」
「でも…誰がこんなイタズラを…?」
『すごく凝ってるよね…』
「早速誰かくいついてきたな、楽しみだねっ!!…これから」
佐久間さんがリュウの耳元で言う。
アタシはその後女子寮へ行き、寮長の部屋を訪問しろとのことだったので行ってみた。
「はい」と言って出てきたのは遠矢さんだった。
『女子寮の寮長って遠矢さんだったんだぁー』
「はい、それ、美南さんにも言われました」
『あ、そーなの?』
「は、はい!!!」
『そっかぁー…よろしくね!!』
「あ、よろしくお願いします!!…あ、ここです!!隣は美南さんです」
『ありがとう』
メグの部屋をチラと見る。
その奥には【小椋絵美菜】と書かれていたのがなんとなく見えた。
『突然で悪いんだけど…小椋さんってどんな人だったの?』
「すごく…素敵な人でした…。頭がいいだけじゃなく、誰にでも優しく…クラスの人気者でした!!」
『そんな人だったんだぁ…』
「ただ、彼女、家のことでは随分悩んでたみたいで…」
『家のこと?たとえば?』
「家が厳しくて自由がない、ってよくぼやいてました」
『遠矢さんって小椋さんと親しかったんだねぇ…』
アタシはそう言うと、遠矢さんは少しボーッとしてから、慌てたように急いで言った。
「あ、いえ!!!特にそういう間柄じゃ!!!失礼しますっ」
遠矢さんは深く一礼してから部屋へ戻ってしまった。
…何か触れちゃいけないトコに触れちゃったかな?
部屋に入って携帯を見ると、メールが着信されてあった。
…リュウからだ。
【午後8時に女子寮に迎えに行くから、外まで出てきて。
僕のパソコンにあった指紋をとったから教室まで検証しに行こうと思って…来てくれる?
ちなみにキュウとメグ、キンタもいるけど】
リュウからのメールなんて久しぶりすぎて、すぐに返信を送った。
【行くっ♪8時ね、了解】
夜、8時少し前に部屋を出たらメグも丁度部屋から出てきた。
『メグっ』
「あ、梓紗、行こう!!」
『うん』
「ねぇ、アタシ、ただ8時に女子寮の外にってキュウからメール来たんだけど、
なんで?理由が書いてなかったの」
『アタシね、女子寮に来る前に2人にくっついて男子寮に行ってきたの』
「え?!そーなの?!」
『うん、で、リュウの部屋のパソコンに殺人ビデオじゃないんだけど、
ある映画の殺人シーンみたいな動画が貼り付けられてて…』
「あ、それが誰なのか検証しに行くの?」
『そうそう、メグ話早いなー…』
外に出ると、3人がいた。
「行こう」
学校の中への潜入はあっさりできた。
教室までの廊下を5人で歩く。
「リュウのパソコンに殺人ビデオねぇー…」
メグが呟いた。
「キーボードやマウスから、犯人の指紋らしきものがとれた…」
「あとは教室の中の指紋と照合するだけだね」
「…え?!まさか、これから全部調べるのか!?」
『まっさかぁー』
「その心配はないよ。もう犯人の目星はついてる」
教室に入って真っ先に向かったのは…やっぱり亀田クンの机。
「この机…あの亀田って人のだ」
リュウは着々と指紋の照合を始める。
パソコンで検証したところ、見事に…MATCH
「間違いない、僕のパソコンにイタズラしたのは亀田だ」
次の日。
アタシ達は平然と授業に参加した。
「えー…今日は37ページの構成関数から始めます」
先生が授業を始めようとした時、キュウは手を挙げた。
「あのっ、先生!!」
「何?」
「亀田クンの姿が…見えないんですけど」
「出席簿に欠席届が挟まってたわ。風邪をひいたから休むって」
昼休み、アタシとメグ、朝吹さん遠矢さんで一緒に昼食をとった。
「コレクターをつきとめる?!」
「私、探偵小説とかすっごく興味あってさぁ、昨日の話聞いたら興味もっちゃって…」
『だよね?アタシも!!!アタシもそーいうのすごい好きなんだ!!』
「だよねー!!!やらない??」
「でも…何かあったらヤバくない…?」
「僕もー良かったら手伝うよ」
隣のテーブルに座ってるキュウが話しかけてくる。
これは偶然ではなく、作戦。
「俺も参加するよ、何か楽しそうだし」
冨永クンも話にのってくれた。
「え、ええ――っ!!」
朝吹さんはうなだれている。
『ね、遠矢さんも一緒にやってみない??』
すると、遠矢さんはコクリと頷いてくれた。
「天草クンもどう?」
キュウが尋ねる。
あ、天草クンだって…転校生っていう設定、大変だね…。
「僕も暇だし…手伝ってもいいよ」
といい終わったリュウは本を閉じ、朝吹さんを見つめた。
すると、パアッと笑顔になった朝吹さんは「アタシもやるっ!!」と小さく手を挙げて言った。
メグはその2人の様子を見て慌てているように見えた。
アタシもビックリだよ、リュウがそんなコトするなんて…。
その次にアタシを見て「ええ?」っとずっと小言で言っていた。
なんでアタシを見るかな…
「あ、梓紗?い、いいの?」
『…何がよ』
「いや…ううん、なんでも」
教室に戻ると人影は少なく、静かな空間が広がっていた。
アタシ達はそれぞれ自分の席へと向った時、1人の男子が話しかけてきた。
「なんだよぉ、転校生同士でつるんでどこ行ってたんだよ」
アタシ達は少し愛想笑いを浮かべた。
だって、そんなコト聞かれたってどうしようもないじゃん!!!
「俺、クラス委員の富永。何かわかんないコトあったらさ、何でも聞いてよ!!」
「うん、ありがとう」
「んでーこっちが」
すると富永クンは隣にいる女子に手を向ける。
あ、さっき冨永クンと一緒に教室入ってくるのが少し見えた!!
「女子のクラス委員の…」
「ととと、遠矢、邦子です。どうぞ、よろしくお願いします!!!」
遠矢さんは深々と頭を下げた。
『え、いや、こっちの方こそよろしくお願いします!!!』
アタシ達はいてもたってもいられなく、頭を下げる。
「なぁーにかたっくるしい挨拶してんのよぉ!!!」
髪が長く、元気のいいコが入ってきた。
「あたし、朝吹麻耶!!よろしくねっ!!」
そう言って朝吹さんはキュウに手を差し伸べる。
握手を望んでいるのだろう。
「お願いします!!」キュウが握手する。
「どうも」メグとも握手をする。
『よろしくね』アタシとも握手をしてくれた。
と、アタシの手を掴んだまま黒板の方へと連れて行かれる。
「ねぇ、梓紗ってさ、天草クンと知り合いなの?!」
『えー…いや、知り合いっていうか、さっき会ったばっかりだし…。
転校生同士だから、ちょっと話すくらいだよ』
「彼、彼女とかいるかなぁ…?いるよねーあの美貌だし…普通。頭もいいしさぁー…」
『ど、どうかなぁ…』
「彼、次のテストで間違いなくトップとるわよ」
…嘘。
リュウ、そんなに?!
しかも朝吹さん、リュウのコト好きみたいな感じだし。
「亀田、次のテスト楽しみだね」
朝吹さんは前の席に座っている亀田クンに話しかけた。
亀田クンが振り返らず「せやなぁ、小椋が姿消してもーてから競う相手がおらへんで退屈してたんや」と、
呟いて教科書、ノートを片づけたかと思うと、それを持って立ち上がり、
「久々にやる気出てきたわ」と言い教室を出て行ってしまった。
亀田クンが出て行ったあとの教室は静かな空気が流れた。
『小椋さんって誰?』
「ああ…小椋絵美菜っていってこの学校でずっと成績トップだった子。
1ヶ月前、突然学校から姿消したの!!」
「亀田の奴、小椋がいた頃は敵意むき出しだったもんな」
「そう、絵美菜の失踪に亀田が関わってるんじゃないか、って噂になったくらいだもんね」
「や、やっぱり…絵美菜はコレクターに殺されたんだよ」
「冨永またその話?!」
「でもネットじゃぁ、すげぇ話題になってんだぜ」
「ね、殺されたってどーいうコト?」
キュウがすかさず聞く。
「うちの学校に通ってる生徒がコレクターっていう殺人気に殺されたって
話題がネットですげぇ広がってんだ…」
キュウの顔つきが変わるのが分かる。
「しかも、その殺人ビデオ…見た奴もいるらしいんだ」
「らしいって…実際に見た人はいないの?」
「まぁね…でも先週うちの3年が、学校で何者かに殺されかけて
ショックなあまり学校退学しちゃったんだぜ」
「あれは、コレクターを真似た誰かの悪質ないたずらよ」
「いや、コレクターは絶対この学校にいるって!!!」
冨永クンと朝吹さんは少しケンカ口調になってきている。
アタシはこの空気を変えたくて仕方無かったので切り替えてみることに。
『と、遠矢さんは?どー思う??』
「あたしは…、わかりません…」
「でも、もし本当にそんなクレイジーな殺人鬼いるとしたら、考えられるのはあの人ね」
朝吹さんは口を開いた。
……あの人?
「誰?あの人って」
メグが疑問を口にした。
アタシも聞こうと思っていたので、相槌をする。
「放課後、嫌でも会えるよ」
冨永クンはすごく嫌そうな顔をして答えてくれた。
やっぱり、キュウはさっきから顔付きが変わったままだった。
「梓紗!!!」
放課後、アタシは特にするコトもなく、廊下をうろついていたらキュウに話しかけられる。
『キュウ?あ、リュウもいんじゃん、何??』
「放課後、梓紗って女子寮に行くよね?」
『あ、そっか。そうだね、たぶん行くと思う…』
「そのことなんだけど…急で悪いんだけど、梓紗も一緒に男子寮に来てくれないかな?」
『…はっ?!』
「いや、その後ちゃんと女子寮に送るんだけど、挨拶の時だけ来てほしいんだ」
『いいけど…男子寮に女子が入ってもいいの?』
「い…いのかなぁ?僕、その辺はまだ聞いてないんだけど」
「いいってさ。僕がさっき冨永クンに聞いてきた」
『うっわぁ、リュウ準備いいなー』
と言ってアタシはキュウを少し見た。
「じゃじゃ、じゃあ決定ね!!!今から行くけど…いい?」
『うん』
「じゃあ行こう」
アタシ達3人は冨永クンに連れられて男子寮へと向かう。
ああ、いまだに罪悪感がある…。
女子のアタシが入って明日から変態呼ばわりされないか…とか。
って、リュウに言ったら「それはない」って笑いながら言われた。
キュウにいたっては「梓紗、考えすぎだから。男女の行き来は普通らしいよ」だって。
どこで入れて来たんだ、その情報。
「これからぁー…うちの寮長紹介するよ」
冨永クンは愛想よく言ってくれた。
そして1つのドアの前に立ち止まると、大きく深呼吸をしノックをした。
「佐久間さん?!あ…転校生連れてきました!!!」
とだけ言い終わると、アタシ達に「前へ前へ」と言いたげな素振りをし、
「失礼しましたー」とそそくさとその場を後にしてしまった。
ドアのすりガラスの奥に見えるのは、茶髪で黒のTシャツを来てる…寮長さん。
ドアが開く。
見えたのは、やっぱり茶髪に黒のTシャツ。
読みが外れていたのは…ビデオカメラを持っていたこと。
ずっとアタシ達にカメラを向けている。
アタシら3人を順番に映してから「3年生の佐久間です…よろしく!」と挨拶してくれた。
「どーも」キュウが言う。
リュウが頭を下げる。
アタシも『どーも』と頭を下げた。
すると、佐久間さんはアタシを見て
「あれ?何で女の子がいんの?しかも可愛いーし…男子寮に入るの!」
『あっ、違います!!あの…見学というか…入ってもいいみたいだったので…』
「何?どっちかの彼女ですか?!」
『…え?』
「ち、違います」
「違います」
2人はすっぱりと否定した。
そんなに断固拒否しなくても…よくない?
と、ふと部屋の中を見れば、そこには骸骨やら傷ついた女の人の写真やらがあった。
そのアタシ達の目線に気付いた佐久間さんが言った。
「僕のぉ…コ、コレクション、興味ある?」
と言ってアタシの後れ髪をクルクルと触った。
『え、えっと…』
「僕のコレクションに…入る?!」
『えっ?!』
リュウは佐久間さんの腕を静かにどけた。
それをされた佐久間さんは「ぉぉ…」と手を離す。
「僕は…怖い、ですねぇ…」
「じゃぁ案内するよ!!!」
キュウの言葉にイラッとしたのか大声で言った。
終いには嫌味っぽくリュウに息を吐きかけた。
それに少しも動じないリュウもリュウですごいと思うけど。
「ねぇ天草クン」
佐久間さんは後ろ歩きでアタシ達を撮りながら部屋を案内する。
「もう学校中の噂になってるよ、すげぇ秀才が入学してきたぁ!!って」
「…どういうことですか?」
リュウがそっと聞いた。
「うちの生徒全員1人1台ずつパソコン持ってて、寮の部屋に入ると必ず掲示板をチェ――ックすんのっ
…気をつけた方がいいよ!」
「気をつけた方がいいっていうのは?」
キュウが無理矢理ビデオカメラに映ろうとリュウによる。
「頭のいい奴らは優遇されるけどー…憎まれもする。
…失踪した小椋絵美菜っていう1年生もそうだった」
そう言った佐久間さんの顔はどことなく切なそうに感じたのは…気のせいだろうか。
1つの部屋の前まで来る。
佐久間さんは何も言わずに入って行った。
それにつられてアタシ達3人も中に入る。
「これが天草ル――ッム!!!!」
キュウは笑顔であちこち見まわしてる。
リュウとキュウはベットの横にバックを置いていた。
アタシはすぐに帰る予定だったから持ったまま。
するとキュウは勢いよくリュウのベットにダイブした。
思ったより固ったのか、痛がっていた。
「い、いいね、気持ちいいね、これ、いいよ」
キュウは強がって言う。
『ばぁーか』
「誰か入ったのかな…?」
佐久間さんの方を見ると、撮影するのをやめてパソコンを見る。
その言葉にアタシ達はパソコンの前に集まる。
佐久間さんがパソコンを操作すると黒画面に赤文字で【コレクター】が出てきた。
『…コレ、クター…?』
すると動画が流れ始める。
イスに縛られた女の人が目の前にいる人にチェンソーを向けられて怯えている。
手もつながれていて声も出ない様子だ。
「まさか、これ、殺人ビデオ?!」
「いや。これはただの映画のワンシーンだ。確か…【変態民族連続100人殺し】。
1990年に作られたインディーズのC級映画だ」
「でも…誰がこんなイタズラを…?」
『すごく凝ってるよね…』
「早速誰かくいついてきたな、楽しみだねっ!!…これから」
佐久間さんがリュウの耳元で言う。
アタシはその後女子寮へ行き、寮長の部屋を訪問しろとのことだったので行ってみた。
「はい」と言って出てきたのは遠矢さんだった。
『女子寮の寮長って遠矢さんだったんだぁー』
「はい、それ、美南さんにも言われました」
『あ、そーなの?』
「は、はい!!!」
『そっかぁー…よろしくね!!』
「あ、よろしくお願いします!!…あ、ここです!!隣は美南さんです」
『ありがとう』
メグの部屋をチラと見る。
その奥には【小椋絵美菜】と書かれていたのがなんとなく見えた。
『突然で悪いんだけど…小椋さんってどんな人だったの?』
「すごく…素敵な人でした…。頭がいいだけじゃなく、誰にでも優しく…クラスの人気者でした!!」
『そんな人だったんだぁ…』
「ただ、彼女、家のことでは随分悩んでたみたいで…」
『家のこと?たとえば?』
「家が厳しくて自由がない、ってよくぼやいてました」
『遠矢さんって小椋さんと親しかったんだねぇ…』
アタシはそう言うと、遠矢さんは少しボーッとしてから、慌てたように急いで言った。
「あ、いえ!!!特にそういう間柄じゃ!!!失礼しますっ」
遠矢さんは深く一礼してから部屋へ戻ってしまった。
…何か触れちゃいけないトコに触れちゃったかな?
部屋に入って携帯を見ると、メールが着信されてあった。
…リュウからだ。
【午後8時に女子寮に迎えに行くから、外まで出てきて。
僕のパソコンにあった指紋をとったから教室まで検証しに行こうと思って…来てくれる?
ちなみにキュウとメグ、キンタもいるけど】
リュウからのメールなんて久しぶりすぎて、すぐに返信を送った。
【行くっ♪8時ね、了解】
夜、8時少し前に部屋を出たらメグも丁度部屋から出てきた。
『メグっ』
「あ、梓紗、行こう!!」
『うん』
「ねぇ、アタシ、ただ8時に女子寮の外にってキュウからメール来たんだけど、
なんで?理由が書いてなかったの」
『アタシね、女子寮に来る前に2人にくっついて男子寮に行ってきたの』
「え?!そーなの?!」
『うん、で、リュウの部屋のパソコンに殺人ビデオじゃないんだけど、
ある映画の殺人シーンみたいな動画が貼り付けられてて…』
「あ、それが誰なのか検証しに行くの?」
『そうそう、メグ話早いなー…』
外に出ると、3人がいた。
「行こう」
学校の中への潜入はあっさりできた。
教室までの廊下を5人で歩く。
「リュウのパソコンに殺人ビデオねぇー…」
メグが呟いた。
「キーボードやマウスから、犯人の指紋らしきものがとれた…」
「あとは教室の中の指紋と照合するだけだね」
「…え?!まさか、これから全部調べるのか!?」
『まっさかぁー』
「その心配はないよ。もう犯人の目星はついてる」
教室に入って真っ先に向かったのは…やっぱり亀田クンの机。
「この机…あの亀田って人のだ」
リュウは着々と指紋の照合を始める。
パソコンで検証したところ、見事に…MATCH
「間違いない、僕のパソコンにイタズラしたのは亀田だ」
次の日。
アタシ達は平然と授業に参加した。
「えー…今日は37ページの構成関数から始めます」
先生が授業を始めようとした時、キュウは手を挙げた。
「あのっ、先生!!」
「何?」
「亀田クンの姿が…見えないんですけど」
「出席簿に欠席届が挟まってたわ。風邪をひいたから休むって」
昼休み、アタシとメグ、朝吹さん遠矢さんで一緒に昼食をとった。
「コレクターをつきとめる?!」
「私、探偵小説とかすっごく興味あってさぁ、昨日の話聞いたら興味もっちゃって…」
『だよね?アタシも!!!アタシもそーいうのすごい好きなんだ!!』
「だよねー!!!やらない??」
「でも…何かあったらヤバくない…?」
「僕もー良かったら手伝うよ」
隣のテーブルに座ってるキュウが話しかけてくる。
これは偶然ではなく、作戦。
「俺も参加するよ、何か楽しそうだし」
冨永クンも話にのってくれた。
「え、ええ――っ!!」
朝吹さんはうなだれている。
『ね、遠矢さんも一緒にやってみない??』
すると、遠矢さんはコクリと頷いてくれた。
「天草クンもどう?」
キュウが尋ねる。
あ、天草クンだって…転校生っていう設定、大変だね…。
「僕も暇だし…手伝ってもいいよ」
といい終わったリュウは本を閉じ、朝吹さんを見つめた。
すると、パアッと笑顔になった朝吹さんは「アタシもやるっ!!」と小さく手を挙げて言った。
メグはその2人の様子を見て慌てているように見えた。
アタシもビックリだよ、リュウがそんなコトするなんて…。
その次にアタシを見て「ええ?」っとずっと小言で言っていた。
なんでアタシを見るかな…
「あ、梓紗?い、いいの?」
『…何がよ』
「いや…ううん、なんでも」
*第4話*~ネットの恐怖から仲間を救え ①
あー…暑い。
久しぶりに早くミッションルームに行こうと思って家を出たら、
こんなに暑いったらない。
ミッションルームの中は涼しくて快適かも!!と微かな期待を抱き、
来て見たけど、はずれ。
外より温度は低いんだろうけど、蒸し暑いさが半端ない。
クーラーが壊れてるらしい。
アタシは偶然持ってきていた内輪でパタパタと自分を仰ぐだけだった。
すると、キュウが元気に入ってきた。
「おはよう!!!」
そしてその元気が嘘のように、すぐに顔が変わった。
暑さで誰もキュウに挨拶を返そうとしない。…もちろんアタシもだ。
「何この部屋、何でこんなに暑いの?!」
「クーラーが古くてきかないんだよぉ」
『あー…あっつい。もうちょっと家にいればよかったぁー!!!』
「団先生に頼んで新しいの入れてもらおうよー」
「秋葉のネットアイドルがそんなだらしないカッコしてていいの?」
数馬がパソコンを持ち出して、こっちに来る。
秋葉のネットアイドル?
秋葉のアイドルだったら分かるけど…ネット??
「何言ってんの?」
「見ちゃったよ、メグのブログ」
「…え?」
数馬に差し出されたパソコンの画面には「メグたんブログ」とタイトルを飾った
可愛らしーいブログが現れた。
「メグがブログとは…女ってさ色んな顔があるって言うけど、ホント怖いよなぁ」
「私こんなの知らないわよ」
「照れてるし」
「だから、違うんだってば!!!私こんなの作った覚えないもん」
メグと数馬の会話を聞きながら、画面を見続けた。
でも、何かメグはホントに否定してるし、どっか違和感があるんだよなぁ。
ていうか、隣でこんなに騒いでるのにリュウはクールに読書してるし。
「ねぇ、これ全部、隠し撮り、っぽくない?」
「隠し撮り…」
メグが困惑したのが分かる。
「全部目線外れてるよな」
『ってことはメグはカメラに気付いてない?』
「もしかして」
「何?」
メグがすぐに数馬の言葉に反応する。
「メグに憧れてる奴の仕業かも」
少し得意げに笑ったメグは優しく「どーいうコト?」と聞いた。
「つまり、メグのようになりたいっていう奴がメグになりすましてブログを立ち上げたんだよ。
ネットの中じゃ自分の理想の女の子になれるからねぇ…
でもそれがよりによってメグとは…」
『あはは』
頬杖ついて嬉しそうに頷いていたメグはガクッと顎を落とす。
「え、じゃあ、もう1人のメグがネットの中で存在してるってコト?」
「…自分を捨てて他の誰かに同一化しようとする、病的な心理さ」
リュウが口を開いた。
なんだかんだで本は読んでるけど、ちゃんと聞いてくれてたんだ。
「こういう奴はエスカレートすると怖いんだよなぁ…」
「…やめてよ!!気持ち悪い!!!ねぇ数馬お願い!!コレ作ったの誰かすぐに調べて!!!」
「こっちもメグになりすまして、表に引きずりだしてやろう!!!」
『うわ、数馬カッコいいねー!!!』
「うるさいな、そーいうコト言うと梓紗がこういう目に遭っても助けないからな」
『ああっ、ごめんって、冗談だってば』
「しかし、こうも暑いと脳みそトロットロの奴が増えてくるなぁー」
キンタが口を開いた。
すると、突然ミッションルームの扉が開く。
「遠山!!いい若いもんが何だらけたこと言ってんだ!!!」
「七海先生…」
七海先生の登場だ。
「ってか、どうしたんすか、その格好!!!」
「今日はちょっとしたデートがあってな…」
「相手誰なんですか?!」
キュウが恐ろしい程の勢いで喰いつく。
『キュウ、食いつき過ぎだってば』
「薔薇の様に美しく、鋭い尖ったトゲを隠し持つ、怖い女」
「顔と台詞が全然合ってないんですけど」
『惚気てんのかなんなのか分かんないですけど』
「…あちーなこの部屋」
七海先生は遠くを見ながらさりげなく話題を変えた。
「、というわけで、団先生からの新しい指令だ」
それを聞いたアタシ達はすぐにDVDの上映の準備を整えた。
それぞれ自分の指定位置の席に座り、DVDの鑑賞を始める。
「Qクラスの諸君、ごきげんよう」
団先生が映った。
その瞬間、みんな反射的に立ってしまう。
「今回君達に調べてもらいたいのは、ある噂の調査だ。
インターネット上にネットロアという都市伝説を紹介するサイトがあるんだが、
その中で大きな話題となっている書き込みがある。
その書き込みによるとコレクターと呼ばれる殺人鬼が存在し、
若い娘を殺してはビデオにおさめているらしい。
しかも、コレクターが潜んでいると噂される全寮制の高校、渋沢学院では実際、
小椋絵美菜という女生徒が1ヶ月前から失踪したままだ。
更に別の女生徒が数日前校内で殺されかけ、しかもそのビデオ映像がネット上で公開された。
私にはこの一連の事件が何か恐ろしい事が起こる予兆のような気がしてならない。
君達の力でコレクターの噂と事件との関係を探り真相を暴いてもらいたい。
諸君らの健闘を祈る」
そこでDVDは終わり、部屋が明るくなる。
DVDの映像は団先生が映ったり、サイトが映ったり、小椋さんが映ったり、
全寮制の学校だっけ?それから追いかけられてる女生徒の映像。
色々一気に頭に入り過ぎて、ごちゃごちゃしてるけど、なんとなく整理はついた。
「それでは、Qクラス!!!…出動!!!」
七海先生がおかしなポーズを得意げに決める。
アタシらはそれに大きく返事をした。
キーンコーンカーンコーン
「それでは転校生を紹介します」
ここは…渋沢学院だっけ。
コレクターが潜んでいると噂される全寮制の学校。
より事件に深入りするためにその高校に転入してきた。
「美南恵さん、橘梓紗さん、天草流くん、それから…」
「あ、キュウです!!よろしくお願いします!!!」
先生の言葉を遮り、キュウが自己紹介をする。
「天草流です、よろしく」リュウが一礼した。
…空気的にアタシか?
「あ、橘梓紗です。よろしくお願いしますっ!!!」
「美南恵ですっ、メグって呼んでくださいっ!!…よろしくぅー!!!」
異常なテンションの高さで自己紹介するメグ。
しかも、「よろしく」にはフリまでついてる。
だけど、アタシ達の目の前にいるクラスのみんなはいそいそと授業の準備を始めた。
少しくらいは反応してくれる子いてもいいんじゃない?
「何コイツら…感じ悪ーっ」
キュウがそれを聞いて少しだけ愛想笑いをしたのが分かった。
それからいざ授業が始まった。
アタシはまだ中学2年生。
高校の授業なんて受けたって何の意味もない…てか何にも分かんない。
アタシの隣はリュウでアタシの前はキュウ。
キュウの隣はメグだ。
何やらこそこそ話してるのが分かる。
リュウをチラッと見ても特に何をするわけでもなく、手を組んで黒板を見てるだけ。
アタシはせっかくだし、とノートをとってみたけど、全然分かんない。
「誰?!おしゃべりしてるの!!!」
黒板にカツカツと音を立てて問題を書いていた先生が振り返って注意する。
そりゃあ周りがこれだけ静かだもん、話してればバレるよねー…。
それを聞いてビックリした2人は大きな音を出す。
あーあ。
「あなたなの?」
先生はキュウを見て問う。
「え、あの、僕は、いや、な…んねぇ…」
すると隣のリュウがバッと立ち上がった。
『リュ…あ、天草くん?』
アタシ達は一応転校してきたばっかりだから、少し遠めに接する。
「…すいません、僕の独り言です」
『え?!』
「独り言…?あなたそんな癖があるの?」
リュウが素気ない顔をしてる。
んなわけねぇだろ、とでも言いたそうな顔。
「これは東大の入試問題よ、10分以内にこれを解けなければ、
このクラスの授業にはついてこれないわ」
メグが小さな声で何か言っていたのは聞こえた。
うわーリュウどうするんだろう。
…と、次の瞬間リュウは黒板へと歩きだした。
まさか解きに行く気?!
いや、リュウのことだ。
解けたりするんだよ、これが。
黒板についたリュウはポケットに手を突っ込みながらスラスラと問題を解き始める。
先生やメグ、キュウ、それにクラス全員の顔が動揺に染まる。
10分以内なんてどころじゃない、多分、5分もかかってないんじゃないかな。
「先生、これでいいでしょうか」
「…完璧だわ」
リュウは見事に先生を見返してやってた。
席に戻ってきたリュウは誰にも気づかれないような笑顔をアタシに向けた。
アタシはそれにつられて笑顔になる。
クラスの何人かは席に座ったリュウを見ていた。
リュウは顎を手に乗せ、少し俯いていた。
「さっきどうやってやったの?」
昼休み、屋上でアタシ達は時間をずらして集まった。
転校生が全員で仲良く屋上でお昼ご飯…なんてあり得ないでしょ?
「見てなかったの?」
「見てなかった」
『あ、アタシも知りたいー!!!』
「こう、こう、こうだよ!!!」
メグは自己紹介の時のフリをキュウとアタシにやってみせた。
腕をクロスして肩を触り、次はクロスを外して肩に触る。
最後に両親指を突き出しながら、前に手を伸ばす、といフリだった。
リュウは全く興味なさそうに本を読んでる。
『こう、こう、こう?!』
「そうそう!!梓紗上手いじゃんー!!キュウ、リュウ、見てた?!」
「…見てた」
リュウが呟いた。
なんなんだ、この子は。
「梓紗、何でそんな早く習得できるんだよー、
ってかあのさぁ!!自己紹介からいきなりハズさないで!!ヒヤヒヤしたんだから僕…」
「リュウってホント頭いいよねー?一緒に居て心強いわっ…誰かさんと違って」
「中2の僕が東大の問題なんて解けるはずないじゃんっ!!!
リュウは特別なんだからっ!!!」
「女の子って特別な存在の弱いのよねーぇ、ね、梓紗!!!」
『ははは、そーだねぇー』
「ねぇ、リュウからも何か言ってやってよー!!!」
「3人ともさぁー…一応僕らは高校生ってコトになってるんだし、
子供っぽい振る舞いは控えた方がいいよ」
すると、みんなしょぼーんとし始めた。
リュウってばこういう雰囲気つくるの得意だよねー…。
「ここは立ち入り禁止だぞ!!!」
背後から男の人の声。
アレ?この声、すごい親しみがあるんだけど…。
「ごめんなさい!!」キュウが物凄く謝りながら振り返った。
アタシ達も振り返る。
そこにいたのは…キンタ。
「あっ…キンタ、どーしたのその格好」
「んえ?この格好なら誰にも怪しまれずに校内を調べられるだろ」
と、言い終わった丁度いいタイミングでキンタの携帯が鳴る。
電話に出るキンタ。
「おおっ、数馬」
アタシ達はすぐにキンタの携帯に駆け寄る。
覗きこむようにして5人で携帯を見る。
「例のサイトのコレクターに関する書き込みだけど、そのほとんどが
渋沢学院から発信されてるようだ」
「それホント?!」
メグが携帯に顔を近づけ、数馬に話しかける。
「それも、1人の人間の手によるものかもしれない…」
「え、どーいうこと?!」
キュウがメグと全く同じことをして数馬に話しかける。
「サイトの書き込みを分析してみたんだけど、曜日によって書き込まれる時間が決まっていたり、
文章に微妙な規則性があるんだよねぇ。
もしかしたら1人の人間が複数の人間を装って、噂を盛り上げようとしてるのかもしれない」
「…つまり、自作自演ってわけか…」
リュウが静かに呟く。
そこは、メグやキュウと同じように携帯を覗き込んで…ってリュウがするわけないか。
「顔も名前も分からない匿名性がインターネットの特徴だからねぇ…
例えば、誰かを陥れるために1人の人間が悪い噂を勝手に盛り上げるコトができるんだ」
『でも、誰が何に目的でそんなコトを?』
アタシは携帯を覗き込みはしなかったけど、数馬に向かって話した。
「とにかく、何か分かったらまた連絡する」
そう言い終わった後すぐに切れた数馬からのテレビ電話。
空気が一気に謎解きの雰囲気に変わる。
「やっぱり何かありそうねぇ…この学校」
メグが静かに呟いた。
あー…暑い。
久しぶりに早くミッションルームに行こうと思って家を出たら、
こんなに暑いったらない。
ミッションルームの中は涼しくて快適かも!!と微かな期待を抱き、
来て見たけど、はずれ。
外より温度は低いんだろうけど、蒸し暑いさが半端ない。
クーラーが壊れてるらしい。
アタシは偶然持ってきていた内輪でパタパタと自分を仰ぐだけだった。
すると、キュウが元気に入ってきた。
「おはよう!!!」
そしてその元気が嘘のように、すぐに顔が変わった。
暑さで誰もキュウに挨拶を返そうとしない。…もちろんアタシもだ。
「何この部屋、何でこんなに暑いの?!」
「クーラーが古くてきかないんだよぉ」
『あー…あっつい。もうちょっと家にいればよかったぁー!!!』
「団先生に頼んで新しいの入れてもらおうよー」
「秋葉のネットアイドルがそんなだらしないカッコしてていいの?」
数馬がパソコンを持ち出して、こっちに来る。
秋葉のネットアイドル?
秋葉のアイドルだったら分かるけど…ネット??
「何言ってんの?」
「見ちゃったよ、メグのブログ」
「…え?」
数馬に差し出されたパソコンの画面には「メグたんブログ」とタイトルを飾った
可愛らしーいブログが現れた。
「メグがブログとは…女ってさ色んな顔があるって言うけど、ホント怖いよなぁ」
「私こんなの知らないわよ」
「照れてるし」
「だから、違うんだってば!!!私こんなの作った覚えないもん」
メグと数馬の会話を聞きながら、画面を見続けた。
でも、何かメグはホントに否定してるし、どっか違和感があるんだよなぁ。
ていうか、隣でこんなに騒いでるのにリュウはクールに読書してるし。
「ねぇ、これ全部、隠し撮り、っぽくない?」
「隠し撮り…」
メグが困惑したのが分かる。
「全部目線外れてるよな」
『ってことはメグはカメラに気付いてない?』
「もしかして」
「何?」
メグがすぐに数馬の言葉に反応する。
「メグに憧れてる奴の仕業かも」
少し得意げに笑ったメグは優しく「どーいうコト?」と聞いた。
「つまり、メグのようになりたいっていう奴がメグになりすましてブログを立ち上げたんだよ。
ネットの中じゃ自分の理想の女の子になれるからねぇ…
でもそれがよりによってメグとは…」
『あはは』
頬杖ついて嬉しそうに頷いていたメグはガクッと顎を落とす。
「え、じゃあ、もう1人のメグがネットの中で存在してるってコト?」
「…自分を捨てて他の誰かに同一化しようとする、病的な心理さ」
リュウが口を開いた。
なんだかんだで本は読んでるけど、ちゃんと聞いてくれてたんだ。
「こういう奴はエスカレートすると怖いんだよなぁ…」
「…やめてよ!!気持ち悪い!!!ねぇ数馬お願い!!コレ作ったの誰かすぐに調べて!!!」
「こっちもメグになりすまして、表に引きずりだしてやろう!!!」
『うわ、数馬カッコいいねー!!!』
「うるさいな、そーいうコト言うと梓紗がこういう目に遭っても助けないからな」
『ああっ、ごめんって、冗談だってば』
「しかし、こうも暑いと脳みそトロットロの奴が増えてくるなぁー」
キンタが口を開いた。
すると、突然ミッションルームの扉が開く。
「遠山!!いい若いもんが何だらけたこと言ってんだ!!!」
「七海先生…」
七海先生の登場だ。
「ってか、どうしたんすか、その格好!!!」
「今日はちょっとしたデートがあってな…」
「相手誰なんですか?!」
キュウが恐ろしい程の勢いで喰いつく。
『キュウ、食いつき過ぎだってば』
「薔薇の様に美しく、鋭い尖ったトゲを隠し持つ、怖い女」
「顔と台詞が全然合ってないんですけど」
『惚気てんのかなんなのか分かんないですけど』
「…あちーなこの部屋」
七海先生は遠くを見ながらさりげなく話題を変えた。
「、というわけで、団先生からの新しい指令だ」
それを聞いたアタシ達はすぐにDVDの上映の準備を整えた。
それぞれ自分の指定位置の席に座り、DVDの鑑賞を始める。
「Qクラスの諸君、ごきげんよう」
団先生が映った。
その瞬間、みんな反射的に立ってしまう。
「今回君達に調べてもらいたいのは、ある噂の調査だ。
インターネット上にネットロアという都市伝説を紹介するサイトがあるんだが、
その中で大きな話題となっている書き込みがある。
その書き込みによるとコレクターと呼ばれる殺人鬼が存在し、
若い娘を殺してはビデオにおさめているらしい。
しかも、コレクターが潜んでいると噂される全寮制の高校、渋沢学院では実際、
小椋絵美菜という女生徒が1ヶ月前から失踪したままだ。
更に別の女生徒が数日前校内で殺されかけ、しかもそのビデオ映像がネット上で公開された。
私にはこの一連の事件が何か恐ろしい事が起こる予兆のような気がしてならない。
君達の力でコレクターの噂と事件との関係を探り真相を暴いてもらいたい。
諸君らの健闘を祈る」
そこでDVDは終わり、部屋が明るくなる。
DVDの映像は団先生が映ったり、サイトが映ったり、小椋さんが映ったり、
全寮制の学校だっけ?それから追いかけられてる女生徒の映像。
色々一気に頭に入り過ぎて、ごちゃごちゃしてるけど、なんとなく整理はついた。
「それでは、Qクラス!!!…出動!!!」
七海先生がおかしなポーズを得意げに決める。
アタシらはそれに大きく返事をした。
キーンコーンカーンコーン
「それでは転校生を紹介します」
ここは…渋沢学院だっけ。
コレクターが潜んでいると噂される全寮制の学校。
より事件に深入りするためにその高校に転入してきた。
「美南恵さん、橘梓紗さん、天草流くん、それから…」
「あ、キュウです!!よろしくお願いします!!!」
先生の言葉を遮り、キュウが自己紹介をする。
「天草流です、よろしく」リュウが一礼した。
…空気的にアタシか?
「あ、橘梓紗です。よろしくお願いしますっ!!!」
「美南恵ですっ、メグって呼んでくださいっ!!…よろしくぅー!!!」
異常なテンションの高さで自己紹介するメグ。
しかも、「よろしく」にはフリまでついてる。
だけど、アタシ達の目の前にいるクラスのみんなはいそいそと授業の準備を始めた。
少しくらいは反応してくれる子いてもいいんじゃない?
「何コイツら…感じ悪ーっ」
キュウがそれを聞いて少しだけ愛想笑いをしたのが分かった。
それからいざ授業が始まった。
アタシはまだ中学2年生。
高校の授業なんて受けたって何の意味もない…てか何にも分かんない。
アタシの隣はリュウでアタシの前はキュウ。
キュウの隣はメグだ。
何やらこそこそ話してるのが分かる。
リュウをチラッと見ても特に何をするわけでもなく、手を組んで黒板を見てるだけ。
アタシはせっかくだし、とノートをとってみたけど、全然分かんない。
「誰?!おしゃべりしてるの!!!」
黒板にカツカツと音を立てて問題を書いていた先生が振り返って注意する。
そりゃあ周りがこれだけ静かだもん、話してればバレるよねー…。
それを聞いてビックリした2人は大きな音を出す。
あーあ。
「あなたなの?」
先生はキュウを見て問う。
「え、あの、僕は、いや、な…んねぇ…」
すると隣のリュウがバッと立ち上がった。
『リュ…あ、天草くん?』
アタシ達は一応転校してきたばっかりだから、少し遠めに接する。
「…すいません、僕の独り言です」
『え?!』
「独り言…?あなたそんな癖があるの?」
リュウが素気ない顔をしてる。
んなわけねぇだろ、とでも言いたそうな顔。
「これは東大の入試問題よ、10分以内にこれを解けなければ、
このクラスの授業にはついてこれないわ」
メグが小さな声で何か言っていたのは聞こえた。
うわーリュウどうするんだろう。
…と、次の瞬間リュウは黒板へと歩きだした。
まさか解きに行く気?!
いや、リュウのことだ。
解けたりするんだよ、これが。
黒板についたリュウはポケットに手を突っ込みながらスラスラと問題を解き始める。
先生やメグ、キュウ、それにクラス全員の顔が動揺に染まる。
10分以内なんてどころじゃない、多分、5分もかかってないんじゃないかな。
「先生、これでいいでしょうか」
「…完璧だわ」
リュウは見事に先生を見返してやってた。
席に戻ってきたリュウは誰にも気づかれないような笑顔をアタシに向けた。
アタシはそれにつられて笑顔になる。
クラスの何人かは席に座ったリュウを見ていた。
リュウは顎を手に乗せ、少し俯いていた。
「さっきどうやってやったの?」
昼休み、屋上でアタシ達は時間をずらして集まった。
転校生が全員で仲良く屋上でお昼ご飯…なんてあり得ないでしょ?
「見てなかったの?」
「見てなかった」
『あ、アタシも知りたいー!!!』
「こう、こう、こうだよ!!!」
メグは自己紹介の時のフリをキュウとアタシにやってみせた。
腕をクロスして肩を触り、次はクロスを外して肩に触る。
最後に両親指を突き出しながら、前に手を伸ばす、といフリだった。
リュウは全く興味なさそうに本を読んでる。
『こう、こう、こう?!』
「そうそう!!梓紗上手いじゃんー!!キュウ、リュウ、見てた?!」
「…見てた」
リュウが呟いた。
なんなんだ、この子は。
「梓紗、何でそんな早く習得できるんだよー、
ってかあのさぁ!!自己紹介からいきなりハズさないで!!ヒヤヒヤしたんだから僕…」
「リュウってホント頭いいよねー?一緒に居て心強いわっ…誰かさんと違って」
「中2の僕が東大の問題なんて解けるはずないじゃんっ!!!
リュウは特別なんだからっ!!!」
「女の子って特別な存在の弱いのよねーぇ、ね、梓紗!!!」
『ははは、そーだねぇー』
「ねぇ、リュウからも何か言ってやってよー!!!」
「3人ともさぁー…一応僕らは高校生ってコトになってるんだし、
子供っぽい振る舞いは控えた方がいいよ」
すると、みんなしょぼーんとし始めた。
リュウってばこういう雰囲気つくるの得意だよねー…。
「ここは立ち入り禁止だぞ!!!」
背後から男の人の声。
アレ?この声、すごい親しみがあるんだけど…。
「ごめんなさい!!」キュウが物凄く謝りながら振り返った。
アタシ達も振り返る。
そこにいたのは…キンタ。
「あっ…キンタ、どーしたのその格好」
「んえ?この格好なら誰にも怪しまれずに校内を調べられるだろ」
と、言い終わった丁度いいタイミングでキンタの携帯が鳴る。
電話に出るキンタ。
「おおっ、数馬」
アタシ達はすぐにキンタの携帯に駆け寄る。
覗きこむようにして5人で携帯を見る。
「例のサイトのコレクターに関する書き込みだけど、そのほとんどが
渋沢学院から発信されてるようだ」
「それホント?!」
メグが携帯に顔を近づけ、数馬に話しかける。
「それも、1人の人間の手によるものかもしれない…」
「え、どーいうこと?!」
キュウがメグと全く同じことをして数馬に話しかける。
「サイトの書き込みを分析してみたんだけど、曜日によって書き込まれる時間が決まっていたり、
文章に微妙な規則性があるんだよねぇ。
もしかしたら1人の人間が複数の人間を装って、噂を盛り上げようとしてるのかもしれない」
「…つまり、自作自演ってわけか…」
リュウが静かに呟く。
そこは、メグやキュウと同じように携帯を覗き込んで…ってリュウがするわけないか。
「顔も名前も分からない匿名性がインターネットの特徴だからねぇ…
例えば、誰かを陥れるために1人の人間が悪い噂を勝手に盛り上げるコトができるんだ」
『でも、誰が何に目的でそんなコトを?』
アタシは携帯を覗き込みはしなかったけど、数馬に向かって話した。
「とにかく、何か分かったらまた連絡する」
そう言い終わった後すぐに切れた数馬からのテレビ電話。
空気が一気に謎解きの雰囲気に変わる。
「やっぱり何かありそうねぇ…この学校」
メグが静かに呟いた。